塩崎大臣会見概要

H28.12.22(木)10:12 ~ 10:27 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。本日の閣議では、平成29年度予算案が閣議決定されました。平成29年度厚生労働省予算案では、一億総活躍社会の実現のために、「働き方改革」、「新三本の矢」などを重点分野として、一般会計で1.2パーセント増の総額30兆6,873億円を盛り込んでおりまして、スピード感を持って、施策を展開してまいりたいと思っております。また、来年度の組織再編につきましては、医療・保健関係の技術分野を統理する次官級の「医務技監」の創設がまず第一にございます。初めて医系技官の方の次官級のポストができたということであります。働き方改革や子育て支援、児童虐待対応、生産性向上を強力に進めるために、「雇用環境・均等局」を作ります。さらに、「子ども家庭局」、初めて「子ども」という言葉が明示的に入りました。それも、家庭とセットの「子ども家庭局」でございます。そして、「人材開発統括官」ということで、これは職業能力開発局が局から統括官組織に変わったということであります。詳細については、この後のブリーフィングで、事務方にお尋ねいただきたいと思います。以上、私からでございました。

質疑

記者:
2点おうかがいいたします。1点目は、来年度予算についてですが、特に大臣として力を入れた分野や施策がありましたらお教えください。2点目は、出生率の件で、2016年の子どもの数が初めて100万人を割ることになりましたが、そのことに対する受け止めをお願いいたします。
大臣:
今回の来年度予算については、一億総活躍プランが今年の6月に閣議決定されてから初めての予算編成ということであります。この間も同一労働同一賃金のガイドラインを議論しましたが、「働き方改革」は「新三本の矢」の一本目の矢の経済再生最優先でやるという基本路線のど真ん中の改革ということで、数々の予算が入っております。保育士、介護人材の処遇改善については、国会でもかなり議論になりましたが、働く方々にやる気を出していただくという意味での、頑張れば報われるという、常識と言えば常識ですが、それがなかったので、そういうものをきっちりと明確にしながらやっていただくということを前提に、保育士が最大4万円、介護の皆様には1万円ということを実現していくという踏み込んだ予算となっております。社会保障関係費の伸びについては、社会保障制度を持続可能なものとしなければならないし、一方で、医療や介護などの必要なものはきっちりと提供していくという中で、負担増となる方への影響も、低所得の方などを含めて十分配慮しながら、約5,000億円増という目標を達成しているということでありますので、そういうことに基づいた医療・介護制度の改革を進めていきたいと考えております。人口統計の話ですが、人口統計の速報や月報を見ていくと、出生数の動向はなかなか厳しい状況がずっと続いていると、これまで発表されてきた数字を見てもお分かりのとおりであります。年間推計については、今、公表に向けて準備を進めているところでございます。我々としては、こういう厳しい情勢が続くということは、「働き方改革」を進め、さらに子育て支援に力を入れていくということを引き続きやっていかなければならないということでありまして、車の両輪をしっかりと回しながら少子化対策をやっていくということであります。具体的には、結婚とか子育ての希望実現の基盤となる、若い方々の雇用の安定・処遇の改善、そして長時間労働の是正という「働き方改革」、妊娠・出産・子育てという各段階での負担の軽減、不安の解消、そのための支援が大事だということで、さらに頑張らなければならないと思います。出産後、あるいは子育て中の就業が可能となるための保育のサービスの充実も大事でありますし、子育てがなかなか難しいという状況の家庭や子どもの支援などについてもしっかりとやっていかなければならないということを改めて再確認したという気持ちであります。
記者:
先ほど言及のありました、同一労働同一賃金のガイドラインについてですが、先日、ガイドラインが発表になりまして、通勤手当など、一部手当も同一の取扱いを求めるなど、一部前進したという点もあるのですが、基本給などについては、差を容認するような形の傾向にもなっており、現状を大きく変えるような形にはなっていないのではという指摘もあります。職務給の徹底という同一労働の欧州型と同等とは言えない形になったと思いますが、その点の評価や、今後どう進めていくかを教えてください。
大臣:
