塩崎大臣閣議後記者会見概要

H28.2.16(火)10:00 ~ 10:13 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私からはございません。

質疑

記者:
今国会提出予定の年金関連の法案なのですが、今朝の自民党の会合でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式直接投資については見送られる方向が固まったようなのですが、大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣:
今朝、自民党のPT(プロジェクトチーム)があって、年金の法案についての、特にGPIFの部分についての御了解を得られたと聞いております。年金に関するプロジェクトチームということで、GPIF改革の方針が認められたわけでありますけれども、今回の改革は、GPIFが国民から一層信頼される組織体制をどう確立するかということが問われており、私が大臣に就任して以来、様々な議論を重ねてきたわけですが、信頼を得られるということが大事だとかねがね思ってきたわけでありまして、そのためには伊藤隆敏先生などが行ってきた有識者会議の中でも提案されておりましたけれども、合議制の導入をするというガバナンスの改革を行いたいと考えていたわけであります。一方で、伊藤ペーパーにも運用の見直しというものがあって、これについては第一歩として基本ポートフォリオの見直しが行われてきてまいりましたが、積極的な立場、消極的な立場がありましたが、運用の手法を多様化するということについての御意見が交わされてきたと聞いておりまして、現段階での今日の仕切りでは株式のインハウス運用までは踏み込まないが、早急に手当が必要なリスクヘッジの手法については多様化を行うという意見が多かったと聞いております。今国会に法案を提出することを考えておりますので、引き続き今日の改革の方針が了承されたことを受けて、法案化作業を加速化させたいと思っております。
記者:
川崎市の老人ホームで入所者の転落死が相次いだ問題で、元職員が殺人容疑で逮捕されたという報道が今日あったのですが、これについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
この問題については現在捜査が行われておりますので、個別のことはコメントしづらいわけでありますが、報道どおりだとすれば極めて許し難い行為であります。この有料老人ホームの経営主体の株式会社メッセージに対しては、既に厚労省から厳しく対応しておりますけれども、介護事故に関する自治体への報告漏れが多数あったりしておりまして、私どもの方から業務管理体制等についての勧告を行ったわけであります。現在、改善状況の報告を受けて、指導を実施しているところでございまして、いずれにしても、厚生労働省としては自治体と連携をして、有料老人ホーム等施設における虐待防止に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
記者:
GPIFの関連なのですが、今朝、了承された案では施行3年後の見直しも書き込まれていましたが、大臣御自身、ガバナンスと運用の車の両輪とおっしゃっていましたが、現時点でのインハウス運用に対する考え方をお聞かせください。
大臣:
今回様々な議論が出て、年金部会でも賛成、慎重いろいろありました。世界のグローバルスタンダードは、どちらかというとインハウス運用をやっているところが多いということで、元々GPIFが自主運用するというときに、株式の運用について国が関与するということについては慎重であるべしということで、法律で認められないような定めになってきたわけであります。今回、それを行うことについてどう考えるかということでありましたが、何よりも大事なのは、組織として国民の皆様方、つまり年金の受給者、あるいは加入者などの方々から信頼されることであります。信頼されるのは、運用を担う組織のガバナンスがきちんとしているということが何よりも大事だと私は考えてまいりました。今回、合議制の組織になるということですが、一人で全ての運用に最終責任を負うという、これもグローバルスタンダードではないのでありまして、他のところは大体合議制の組織になっているというのが通常であります。もう一つ大事なのは、運用する能力を持ったスタッフが十分いるかどうか、これを決して忘れてはならないのであって、組織としてガバナンスがしっかりしていることと、人材を充実して、多様化した運用手法を取っても国民が信頼をしていただける構えをしなければならないのではないかと思っておりますので、今回、自由民主党のPTで御議論いただいておまとめいただいた、今回のGPIF改革の方針について、私は今回行けるべきところまで行っているかなと思っております。いずれにしても、国民からの信頼をどう勝ち得るか、回復するかが大事であると思います。
記者:
川崎市の老人ホームについて関連なんですけれども、業務管理の体制について勧告を行っているということですけれども、今までは事件か事故か分からなかった状況がありました。これで事件だということが確定ではないですけれども、かなり濃厚になったわけでありますけれども、これを受けて追加の対応等何か考えることがあったら教えてください。
大臣:
先ほど申し上げたように、捜査中の案件でございますので、私どもとしてはこのようなことがなぜ、どのようにして起きたのかということは、もちろん知りたいことではありますけれども、これは捜査当局ともよく連携して、そして何よりも監督主体である自治体がどう考えて、どう行動して、何を決定するのかということについても緊密に連携してまいりたいと思います。
記者:
川崎の件で同じく関連なんですけれども、介護の現場でのショックもすごく大きいと思うんですけれども、厚労省として踏み込んだ虐待防止対策をしていくお考えはあるのでしょうか。
大臣:
これは都道府県に届出をして、都道府県が監督している、そういう体制になっているわけであります。その中で、こういう形で全国のチェーンを持っている組織がこのようなことを行った、この報告漏れなどを見ますと、全国でそういうふうになっているということでもありますので、私どもとしてはやはり監督の目は行き届くようにしなければいけないということは当然思うところでありますので、私どもとしても今回のことが何を意味するのかということはしっかりと検証してまいりたいと思います。
記者:
ハンセン病の関係で1点おうかがいさせてください。昨日、熊本地裁でハンセン病の元患者の家族の方たちが国への損害賠償と謝罪を求めた訴訟を起こされました。9月には鳥取地裁の方で患者の子が受けた差別への対策を怠ったという国の責任について、一般論の中で判決で示されていることもあります。今回の熊本地裁の提訴への受け止めと、家族への救済について大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
これは以前にも御質問がございましたけれども、昨日、熊本地裁に提起をされたということでありまして、私どもはまだその訴状をいただいておりませんので、報道以上のことは承知をしていないことでございます。したがって、これについての具体的なコメントは差し控えたいと思いますけれども、厚労省はこれまでずっと「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」というものに則って、ハンセン病対策に全力を挙げてきたわけであります。私も昨年多磨全生園にまいりまして、元患者の皆様方とも直接にお話をしてまいったところでございまして、私どもとしてはこのハンセン病対策に全力を引き続いて傾けていきたいと考えています。
記者:
先ほどのGPIFの関係でお尋ねしたいんですけれども、大臣は今お答えの中で、充実して多様な運用手法を取っても国民が信頼していただける構えをしなければならないとおっしゃっていたと思うのですけれども、今後インハウス運用に向けて、そういう人材を充実させていくべきだと現時点ではお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
元々、去年のポートフォリオの見直し時もありましたし、それ以前にもいわゆる「プライベート・エクイティ」について導入をする際にも、運用能力の充実と合わせてということが書いてあったと思います。ですから、それは何を目的というよりは、今やっている運用においても人材の充実というものは極めて大事であって、これは国民の信頼を得るためにも、しっかりとした体制で組織的にも人的にもしっかりと運用ができるということを分かっていただけるようなことが大事であるということで、何か特定のことを目的として人材を増やそうとか、育成しようとかいう話では全くないと思います。

(了)