加藤大臣会見概要

H30.1.5(金)11:33 ~ 11:45 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。冒頭申し上げることは特段ございません。

質疑

記者:
新年初の会見となりますが、今年の抱負をお願いいたします。
大臣:
昨年8月に厚生労働大臣を拝命して約5ヶ月が経過したところでありますけれども、この間、「働き方改革」の法案提出に向けた準備、幼児教育の無償化や待機児童の解消等を盛り込んだ「政策パッケージ」、さらには、少子高齢化などの諸課題に対応するための予算案のとりまとめなどに取り組ませていただきました。本年は、総理も仰っておられました「実行の一年」であります。厚生労働省の施策は、それぞれ国民生活に密着した大変重要な施策ばかりでありますけれども、いくつか申し上げると、まず、診療報酬・介護報酬・障害者サービス等の報酬改定を含む予算案の早期成立に向けて努力していきたいと思っております。二つ目としては、次の国会は「働き方改革国会」と総理が仰っておられましたけれども、安倍内閣の最重要課題の一つである「働き方改革」につきまして、今月召集される通常国会に法案を提出するとともに、「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金」をはじめとする改革の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。また、人づくり革命や生産性革命を着実に実行し、誰もがそれぞれの状況に応じながら生きがいを感じ、能力を発揮できる一億総活躍社会の実現に取り組んでいきたいと思います。そうした中で、特に少子高齢化という大きな危機を克服していくためにも、待機児童の解消をはじめとした諸課題に全力で取り組んでいきたいと思います。こうした取組を進める中で、一億総活躍社会の三本の矢の二つ目と三つ目である「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の実現、また、働く方々の「賃金上昇」にも繋げていきたいと考えています。これ以外にも、受動喫煙対策や生活困窮者対策など、様々な課題があります。国民の皆様の安全・安心の確保を図りながら、それぞれ皆様方がその思いを十二分に発揮していただける環境を作るべく、本年も全力で取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
記者:
消費者向け遺伝子検査ビジネスについてお伺いします。厚労省の研究班が、消費者向け遺伝子検査ビジネス業者のうち、経産省の指針を満たしている業者が6割に満たないという調査結果をまとめました。それについて、大臣のご御所見と今後の厚労省としての対応を教えてください。
大臣:
唾液等からゲノム情報を分析し、統計データとの比較から病気の罹りやすさ等を判定する遺伝子検査ビジネスについて実態調査を行ったところでありまして、この研究では、遺伝子関連検査を行っていると回答した73社について実態を分析し、業務全般に関して41社・56パーセントが経産省の指針を遵守していると回答しましたが、20社・27パーセントが自社指針のみ、7社・10パーセントがどの指針にも従っていないと回答したところです。この結果を見ますと、検査の質に関する基準が不明瞭、遺伝カウンセリングの体制整備が不十分であるといった実態も見えてきたところであります。今回の調査では、検査の質、科学的根拠、遺伝子カウンセリングへのアクセスの確保の重要性が示されているところでありますので、こうした遺伝子検査ビジネスに係る検査の質の確保策などについては、これから必要な施策を検討していきたいと思っております。
記者:
研究班は、法規制も含めた対応を求めていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
大臣:
今の段階で、法規制というところまで踏み込んでいるわけではありませんけれども、いずれにしても、どういったことが必要なのかも含めて、しっかりと議論を深めていきたいと思います。
記者:
有料老人ホームに関する本紙の調査で、自治体が施設から報告を受けた死亡事故のうち1割しか国に報告が上がっていないことがわかりました。介護現場の事故は、社会保障審議会の分科会でも実態把握が課題として指摘されていますが、大臣のご所見と今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
貴紙の報道は承知しております。有料老人ホームの事故報告については、平成24年に茨城県において、有料老人ホームに入居されていた方が亡くなってから相当期間が経過してから発見されたという事案もあって、一連の対応が取られたところであります。具体的には、有料老人ホーム設置運営標準指導指針において、入居者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、有料老人ホームの設置者は指導・監督権限を有する都道府県、指定都市又は中核市に対して速やかに連絡を行うこととしています。また、連絡を受けた自治体に対しては、こうした連絡があった事例のうち、入居者の生命・財産等が脅かされた場合に関しては、速やかに厚生労働省に情報提供するよう要請しております。この入居者の生命・財産等が脅かされた場合の事例としては、例えば、入居者の死亡事故等が挙げられているところであります。厚生労働省としては、こうした入居者の生命・財産等が脅かされた事例について、都道府県等からの情報提供が徹底されるよう、引き続き様々な機会を通じて要請していきたいと思っております。また、昨年12月18日に取りまとめられた社会保障審議会介護給付費分科会の平成30年度介護報酬改定に関する審議報告において、介護保険施設におけるリスクマネジメントについてどのような対応を図ることが適当なのかを検討するべきだとされたところであります。こうした指摘も含めて、介護保険施設、また有料老人ホームを含む老人福祉施設における事故の実態などの把握を行うとともに、事故を未然に防ぐために必要な対策を検討していきたいと考えております。
記者:
働き方改革の関連法案についてお伺いします。働き方改革関連法案の施行日を現行の2019年4月から、1年ほど延期する検討に入ったという報道がございましたけれども、この事実関係はいかがでしょうか。
大臣:
昨年9月に労働政策審議会の答申を得た法律案要綱においては、労働基準法の改正などの主な施行期日について、違うバリエーションがありますが、これは平成31年4月1日とされているところであります。現在、労働政策審議会の答申を踏まえつつ、この法案を次の通常国会に提出すべく準備を進めているところでありますので、現時点で法案の具体的な中身について申し上げる段階ではないと思っております。ただ、長時間労働を是正して働く方の健康を守り、ワーク・ライフ・バランスを実現していくためには、働き方改革実行計画を踏まえた時間外労働の上限規制などの改正法案を早期に成立をさせていくことは不可欠だと認識しております。
記者:
HPVワクチンの積極的勧奨をいつするのかということは今後の課題の一つだと思いますけれども、昨年末に厚生労働省でも呼び名についてリーフレットを配布するなどの動きがある一方、科学誌のネイチャーなどが主催するジョン・マドックス賞に日本のジャーナリストが受賞するなどの動きが多少ありましたけれども、今後の積極的勧奨の再開に向けた厚生労働省の考え方について大臣のお考えがあればお願いします。
大臣:
HPVワクチンについて、これまでも副反応に対する対応をしっかりして欲しいという声もありますし、他方でしっかりとしたものを推進すべきという声もあります。そういったそれぞれのことを考えながら、厚生労働省としては現在、有識者等からの議論を含めて検討している状況でありまして、今の段階でそこに舵を切ったところに至っているわけではないと承知しております。いずれにしても、子宮頸がん等に対する防止をどう図っていくのか、他方でこうした副反応に今も苦しんでおられる方もいらっしゃるわけでありますので、両方の話をしっかり受け止めながらさらに議論を進めていかなければいけないと思っております。
記者:
重ねてお伺いしますけれども、年内に一定の結論を出すというメドなどのお考えはございますでしょうか。
大臣:
具体的に年限は限って議論しているわけではないと承知しておりますけれども、ただそれぞれに対してしっかりと対応していくことは必要であります。さらに議論、あるいは関係者との意見交換等をしっかり進めていき、また国民の皆様に対する御理解をしっかりとしていただくべく、努力をしていきたいと思っております。

(了)