加藤大臣会見概要

H29.12.12(火)10:57 ~ 11:09 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。閣議での発言は特にございません。UHCフォーラム2017が、明日、明後日にかけて、厚生労働省、財務省、外務省のほか、世界銀行、WHOなどの関係機関との共催により開催されます。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、いわゆるUHCは、全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられることであります。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つにも位置づけられております。日本は、自らの経験を踏まえ、国際会議等を通じ、UHCの推進に関する国際的な議論を主導してきたところでありますが、本会合を開催することによって、UHCの推進について、国際社会におけるモメンタムの強化、各国政府と援助機関との連携強化、進捗状況のモニタリングなどの成果を期待しているところでございます。本会合においては、グテーレス国連事務総長、テドロスWHO事務局長、キム世銀総裁などの国際機関の代表が出席するほか、日本政府からは安倍総理と麻生副総理がご出席されます。私も、13日の開会セッションと14日の閉会セッションで、この会合の意義や成果についてスピーチをさせていただく予定であります。このような日本の国際貢献について、是非この機会に、国民の皆様に広く周知いただければと思います。

質疑

記者:
生活保護について伺います。先日、厚生労働省は、生活保護費のうち生活扶助費の見直し案を社会保障審議会の部会で示しました。最大で1割を超える引き下げを行う内容に反対の声も多いですが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
8日の社会保障審議会生活保護基準部会において、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費水準との比較に関するデータ分析の結果、また、有子世帯の扶助・加算のデータ分析の結果が示されて、議論が行われました。このデータ分析の結果のうち、世帯類型によってプラスの影響、マイナスの影響もそれぞれあると承知しておりますけれども、審議会委員の方からも様々な意見が出ております。いずれにしても、近々、基準部会において検証結果に関する報告書を取りまとめていただく予定でありまして、それを踏まえて、平成30年度予算編成過程において、生活保護基準が最低限度の生活の保障水準として適切な水準となるよう具体的な見直し案を策定するということであります。いずれにしても、個々の世帯類型毎の影響については丁寧に見ていきたいと思っております。
記者:
ご承知のことと思いますが、昨日曽我ひとみさんの夫のジェンキンスさんがお亡くなりになり、今朝は増元るみ子さんの母の信子さんがお亡くなりになりました。関係者が高齢化していくから、一刻の猶予もないという形でこれまで言及されていることと承知していますが、こういった訃報に接することに関してどう受け止めるか、どう考えるかという事に関してお聞かせください。
大臣:
ジェンキンスさんと増元るみ子さんのお母様の信子さんがご逝去されたことに対しては、心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、ご冥福をお祈りしたいと思います。また、御家族の皆様方に対してもお悔やみを申し上げたいと思います。信子さんのご存命のうちにご令嬢の増元るみ子さんの帰国が、またジェンキンスさんの義理のお母さんであった曽我ミヨシさんの帰国を果たすことができなかったという事は本当に痛恨の極みです。その上で拉致問題については、一刻も猶予がないという切実な思いというものがより一層強まっていかれると思いますけど、その思いを我々しっかり共有しながら、現状の中で国際社会における圧力の強化、こういったことをテコにしながら我々としてもあらゆる施策を駆使して、北朝鮮から拉致被害者のすべての方の帰国実現に向けて具体的な動きを引き出すべく全力で取り組んでいきたいと思っております。最優先であり、また最重要課題、そして政府が主体的に取り組んでいかなければならないという事を、改めて肝に銘じて取り組ませて頂きたいと思います。
記者:
国連安保理で北朝鮮の人権状況に関する会合が開かれまして、各国から人権状況を非難する声が上がりまして、とりわけ日本人拉致事件についての言及があったと伝えられていますが、この点についてどのように受け取られておりますか。
大臣:
日本時間の12日の未明、我が国が議長を務める安保理で、人権状況を含む北朝鮮の状況に関する会合が、4年連続で開催されたところであります。この会合では拉致問題をはじめとする、北朝鮮の人権侵害について日本、韓国を含めて9カ国から拉致についての言及があったというふうに承知をしております。北朝鮮に対して、状況改善を求める明確なメッセージを示すことができたという会合だったと思いますし、今回、賛成票を入れた国が10票ということで、去年が9票でありました。この中で、エジプト、セネガルがそれぞれ態度が反対から棄権、棄権から賛成という変更もあったという事で、そういった意味でも国際社会における理解、またこの問題に関する強い姿勢というものがより一層強化されていくというふうに認識しておりますが、我々としても国際社会と連携を強化しながら、そういったことを後ろ盾にしながら、また国内における国民の皆さんの強い思いを後ろ盾に、一日も早いすべての拉致被害者の帰国に向けて政府が主体となって全力で取り組みたいと思っています。
記者:
臓器移植についてお伺いします。海外渡航の臓器移植についてですが、国内で受けた場合と同様の範囲の費用について、健康保険から海外療養費として支給するということを厚生労働省で検討しているものと承知しております。それについては患者から歓迎する声がある一方で、臓器移植は自国内でまかなうという国際的な潮流とそぐわないのではないかという意見もありますが、それについて大臣の御所見をお伺いしたいのと、今後保険者への通知などをどのようなスケジュール感で手続きを進めて、どのくらいの時期に実施に移したいとお考えでしょうか。この件につきましては、当事者は切実な問題だと思いますので、その点お伺いできればと思います。
大臣:
臓器移植については、国内の体制の下で実施するということが基本でありまして、これが何ら変わるものではありませんし、そのために国民の皆様への普及や啓発、あるいは医療機関の体制整備に努めてきております。今回、医療保険の加入者が海外で治療を受けた場合の海外療養費が、保険者が「やむを得ないと認める場合」に支給できるという制度があります。その制度において、「やむを得ない場合」の基準を臓器移植に関して明確化してはどうかということで検討しているところであります。この基準の中では、国内での臓器移植の待機状況を考慮すると海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高い患者に限定するとともに、また臓器売買に繋がらないように海外で公的な待機者リストに掲載することを条件とし、治療状況が共有可能な海外の受入施設において臓器移植を受けた場合ということであります。また、支給する医療費も国内で同様の治療を受けた場合に支給される医療費に限って支給するといった線で考えているところでございます。具体的なタイミングは検討中でありますから、検討が済み次第、速やかに変更したことを通知をしていきたいと思います。早ければ今月内にも通知を発出できればと思って作業をしているところでございます。
記者:
B型肝炎の訴訟についてお伺いします。昨日、福岡地裁で除斥期間の起算点を再発時に置くというような判決が出まして、国の主張が退けられた形で賠償命令が出ているような内容になっておりますけれども、これについての大臣の受け止めをお伺いしたいのと、控訴するかどうかも含めて今後の判断についてお伺いします。
大臣:
まずは、昨日の福岡地裁の判決について、除斥に関しての議論ということでありまして、それについて判決が出されたわけであります。国の主張が認められなかったものでありますけれども、現在その内容については精査を進めてさせていただき、今後の対応については、関係省庁と協議した上で内容を見ていきたいと考えております。
記者:
同様の症状の方、同様の訴えをしている方が、他にも80人くらいいるというデータがあります。B型肝炎の集団予防接種の被害者のほとんどの方が未提訴で、救済の手続きすら始まっていない方が多いですが、そういう中で新たな司法の判断が出たということに関して重く受け止めていらっしゃるのでしょうか。
大臣:
いずれにしても、先ほど申し上げたように、判決の内容あるいは医学界における様々なご見解もあると思います。そういったものも踏まえながら、対応を考えさせていただきたいと思います。

(了)