塩崎大臣会見概要

H28.5.31(火)11:02 ~ 11:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から2点ございます。まず、「世界禁煙デー」、「禁煙週間」の実施であります。毎年5月31日は、WHO(世界保健機関)が定めた世界禁煙デーです。厚生労働省では、5月31日から始まる一週間を禁煙週間と定めておりまして、今年の禁煙週間は「2020年、受動喫煙のない社会を目指して」、副題として、「たばこの煙から子ども達をまもろう」というテーマを掲げまして、たばこと健康の問題について、国民お一人おひとりが認識を深めていただくよう、普及啓発活動を行ってまいりたいと思っております。本日のお昼休みに、丸の内オアゾにおいて、「世界禁煙デー記念イベント」を開催いたします。このイベントには私も参加する予定でございます。世界禁煙デー、禁煙週間は、喫煙と受動喫煙による健康影響について考え、国民の皆様方に禁煙と受動喫煙防止に取り組む機会としていただこうという趣旨で行うものでございます。二つ目は、有効求人倍率であります。平成28年4月の完全失業率は、前月と同水準の3.2パーセントでございましたが、有効求人倍率は前月と比べて0.04ポイント上昇いたしました。1.34倍となりまして、平成3年11月以来、24年5か月ぶりの高い水準となっております。また、就業地別の有効求人倍率につきましては、都道府県別に見た場合、前月唯一、1倍を下回っていたのが沖縄県でございました。この沖縄県も改善いたしまして、都道府県別に見ますと、昭和38年の本統計を取り始めてから初めて、全ての都道府県で1倍を上回りました。第2次安倍内閣が始まる前までは、1倍を超える県は8県しか無かったのですが、47都道府県全てにわたって1倍を上回るということになりました。現在の雇用情勢は、着実に改善が進んでいますけれども、海外経済の不確実性や、熊本地震の雇用については十分な注意が必要だと考えております。被災地における雇用対策をはじめ、地震で被災された皆様への支援、特に雇用確保の支援に全力で取り組んでいくとともに、「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいて、働き方改革などを引き続き着実に実施してまいりたいと思っております。以上でございます。

