根本大臣会見概要

(H30.10.23(火)11:20 ~ 11:40 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、私の方からお話をいたします。第2回公務部門における障害者雇用に関する閣僚会議についてです。本日、「第2回公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」が開催され、会議においては、私の方から、国の機関における障害者雇用の状況に関する再点検結果の訂正、地方公共団体・独立行政法人等における障害者雇用の状況に関する再点検の結果、「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会報告書」、私が議長をつとめる関係府省連絡会議においてとりまとめた「公務部門における障害者雇用に関する基本方針(案)」について報告し、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」について了承されました。国の行政機関等における障害者の任免状況の再点検結果の訂正及び地方公共団体・独立行政法人等における障害者の任免状況等の再点検結果につきましては、会議資料のとおりです。そして、検証委員会の報告書につきましては、報告書に指摘されているとおり、厚生労働省の問題と各行政機関側の問題とがあいまって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないとの報告書の指摘は、誠に遺憾であります。特に、厚生労働省の問題として、民間事業主に対する指導に重点が置かれ、国の行政機関で適切に対象障害者が雇用されているのかの実態把握の努力をしなかったこと、制度改正等を踏まえた障害者の範囲や確認方法等についての周知等に不手際があったことなどの指摘については、重く受け止めています。制度所管省として、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割が果たせるよう、法の理念に立ち返り、不適切計上の再発防止に努めることはもとより、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底し、取組を強化してまいります。また、私が議長をつとめる関係府省連絡会議においてとりまとめた、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」が決定されました。基本方針においては、今般の事態の検証結果を踏まえ、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成、障害のある方の活躍の場の拡大に向けた、政府一体となった取組がまとめられており、また、その取組状況について、今後、閣僚会議等政府一体となって推進する体制の下でフォローアップしていくこととしております。この基本方針に基づく取組を着実に推進し、障害のある方が希望や能力に応じて活躍できる社会の実現に向けて、政府一体となって取り組んでまいります。私からは、以上です。