総理も明確に申し上げたとおり、今まではどちらかというと職務給が主流ではない、日本の状況の中ではなかなか同一労働同一賃金の実現は難しいと国会などで言ってまいりましたが、いや、そのようなことはないのだ、そういう中でもできることはあるのだということを、今回のガイドライン案でお示しして、どこまでが合理的で、どこからが合理的ではないかという目安をお示ししたということですから、大きな一歩、前進だと私は考えております。しかし、そうは言いながら、現状を踏まえた上で、こういうことを言っているので、勤続年数で同じだったら同じ賃金を払うというのは、能力を度外視してやるということですから、これは世界の常識からは少し違うことを言っているので、そういうことで前文が付けられておりまして、そこには明確に、今後、各企業が職務や能力等の内容の明確化と、それに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度を労使の話し合い、これは非正規も含めた労使の話し合いという意味ですが、可能な限り速やかに構築していくことが、同一労働同一賃金の実現には望ましいと思っています。これからは労使が非正規を含めて一体となって、こういう職務の明確化、職務に必要な能力の明確化、それと賃金との関係性を明らかにするとともに、公正な、フェアな評価が行われる人事評価体制を構築する中で、初めて本格的な同一労働同一賃金というものができるのだということであります。私としては、労使がこれから、今、申し上げたような形で、しっかりと話し合いを、これは正社員も含めて給与体系全体の見直しをやっていくべきだということを、実現会議でも申し上げたところでございます。また、そういった体系をオープンにしていく、企業単位でやっていくと、やはりオープンにしていかないと、ほかの企業はどうなっているのかというのがよく分かりませんから、それをしっかりとやっていただくことが、真の同一労働同一賃金の実現に近づくということではないかと思います。この前文とセットで今回のガイドライン案をよく見ていただいて、大きな一歩前進であるガイドライン案を基に、さらに労使で非正規を含めて皆様方が賃金体系全体を、同一労働とは何かということをしっかりと議論していただくことが大事であって、それによって初めて同一賃金というのが定義づけられてくるということではないかと思いますので、私は大変大きな前進を、今回のガイドライン案を示すことによって、その一歩が始まったと思います。これで全部解決するということは、御指摘のとおり、必ずしもそういうことがすぐに実現するわけではないわけですが、今まで難しいと言われてきたことに対して、そうではないのだということを、安倍総理としても明確にしたということを申し上げているわけでございます。ガイドライン案はあくまでも案であって、これから法改正の議論をしっかりと踏まえた上で、最終的には、国会で決まる法律に見合ったガイドラインに作り直すということを明確に書いてあるわけでございますので、そこのところはしっかりと申し上げていかなければならないと思っております。いずれにしても、例えば、基本給、昇給、賞与、各種手当についても指摘をするとともに、教育訓練や福利厚生もカバーするということで、同一にしていくということを明確にしたことは、非正規の皆様方の処遇改善に大きくつながることだと思っておりますので、大きな一歩前進で、これから努力をみんなしなければならないということだと思います。
記者:
1,400億円の削減で、負担増になるというお話がありましたが、どうしても必要になってくるものだと思いますけれども、改めてそうした歳出改革の必要性についてのお考えと、今後、さらに政府内では自己負担、湿布薬やうがい薬等の小さいリスクは自己負担でという話が、財政審(財政制度等審議会)や自民党内でも出ていて、実質3割負担を超えるような話も出ていますけれども、今後さらに必要となる歳出改革についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まず第一に基本的な考え方は、国民皆保険をしっかりと維持をしていくこと、つまり持続可能性を守りながら、必要な社会保障のサービスや給付は確保していくことが原則であります。その際に大事なのは、世代内や世代間の公平性が大事であり、そしてもう一つは、負担能力に応じた負担が大事であって、そういう原則の下で低所得者層にはしっかりと配慮して、今回の予算を組んでいるということであります。したがって、例えば、高額療養費にしても、低所得者には手をつけないということは明確にしているわけであります。課題が残っていることはそのとおりであります。これは昨日の諮問会議でも、改革工程表のリバイス版ができておりまして、宿題は宿題として明確にされております。今、お話のようなことを含めて、宿題はしっかりと宿題として、それに向けて答えを出していかなければいけないと思っています。

(了)