塩崎大臣会見概要

H29.1.6(金)10:56 ~ 11:17 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。私からは特にございません。

質疑

記者:
2点おうかがいします。1点目は、新年1回目の閣議後会見ということで、2017年はどのようなことに力を入れて、どのような年にされるか、今年の抱負をお聞かせください。2点目は、昨年末のことになりますが、電通とその幹部1名が書類送検されました。事件の注目度なども考慮して、異例のスピード捜査となったわけですが、大臣の御所感をお聞かせください。
大臣:
今年は丁酉(ひのととり)の年ということで、いろいろな解説がなされていますが、新しい活動が生まれて、芽を出して、それを育て、形をなすということで、取り組んできたものを次の段階に進める年だと言われています。革命の年という説もありますが、いずれにしても、これまで安倍内閣の4年間、第二次から始まって、様々な改革に取り組んでまいりましたが、これをどのように次の段階に進めていくかという大変大事な年ではないかと思っております。一昨年から、一億総活躍社会づくりということで、まずは50年先にも1億人の人口をキープするという、言ってみれば子育て支援をしっかりとやるということになるわけでありますが、そういう中でどのようにして社会保障の充実をしていくのかということで、そのためには成長と分配の好循環が必要だということで、一億総活躍社会づくりのプランを去年の6月に決めて、推進してきております。その中には「働き方改革」があるわけでございまして、これは最大のチャレンジとして内閣が取り組むべきものという位置付けでございます。一億総活躍社会づくりは、人口問題に正面から取り組むという、大変奥深い問題でありますが、その一本目の矢の中心として、「働き方改革」を据えて、今日までやってまいりました。これは3月に計画をまとめるということでありますので、これまでやってきた同一労働同一賃金や、病気になっても働ける環境など、多様な働き方を自ら選択でき、非正規が不合理な格差で御苦労されないという、職務と評価を明確にして、公正な評価を受けることによって、適正な報酬をもらえるように、非正規であろうと正規であろうとそういうことをやることだと思います。長時間労働についても意に反する長時間労働は無くしていくということで臨んでいきたいと思います。電通の話を申し上げれば、11月に強制捜査を行って、捜査を進めてまいりまして、12月28日に、東京労働局に設置いたしました「かとく」、過重労働撲滅特別対策班が、労働時間に関する労働基準法違反の疑いで電通ほか1名を書類送検いたしました。今回は労働基準法違反の容疑が固まった者について送検したものでありますので、引き続き、捜査は継続されるということでございます。全容解明に向けて、厳正に対処してまいりたいと思っております。これに関連して、法律に基づいて規制が行われているわけでありますし、その法律が守られていないという状況があることを考えてみると、私ども行政側のパワーアップも必要ではないかと思っております。これは労働基準局だけではなくて、他の規制行政は医薬・生活衛生局でもありますし、いろいろなところで法律に基づいて行っているわけで、そういう意味では法曹資格を持った職員をもう少し増やさなければならないのではないかと思っております。例えば金融庁では20人、30人規模で法曹資格を持った人が検査や、様々な金融行政を行っていると聞いておりますが、厚生労働省は3人しかいない。しかも、検事はゼロということで、弁護士2名と裁判官1名というのが、厚生労働省の本省の法曹資格を有している人の配置であります。したがって、全て法律に基づいて行政を行っている限りは、もっと増やすべきだと思いますし、他の役所で検事がいるというところもあります。したがって、法曹資格を持っている人を職員として増やすことに関して、法務省ともしっかりと相談し、体制を固めることによって、「働き方改革」の大前提は働き方コンプライアンスでありますから、ここのところをしっかりとやっていくということではないかと思います。これは医薬行政にしても、他の医療の行政にしても同じことが言えると思いますので、ルールベースの行政を今年はしっかりと進めていきたいと思っております。第2、第3の矢は、さらに中身の具体化をしていくという年になるだろうと思っております。医療などでは、データヘルス改革をしっかりと進めると。未来投資会議で2020年までにデータヘルスインフラを整えて、2020年にはオールスタートできるようにしようと。それは健康、医療、介護などに関して、特に支払基金改革に関連して、データヘルスの改革については包括的に議論していただいて、もうすぐ報告書もまとまってまいりますので、基金改革だけにとどまらない全ての国民の健康、医療、介護をトータルでデータヘルスの対象としていくということで、インフラを整えていきたいと思っております。関連して、12月に群馬大学医学部の特定機能病院のガバナンスの問題について報告書が出ました。報道を見ていると、あまり取り上げられていませんが、大事な側面がありますので、あえてそれを申し上げると、特定機能病院という、高度な医療をやっていただくところでありますから、病院長は病院運営にも長けた方に、しっかりと安全も見ていただくということになります。病院長一人だけでは難しいということで、いろいろな工夫をしていますが、特に、医学部附属病院の場合などは病院長が選挙で選ばれるということでありますが、選挙ではなく、安全性に関しても、病院の運営に関してもプロフェッショナルかどうかということをしっかりと見ていく、単に票数が多かったのでこの人というのではだめだということを明確にしていただいているものでございます。病院長も、いつも同じ組織から来る、つまり、大学の病院であれば大学の先生から選ばれるということになっていますが、必ずしもそういう必要はないのではないか、特に、特定機能病院として公的な役割を果たしていただくわけでありますから、別の組織から来ても何もおかしくないということも書いているわけであります。いろいろな問題が起きた上で、報告書をまとめたものをこれから実行していくということが大事なので、次のステージに移るという重要性の例として申し上げておきたいと思います。今年の国会には、介護保険法の改正等、法律案を出すわけでございますし、既に国会に提出されている労働基準法もございます。臨床研究の法律もありますから、これらは確実に成立を図っていくために頑張らなければならないと思っております。また、長時間労働等、「働き方改革」についても、3月に計画がまとまり次第、法案化に向けて努力を始めなければならないと思っております。
