加藤大臣会見概要

H29.11.14(火)10:47 ~ 11:05 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日、閣議に先立ちまして、「新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」が開催されたところであります。新国立競技場建設工事の発注者であるJSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター)から、去る3月に現場の下請事業者の労働者が過労自殺された事案を受けて、元請事業者が新国立の現場で働く全ての労働者の健康管理対策に新たに取り組んでいく旨の報告がございました。厚生労働省としては、JSCを通じて、元請事業者に対して現場の全ての労働者の健康管理の実施を働きかけてきたところであり、この取組が的確に実施されることが重要であります。厚生労働省としても対策の実施状況を引き続きフォローするとともに、現場の事業者向けに健康管理対策の電話相談窓口を新設するなど、事業者の取組を支援していきたいと考えております。私からは以上でございます。

質疑

記者:
先週末、日中韓の保健大臣会合がありましたが、その成果と今後の協力についてどのように進めていくかお話下さい。
大臣:
11月12日に、中国山東省済南市で第10回の日中韓三国保健大臣会合がございまして、また前日には、李中国国家衛生・計画生育委員会主任、朴韓国保健福祉部長官、申WHO西太平洋事務局長とバイ会談を行わせていただきました。今回の会合では、感染症対策、ICTとビックデータの活用、伝統医療などの議題に関して意見交換を行い、アジア地域を主導する三カ国の協力を更に強化していくということで、共同宣言も採択したところであります。特に、重大な感染症については、それぞれの国民の健康を守ると同時に、経済的な影響も大変大きいものがございます。国境を越えて対応できる体制を構築していくことが大変重要でもあります。また、この三国は少子高齢化など共通の課題にも直面をしているところであります。そうした中で、三国の協力強化を合意できたことには大変大きな意義があったと思っております。特に、人の生命・身体に関わる保健分野は、政治的な議論を超えて、実務的な協力関係を構築していくことが重要でありますし、今日までもそのような形で議論が続けられてきたところであります。ちょうど会合の前日に、日中首脳会談において、日中韓サミットの早期開催で一致したということもございましたので、私からは三カ国の保健大臣の着実な議論を積み重ねていくことが、そうしたサミットの開催に向けた大きな礎になるということで、しっかり議論いくということを申し上げたところであります。なお、来年の会合は日本で開催することとしておりますので、更に今回の会合の議論を踏まえて、また成果などを次の会合でも更に議論を深めていき、また協力関係を強化していきたいと思っております。
記者:
新国立競技場の話ですが、塩崎前大臣が7月末に中の800社に対して実態調査をやっていくということをおっしゃっておりましたけれども、それの現時点での調査の実施状況を分かればお願いします。
大臣:
その話については、直接承知をしていないところでありますけれども、いずれにしても今回のポイントは、元請事業者が御自身の会社で働く方のみならず、全てのそこで働く方の健康管理体制に取り組んでいくというところが大きなポイントになっていたと思っております。まさに、その調査結果そのものがどのような扱いになっているかは承知しておりませんけれども、そうしたことを踏まえて、今回のこのような取り組みがJSCにおいて実施されたと承知しております。詳細があれば今後具体的なことについての御説明をさせていただきたいと思っております。
記者:
拉致問題の関係で1点お伺いします。明日でめぐみさんの拉致から丸40年と言うことですが、その受け止めと、これまで結局何もできなかったということに関する政府としての反省と言うものがあればお聞かせ下さい。
大臣:
明日11月15日に横田めぐみさんが拉致をされて40年目を迎えるということであります。これまで私も申し上げてきましたけれども、5人の方が日本に帰国をされて以来、そして私も今、拉致担当大臣として3年目になるわけですけれども、残念ながらこの間、1人の拉致被害者の方の帰国の実現、またそれに向けての具体的な道筋というものを描き出すことが出来なかった、そういった状況について、遺憾であるということと同時に、それぞれの拉致の被害者の方々、また御家族の方々、そしてさらにそうした方を支援いただいている方々にも申し訳なく思っているところであります。そうした状況の中で、また核・ミサイルの問題の後ろにこの拉致問題が隠れていってしまうのではないかと言う御懸念、それから拉致の被害者また御家族の方々が高齢化をしていってもう一刻の猶予もならない、そういった思いをしっかりと共有させてもらいながら、まずは北朝鮮に対して、圧力を高め、そしてそういう中で北朝鮮からこの問題に対する具体的な動きを引き出していく、それに向けてすべての施策、手段を駆使していきたいというふうに思っております。そういう中で、もちろん日本政府が主体となって取り組んでいく課題ではありますけれども、連携する同盟国等々との連携というものも大事であります。今回トランプ大統領が国連で、具体的な名前には触れておられませんが、横田めぐみさんを前提としたお話を初めてアメリカの大統領としてされ、また日本に訪日した際には家族会の皆さんとお会いになり、さらには先般の日中首脳会談においても総理からそうした拉致問題の話をし、それに向け二国間において中国の支持と協力を期待するという話をさせていただいているところでございます。そうした努力、そしてさらには国内においても今、写真展が開かれております。国民の皆さんのこの問題に対する怒りと、そして一日も早く全ての拉致被害者を帰国させるという強い決意が国民の皆さんからもさらに湧き上がっていく、そういった取り組みをしていただいたり、我々もそうした取り組みをさせていただき、あらゆることをして、いずれにしても一刻の猶予もならないという思いの中で、一日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
記者:
