根本大臣会見概要

(H30.12.11(火)11:09 ~ 11:23 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方から、今後の風しん対策について申し上げます。今般、風しんに関する追加的な対策の骨子案を取りまとめましたので、発表いたします。現在の風しん患者の増加が2013年のような大規模な流行につながらないよう、今般、国民の皆さまの安心のため、風しんに関する追加対策を取りまとめました。具体的には、これまで予防接種法に基づき定期接種を受ける機会が一度もなく、抗体保有率が約80%と他の世代に比べて低い、現在39歳から56歳の世代の男性に対し、第一に、予防接種法に基づく定期接種の対象とします。3年間、全国で原則無料で定期接種を実施します。第二に、ワクチンの効率的な活用のため、まずは抗体検査を受けていただくこととし、補正予算により、全国で原則無料で実施します。第三に、事業所健診の機会に抗体検査を受けられるようにすることや、夜間・休日にも抗体検査・予防接種を受けることができるような、体制整備に取り組みます。これらについて、今月13日の厚生科学審議会においてご議論いただいた上で、実行に移していきます。そして、2020年7月までに、現在39歳から56歳の世代の男性の抗体保有率を85%以上に引き上げ、今般の風しんの感染拡大を終息させることを目指します。さらに、今後同様の感染拡大が起こらないよう、対策をさらに進め、2021年度末までに、この世代の男性の抗体保有率を90%以上にまで引き上げることを目指します。この追加対策について、今年度中に速やかに開始できるよう、必要なワクチンの増産や地方自治体の施行準備等を最大限支援します。円滑な実施に向け、事務手続に関するガイドライン等の作成や関係者と連携した普及啓発の徹底等、実施のための環境整備を速やかに進めてまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
外国人労働者受入れ拡大について二点伺います。改正入管法が臨時国会で成立となりましたが、今後年内に策定される予定の政府の基本方針や分野別方針について、厚労省での検討状況とスケジュール感を教えてください。二点目として、医療保険では、海外扶養家族やなりすましの問題がある一方で、介護や年金では、保険料を納めていても受給が十分にできない払い損の問題があります。この問題について、どのように対応されるのかを教えてください。
大臣:
まず、スケジュール感ですが、厚生労働省として受入れを希望する業種としては、介護及びビルクリーニングがありますが、今お話の通り、政府全体のスケジュールに沿って調整を行っていくこととなります。来年4月1日からの制度の開始に向け、法務省等と相談しながら、とりまとめに向けて、スピード感を持って準備を進めていきたいと思います。そして、医療保険、年金、介護。まず、医療保険の範囲について申し上げたいと思います。医療保険の適用は、国籍で差異を設けておらず、外国人労働者にも等しく適用しています。今般の入管法の改正に伴いこうした取り扱いを変えることは考えておりません。一方で、健康保険における在外被扶養者の適用などに関わる問題については、今般の入管法改正にかかわらず、我が国のグローバル化の進展に伴い、被用者保険制度が従来から直面している課題であると認識しています。これまでも、海外に居住する被扶養者の認定方法を公的書類等による認定に統一するなど、順次必要な対策を講じてきました。さらに、海外に在住する被扶養者については、生活の拠点が海外にあり、日本の保険医療機関を受診する可能性が極めて低い被扶養者にまで、日本の健康保険を適用すべきではないとの意見がある一方、一時的な海外駐在に帯同する家族など、いずれ日本に戻ることが見込まれる被扶養者には健康保険を適用すべきとの意見もあると認識しており、在外被扶養者の実態を踏まえた丁寧な検討が必要だと考えています。いずれにせよ、外国人労働者の増加が見込まれる中で、在外被扶養者の問題を含め、外国人の医療保険の適正な利用に向けた対応については、こうした点にも留意しつつ、与党の議論も含め、厚生労働省において検討していきたいと思います。年金の問題ですが、我が国の年金制度は、老齢の他に障害や死亡といった保険事故にも対応しています。