塩崎大臣閣議後記者会見概要

H28.2.26(金)10:01 ~ 10:18 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から、ジカウイルス感染症について申し上げます。2月24日、神奈川県におきまして、ジカウイルス感染症疑い患者が報告され、昨日25日に国立感染症研究所における検査の結果、陽性と判明いたしました。我が国でジカウイルス感染症患者が発生したのは全て輸入症例でありまして、4件目であります。今般の中南米におけるジカウイルス感染症の流行後としては初めて発生したことになります。患者は2月9日から20日までブラジルに渡航しており、現地で感染したものと考えられます。今回は発疹が出たことを受けて、医師が的確な判断をされたということでございました。ジカウイルス感染症は、主に蚊が媒介する感染症でありまして、現在、国内は蚊の活動期間ではないことから感染が拡大するリスクは極めて低いと思っております。また、ジカウイルス感染症は一般的に軽症でありまして、重症化するリスクは極めて低いわけでありますが、流行地域へ渡航する場合は、現地で蚊に刺されないように注意してもらうことが第一でありますが、特に妊婦の方には渡航をできるだけ控えるようお願いしたいと思います。このほか、性交渉による感染リスクも指摘されておりまして、流行地域から帰国した男性で、パートナーが妊娠中の場合は、症状の有無にかかわらず、妊娠期間中は性行為の際に、コンドームを使用していただきたいと思います。もし、流行地から帰国後に、発熱、発疹などの症状が出て、医療機関を受診する場合には、ジカウイルス感染症の適切な診断につなげるために、医師に流行地に渡航したという事実をお伝えいただきたいと思います。また、症状がなくても感染が心配される場合は、遠慮なく検疫所や保健所に御相談いただければと思います。さらに、今後のジカウイルス感染症の診断に役立ててもらうように、今回の患者の発見の経緯につきまして、日本医師会などを通じて、その情報をお伝えし、全国の医師にこの情報が届くようにしてまいります。なお、詳細は岸田大臣から発表されますが、外務省において、ジカウイルス感染症の拡大を受けて、世界保健機関等への緊急無償資金協力の実施が決定されたと承知しております。ジカウイルス感染症対策につきましては、昨夜、関係省庁対策会議で、今後の対策について確認したところでありまして、蚊の活動期に備え、引き続き、関係省庁と連携し万全を期してまいりたいと考えております。以上、私からの御報告でありました。

