加藤大臣閣議後記者会見・共同会見(厚生労働記者会)概要

H29.8.4(金)13:09 ~ 13:31 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については、私のほうからは特に発言はありません。

質疑

記者:
来年度の予算編成についての質問です。待機児童の新プランも策定され、社会保障分野も更に充実される見通しですが、一方で消費増税の先送りもありまして、財源の手当も含めて予算編成にどういう姿勢で取り組まれるのかお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
骨太の方針においては、「3年間で1.5兆円程度」の社会保障関係費の伸びの目安への対応について、これまでの2年間でやってきたのと同様にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。そういう中で、今おっしゃったように消費税の10パーセントアップの場合に、社会保障の充実を図るという中身がありまして、ある分野では止まっている、ある分野では若干実行している部分がありますが、そういう厳しい財源事情ですし、今年度は診療報酬、介護報酬、障害者の報酬に係るいわゆるトリプル改定の年でもありますし、先般、待機児童の解消を図っていくための新たなプランとして「子育て安心プラン」も提唱させていいただいております。そうした対応がしっかりとできるように今後の予算編成のなかで概算要求から始まりますけれども、対応していきたいと思います。
記者:
拉致問題について2点伺いたいと思います。大臣が厚労大臣になられたということで、多忙ゆえに拉致問題担当相と兼務可能かどうかについてと、それに関連して例えば大臣が多忙な場合に、拉致問題だけに取り組む副大臣を置いてほしいという声がありますが、そういったお考えがあるかお聞かせ下さい。
大臣:
最初に私が拉致問題担当大臣になったときも、一億総活躍なども色々と兼務をしているときに大丈夫かという声がありました。この2年間をどう評価していただいているかという思いはあります。また、私自身もひとりの拉致被害者の帰国の実現、またそれに向けての道筋もできていないという思いがあります。しかし、私としてはできる限りの対応はさせていただいたつもりでありますし、また引き続き今回、厚生労働大臣と兼務というかたちではありますけれども、これまで拉致被害者のご家族などに様々な機会にお話をさせていただきながら、そのお気持ちを充分に酌まさせていただいたつもりであります。その思いをしっかり持ちながら、一日も早い拉致被害者の方の帰国に向けて、昨日、申し上げたようにあらゆる施策を通じて、取り組むつもりであります。2点目の質問ですが、拉致問題専任の副大臣を新たに設けるというのは難しいと思います。内閣府には3人の副大臣がおられますけれども、3人それぞれが1人で2人の大臣を支えていることになりますから、そうしたやり方がどのくらい現実的なのかという問題ですが、政府を挙げてこの問題に取り組んでいくために、ご指摘のようなご懸念があることは承知しておりますがが、そうしたご懸念にもしっかり応えていけるようにしていきたいと思います。
記者:
昨日、大臣は働き方改革について断行していきたいとおっしゃいましたが、連合の神津会長が続投する見通しであるなかで、連合では政労使合意が立ち消えになるなど色々とありましたが、大臣と神津会長は中学生の同級生であったり、これまでの働き方改革をともに進めてきたという経緯があると思います。神津会長が続投となるならば、法案成立に向けて進めやすいのではないかと思われますがいかがでしょうか。
大臣:
連合の会長が続投されるかは正式に聞いておりませんし、それについて政府側からコメントすることは控えたいと思います。また、個人的な関係であるからといって、政策的に有利ということは別問題だと思います。いずれにしても、これまで神津会長には働き方改革の会議に参加をしていただいて、長時間労働の是正に向けて、様々なかたちでご協力いただきました。今回の政府が提出しております労基法改正にかかる議論については、今お話があったような経緯があります。我々としてはそこで提出していただいた要望については、総理から現段階では真摯に対応していきたいと申しておりますし、その姿勢には変わりありません。これから関係者の理解をいただきながらそれぞれの法案を提出したり、成案に向けて努力していきたいと思います。
記者:
連合が高プロ、裁量労働の拡大と上限規制は同じ労基法の改正とはいえ、切り離して審議をしてほしいとずっと言ってきているわけですが、その一方で同じ法律なので、まとめて出したいという考えがあると思いますが、大臣として次の国会での法案審議の仕方はどのように現時点ではお考えですか。
大臣:
現時点では、労基法の改正は国会に提出して、継続審議扱いとなっています。長時間労働の是正に係る部分については建議をいただいているところであります。これからどういう法案にするかは労働政策審議会での議論となると思います。そのうえで法律をこれまで作ってきているという状況のなかで、同じこの労基法の改正、2つの法律が出てくるとなると、それぞれの成立する状況が変わってくるわけですから、整合性をとっていく、あるいは混乱を招き得ないような状況を回避していくことから、まとめて議論していくという流れがあります。そういう意味も踏まえて対応していこうと考えています。
記者:
大手調剤薬局のアイセイ薬局が不適切な保険請求があったという報道がありました。そのことに対する大臣の受けとめと今後の対応について教えて下さい。
大臣:
個別の事案については承知しておりませんし、企業側からの発表であれば具体的なコメントは控えたいと思います。いずれにしても、保険というかたちで皆さんからお預かりしているものですから、適正に執行されているのが当然であり、我々は常に適正な執行が行われるように努めていかなければならないと思います。
記者:
2つ質問させて下さい。一つ目は相模原の障害者施設で19人が殺害された事件を受けまして、精神保健福祉法の改正案が現状出されており、参議院は可決されたものの衆議院は継続審議になっております。法案をめぐって、塩崎前大臣は謝罪に追い込まれたということもあり、障害者支援団体や医療関係者がこの法案に対して強い反対の声を出されております。現状、大臣は原案どおり進めていきたい意向なのか、あるいは修正の見込みがあるのか、あるいはもっと厳しく規制をかけるべきなのかどういったお考えをお持ちなのかお伺いします。
大臣:
津久井やまゆり園の事件の関係で申し上げますと、私も前の大臣の時に現場にも行かせていただき、亡くなった方々のお写真も見せていただき、本当に悲惨であり許されないという思いでありました。そのような意味でこのような事案が無いように、共生社会ということをどう図っていくのかということで、当時の立場としては、広報・啓発に取り組ませていただきました。また、厚生労働省においては社会福祉施設の安全の確保や、あるいは職場環境の改善などの取組みも進んできたところであります。今お話がありました精神保健福祉法についてでありますが、私が承知している限りは精神障害者の地域移行をしっかりと推進していくのだという視点に立ってこの法律を出したということで、審議にあたっては今ご指摘のようなことは承知をしておりますけれども、継続審議になっておりますから私としては法案の早期成立に向けて努力していきたいと思っております。ただご指摘のようなことは、この法案そのものなのか、あるいは法案の当初の段階ではいろいろな話があり、そこから生まれてきたいろいろな懸念というものもあるのだろうと思います。そのようなことには一つ一つそうした懸念の解消に努めていくことは当然のことではないかと思います。
記者:
拉致問題のことですが、現状北朝鮮情勢がこれだけ緊迫している中で、アメリカが武力攻撃を否定していないという事態の中、仮にそういう事態が起きた場合に拉致被害者を救う手立てがあるのかお聞かせください。
大臣:
それについては、自民党の中においてもご議論いただきました。自民党の拉致問題対策本部におかれては、北朝鮮と国交がある、更には大使館等を有している、そうした国の日本の大使館に対して、そうした事態を含めた様々な協力の要請を図っていると承知しておりますし、また、そこにおいても様々な議論がなされました。救出ということになると自衛隊がどうのこうのということについては私の所掌ではなく具体的にはコメントは控えさせていただきたいが、拉致対策本部としては、究極的にはすべての拉致被害者の方の帰国でありますから、その大前提としてそういった方の安全を確保していくことは当然のことでありまして、できる部分とできない部分はありますけども、最大限の努力をしていく。そういうことも今おっしゃたことも常に念頭に置きながら対応して行きたいですし、また対応してきているところです。
記者:
GPIFについてお伺いします。塩崎前大臣の時、株式運用比率、ポートフォリオを変更しました。これについては、中長期的な運用ということも重々承知しておりますが、野党などから短期的な損失が出ているのではないかということで見直しを求める声もあります。これについてどのように考えでしょうか。
