塩崎大臣会見概要

H28.10.18(火)18:11 ~ 18:22 省内会見室

広報室

会見の詳細

「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」顧問からの提言について

大臣:
「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」を立ち上げておりましたが、本日、顧問の先生方から提言が出されました。これは、化血研、一般財団法人化学及血清療法研究所における事案が、去年の年末あたりからずっと問題になっておりましたが、企業のガバナンスの問題、特定企業・団体等ワクチン産業を中心に過度に依存した脆弱な供給体制、世界がメガファーマ4社で7割くらいのシェアを既に持っている中にあって、一番大きくて化血研で400億程度という、非常に弱い体制でやってきました。私が一番最初に申し上げたときには、「護送船団方式」でやってきたワクチン産業であったということです。一方で行政の側も、いわゆるワクチン行政についても、いろいろな経緯がこれまであって、必ずしもぶれずにやってきたというわけではなかったという中で、日本のこれまでのワクチン・血液製剤産業、あるいは行政が抱える問題について、今申し上げた「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」の中で抜本的な議論をしようということでお願いをして、特に顧問の先生方には熱心に御参加いただいて、本日、政策提言が取りまとめられたところでございます。ワクチンと血液製剤は、国民の生命と安全を守るための必須の医薬品であることから、これらのメーカーは研究開発力、あるいは国際競争力を十分に持つ規模、あるいは形態、組織能力を有するとともに、より高い遵法精神が求められているわけで、ガバナンス・コンプライアンスについて、これまで以上に強化していくようにという提案を頂いているところでございます。特に、ワクチンにつきましては、公衆衛生と国家安全保障の根幹と捉えられる問題であって、世界的には製薬企業の統廃合などによって規模の拡大と寡占化、集約化が進んでおります。一方で、先ほど申し上げたとおり、我が国の国内市場は統廃合が進まず、極めて小規模なままで、例えば、GAVIアライアンスという、ワクチンの途上国などでの接種を推進している国際機関がございますが、ここで使っているワクチンの中で、残念ながら日本が作っているワクチンはゼロであります。そういう意味でも、国際貢献もできていない、こういう産業のままで良いのかという問題を私は訴えかけてきたわけでありますが、こういう現状を踏まえて、今回のタスクフォースの顧問の先生方から、国内のワクチンメーカーに対して、競争力や経営体力の格段の向上のための統廃合による企業規模の拡大、あるいは株式会社等への組織形態の見直しによってガバナンスを強化する、透明性を高める、そして高い倫理観に基づくコンプライアンスの強化を強く促していただいておりまして、ワクチン産業の業界再編を推進していくなど、抜本的な見直しに向けた提言を頂いたと思っております。今回の提言は、ワクチン・血液製剤行政を与る厚生労働省だけではなく、ワクチン産業や血液製剤産業そのものに、あるいは企業の皆様方に向けられたものでもございますので、関係者の皆様方に広く共有していただくとともに、厚労省としても、本提言の中で提案いただいている取組みの実現に向けて、検討を進めていきたいと考えております。いずれにしても、ゼロベースから考えていただきたいというお願いに対して、抜本的な日本のワクチン・血液製剤産業の見直しをグローバルな視点から、また、国内の命と安全を守るという公衆衛生と国家安全保障の根幹的な問題として捉えていただいた結果として、今回の提言が出されたと思っておりまして、私どもとしても顧問の先生方には深く感謝申し上げ、この提言の実現に向けて進めていければと考えているところでございますので、皆様方にもお知りおきいただき、皆様方もずっと今までワクチンを打ってこられて今日を迎えていらっしゃると思いますが、世界では当然のように使っているワクチンが日本では使えていないというものがあるわけでありますので、今後のワクチン行政のことを考えるにあたって御参考にしていただければ大変ありがたいと思います。以上、私からの冒頭の御説明でございました。

質疑

記者:
検討作業のきっかけになっている化血研が、現在もコンプライアンスという点で十分な対応をしていないと言える現状の中で、この提言を基に厚生労働省としてどのような展開をしていこうとお考えでしょうか。
大臣:
今回の政策提言では、先ほど申し上げたとおりの問題意識で、抜本的な提言、ゼロベースからの提言を頂いています。現在、化血研とアステラス製薬の間で事業譲渡に関する話し合いが行われてきていると私も承知をしているところでありますけれども、今回こうした政策提言を受けたわけでございますので、化血研に対しては今回の政策提言の内容も十分踏まえて、事業譲渡を速やかに実現するように指導を継続してまいりたいと思いますし、自らの問題として化血研の皆様方には地元の経済もあり、雇用もありますから、しっかり考えて、政策提言を受け止めた上で可及的速やかな対応をしていただければありがたいと思っております。
記者:
今の問題に関連しまして、化血研が、以前、厚生労働省から出した報告命令に対して報告書を提出して、その中で国の承認と異なる製造はそもそもしていないという意見をしていますが、それについての受け止めと、今後、新たな命令を出されるお考えは変わらないのかどうかをお願いします。
大臣:
まず第一に、先ほど申し上げたとおり、昨年末に発覚した、あってはならない化血研の、言ってみれば承認を受けたとおりの製造方法ではない方法でワクチンを作っていたということが分かったわけでありまして、その時にも既に許可取消相当だと申し上げました。ただ、大事なワクチンを作っているということで、国益上の観点からのみ私たちは即許可取消とはしなかっただけのことでありまして、まずその問題を忘れてはならないと思います。そして、今回、日本脳炎に関連して、また同様のことが起きているということでありますが、今日、弁明書が提出されてきたということは私も承知をしておりますが、TPP委員会の質疑などで私もまだ弁明書を事務方が受け取ったというところまでしか聞いておりませんので、まずは弁明書の内容についてしっかりと精査をしてまいりたいと思っております。
記者:
タスクフォースの今後ですが、今回はあくまでも顧問の方の提言という形だと思いますが、組織としては事務次官が本部長でというような組織だったと思います。今後、省としての提言みたいなものを出すような予定はいかがでしょうか。
大臣:
省としては、まず第一にワクチンを考える、しっかりと厚生科学審議会の中に、そういった正式な部会がございますので、そちらで当然、本格的に考えていかなければいけないということになるのだろうなと思います。いずれにしても、顧問の先生方のゼロベースから考えていただいた大胆なこの考え方を基に、私どもとしても考え、そして厚生科学審議会でもしっかりと議論していかなければならないと思っております。
記者:
タスクフォース自体はこれで終了という認識でよろしいでしょうか。
大臣:
まだそれはそう決まったわけでもございませんので、とりあえず顧問から区切りとしてこういう提言が出されたということでございます。

(了)