加藤大臣会見概要

H29.10.6(金)11:02 ~ 11:12 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず閣議での発言ですが、今日、「過労死等防止対策白書」が閣議で了承されました。この白書は、過労死等防止対策推進法に基づき毎年国会に報告するとされています。今回は2回目でありますが、今回の白書では過労死等の現状、過労死等防止対策の取組状況などに加えて、過労死等の実態解明のための調査研究結果などを報告しています。現在、政府としては「働き方改革」に取り組んでいますが、過労死等をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するという使命感を持って、過労死等防止対策に全力で取り組んでまいりたいと考えています。私からは以上です。

質疑

記者:
医薬品業界で世界2位のノバルティスが、薬が効いた患者のみに支払いを求める成功報酬型の薬を日本で販売できるように働きかけることを検討しているとのことですが、いま厚労省内でも薬価の抜本改革で費用対効果の議論が進んでいるかと思います。ノバルティスの成功報酬型は、費用対効果を突き詰めた形になると思いますが、大臣としてのご所見をお願いします。
大臣:
ノバルティスにおいて、成功報酬型薬の販売を検討しているという新聞報道がされているのは承知しておりますが、私どもが具体的にノバルティスから話しを聞いているわけではありませんので、なかなか申しあげにくいことであります。報道されている成功報酬型の具体的な内容は分かりませんけれども、例えば、成功という場合の薬の効果というのはどう判定するのか、あるいは患者の自己負担や保険給付との関係をどう考えるのか、投薬と治療は一体的に行われるわけですから、そこをどう峻別していくのかなどいろいろな問題があるのではないかと、この話を聞かせていただいたときに思いました。いずれにしても企業から具体的な話を聞いておりませんので、ノバルティスの件の成功報酬型薬については、直接コメントするのは控えたいと思います。また、費用対効果の薬価のお話がありましたが、そこでの議論において、ここで言われている成功報酬型の議論になっているとは、承知をしておりません。
記者:
過労死の案件でお伺いしたいと思います。残念ながら過労死自体が無くならないということで、昨年の電通の方に続き、今回NHKの記者が過労死をしたと報道されましたが、大臣のお受け止めをお願いします。
大臣:
事案そのものは平成25年の話でありますが、NHKの記者が過労死で亡くなられたと発表がありました。亡くなられた佐戸未和さんは、若くて大変仕事に対して情熱を持って取り組んでおられた方で、過労する中でお亡くなりになったことは、お若い方であり、大変に残念なことだと思います。心からご冥福をお祈りし、また御家族の方々には衷心によりお悔やみを申し上げたいと思います。そのうえで、過労死を根絶するということで私どもも長時間労働の是正に取り組み、働き方改革の法案について鋭意提出すべく準備を進めているところでありますが、まずは今回はNHKにおいて、こうしたことが二度と起きないように徹底した対応を取っていただきたいと思います。労働時間の管理、あるいは長時間労働の是正、特に働く方の健康管理といったことにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。また、いま進めております労働基準法の改正案においても、みなし労働時間制度が適用されている方も含めて、全ての労働者に客観的な労働時間の把握を義務付けているわけであります。労働安全衛生法においては、事業外のみなし労働時間制度が適用されている場合においても、例えば月100時間超の時間外労働の場合には、医師による面接指導の実施等の健康確保措置を取ることとされています。そうしたことがしっかり行われていけるように、まずNHKにはしっかりやっていただきたいと思いますし、我々労働行政を担う者としても、二度と過労死が起きない、それに向けて、長時間労働是正等の法案、制度の改正を進めていくとともに実際の指導の現場において、そうした観点からしっかりとした監督指導を実施していきたいと思います。
記者:
希望の党が先ほど公約を発表しまして、ベーシックインカムの導入を掲げております。一般論で良いのですが、ベーシックインカムのメリットとデメリットや、加藤大臣は一億総活躍大臣の時に北欧に視察されて、ベーシックインカムのお話も現地の方と意見交換されていましたが、そのあたりを踏まえてお聞かせ下さい。
大臣:
確かフィンランドに行ったと記憶をしておりますが、そこでは全国民ではなくてある地域の人たちに、人数も多くなく数千人規模と記憶しておりますが、ベーシックインカムの社会的実験を行うという話はされていました。それがどのような影響に繋がっていくのかということは、私も関心を持っているということは申し上げたところであります。ただ、今回おっしゃっておられる希望の党がどういうベーシックインカムをお考えになっているのか、かなりベーシックインカムというものは幅広いものでありまして、それぞれ言っておられる方によって、ベーシックインカムだけではなくて所得保障、あるいは広く社会保障制度そのものをどう変革していくのかというイメージを持っている方など色々おられます。今回どういう意味でお使いになっているかは分かりませんが、希望の党の公約を見ますと、低所得者の可処分所得を増やすという言及しかありませんので、それ以上なかなか申し上げることは難しいかなと思います。ただ、一般論としてのベーシックインカムのお話がございました。それについては、そもそも例えば、年金や生活保護の所得保障制度を代替するということであって、トータルとしての金額は当然増やしていくことになるのだろうと思いますが、その場合財源は一体どうやって工面していくのかということと、それから年金制度を代替するいうことになると、年金制度というものは基本的に保険制度でありますから、それまで保険料を納めてきたということとリンクしていくものですけれども、そのリンクを断ち切ってしまうのかしまわないのか、更にはよく指摘されますけれども、働くことが基軸になっているということを考えた時に、働かなくても収入が得られるということはどういうことになるのか等々、色々議論すべき論点があるのだろうと思います。私どもも、例えば今回の消費税の引き上げの中でもともと入っている話でありますけれども、年金生活者支援給付金ということで、国民年金のみの方に関しては最大月5,000円の支給を行うとか、あるいは介護保険の保険料負担についても低所得者の方には現状よりも3分の1程度軽減すること、今100負担している方は60パーセントか70パーセント程度にしていくということで、低所得者の方々に対する配慮はしっかりと進めていかなければならないと思います。それには当然、財源が必要になってきますから、いま申し上げた消費税財源等をしっかり確保しながらそうした方々も安心して暮らしていけるような環境をつくっていくことについて、しっかりと努力をしていきたいと思っております。

(了)