加藤大臣会見概要

H29.11.10(金)10:55 ~ 11:14 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。本日の閣議で、日本年金機構におけるマイナンバーの情報連携を可能とする政令が閣議決定されました。これまで日本年金機構では、平成27年5月の情報流出事案を受け、情報セキリュティ対策の強化に取り組んできたところでありますが、厚生労働省としてその内容を確認し、必要な情報セキュリティ対策が講じられていることが確認できたことから、今回の政令制定に至ったものでございます。日本年金機構がマイナンバーの情報連携を行うことにより、各種手当の申請を地方自治体に行う場合の年金関係書類の添付や年金手続きを行う際の課税証明書等の添付が不要になるなどのメリットが生まれてくるところであります。今回の政令制定を受けまして、日本年金機構では引き続き情報セキリュティ対策を講じることはもとより、情報連携の実施に向けた地方公共団体とのテスト等の準備を進めることになります。厚生労働省としても関係機関とともに、その状況を重ねて確認し、その後に情報連携を実施することとしております。具体的な時期について確定的なことは申し上げられませんけれども、現時点では、来年1月から稼働テストを行い、3月以降順次実施をしていきたいということを目標に進めていきたいと思っております。私からは以上でございます。

質疑

記者:
政府で幼児教育無償化などの人づくり革命の政策づくりが進んでおりますけれども、保育無償化となりますと保育の需要が一段と進んで供給が更に追いつかないという事態が想定されますが、そのあたりの対応策をどう進めていくかお願いします。
大臣:
現在、幼児教育・保育の無償化を進めるに当たりましては、御指摘にあるように、待機児童の問題等も絡んでいますので、我々としても待機児童の解消に向けて全力で取り組んでいく必要があると考えております。子育て安心プランを今年の6月に策定いたしましたけれども、それを更に前倒しをして、平成32年度末までに約32万人分の保育の受け皿整備を進めていくということで取り組んでいきたいと思っております。そもそも32万というものは、当初は平成34年度末までということでありましたけれども、その時期を2年度前倒しをしていくということであります。
記者:
先日、過去最大規模の危険ドラッグ業者が麻薬取締部に摘発されました。最近は店舗の一斉摘発を受けて、インターネットの販売や海外送金ルートを持っているところもあるようであります。今回の事案についての大臣の受け止めと今後の危険ドラッグ業者の対策についてお伺いします。
大臣:
昨日、厚生労働省麻薬取締部が危険ドラッグの製造や密売に関わった6名を医薬品医療機器法違反で東京地方検察庁に送致をいたしました。この組織はインターネットなどを通じた日本最大級の危険ドラッグ製造や密売組織でありまして、工場からは重量として約2トン、総額30億円相当の危険ドラッグの原料及び製品などを押収したところであります。この事案は過去の押収量と比べても大変規模の大きい過去最大の摘発であります。全国の地方厚生局麻薬取締部が連携して検挙ができたと承知をしております。危険ドラッグについては、危険ドラッグを使用した方による自動車の事故等もあり、非常に社会的な問題にもなりまして、平成27年には販売店の全滅を図ったということでありますけれども、残念ながらインターネット販売等によって未だ密売が行われているという状況であります。引き続き、インターネット販売に対する監視を含めて、徹底的な捜査、取り締まりを行っていきたいと思っております。本件につきましても、背景やどのような流れで危険ドラッグを販売していたのかということを含めて更に捜査を進めていきたいと思っております。
記者:
最初の質問に関連してお伺いします。大臣としては幼児教育の無償化と待機児童の解消と両方大事なテーマではありますが、やはり待機児童の解消がまずもって優先されるという認識でおられるということでよろしいでしょうか。
大臣:
どちらが優先かということでありますが、それぞれ最終的には子育てを支援するということにおいては、目的を達成させるわけでありますけれども、一方で無償化を図ることによって子育ての負担そのものが減少するということもありますから、もちろん今回はそれぞれ2つテーマを掲げてそれを実施していき、ただ無償化を進めていけば、あるいは無償化されるということがアナウンスされていけば、更に保育という形で子どもさんを預けたい、あるいは預けながら働こうと思う方も当然今でも潜在的におられます。そのような方々が顕在化していくということは十分に想定されるわけでありますから、それらを踏まえて私どもとしては、待機児童解消を前倒ししてしっかり対応を図っていきたいと思っております。
記者:
今既にいる待機児童の解消が全てにおいて一番先頭にきているという認識は変わらないということでよろしいでしょうか。
大臣:
無償化があるなしに関わらず、今ある待機児童の方は今年、または数年で歳を一つずつ重ねていかれるわけでありますから、早急に対応しなければならないということは無償化とは関わらず我々はそれに進んでいかなければいけないということで、政権当初から待機児童解消ということで取り組んできました。残念ながら、5年間ではそうした結果が得られなかったわけで、次の子育て安心プランの中で、かつそれを前倒しをして実施をしていきたいと思っております。ただ、予算などそのような面では最大限対応させていただきますけれども、一つひとつの保育所の設置等においては市町村等における対応も求められているわけでありますから、よく連携して解消を図っていきたいと思っております。
記者:
幼児教育の無償化の関係ですが、今年末の取りまとめに向けて、与党等を含めて協議をすると思いますが、認可外の保育施設の利用についてまだはっきりしない部分もあると思いますが、党内でも利用者の中でも無償化に含めてもらいたいという声もあると思いますが、その検討状況についていかがでしょうか。
大臣:
幅広く幼児教育と保育の無償化については、対応していくということは申し上げているわけでありますけれども、具体的なやり方について総理がおっしゃっておられることは3歳から5歳については全てに対応するということと、2歳以下に関しては正確な言い方ではありませんが、所得の低い方を中心するというニュアンスでおっしゃっておられたと思います。その方針の中で、具体的な対応については与党とも御相談しながら具体的に詰めさせていただいているということであります。
記者:
認可外を含めて、利用者は無償化の対象となるという整理でよろしいでしょうか。
大臣:
幼児教育、保育について全ての子どもさんを対象にするということを総理がおっしゃっているわけでありますから、それを踏まえて具体的な設計をしていくということは与党ともよく相談してやっていきたいと思っております。ただ、一方で待機児童というものと無償化をどうするのかについて、無償化するかしないかを問わず待機児童解消には全力で、しかも早期の解消を図っていきたいということで、これまでも取り組んでおりますし、その姿勢には全く変わりはないところでありますけれども、一つひとつのケースで見てどこまで実行出来るか出来ないかというそうした御議論なのだろうと思っておりまして、そのあたりもよくそのような声も踏まえながら与党とともに詳細を詰めさせていただきたいと思っております。
記者:
外国人の生活保護についてお尋ねします。こちらから厚生労働省に取材したところ、生活保護を受ける外国人の世帯数等についての調査はしていますが、外国人に対する生活保護支給総額等の実態については調査を行っていないという回答がございました。外国人に対する生活保護支給総額に関しては、野田政権の時に自民党の片山さつき議員が参議院予算委員会で、生活保護は1,200億円弱外国人に支給されていると発言されております。厚生労働省は生活保護法自体は、日本国民のみを対象としているとしたうえで、日本人と同様に日本国内で活動できる方として永住者等の在留資格を有し、適法に日本に滞在する外国人の方においては、行政措置として生活保護法によって必要と認める保護を行っているという説明をされております。人道的観点で行っているにしても、生活保護法の対象外である外国人に支給している金額を調査して、国民に示すべきだと思いますが、外国人生活保護支給総額の実態調査を行う考えがあるのかお願いします。
大臣:
まず、生活保護制度でありますけれども、御指摘ありますように生活保護制度は日本国民を対象とするということで法律で明記をしているところであります。一方で、適法で日本に滞在して活動に制限を受けない永住等の在留資格を有する外国人については人道上の観点から行政措置として、一般国民に対する生活保護の決定・実施の取扱いに準じて保護を行っているところでありますし、先般、安倍総理からもこうした姿勢を堅持するということは国会でも答弁させていただいているところであります。実際、世帯主が外国籍である世帯数等については私どもも把握して数字もお示しをさせていただいたのだろうと思っておりますけれども、個々の外国人に対してというレベルにおいては、生活保護費の額を把握しているわけではございません。ただ、生活保護の決定・実施自体が世帯単位で実施をしておりますので、保護世帯の中に日本人と外国人で構成されている混合世帯というものがあり、あるいは外国籍の中にも日本人の方がいらっしゃるかもしれませんけれども、それについては把握することが困難な状況であると認識しております。
記者:
混合世帯も含めて、区別して算出するお考えはございますでしょうか。
大臣:
今の段階で世帯数という数字を把握することによって、だいだいのことは把握できるのではないかと思いますので、そこに更にいろいろな調査をしたり手続き的な物事をかけるということの必要性があるかどうかということなのだろうと思います。
記者:
今日、座間の事件に関して、関係閣僚会議があったと思いますが、会合の中で話し合われたことや、それを受けて厚生労働省としてどのような検討をしていくのか改めて教えて下さい。
大臣:
関係閣僚会議については、官邸の方で全体の発表があると思いますので、そちらに委ねたいと思いますけれども、私の方からは二点申し上げさせていただきました。一つは、これまで9月に自殺予防週間や3月に自殺対策強化月間に併せて、パソコンやスマートフォンで自殺に関する用語を検索したユーザーを対象に、検索結果やページにバナー広告等を掲載し、相談窓口へ誘導するという措置をとってきたところでありますけれども、実際にネットを通じて自殺したいという意思を発信する若者を相談機関に適切に繋げられていたのかどうかについて、特に、実際に自殺を考えていた人の目から見て、そうしたバナーを打ったり、バナーから誘導されたサイトが利用しようと思えるようなものだったのかなど、そういった観点から、今、やり方も含めて、自殺対策にそれぞれ知見を持っておられる民間団体、あるいは情報通信事業者等からも広く意見を伺いながら、より適切な対策を検討していかなくてはいけないと思っております。それから二つ目は、今回の自殺という言葉ばかりが出ていますが、それ以上に自殺したいという裏に込められた思いやメッセージということに対して対応していくことが必要であると思っております。様々な人間関係等の悩みをある意味気軽に相談できるような「居場所づくり」を地方公共団体、民間団体等がそういったものを行う場合には、それに対する支援ということも考えていく必要があると思います。現在、地域自殺対策強化交付金というものがありますけれども、そういった中でもそういった対策に交付金を使うことができるように、いわばメニューの中にそういうものも盛り込んでいくといったことも考えていきたいと思います。長官からは、現状の対策の中でこうした事案が起きているわけですから、更にどういうことができるのか、各省庁でしっかり対応してほしいといったお話がありました。それを踏まえて、我々としても更にどういったことができるのか、しっかり考えていきたいと思います。
記者:
有識者や民間団体から広く意見を聞くということですが、何かしらこれまでの対策の検証ですとか、何かしら有識者会議を考えたりというのはございますでしょうか。
大臣:
どういう形で聞くのがいいのかについては、会議という改まった形がいいのかなど含めて検討したいと思いますけれども、いずれにしてもやはり若い世代の方々がつくっておられる一つの空間ということになりますと、なかなか世代が違った人間からは伺い知れないところも多数あるわけでございますから、やはりその人たちの気持ちによく寄り添うという言葉がありますけれども、そういった形での検討ができるような、そういったことを考えていきたいと思います。
記者:
先日、戦没者の遺骨事業について、不適切な事例があったということが会計検査院から指摘されましたが、それについての受け止めと今後の対応についてお願いします。
大臣:
先般の会計検査院からの指摘事項については重く受け止めておりますし、大変遺憾だと思っております。まず、厚生労働省として、本年1月の省内調査で判明した平成28年度の不適切事案に対して、3名の職員を処分して以降、さらに遺骨収集等の事業に関連して会計検査院と一体となって調査してきたところでありまして、今回の検査院の報告での指摘を受け、現在、厚生労働省として、使途の確認等、返還額や処分を判断するための追加調査を実施しております。できるだけ早期に、遅くとも年内までにはそれを行って、速やかに関係者の処分を厳正に対処していきたいと思います。また、再発の防止ということでありますが、11月8日に公表させていただきましたけれども、まず今回の事例は、前渡資金という仕組みをある意味濫用していたという指摘だと思っております。こうした前渡資金によらず対応が可能かどうかということを精査した上で、支払う案件を可能な限り前渡資金という形については限定・縮小するということがまず必要だと思います。それから、職員のコンプライアンスの意識の向上のために、特に、資金前渡官吏を発令する人に対してはしっかり研修を実施していくということと、それから、今回の事案の中でも様々な記録等が十分に残されていなかったということもあります。出張中の行動記録や経理記録の作成の徹底や記載内容の改善等、こうした適正化をしっかり図っていき、こうした措置をとることで、こうした不適正な経理処理が二度と発生しないよう努めていきたいと考えております。

(了)