質疑

記者:
今回の感染者ですが、空港のサーモグラフィなどの水際対策では捉えきれず、この感染症の水際対策の難しさが改めて分かりました。この感染症に対する水際対策の効果についてどうお考えかという点と、それを踏まえて今後自治体に対して対策で期待することをお聞かせください。
大臣:
今回の患者さんの発見に当たっては、帰国時の検疫所への申告が無かったということ、サーモグラフィによる体温測定でも発熱が確認されなかったということでありまして、また、ジカウイルス感染症は、デング熱と同様に感染しても症状が現れないケースも多いわけでありまして、水際対策のみで対応が十分なものと元々考えていたわけではありません。このため、昨日開催いたしました関係省庁対策会議では、まずは蚊に刺されないことが重要であることから、中南米の流行地域への出国者等に対する注意喚起をさらに徹底することを申し合わせたところでございます。また、先ほど申し上げたとおり、今後の診断に役立ててもらうように、日本医師会などを通じて今回の患者さんの発見の経緯の情報などをしっかりと周知をするととともに、帰国者が医療機関を受診する場合には、医師に流行地に渡航したことを伝えてもらうという啓発、普及を行うことも大事であります。蚊の活動時期に向けて、自治体としっかりと協力しながら蚊の駆除を行ってもらうようにするなど、引き続き様々な対策を取っていきたいと考えております。
記者:
国勢調査と選挙制度改革の件でおうかがいしたいと思います。本日、2015年の国勢調査の速報値が明らかになりました。もし、アダムズ方式を適用すると、大臣の地元の愛媛も削減の対象となります。今後、選挙区の調整などが必要となる可能性がありますが、アダムズ方式を含めて大臣のお考えをお聞かせください。また、そうなると地方選出の議員が減る傾向が強まりますが、それについてどう考えるかもお聞かせください。
大臣:
7増13減ということであったものが、9増15減になると今日の速報で変わったと聞いております。山口県と福島県がそれぞれ減るということのようでありますが、愛媛県は引き続き減る県になっているわけでありまして、これは元々佐々木先生を中心とした有識者の皆様方からの御提案によって、先般総理も次の選挙に間に合うように対応するということでありますので、この数字を受けるのか受けないのか、そこはこれからの議論だろうと思いますが、基本的にはこういうことを踏まえた上で今後どうするかを、先般の総理の方針に従って、次の選挙に間に合うように対応していくということだろうと思います。また、地方の声が少なくなるということでありますが、憲法の解釈からいけば、前回の選挙も違憲状態という指摘を受けているわけでありますから、この地方の声をどう生かすかということと、憲法の定めからみて、今の選挙の仕組みに問題があるという指摘については正面から受け止めて、その両方を折り合いをつけるということを考えていかないといけないのではないかと思います。知恵を出さなければいけないのだろうと思います。1番大事なのは、石破大臣が担当していただいている地方創生で、地方の人口が増えるようになる、今まさに東京一極集中を解消しようと言っているわけでありますから、人口が増えるためには、若い子育て世代を含めて働く場も地方にできるということが大事なので、やはりアベノミクスをしっかり回していく、そして新しい働き方を作っていく、今やりつつあることをさらに加速するということが大事になってくるということは同時に言えることではないかと思っています。
記者:
ジカ熱の関連で1点うかがいたいのですけれども、デング熱の際に作られた予防指針に今後ジカ熱を追加するなど、そういう対策を行うような検討をするお考えはありますでしょうか。
大臣:
当然しかるべき対応は今御指摘いただいた点も含めて検討していきたいと考えております。
記者:
同一労働同一賃金について、2点ほどおうかがいします。先日の一億総活躍国民会議で、総理のガイドラインを作るという指示があったと思いますが、これは現行の労契法(労働契約法)20条の不合理であってはならないということを明確にするということかと考えますけれども、現在の法制下で格差が大きいという現状からして、不合理の基準を明確にするだけでこれが十分なのかどうかという点について、法改正に向けた基本的な考え方も踏まえてうかがいたいというのが1点です。2点目は、国民会議や自民党の先日のPTなどでも経済界から発言がされていますけれども、総論としては賛成ということですけれども、例えば、経団連は正社員と非正社員の処遇差を説明するのは難しいですとか、日商(日本商工会議所)などからはガイドラインで整理するのは簡単ではないというようなかなり慎重な発言が相次いでいるように思いますけれども、こうした経済界の発言をどのように受け止めていらっしゃるか、またはその対応をどのように考えていらっしゃるかをおうかがいします。
大臣:
今回、総理から施政方針演説で、同一労働同一賃金の実現に踏み込むということで議論が本格化しているわけでありまして、先般、国民会議でこのことについても、メインのテーマの一つとして議論をさせていただきました。水町先生からも、ヨーロッパなどの実態、それから国内でそれをどうすべきかなどということも御指導していただきましたけれども、女性、若者などが多様で柔軟な働き方が選択できるというのが1番大事な働き方改革の神髄ではないかと思います。この同一労働同一賃金の実現に向けて検討するということを総理の指示で今行いつつあるわけでありますけれども、今後こうした新しい働き方の改革をするに当たって、この同一労働同一賃金をどう法的に担保するのかということについては、やはり日本の雇用慣行というものには留意をしながら、新たなあるべき姿ということを議論するということを総理から指示を受けたものだと私は受け止めているわけであります。総理の指示にあったように厚生労働省と内閣官房が協力して、法律家などからなる専門的検討の場を立ち上げる、諸外国の実態も踏まえて様々な角度から検討しようという御指示だったと私は受け止めていますので、法改正の必要性については、どういうふうにするかは各国のことも踏まえて、日本の雇用慣行の実態を踏まえ、なお新たな働き方としてどうするのかということを様々検討していくことだろうと思いますので、どういうふうにするのかはこれからの議論であります。それと、経済界の御意見は国民会議でもお聞きをしました。いろいろお考えをお持ちで、変化をどう実現するのかに関して検討しなければいけないことを考えておられるのだろうと思いますが、いずれにしても、新しい働き方、そして本当の意味で活力のある経済社会を作っていこうという大きなテーマを総理が指示をしたと私は受け止めております。この間の国民会議で申し上げましたけれども、単に経済の好循環だけではなくて、経済社会の好循環、つまり一人ひとりの人生や家庭生活などが好循環として上手く回っていくために、どういう働き方がふさわしいのかということを経済界も御一緒に考えていただくことが大事なことかなと思っています。
記者:
冒頭の質問に追加で質問なんですけれども、ジカ熱について、水際での防止というのはかなり難しいということでしたけれども、今回、検疫所での申告の呼びかけについて十分だったとお考えでしょうか。不安な方は申し出てほしいと大臣はおっしゃいましたけれども、今後、空港での呼びかけなど、さらにこれから強化するような取組などはありますでしょうか。
大臣:
今回特に水際では検疫の皆さんには当然ジカ熱について、特に留意をするようにということをしっかり私どもからは伝えているわけであります。さっき申し上げたように、熱もまだ出ていなかったということで、御自身も蚊に刺された記憶もあまり定かではないということのようでありますから、なかなかその段階で押さえるということは難しかったのかなと思います。いずれにしても、中南米の流行地域に行った方は、しっかりと注意をしておくように私どもとしても伝えられる限り、伝えていきたいと思います。

(了)