加藤大臣会見概要

H29.10.27(金)10:52 ~ 10:59 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず閣議での発言でありますが、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ、集中的な広報・啓発活動を実施しています。関係大臣にもご協力をお願いし、併せてオレンジリボン・バッジの着用をお願いしました。私からは以上です。

質疑

記者:
先日、財務省が社会保障費抑制のために診療報酬を約2パーセント引き下げることや、75歳以上の医療費の負担を1割から2割に引き上げる案などを提示しました。こういった案に関しては、負担増となる高齢者や医療関係者から強い反発が予想されます。この点に関して、大臣の受け止めと今後の方針についてお願いします。
大臣:
来年度予算編成に向けては、2015年に閣議決定された「3年で1.5兆円程度」の目安の達成に向けて、病床機能の再編や地域における医療・介護の切れ目のない提供体制の構築など社会保障サービスのニーズに的確に対応しつつ、同時に聖域なき見直しを行っていく必要があると思います。そうした努力を通じて、我が国の皆保険制度を堅持するなど社会保障の持続可能性を確保するということが基本的な考え方であります。その上で診療報酬などについては、まさにこれから経営実態、物価・賃金の動向などを踏まえてしっかりと議論させていただきたいと思います。
記者:
診療報酬の改定に関連してお伺いします。先ほどおっしゃったように、財務省が財政審で2パーセント台半ばの引き下げを提言しておりまして、今後、中医協で議論が進んでいくと思いますが、全体の改定率について大臣自身が望ましいとお考えの改定率についてお聞かせ下さい。全体の改定率とは別に、個別の報酬についてもお考えがあれば教えて下さい。
大臣:
平成30年度診療報酬の改定については、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年を見据えつつ、質が高く効率的な医療提供体制をどう構築していくかということが重要だと思います。厳しい財政事情でありますから、効率化するべきところは効率化する、同時に大事なことは、それぞれに必要な方に必要なサービスが行き渡ることに向けて、必要な財源の確保に私どもは取り組んでまいりたいと思います。社会保障の伸びの抑制、あるいは今言われたように診療報酬にひとつの数字を当てこむということは、かつて毎年2,200億円削減という方針を掲げられた結果、機械的なキャップをかける負担抑制の手法ということが、国民生活に様々な副作用をもたらしていないかと私は理解、認識をしております。この改定率においては、やはり医療機関の経営状況、物価・賃金の動向、同時に保険料負担という形を含めて国民の皆さんの負担につながる、そうしたこと等をしっかり踏まえながら、先ほど申しあげたように必要な方に必要なサービスが的確に届けていけるように、しっかりと議論させていただきたいと思います。それから、個別に関しては、まさにこれから中医協でいま申しあげた方針に則って、議論いただくものと考えております。
記者:
昨日、介護事業経営実態調査の結果が出て、3.3パーセントということで前回調査からかなり下がりました。これの受け止めと財務省はマイナス改定を求めていますけれども、この改定に向けた大臣の考えをお聞かせ下さい。
大臣:
昨日公表しました介護事業経営実態調査の結果でありますが、平成28年度決算における全介護サービス平均収支差率は3.3パーセントであります。全産業の流れを見ると、この間の経済の好調を反映して、収支差率は改善しているなかでありますが、前回の基礎となった平成26年度実態調査が7.8パーセントでありますから、4.5パーセント低下していることになります。また、27年度と比べても0.5パーセント低下している状況にあると認識しています。この背景には、前回の介護報酬改定でのマイナス改定、それに加えて働き手、特に介護職の確保が大変難しいということで、確保のために人件費の増加といったことが収支差率の縮小につながっていると認識しております。先ほど申しあげたように、あたまからこうだということではなく、今回の調査結果、賃金・物価の動向、また国民負担あるいは介護保険財政に与える影響などを踏まえて、介護サービスにおいても重要なことはやはり、必要な方に必要なサービスをきちんと、いかに効率的に提供されるかということですから、そういった姿を実現するために予算編成過程において、しっかり議論していきたいと思います。
記者:
診療報酬の関係で、昨日、経済財政諮問会議で民間議員から目安となる5,000億より更に改革努力をして減らして欲しいという注文が付きましたけれども、今回予算編成にあたってあくまで目安の5,000億を目指すのか、更にそれ以上を目指すのかいかがでしょうか。
大臣:
それにつきましては先ほど冒頭で申し上げましたように、私どもとして現在「3年で1.5兆円程度」の目安の達成に向けて作業を進めているということであります。ただ、同時に制度を維持していくためには、不断の見直しをしていくことが必要になっていきます。そういった観点に立って、他方で機械的なキャップをかけて抑制する手法は副作用があり、効果がないという過去の経験もありますので、あくまでも経営実態調査や、あるいは賃金・物価の動向などをしっかりと見ながら議論をしていきたいと思っております。

(了)