加藤大臣会見概要

H29.12.26(火)11:02 ~ 11:18 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議でございますが、平成29年11月の有効求人倍率は前月より0.01ポイント上昇し1.56倍となり、43年10か月ぶりの高水準となりました。また、正社員の有効求人倍率は1.05倍と、前月より0.02ポイント上昇いたしました。現在の雇用情勢は、着実に改善が進んでいると判断しております。私からは以上です。

質疑

記者:
里親委託率に数値目標を掲げた社会的養育ビジョンの関係で質問です。数値目標の設定に対して、批判的な声が最近の専門委員会の場でも上がっています。厚生労働省としての考えを改めてお聞かせください。
大臣:
今年の8月に取りまとめていただきました「新しい社会的養育ビジョン」は、平成28年の児童福祉法改正を受けて、家庭養育優先の理念等を具体化するため、有識者による検討会議で出されたものであります。これからの社会的養育の在り方を示すものとして受け止めているところであります。このビジョンの中では、里親委託率等の全国的な目標値や達成期限が示されておりますけれども、子どもの権利保障のためにスピード感を持って進める必要がある一方で、里親と子どもとの関係がうまくいかず、結果的に里親関係が解消されてしまう、いわゆる里親不調といったことが生じるなど、子どもが不利益を被ることがないように、丁寧にその実現を図っていかなければいけないと思っております。里親等委託率を見ますと、低いところでは8パーセント程度から、50パーセントを上回っているところもあり、かなりばらつきがございます。そうした実態等も踏まえながら、都道府県や里親、乳児院など関係者の取組を促しながら、着実に進めていきたいと思っております。現在、関係者の参画を得た社会保障審議会の専門委員会において、平成30年度中に都道府県の計画見直しが行われるよう、議論を進めていただいておりまして、12月22日に開催された委員会では、事務局から都道府県計画の見直し要領の骨子案を示し、様々な意見をいただいたところです。その意見の中には、今お話のあったように「慎重に」というご意見がある一方で、「積極的にその実現を図るべき」というご意見もあったと承知しております。いずれにしても、今後、これらの意見を踏まえて、見直しの方向性について、引き続き調整を進めていきたいと思っております。
記者:
昨日、大阪府箕面市で4歳の男の子を殺害したとして母親が逮捕されるという事件がありました。クリスマスの日に子どもが命を落としたと見られていますが、児童相談所の対応が必ずしも十分ではなかったという指摘もあります。今回の事件の受け止めと、今後の検証の必要性等について、お考えをお聞かせください。
大臣:
このような形で子どもがお亡くなりになられたことは本当に残念であります。心からご冥福をお祈りしたいと思います。現在、男児が死亡に至った具体的な状況等については、警察が調査中であると承知しております。また、本件は大阪において児童相談所が様々な形で関わり、一時保護も行われていたと承知しておりますけれども、そうした対応について、まず大阪府において検証が行われるものと考えております。厚生労働省としても、そうした検証結果等も踏まえて、必要な対応を行いたいと思います。
記者:
生活扶助基準を引き下げることが決まりましたが、これと連動して、他制度、例えば就学援助や住民税非課税限度額等の基準への影響が懸念されております。5年前の見直しでは、影響が及ばないように対応するという方針を内閣が決めていましたが、今回はそうした措置は取られるのでしょうか。
大臣:
まず、引き下げだけではなく引き上げもありますので、「見直し」と言わせていただきたいと思います。この見直しの影響を受け得る他の制度について、例えば就学援助などが挙げられると思いますけれども、平成25年の見直しの際は、制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方として対応したところであります。今回の見直しに当たっても、影響が及ばないよう対応する方向で、関係省庁と十分調整を図っていきたいと考えております。
記者:
拉致問題についてお聞きしたいんですけれども、今年は家族会の結成から20年、横田めぐみさんの拉致から40年という節目の年でありました。家族会としても今年中の解決を政府に求めていたと思いますが、政府として1年間の総括をお願いいたします。
大臣:
今年ですね、家族会、それから活動されている皆様方からも、活動方針の中に「本年中」と言う言葉が初めて入ったということでありまして、それだけ一刻の猶予もならないという強い思いがそこに込められているというふうに私どもも受け止めたわけであります。また今年、先般申し上げましたけれども、ジェンキンスさん、さらには増元さんのお母さんもお亡くなりになったということでありまして、本当に一刻の猶予もならない、我々もその思いをさらに強く共有しながら、取り組みをさせていただきたいと思っております。他方で、この12月23日には、北朝鮮への制裁措置を前例のないレベルにまで一層高める制裁決議が全会一致で採択されたところであります。こうした一連の制裁決議等がしっかりと実施されていく、そうした国際圧力が高められていく中で、また米国等関係国とも連携を図り、その圧力を高めることにより、拉致問題について北朝鮮から1日も早い帰国という答えを引き出していけるように、我々もあらゆる施策を展開していきたいというふうに思っております。しかしながら、私も2年を超える期間、大臣をさせていただいているわけですけれども、結果において、拉致被害者の方の帰国の実現、またそれに向けての具体的な道筋を見出していないということは本当に痛恨の極みであり、拉致被害者御家族、あるいは活動されている方々にも本当に申し訳ないという思いでおります。残念ながら今年もあと5日となってきたわけでありますけれども、1日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国に向けてさらに努力をしていきたい、こう思っております。