保険料納付済期間が短い外国人であっても、障害給付や遺族給付の対象となっています。これまで日本に在留する外国人の多くは、滞在期間も短く、老齢給付の受給資格を満たす前に帰国することが多かったため、脱退一時金制度が設けられています。脱退一時金を受給すると、それまでの被保険者期間が将来の年金受給に結び付かなくなることから、これまでよりも長い期間在留する方も多くなることが考えられる中で、外国人材自身の年金権を確保するという視点を考えることも必要だと思います。このような観点から、新たに受け入れる外国人材に関する政府全体での議論も踏まえつつ、脱退一時金の在り方について、次期年金制度改革の議論の中で検討したいと考えています。介護保険については、介護保険制度では、日本国籍を有しない方も、3ヶ月を超えた滞在が認められ、住民基本台帳法の適用対象となる場合等は、被保険者となります。そのため、すでに、高度人材外国人などの在留資格で日本に滞在している方も、介護保険の被保険者となっています。介護保険制度においては、日本人・外国人に関わらず自らの要介護リスクが高い65歳以上の方のみならず、40歳以上の方にも2号保険料を納めていただいております。これは、個人の直接的受益のみではない社会的扶養や世代間連帯の考え方に基づいているものであります。保険料負担はするが、サービスを利用せず帰国される方が多いのではないかという指摘については、軽度の場合は、介護サービスを利用しながら日本で働き続ける可能性があることから、このような場合に対応できるよう、介護保険の被保険者となる必要があると考えています。
記者:
高校駅伝の一部強豪校で貧血治療用の鉄剤注射が不適切に使われている例があるとされておりますが、大臣のお受け止めと厚生労働省として今後何らかの調査、対応を行われるかどうかを教えてください。
大臣:
ご指摘の鉄剤注射は鉄欠乏症貧血の患者に対する治療を想定して承認をされている医薬品であり健常な人に使用することは想定されておりません。当該医薬品は医師の診断に基づいて使用することが必要な医療用医薬品であり、医師による適正な診断のもとに使用されるべきものであります。今般の事案は疾病の治療ではなくいわゆるドーピングの可能性があるものと思われるため、医師の関わり方などその使用実態についてはスポーツを所管する文科省において調達されるべきものと思います。その上で必要な対策については文科省とも協力しながら検討していきたいと思います。
記者:
風しんについてですが、今後補正予算で対策すると思うのですけれども、いくらぐらいの額になるのか教えてください。
大臣:
補正予算の額については今予算編成の過程でありますから、予算編成の中で額は確定しその時点で申し上げたいと思います。
記者:
先ほどの冒頭の質問に関連してなのですけれど、外国人材の関連で年金の脱退一時金の在り方を検討したいとおっしゃったのですが、これまでよりも長く在留する人が増えるという観点を踏まえるとどういう検討が必要だとお考えでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げましたが、脱退一時金制度については、脱退一時金を受給するとそれまでの被保険者期間が将来の年金に結びつかなくなることからこれまでより長く在留することが考えられる中で外国人材自身の年金権を確保するという視点を考えることも必要だと思います。従来25年とされてきた老齢年金の受給資格期間について、昨年8月から10年に短縮されたことも考慮する必要があるのではないかと思いますが、いずれにしても次期年金制度改革の議論の中で検討していきたいと思います。
記者:
議員立法の成育医療基本法と循環器病対策基本法が国会で成立しましたけれども、大臣の受け止めと厚労省として今後どう対応するのかを教えてください。
大臣:
今臨時国会では、お話のように循環器病対策について、疾病予防や急性期から慢性期まで幅広い対策を総合的に推進するための「脳卒中、心臓病その他の循環器病対策基本法」、そして子どもの心身の健やかな成長のため、生まれてから大人になるまでの成育過程全体を切れ目なく支援するための「成育基本法」がそれぞれ成立をいたしました。今後は、成立した法律に基づいて、関連施策を総合的に推進するため、循環器病対策推進基本計画や成育医療等基本方針の策定などにより、関係省庁と連携しつつ、総合的な対策に取り組んでいきたいと思います。
 
 

(了)