塩崎大臣閣議後記者会見概要

H27.7.24(金)10:00 ~ 10:14 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から2点ございます。まず、第1回「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部」の会合が開かれました。去る5月27日に成立をして、6月25日に施行されました平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法に基づいて、第1回目の「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部」が今朝官邸で開催をされました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた政府の取組事項の進捗状況について、遠藤大臣から報告があったところでございます。2点目は、本日、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されました。この大綱は、過労死などをなくすことなどを目的として、昨年、制定されました過労死等防止対策推進法に基づきまして、国などが行う調査研究などの各対策を効果的に推進するため、政府として今後おおむね3年間における取組について定めるものでございます。厚生労働省としては、本大綱に即して、関係行政機関ともしっかりと連携して、過労死などがなく、健康で充実して働き続けることができる社会を実現すべく取り組んでまいりたいというふうに思っております。以上2点が私からの冒頭発言でございました。

質疑

記者:
今、過労死の大綱の話がありましたが、一方で今国会には労働基準法の改正案が提出されています。これに含まれる高度プロフェッショナル制度は、労働者の方などから、長時間労働を助長するのではないかといった意見も根強くあります。これについて、大臣としてはどのように考えていらっしゃいますか。
大臣:
まず、今回の労働基準法等の一部を改正する法律案には、様々な施策が新たに示されております。例えば、働き過ぎの関係で言いますと、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引上げ、これは留保されていたわけでありますけれども、現在の25パーセントを50パーセントにするという引上げが、いろいろと業界の中で御意見がありましたけれども、今回これを引上げることにしておりますし、それから年次有給休暇の取り方でありますけれども、これについても年に5日は確実に取得できるというか、会社の方から指定をするという仕組みを初めて作るということでございまして、そういったことも多々入っているということを、まず御理解をたまわりたいというふうに思います。その中に多様で柔軟な働き方の実現の一つとして、高度プロフェッショナル制度の創設が盛り込まれておりますが、その他にもいろいろありますけれども、その制度の対象となる、この高度プロフェッショナル制度ですね、これについては健康確保のための十分な措置を使用者に求めるということが明記をされている法律でもあるわけでございまして、今回の大綱と同じ方向を向いている法律というふうにお考えをいただければと思います。
記者:
都内の複数の福祉事務所の方で、自立支援医療を行う医療機関の職員が、生活保護受給者を自分の医療機関に紹介するという、行政と医療機関の癒着が疑われかねない不適切な事例があったのですが、これに対する大臣の受け止めというのが1点と、またこの医療機関で、患者をシェアハウスなどの劣悪な環境に住まわせたり、生活保護費を管理して患者にお金を持たせないなどの行為を行っていたという報道もありました。こうした貧困ビジネスと言えるような手口に対して厚労省として何か対策を取るかという、この2点をお願いします。
大臣:
今回、報道を一部されていますけれども、国庫補助事業でございます「健康管理支援事業」というのは、在宅の生活保護受給者で、精神的疾患などがある方達に対して、精神保健福祉士、又はこれと同等以上の資格を有する方に通院指導や服薬指導などを行ってもらうものでございます。仮に今お話がございましたような支援員が、特定の医療機関に通うことが例えば生活保護の条件だというようなことを言ったとすれば、医療機関への受診についてはあくまでも本人の意思でありますから、当然支援員が強制するようなことがあってはならないことでございます。この件については、東京都を通じて事実関係を私どもとしても把握をするとともに、東京都によって適切な取扱いが行われるように努めてまいりたいと思っております。それから、劣悪な環境に置かれながら、言ってみれば利用されているのではないか、悪用されているのではないかという御指摘でございますけれども、この生活保護を受給している人につきましては、保護の実施機関であります福祉事務所が、訪問調査によって生活実態を把握するということが必要なわけであります。ケースワーカーの訪問調査によって、今御指摘のような著しく狭い場所とか、あるいは劣悪な住居に居住している場合などは、より適切な居住環境の中で住んでいただけるような指導・支援を行うことになろうかと思いますが、今回の件につきましては、先ほど申し上げたように、東京都を通じて状況を把握することとなっておりますが、東京都にはしっかりと適切な指導を行っていただくよう、私どもとしても努めてまいりたいと思っております。
記者:
最低賃金についてお尋ねいたします。昨日の経済財政諮問会議で、安倍首相から最低賃金の大幅な引上げが可能となるよう、中小・小規模事業者の方々や、サービス産業の生産性向上に全力を挙げるというお言葉があったようですけれども、すでに経産省の方で中小企業向けの相談窓口の設置などの発言があったようですけれども、厚労省として何か対策を打つお考えはございますでしょうか。
大臣:
昨日(経済財政)諮問会議で、最低賃金については、その前の諮問会議で総理からも問題提起があって、それを受けて最低賃金の議論が行われたところでありますけれども、私の方からも最低賃金の改定によって賃金を引上げることになる労働者の割合というのは「影響率」と呼んでいますが、昨日この影響率の推移というものをお示しをしましたが、年々高くなっていて、中でも中小企業の影響率が高まってきているということになります。同時に、生産性が低い産業、ここでは影響率が高いと、こういう傾向が同時にありまして、生産性を向上させながら、最低賃金を引上げていくということが重要であるということを私の方から説明をいたしました。生産性の業種別、影響率の業種別といったグラフをお配りしましたけれども、総理からは最後に政府として大幅な引上げが可能となるよう、中小・小規模事業者の方々の環境整備とか、サービス産業の生産性向上に全力を挙げることとすると。関係大臣には最低賃金引上げに向けてしっかりと対応していただきたいという御指示がございました。御案内のように来週の火曜日も開かれますけれども、中央最低賃金審議会、ここで火曜日には第4回目の審議が行われまして、現時点で私から具体的な内容についてのお答えはできませんけれども、この春の賃金上昇率とか、あるいは物価の動向とか、こういったものを踏まえて実質的に生活水準向上するために最低賃金の引上げをどうすべきかということについて、しっかりとした御議論が行われるんではないかというふうに私どもとしても期待をし、またそのように思っているところでございます。
記者:
過労死防止大綱についてなんですが、過労死の要因となっている長時間労働とか、残業時間というものに上限を設けなかったわけですが、これで過労死の防止というのをどうやって実効性を担保していかれるのでしょうか。
大臣:
長時間労働の削減とか、そういう今御指摘のようなことがもうすでに対策として実行をしているというところがございまして、今回はそれを特に明示しているということではないということでありますけれども、過労死等防止対策推進法、ここでは調査研究の早急な実施と、その成果を踏まえて種々の対策に取り組むことが基本的な理念だというふうに書いてありまして、大綱は言ってみれば第一歩と言うべきものであって、厚生労働省としては、将来的に過労死等ゼロを目指すという決意をお示しする、言ってみれば第1回目の大綱ということでございまして、同時に「かとく(過重労働撲滅特別対策班)」なども設けながらやっているわけでございます。
記者:
先日、企業年金について、第3の年金の創設を検討しているというような一部報道がありましたけれども、この事実関係についてお願いします。
大臣:
あそこに出ていたのは、いわゆる確定拠出(年金)と確定給付型(年金)の二つのまたもう一つ別と言っていますが、運用を個人じゃなくて企業がやるということはあり得ないかということを議論するというふうに聞いていますが、まだ細かく聞いておりませんけど、言ってみればバリエーションとして考えられないかということが議論されるのかなと思っておりますが、まだ具体的に、私の方に、どうするかという具体的な話はまだ詰めているわけではございません。

(了)