大臣:
年金積立金の運用は短期ということではなくて、長期的に安全かつ効率的に運用していくことが重要であります。そのような意味ではこれまでの方針に則って適切な分散投資を進めて、市場の動きに適切に対応していかれることを私としては期待していきたい思っております。基本的にはGPIFでそれぞれおやりになることでありますが、本年10月からはガバナンスの確立のための体制を整備することとしております。原資は国民の皆様が出されている保険料であります。そのことを十分に認識していただきながら、効率的な、かつ安心で安全な運用を両立するかたちで適正に進めていただきたいと思っております。
記者:
この夏の閣議決定を目指しているがん対策推進基本計画についてお伺いします。こちらでも受動喫煙対策について数値目標を入れるかどうかで動きが止まってしまっている状態で、とはいえもう目指している夏が来てしまっている中で前に進めないといけないと思いますが、大臣の中で明確に数値目標を盛り込むお考えか、または計画を閣議決定することを優先的に考えて、中身としては数値目標まで明記しなくても良いというお考えなのか、そのあたりの今のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
今、がん対策のことと受動喫煙の話の関係ということですが、受動喫煙対策というものをどう取り組んでいくのか、総理からは昨日の段階で受動喫煙対策を徹底していくことと、早期に法案を提出していくというお話をいただいておりますので、それに向けて関係者の方のご意見を伺いながら、勢力的に取り組んでいきたいと思っております。その流れも見ながら、今のご質問の点については対応していかなければいけないと思います。
記者:
関連しまして、受動喫煙対策の法案の件ですが、与党側との調整がつかなくて見送ったという経緯があると思いますが、大臣としてはこれまでの厚労省の原案から与党が求めていた例外を拡大するですとか、今後法案の提出に向けて意見の一致を見るためには歩み寄っていくというようなお考えがあるのかどうかについてお願いします。
大臣:
受動喫煙対策を徹底していくということと、必要な法案を国会に提出していくことをしっかり実現すべく努力していきたいと思います。厚生労働省から打診し、自民党においても検討されていた考え方がありました。当然それらを踏まえながら、しかしこの間にいろいろなところからいろいろな議論もあると思います。幅広く皆様方のお話を聞きながら指示事項に沿って答えを出していきたいと思います。
記者:
塩崎前大臣が塩崎大臣ならではの思いとして、例えばデータヘルスや児童の社会的養護の問題などの進めてきた施策があるわけでありますが、そういった塩崎前大臣の下で進められた施策については継続して進めていかれるお考えか、それとも状況を見て柔軟に考えていくというお考えかお聞かせ下さい。また加藤大臣ご自身で関心を強く持っていらっしゃる分野やこういったことに取り組みたいという分野があれば教えて下さい。
大臣:
塩崎前大臣がどこに関心を持っておられていたかまで詳細に承知しているわけではありませんけれども、今おしゃられたデータヘルスに関しましては、私も日本健康会議等との関わりを持ちながらそうした取組みをして、それぞれの市町村においてより良い結果が出ることを展開していくような、そのようなことを推進させていただいた立場でありますから、皆様の思う所は一緒であるということです。社会的養護の関係でありますが、養護施設から里親への移行について含んだ報告書を出されたと思いますけれども、児童養護施設におられる子どもさん方に対しては、いろいろな形で難しさを抱えておられます。私が前の大臣の時に児童養護施設に入っておられる高校生の方に来ていただいて、政治家の皆様方や財界の皆様方や役所の皆様方にも直接話を聞いていただいたことがございます。そういった意味では、私ども自身も大変関心を持って取り組んでおります。具体的におっしゃた件に関しては、塩崎前大臣がおやりになってきたことをしっかり、あるいは更に加速していきたいと思います。私自身のということでお話がありましたが、まずは働き方改革の実行計画を第一に作らせていただいて具体的に法律に落としていく作業、あるいは様々な施策を展開する状況を変えるのは厚生労働省でございますから、全力で取り組んでいきたいと思います。それからもう一つは、前の仕事と絡みますが、子育て支援等や待機児童の解消などにも取り組んでまいりましたけれども、十分な状況にはなっておりませんから、それをしっかりと前に進めてまいりたいと思います。

(了)