記者:
2点お尋ねします。1点目は、先ほどの質問で出ましたが、電通に関してです。書類送検を受けて、社長が引責辞任する事態になって、社会に与えるインパクトも非常に大きいと思います。大臣としての受け止めをもう少しおうかがいします。もう1点ですが、老年学会などが、昨日、高齢者の定義を75歳以上にしたほうが良いのではないかということで提言を出しました。社会保障などに適用する場合は慎重にしていった方が良いということが提言の内容だったのですが、今後、年金や医療、雇用制度にも関わってくる問題だと思いますが、どのように厚生労働省として取り組んでいくのかお聞かせください。
大臣:
まず、電通の問題でありますけれども、先ほど申し上げたとおり、労働基準法違反の疑いで書類送検したわけでありますが、捜査はまだ継続していくということでありまして、社長一人の引責辞任で済む話ではないと考えています。既に強制捜査は東京本社だけではなくて、3支社に対しても行われているわけであります。社会的な注目度と重大性ということを踏まえて、我々は粛々と捜査を続けますが、企業としても文化を変えるという決意を持って、「働き方改革」を自ら担って、自己完結的な努力をしてもらいたいと思います。老年学会の話は、75歳以上に高齢者の定義を直したらどうかということでありますが、この報告書は、主にお医者さん、中には教育学者や社会学者、心理学者、老年社会学者等がおられますが、どちらかと言うと、お医者さんが医学的な観点から高齢者の定義というものを問題提起していただいているということで、昨日発表されました。元気なお年寄りが増えること自体は歓迎すべきことでありますので、就労やいろいろな意味での社会参加が進んでいく方向性は応援していかなければいけないと思います。しかしそうは言いながら、個人によって千差万別の状況が体力的にもいろいろな形であろうと思いますので、まさに一億総活躍と言っているように、どのようにお一人お一人に合った、そのお気持ちに合った、あるいは様々な能力に合った活躍ができるのかという環境整備を考えていくことが重要だと思っています。社会保障制度における年齢の定義を見直すことについては、企業の雇用慣行や、あるいはお年寄りも含めて国民の意識の状況を十分踏まえた上で、慎重に議論しなければいけないことなので、今回は医学的な立場から御意見を頂いたと思っています。我々は、当然、健康寿命の延伸、雇用面では、例えば、高齢者の雇用の促進等という形の就労の促進を進めるということは何も変わらないと思っておりますが、いずれにしても、そういう御意見があったということは元気な高齢者が増えたということではないかと思います。
記者:
「働き方改革」についてお尋ねします。昨日の連合の新年交歓会で、大臣は、三六(さぶろく)協定のあり方を近々実現会議で議論することになっていて、その結果を受けて、当然、法改正に至るとおっしゃって、労働基準法改正の一通りの認識を示されました。労基法の改正案と、同一労働同一賃金の実現に向けたパート法など関連3法案の改正案ついては、今年の通常国会に提出するというお考えでよろしいでしょうか。
大臣:
既に労働基準法の改正案は、高度プロフェッショナル制度であったり、裁量労働制や、あるいは少なくとも会社が5日間休むことを指定するといったことを含めて出ているわけでありますから、これはこれでしっかり成立を図ってまいりたいと思っております。その他、今、いろいろな議論を働き方改革実現会議で行っておりますので、しっかりと議論した上で、方向性を出していただくということが3月の計画であります。それを受けて、どう法律に落とし込んでいくのかということを考えなればいけないので、これは計画を踏まえて、そして実現会議での議論を踏まえて、どのように法案化をしていくのかということはタイミングも含めて、今後考えていかなければいけないことだと思います。
記者:
昨年末に、福島県広野町の病院長が火災でお亡くなりになるという事態がありました。この病院は、広野町だけではなく、双葉郡全体で唯一診療してきた病院で、現状、常勤者がゼロとなっています。福島県知事も支援を表明しておりますが、国としてどう捉えていくか、また、地域医療を守るために国として何ができるのかということをお聞かせください。
大臣:
今回、双葉郡で唯一の病院と言われきた高野病院の院長先生が火災でお亡くなりになられたということで、まず心からお悔やみを申し上げたいと思います。12月30日の出火でお亡くなりになったわけでありますけれども、常勤医は院長先生お一人でございました。それで102名の方々が入院されているわけで、双葉郡唯一の病院ということで、衝撃が双葉郡に走っているということは、私も即座にお聞きしましたし、また、地元の自民党の国会議員の先生方からも心配の声が私にも寄せられております。それに対して、高野病院、福島県広野町の周辺市町村の医療関係者が、12月31日から診療体制についての協議を始めました。南相馬市立総合病院、相馬市長さんはお医者さんでありますが、そういったところからまた医師を派遣をしているなど、1月中の診療のめどは立っていると聞いております。福島県も知事を先頭に立ち上がっていただいていると聞いているわけでありますが、相馬市長さんとも私は直接電話でお話をしましたが、やはり我々としてもしっかりと状況をフォローしながら、この旧避難指示区域に隣接して医師確保に課題を抱えているこれらの地域の対応状況について注視していなかければいけないと思っております。一時的には、県と関連市町村が地域医療を確保するということで御努力いただいているということは分かっておりますし、それを頑張っていただきたい思いますが、私どもとしてできることがあるかどうかということは、それらの御努力を受けて、絶えずよく見ていきたいと考えているところでございます。

(了)