根本大臣会見概要

(H30.10.10(水)10:15 ~ 10:30 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私から、まず一点報告をいたします。WHO西太平洋地域委員会の結果についてです。10月7日から10日までの日程で、第69回WHO(世界保健機関)西太平洋地域委員会年次総会に参加するため、フィリピンに出張しました。このたび、WHO西太平洋地域の次期地域事務局長選挙が4人の候補者で争われた結果、日本政府が擁立した葛西健候補が、加盟国・地域の過半数の得票を得て当選しました。葛西新事務局長は、WHO西太平洋地域事務局での経験が長く、この地域の感染症や非感染性疾患の対策に精通しており、この地域を世界で最も健康な地域にしたいという公約を加盟国・地域に訴え、支持を得ることに至りました。日本が所属する西太平洋地域は、新型インフルエンザやSARSなど、国際的に拡大する感染症の発生源となることが多い地域であり、同地域の地域事務局長に、感染症・健康危機管理の専門家である葛西新地域事務局長が就任することは、我が国の健康危機管理対応上も、極めて重要だと思います。また、日本は、国際保健を外交の柱の一つとして位置づけており、特にUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)や結核を始めとした感染症対策等、国際保健分野でのイニシアティブを発揮してきたところです。このため、葛西新地域事務局長が地域事務局長に就任することは、これらの政策を国際的に推進させるために大変有益であります。今回の葛西新地域事務局長の当選を踏まえて、厚生労働省としても、葛西事務局長をサポートすることにより、西太平洋地域の保健・衛生の向上に貢献し、国際保健分野における日本のリーダーシップをさらに高めて行きたいと考えています。私からは、以上です。

質疑

記者:
経団連が昨日、大学生の就職活動に関する指針を廃止することを正式に決定しました。この決定に対する大臣のご所見をお聞かせください。また、15日からは就活日程に関する関係省庁連絡会議が始まります。厚労省も参加するこの連絡会議で、どのような点に留意した議論を期待されるのかもお聞かせください。
大臣:
大学生の就活ルールは、政府として、経団連、大学等の関係者との間で議論を深めていくことが重要だと思います。おっしゃるように内閣官房が連絡会議を設けることにしておりますから、内閣官房が主体となって、文科、厚労、経産各省が参加する局長レベルの関係省庁連絡会議という場がありますので、その連絡会議の場を活かして、就職活動、募集・採用活動ができる限り円滑になされるよう検討・対応していきたいと思います。
記者:
風しんについてですが、首都圏を中心に患者が増えていて、妊娠中の女性が罹ると子どもに障害が出る恐れがあるという不安が広がっていますが、補正予算での対応を含めて、対策についてお考えを聞かせてください。
大臣:
おっしゃる通り、本年7月以降、特に関東地方等での風しんの届出数が大幅に増加しています。大事なのは、厚生労働省としては、まずは先天性風しん症候群を防ぐことが重要と考えています。9月27日の厚生科学審議会感染症部会のご意見を踏まえ、当面は、発生届出数の多い東京、千葉、神奈川、埼玉、愛知の5都県の妊娠された女性と同居家族及び妊娠を希望する女性を対象として、重点的に対策を進めることにしております。具体的には、10月2日に5都県等に通知を発出し、対象者に対して、風しんの抗体検査を受けていただくよう周知しました。その結果、風しんに対する抗体価・免疫が低いことが分かった方が適切に予防接種を受けられるよう環境の整備に努めることにしています。今後の中長期の対策については、風しんの感染状況や抗体検査の実施状況、ワクチンの需給状況等を勘案しながら、引き続き検討していきたいと思います。そして、補正予算の話が今ありましたが、今後の対応については、繰り返しになりますが、9月27日に開催された厚生科学審議会感染症部会での議論を踏まえつつ、風しんの感染状況や抗体検査の実施状況、ワクチンの需給状況等、要は今後の対応については、こういうことを勘案しながら、検討していくこととしているので、現時点では、補正予算の要求についてお答えすることは差し控えたいと思います。
記者:
65歳以上への定年の延長の話で、今後の進め方についてのスケジュール感と、この話について、厚労大臣をイニシアティブとする方と未来投資会議、茂木大臣の方もございますが、どのようにすみ分けながらやっていくというお考えなのかを教えてください。
大臣:
全ての世代の人々が希望に応じて意欲・能力を活かして活躍できる社会を実現する、これが非常に重要なことだと思います。厚生労働省では、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けて環境整備を進めるという政府の方向性を踏まえ、65歳を超える継続雇用年齢の延長あるいは定年年齢の引上げに取り組む企業の支援などに取り組んでおります。未来投資会議において、議論を開始しましたが、今後、働く意欲のある高齢者が年齢にかかわりなく活躍する社会ができるよう、来年の夏に向けて、しっかりと議論を進めていきたいと思います。厚労省としてはこの継続雇用年齢の引き上げに向けて環境整備を進めて、こういう分野について我々の分野をしっかりと進めながら、横断的にかかわる部分もあるので、そこは未来投資会議において進めていくという整理になるだろうと思います。
記者:
昨日の財政投資委員会で予防医療に関して、医療費の節減効果は明らかではなく、むしろ増大させるという指摘もございました。これについて予防医療にしっかりと取り組んでいきたいと常々おっしゃっている大臣の受け止めを教えてください。
大臣:
予防・健康づくりについては、疾病の発生・進行を抑えることにより医療費の抑制につながるとする見解がある一方、私は抑制につながると思っておりますが、一方で医療費・介護費のかかるタイミングを先送りするだけであり一生涯にかかる医療費・介護費の抑制につながるわけではないとする見解もあることは承知しております。ただ一方で、予防・健康づくりの具体的な取組を見ると、これは具体的な先進事例がありますから、メタボ健診の結果に基づく保健指導を受けた方は、受けていない方に比べ、外来医療費が年平均で6,000円下回る、こういう例もある。あるいは、広島県呉市で行われている糖尿病の重症化予防の取組、2012年度のプログラム参加者で病気が重症化して人工透析に移行した方は、2016年度末時点において出ていない。こういう事例は各地域で予防・健康に取り組んでおりますから、これからも、各地でまだまだ取組、先進事例が出てきていますし、取組を進めるべきだと思っておりますから、我々としては誰もがより長く元気に活躍できる社会、これを作ろうと思っておりますので、個人や保険者の予防・健康づくりの取組を推進していきたいと思います。
 

(了)