質疑

記者:
消費税増税の延期について2点うかがいます。今回、2年半先送りをするとした総理の決断について、大臣の受け止めをうかがいたいということと、厚労省としては消費増税分を当て込んだ社会保障の充実メニューを用意されていたかと思うのですが、増税延期による社会保障政策への影響についてどのように考えるのか、それにどのように対応していくのかお教えください。
大臣:
消費税の引上げの是非については、総理が繰り返し国会などでお話申し上げているとおり、総理自身が関係者の御意見をしっかりと聞いたうえで適時適切に判断するということで、夏の参院選前に明らかにするということを繰り返しおっしゃっていたわけであります。いろいろな報道がありますが、正式にこのようにするということを私達はまだ聞いておりませんので、早晩、夏の参院選前に発表が行われるだろうと思います。仮に、消費税増税の実施時期が延期されるという場合の社会保障の充実などについてどうするのかということでありますが、これはまず総理自身がどうするのかということを正式に発表していただかないと、何とも反応のしようがないということであります。今、総理が関係者の意見を聞きつつあるわけでありますので、適時適切に御判断していただけると思います。また、政府与党内での意見も調整中と聞いておりますので、仮定の段階の質問にお答えするのは難しいと思います。総理が御判断されれば、社会保障を与る担当大臣としてはしっかりと対応していきたいと思います。
記者:
先日、児童福祉法が改正されましたが、それについて2点おうかがいします。1点目は、改正に対する大臣の受け止め、意義がどのようなところにあるのかということをお聞かせください。2点目は、東京23区と中核市に対して、5年後をめどに児童相談所を設置できるように政府が支援するということになっておりますが、特に中核市では人材育成や財政負担への懸念から消極的なところも多く見られるのですが、それに対して政府として何ができるのかということをお聞かせください。
大臣:
今回、児童福祉法を抜本的に改正し、可決、成立いたしました。私としても、児童虐待が深刻さと数を増している中で、今回の児童福祉法の改正が成立したということについては、大変感慨深い思いであります。特に、子どもの権利を初めて日本の法律の中で明記しました。今後、司法関与の問題であったり、今回の改正で市町村が支援の主体として、都道府県レベルの児相(児童相談所)の措置などを受けて、あるいは措置ができない場合も含めて市町村が行うということでございますので、国、都道府県、市町村が新たな役割と責任をきっちりと担いながら、子どもの健全な育成を図り、子どもを守るために、まず子どもの権利を定めることが最も大事な一歩ではないかと思います。もちろん、家庭養育が大事だということも明確にさせていただきました。したがって、まずは家庭、もしくはそれに匹敵するような環境、それがかなわない場合には施設ということもあろうかと思いますが、そういう理念を明確にするということをさせていただいたことに、私は大変意味があると思います。実施主体として国がまず責任を明確化し、例えば、今まではっきりとしていなかった、統計をしっかりと取って、常に全国の都道府県、市町村でどういうことが行われるかということを把握するという責任を明確化させたことが国の責任としてあります。児童相談所の機能を格段に強化するということが大事だということで、児童福祉司の専門性を上げるための研修の義務付け、児童相談所に医師または保健師などの専門職を置くということ、その中には弁護士の配置、本当は必置にしたかったわけでありますが、弁護士の必置が無理であれば、それに準ずるような弁護士の関与のある体制を児相で構えるということにしました。児相の数も、特別区と中核市については、私どもは財政的にも人材面でもしっかりと応援する中にあって、5年以内に何とか全てに児相が設置されるように、児童相談所の数についてもお願いしようということです。もちろん、人が担っていくわけでありますから、「児童相談所強化プラン」を既に発表しておりますが、その中で4年間で合計1,120名の児童福祉司、児童心理士、保健師といった専門性の高い人達の体制強化なども大事だと思っております。中核市、23区の問題につきましては、今、必ずしも前向きではないかのような御発言がございましたが、個別にお話をしてみますと、みなさんは極めて前向きであります。ただ、財政的にどうなのだろうか、人材の確保は大丈夫なのだろうかという二つについての懸念が強いということなので、ここをしっかりと手当てできさえすれば、みなさん自ら児相を持ちたいと思っているのではないかと感じるくらい、極めて前向きでございます。そこは政府の責任において支援するということが大事だと思いますので、今後、私どもとしてもさらに努力を重ねてまいりたいと思っております。
記者:
待機児童の問題に関連して1点おうかがいします。杉並区が、公園内に保育所などを設置しようとしたところ、周辺の住民から反発が相次いで説明会を開いても理解が進まないことになっていますが、保育所を新設しようしてもなかなか近隣の住民から理解が得られない今の状況を、大臣としてはどのように受け止めているかをお願いします。
大臣:
今朝、私もテレビで拝見いたしまして、物事というのはそう簡単ではないと思いましたが、私どもの3月の緊急対策の際にも、公園などを活用するということについては、是非、御検討いただきたい、これは自治体がやるやり方の一つとしてそういうこともあり得るのではないかということを申し上げたところであります。しかし、今、御指摘のように住民の賛成が必ずしも得られないケースがあったということだと思いますが、やはり子育ての環境整備は地域の社会の温かい支援が必要だと思いますし、理解と協力が無くてはいけないと思います。ここはいろいろなケースがあり得ると思うので、今回のケースでも報道などを拝見いたしますと、公園の3分の1を保育園のスペースに充ててしまうということで、3分の1のスペースが無くなることについてのいろいろな御意見、まさに子育て中のお父さん、お母さんを含めていろいろな意見があると思います。一方で、世田谷の砧(きぬた)公園のような、大きな公園もありますから、そこに一つ作ってもスペースを奪われないということでありましょうから、それぞれ自治事務としてどういうところを選んでやるかは、是非、地域の協力が得られるような形で公園の活用も含めてお願いしたい。待機児童の解消は、待ったなしの最優先課題だと考えております。
記者:
消費税増税先送りについて、総理から正式な発表がないということでしたが、一部では意見が割れている部分があるようで、大臣御自身は予定どおり引き上げるべきとお考えでしょうか、それとも先送りすべきとお考えかという部分と、また、明日、国会が会期末を迎えるということで、今国会を振り返っての所感をお願いします。
大臣:
消費税は、総理が今、鋭意話し合いを続けているわけでありますのでこれは総理の決断を待ちたいと思っています。今国会は去年に比べるとだいぶ短いわけでありますが、それでも極めて多くの法律が国会の御理解の下で成立したと思います。いろいろな法律がございましたので、いちいち申し上げませんけれども、国民生活に本当に密着した法律、そして時代の変化に応じた、例えば高齢者の失業保険の適用であったり、御質問のあった児童福祉法も大変大きな改革であろうと思いますし、そういう意味で、この通常国会も大変意味のある国会だったと思っています。残念ながら、審議入りできなかった労働基準法等の改正、これは施政方針演説で働き方改革を全面に打ち出して、同一労働同一賃金への踏み込みということも申し上げた安倍内閣としては、労働基準法の改正はやはり労働時間法制の改正というふうにくくれると思いますが、休暇の取得であったり、割増賃金の残業に関する中小企業への当てはめだったり、大変意味のある、働く人にとってプラスのものがたくさん入った法律だと思っていますので、1日も早く審議に入っていただいて、成立を期したいと思っています。
記者:
今の労働基準法の関係でおうかがいしたいのですけれども、積み残しの法案としては公的年金法案、大臣がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ガバナンスについて議論された部分もあると思いますけれども、臨時国会はおそらく開かれると思いますが、公的年金法案と労基法案の審議入りについてどうすべきか、国会の判断もあると思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
大臣:
これは既に国会に提出している法案でありますので、私どもが判断するものではなくて、国会が順番を判断するということでありますけれども、いずれも大変重要な法案でありますので、是非いずれも次の臨時国会で成立することを期待したいと思います。

(了)