関連して、横田めぐみさんの父である滋さんが今日85歳の誕生日を迎えられるように、今お話もありましたとおりご家族の高齢化が進んでいます。その中で家族会は年内の解決を政府に求めているわけですが、今年も残り1か月半になっている状況の中で日本政府の取り組みの現状と見解をお聞かせ下さい。
大臣:
今年の運動方針の中で初めて今年中にという文言が盛り込まれたところに、先ほど申し上げたとおり、家族会を始め支援をされている方々の一刻の猶予もならないという思いが現れていると思っております。我々もしっかりそれを共有しながら、先ほど申し上げたあらゆる手段、圧力をしっかりかけていくことも含めて、その中から拉致被害者の方々の帰国、また道筋をしっかりと引き出していく、そのために全力で取り組んでいきたいと思います。
記者:
働き方改革についてお伺いします。政府は、副業や兼業を推進する方向としておりますが、大臣として副業、兼業に対してどのようにお考えかお願いします。
大臣:
今年の3月に取りまとめました「働き方改革実行計画」の中で、兼業、副業についても述べているところであります。これまで副業、兼業は多くの企業でむしろ、就業規則等で禁止をされているケースが多いところでありますけれども、逆にこうした現下の様々な取り巻く環境が変わっていく中で、そこで働く方々が更にその能力を高めていくという意味においても、副業、兼業については非常にメリットもあるという認識をしております。実行計画でも盛り込んでおりますように、労働者の健康確保に留意はしつつ、副業、兼業について認める方向で取り組んでいき、副業、兼業の普及や促進を図っていくということを取りまとめたところでありまして、取りまとめの担当に当たったのが私自身でありますし、その方向で今取組をさせていただいております。本年10月から「柔軟な働き方に関する検討会」を開催して、今年度中にモデル就業規則の改定、あるいは副業、兼業のガイドラインがありませんので、長時間労働にならないということも含めて労働法制等の現行制度を前提としたうえで副業、兼業のガイドラインの策定等を図っていきたい思っております。更には普及、促進するに当たって、課題もいろいろあります。そういったことにもしっかり早く整備していきたいと思っております。
記者:
病院の口コミサイトについて伺います。現在、医療機関の広告規制の見直しについて検討会で議論されていると思いますが、広告規制の対象の範囲に関して、医療情報サイトの口コミについても規制の対象となるのでしょうか。
大臣:
まず、医療関係の情報提供に関しては、特に美容医療サービスを中心に消費者トラブルが発生していること等を踏まえて、今年の通常国会で医療に関する広告規制の見直しを含む医療法等改正法が成立したところです。今回の法改正により、広告規制の対象範囲をこれまで単なる「広告」となっていたものを「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」へと見直し、その結果インターネットによる情報提供も規制の対象となっております。一方で、医療を受ける者による適切な医療の選択が阻害されるおそれが少ないような場合には、広告できる事項について限定を行わない方向で現在検討を行っております。今お話があった口コミ等ですが、具体的な検討は、現在、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」で議論を進めておりますが、この場においても、例えば、医療機関が広告料の費用を負担する等の便宜を図って働きかけをした上で、口コミやランキング等の医療情報サイトに掲載を依頼することによって患者を誘引する場合には、医療法上の広告に該当するというお話をさせていただいたところです。他方で、それとは無関係に投稿される、一般の方が発信することについては、医療を受ける者を誘引するための手段ではありませんから、規制の対象にはならないという整理をしております。いずれにしても、より具体的な中身については、検討会において議論しているところです。
記者:
便宜を図った場合に規制の対象になるということですが、規制の対象が広くなると、利用者の情報収集を妨げる可能性もあると思いますが、その点政府としてどうお考えですか。
大臣:
ご指摘のように、一方では患者側の皆さんが自ら医療機関や治療方法等を選択できる状況を作るという意味においては、そういった情報が提供されることが必要であると思います。他方で、医療の場合は、人の生命・身体に関わるサービスでもありますので、そうした不適当なサービスを受けた場合の被害は、通常の分野以上に甚大な被害が生じるおそれがあります。このため、虚偽・誇大広告等の不適切な広告がなされないような規制は一方で必要です。そのバランスをどう図っていくのかということです。自ら情報を得るための有益なツールであるというのは先ほど申し上げましたが、問い合わせ先や自由診療に関する治療内容、費用、リスク、副作用等を記載している場合には、他の広告とは異なり、広告できる事項の限定は行わないことを考えております。きちんと提供されたものについてはそれはそれとして尊重しながら、虚偽等が疑われるものについては規制をしていく。そういった中で、きちんとした医療サービスが提供される環境を作っていきたいと思います。
記者:
献血から製造される血液製剤について、厚生労働省はメーカーが輸出・販売するのを解禁する方針を固めたとの報道がありましたが、事実関係はいかがでしょうか。
大臣:
昨年10月に「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言」がとりまとめられ、現在血液製剤については輸出貿易管理令の中で極めて限定的な場合以外認められないということになっておりますけれども、そうした運用の見直し等を行い、国際協力の一層の推進を図るなど、血液製剤の輸出に関する規制緩和について提言があり、それを踏まえて本年3月から、厚生労働省薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会において、国内献血を原料として製造されている製剤であって、そして国内需要を100%を満たしてなお余剰が生じている中間原料を活用して、海外でその製剤を必要としている患者向けに輸出を行うことについて審議いただいている状況です。したがって、現段階において、厚生労働省として血液製剤の輸出解禁について方針を決定したという事実はありません。まさに今検討していただいているところです。

(了)