記者:
先日公表された人口動態統計についてお伺いします。2年連続で出生数が100万人を割り、自然減も拡大していますが、現状についての大臣のご認識と、厚生労働省としての今後の対策をお伺いします。
大臣:
平成29年の人口動態統計の年間推計によると、出生数は約94万1千人ということで、昨年は100万人を切ったわけでありますけれども、さらにその水準を割り込み、過去最少ということであります。死亡数は約134万4千人で、これは戦後最大の数字です。出生数から死亡数を引いた自然減も、約40万3千人と過去最大の減少幅となっております。こうした少子化の進行は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的な状況にあると思っておりますし、最優先に取り組むべき課題の一つとしてしっかりとした対策を講じていかなければならないと思っております。こうした少子化の背景、言い方を変えれば、結婚し子育てをしたいという希望を阻害する要因としては、若者や非正規労働者の経済的な不安定、また、子育ての孤立感・不安感など、様々な要因が絡み合っております。そうした要因を一つひとつ取り除いて、特に若い方々の希望がかなうような社会を実現していく必要があると考えております。そのため、「子育て安心プラン」の前倒しによる保育の受け皿整備や保育人材の処遇改善、「新しい経済政策パッケージ」に基づく幼児教育・保育の無償化による経済的な負担の軽減、育児休業制度の活用による子育てと仕事の両立、妊娠から子育ての各段階の不安や負担を解消するための支援の充実等の「総合的な子育て支援」をしっかり進めていくということと、経済をしっかりすることによって若者の雇用を確保していく、その中で将来に対する良い展望を持ち得るように、同一労働同一賃金の導入、あるいは仕事と子育ての両立の実現といった「働き方改革」を着実に進めて、一億総活躍プランにも盛り込ませていただきました希望出生率1.8を実現できる社会づくりに向けて、しっかり取り組ませていただきたいと思います。
記者:
ビキニの水爆実験の関係でお伺いします。高知県などの元船員の方々が協会けんぽに事実上の労災にあたる船員保険の適用を申請しており、それに対して協会けんぽの方で適用しないという結論を出したと承知しております。それに対して、元船員側からは検証が不十分なのではないかという批判も出ております。これについての大臣の御意見をお願いします。
大臣:
昭和29年の米国による水爆実験時に、ビキニ環礁周辺で操業していた漁船員の方が、被爆による健康被害を理由に平成28年から29年にかけて協会けんぽへ旧船員保険法に基づく労災請求を行ったものと承知しております。本件については保険者である協会けんぽが請求傷病と放射線との因果関係を調査するため、有識者会議を設置して、その有識者会議における議論の結果を踏まえて、判断がなされるものと承知しております。
記者:
本日で第二次安倍政権発足してから5年でございますが、大臣は副長官、一億総活躍大臣、厚生労働大臣とずっと閣内におられますけれども、5年を迎えての感想と、今後の安倍政権の課題や取り組みたいことを教えて下さい。
大臣:
ちょうど5年前の12月26日に第二次安倍政権がスタートしまして、私自身も官房副長官を2年10ヶ月させていただきまして、それから一億総活躍担当大臣、働き方改革担当大臣を経て、今厚生労働大臣をやらせていただいております。安倍政権のこの5年の中で、一つは常に危機管理へのしっかりとした対応をして、それから明確に改革する方針を立ててそれを一つひとつ実現をしてきたと思っております。そういった中で、経済も政権を引き継いだ時から比べれば、雇用情勢を含めてかなりの改善が見られているわけであります。ただ、賃金も含めて更なる引上げ等に取り組まなければなりませんし、こうした課題がございます。そうしたものにしっかりと取り組むことによって、国民の皆様からいただいた期待にしっかりと引き続き応えてまいりたいと思いますし、特に厚生労働大臣としては、国民の生活に様々な形で関わりある医療、介護、年金、生活保護や生活困窮者への対応、障害者の対応、あるいは子育ての対応など幅広い施策について、これからより高齢化が進んでいく中、そして少子化の現状を踏まえて、具体的な政策を平成30年度予算の中にも盛り込ませていただきました。次の通常国会にも法案の提出を考えておりますけれども、その成立をしっかり図りながら具体的にその実現に取り組ませていただきたいと考えております。
記者:
ビキニの労災保険の適用の関係でお伺いしますが、検証が十分であったかどうかという点について大臣はどうお考えかということと、船員の方の声としてもう一度再審査の請求という声もありますが、もしそのような動きがあった場合はどのように対応されるか、教えて下さい。
大臣:
まず、この結果については直接ご本人に行くことが前提になっておりますので、現段階で行ったかどうか私も確認出来ていないので、どういう結果があったということを前提にお答えするのは控えてさせていただきたいと思います。いずれにしても、協会けんぽで手続きを踏んで、また外部の有識者との会議を行って結果を出されたと承知しております。また、これから更なる審査請求について制度があるわけでありますが、そこは審査されている方のご判断によるのだろうと思います。話が変わりますが、本日は今年最後の会見でありますが、就任してから大変お世話になり有り難うございました。それぞれ皆様良いお年を迎えて下さい。また、新年もよろしくお願いします。

(了)