質疑

記者:
二問聞かせていただきます。一つ目は、障害者雇用の問題についてですが、先程決定された方針案の中では31年末までに約4,000人の障害者の方の雇用を目指すとされています。これについては、働く環境が整備されていない中で、急速に雇用を増やすことへの懸念の声も出ているのですが、所管大臣としてどう実現していくか、また、実行にあたってどのような要素が必要と考えているかを教えてください。
大臣:
今般の多くの府省における対象障害者の不適切な計上により法定雇用率を達成していないことが明らかとなって、国民や民間事業主の不信を招く事態となっていることから、できるだけ速やかに法定雇用率の達成に向けて取り組む必要があると考えています。障害者雇用促進法においては、法定雇用率を達成していない公的機関は、法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画を作らなければならないとされており、その経過期間は関係法令により1年とされております。厚生労働省としても、障害者雇用に精通したアドバイザーを選任し、各府省が専門的な助言を受けることができる体制の整備、ハローワークにおける積極的な職業紹介等により各府省の取組を最大限支援していきたいと思います。各府省においても、これらの支援を活用しながら、採用計画は着実に進捗するよう最大限努力してもらいたいと思います。ご指摘の通り、約4,000人の障害者を平成31年末までに雇用することは、容易なことではなく、相当な困難が伴う面もありますが、まず、関係法令に沿って取組を開始し、進捗状況や課題について、関係閣僚会議等でフォローアップしながら、政府一体となって取り組んでいきたいと思います。その上でなお、法定雇用率を達成できない府省がある場合には、その要因や課題を検証した上で、具体的な取組を再検討し、新たな採用計画を策定して進めていくことになります。
記者:
もう一点、昨日の未来投資会議では、希望する人が70歳まで働き続けられるよう法整備を進める方針を示されました。具体的な施策は厚生労働省の側で進めることとなっていると思うのですが、昨日は2040の会議の報告等もありまして、こうした社会保障政策全般の今後の進め方について教えてください。
大臣:
来年10月の消費税率の引上げによって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了いたします。今後の社会保障・働き方改革のあり方については、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年頃を見据えた検討を進めることが必要であると考えています。何度も申し上げておりますが、今後の人口構造の推移を見ると、2025年以降、これまでの高齢者の急増から現役世代の急減に局面が変化する一方、高齢者は若返りが見られ、就業率も上昇するなど高齢者像が大きく変わってきております。このため、国民誰もがより長く元気に活躍できるよう、高齢者をはじめ多様な就労・社会参加の環境整備、就労や社会参加の前提となる健康寿命の延伸、労働力の制約が強まる中での医療・福祉サービスの改革による生産性の向上について、取組を進めるとともに、これまで進めてきた給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保の検討を行っていくことが必要だと思っています。これらの検討を進めていくため、昨日、私が本部長となって、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置しました。部局横断的な政策課題について、プロジェクトチームを設置して検討を進めていくこととしています。そして、今お話がありましたように、昨日の未来投資会議においても、高齢者雇用の促進や疾病・介護予防について議論が行われましたが、改革本部を立ち上げて検討を進めていく旨私からご説明したところであり、横断的なテーマに対して、部局の壁を越えて、省一丸となって取り組んで行きたいと思います。今後は、来年夏を目指して、健康寿命延伸や医療・福祉サービス改革のプランの策定などを進めていきたいと思います。
記者:
障害者雇用の方で調査結果が出て、厚労省の責任と各府省の責任ということで色々指摘されましたけれどもこれについて責任というのをどう考えるか、その処分とかですね。それについて考えがあれば教えていただきたいと思います。
大臣:
検証委員会の報告書では、「多くの国の機関で障害者雇用を促進する姿勢に欠け、厚生労働省側と各行政機関側の問題が相まって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続してきたことは極めて由々しき問題」との大変厳しいご指摘を受けました。特に、厚生労働省の問題として、民間事業主に対する指導に重点が置かれ、国の行政機関で適切に対象障害者が雇用されているかの実態把握の努力をしなかったこと、制度改正等を踏まえた障害者の範囲や確認方法等について周知等に不手際があったことなどの指摘について、重く受け止めております。制度所管省として、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割が果たせるよう、法の理念に立ち返り、基本方針に沿って、不適切計上の再発防止に努めたいと思います。また、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底し、その取組を強化してまいりたいと思います。
記者:
処分については検討されないのでしょうか。
大臣:
本日の閣僚会議での総理からの強い指示を踏まえて、閣僚懇談会において、官房長官から各大臣に対して、「二度とこのような事態が生じることのないよう、事務方幹部に対してしっかり注意を行っていただくとともに、障害のある方の雇用の推進に全力で取り組むよう、指導を徹底」するようにとの発言がありました。障害者雇用制度を所管する厚生労働省として、二度とこのような事態が生じることのないよう、私から事務方幹部に対してしっかりと注意を行うとともに、障害者雇用の推進に全力で取り組むよう、指導を徹底していきたいと思います。
記者:
障害者雇用の報告書の中では、実際の運用について「恣意的」という表現はありましたが、「故意」にやったとか、「意図的」だったとか、そういった表現はありませんでした。大臣は、この報告書を読まれた印象としてやはり意図的になされたもの、故意に違反したものとはお考えでしょうか。
大臣:
私も検証結果は読ませていただきました。それは検証委員会の松井委員長がお話をしていますが、不適切計上という言葉は使っている。これは、客観的に適切な計上ではなかったものを含む広い概念なんだと、事務的にあてはめを間違って計上したもの、解釈の誤解によるもの、法令やルールに違反し許されないものと認識しながら敢えて計上したものも含まれると、こうされています。そして、不適切という言葉の中にもジャンルがあり、意図的というのは法令やルールに反していることを認識しながら、敢えて計上したものをいうと整理されております。一方で、恣意的な解釈というのは、例えば、障害の定義というのは、法律で決まっているが緩めに解釈して、例えば、裸眼でもよいなどと解釈を広げる、また、障害の確認については手帳によると法令に書いてあるにもかかわらず、適用しなくてよいと考え、それが許されると考える、これが恣意的と委員長の方からはそういうコメントがあったことと思います。私もそういうことだなと思います。そして、調査した結果がそういう説明、考え方の上で意図的に当たるケースは認められなかったと委員長が言っておられますから、徹底的に調査をして委員長がこういう整理をしているので、私もこれはそうだなと思います。
記者:
障害者雇用の関係ですが、現時点で法改正を含めて法制度の仕組みを変えていくというお考えがあるかお伺いたいのですけれども。現行の法制度の仕組みですと法定雇用率という目標数値があって、そこの数値に合わせていわゆる数合わせというような形で進められてますが、果たしてそれが正しいかどうかというところも併せてお伺いさせていただきます。
大臣:
今の質問ですけれども、民間企業における障害者雇用の状況は、平成29年6月1日現在で、実雇用率が1.97%であり、6年連続で過去最高を更新しています。また、法定雇用率達成企業の割合は、平成10年以来、19年ぶりに50%台となっています。障害者雇用の促進に向けては、ハローワークの職員やジョブコーチが企業に出向いて、障害者の能力や障害特性を踏まえた、配置や担当業務の選定、働きやすい執務環境の構築、健康面にも配慮した雇用管理等について助言を行っています。さらに、今年度からは、障害者を全く雇用していない「障害者雇用ゼロ企業」等に対して、アウトリーチ型の相談支援を重点的に実施しております。こうした取組を推進することで、障害のある方が希望や能力を活かして活躍できるような社会にしていきたいと思います。これが基本で、一方で、障害者雇用を促進するための方策について、平成29年9月から「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」において検討を行い、本年7月に研究会報告書をとりまとめました。こういう対応をしてきております。そして今のご質問も含めてお答えしますが、とにかく基本方針でまとめられた取組については政府一体となってできる限り速やかに進めていきたいと思います。また基本方針においては厚生労働大臣による国の行政機関等における障害者の任命状況に関するチェック機能の効果について引き続き法的整備を視野に入れた検討を行うこととされております。一方で今申し上げましたように障害者雇用を促進するための方策について今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会において検討を行い、本年7月に報告書を取りまとめたところであります。今後の基本方針及び研究会報告を踏まえながら必要な法的整備については今後労働政策審議会障害者雇用分科会において検討していきたいと思います。     
記者:
話が変わるのですけれども、昨日厚労省内であった会見で会計検査院と総務省からの指摘で厚労省と所管法人の業務委託管理についての問題が複数指摘されましたと報道がありました。中でも契約に違反した再委託というのが厚労省側が把握できていないままに行われているというケースが複数明らかになりました。その問題についての大臣の受け止めとその再発防止策についてどういうところを気を付けなければいけないとお考えでしょうか。
大臣:
今お話のように厚生労働省と業者との契約において、契約に反する再委託があったということを指摘されましたが大変遺憾だと私も思っております。引き続き事実関係の確認を進めて、関係職員の処分等厳正に対処するとともに、再発防止を徹底するため、職員に対する会計法令の実務研修、個人情報が含まれるデータ入力業務について、総合評価落札方式の原則化、個人情報を取り扱う業務について、立入調査の実施等を実行していきたいと思います。
 

(了)