塩崎大臣会見概要

H27.4.30(木)17:13 ~ 17:29 省内会見室

広報室

会見の詳細

社会保障審議会医療分科会の意見書について

大臣:
東京女子医科大学病院及び群馬大学医学部附属病院については、御案内のとおり、社会保障審議会医療分科会、ここで、特定機能病院としての取扱い等について御審議をいただいてまいりました。本日、同分科会におきまして、いずれの病院についても承認の取消しが相当であるという意見書が取りまとめられました。同分科会からは、これらとあわせて、特定機能病院等の医療安全管理体制に関する意見が厚生労働大臣宛に提出をされまして、先ほど受け取りました。高度な医療を提供する特定機能病院において、重大な医療安全管理上の問題が相次いで発生をしてきておりまして、このような事態となったことは大変遺憾であります。両病院については、今後、所要の手続を経て、5月中を目途に処分を行うことにしたいと思っております。つまり、承認を取り消すという意味であります。また、両病院に対しましては、意見書の御指摘を踏まえて、改めて、患者、国民の視点も含めて、事案の要因分析を行って再発防止策を見直すとともに、ガバナンスの強化という観点からの大学及び大学病院の体制の抜本的な見直しを行います。それから、中立的な立場にあります外部の方が、改善策の実施状況をチェックする仕組みの導入などに取り組むことを強く求めていきたいというふうに思います。両病院には、今回の意見書の指摘等を厳粛に受け止めて、高度の医療を提供する医療機関として、患者、国民の信頼を回復できるように、真摯に取り組まれることを期待したいと思います。大学病院等において、医療安全に関する重大な事案が相次いで発生していることを踏まえて、そしてまた、分科会からの意見書にありますように、その背景として、病院管理者、つまり院長でありますが、この病院管理者が権限と責任を持って病院を管理運営していくための必要なガバナンスというものが問題になっていることが明らかになりました。こうした大学病院などのガバナンスに係る体制を抜本的に見直して、医療安全を確保するために、厚生労働省と文科省が連携をしまして、対応策を講じていくことが必要であると考えております。このため、同分科会の御意見も踏まえて、私の指示によりまして、「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を設置したところでございます。このタスクフォースにおいては、まず、特定機能病院の承認を受けている大学病院などに対しまして、集中的な立入検査を実施し、大学病院等の組織としての管理運営面に絞った検査、そして実態把握を行うこととしたいというふうに考えております。さらに、検査の結果などを踏まえて、特定機能病院の承認要件あるいは立入検査の項目とか、方法の見直し、そしてまた高難度の新規医療技術の導入プロセスの見直し、こういったものにつなげていきたいと考えております。大学病院をはじめとした高度な医療を提供する病院について、ガバナンスの強化、医療の安全管理体制の整備が図られるように文部科学省とも連携をして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

質疑

記者:
高度な医療を提供するべき特定機能病院において、こうした事案が相次ぎましたが、改めて所管大臣としての遺族の方への思いと国民に向けてのメッセージをお願いします。
大臣:
まず、高度な医療を提供するはずの特定機能病院で、このような大変残念な事案が連続して発生したということについては、大変遺憾でありますし、私どもとしても、監督する立場として大変申し訳ないと思っております。今回のことについては、組織として事例を把握し、原因を分析、再発防止に取り組む体制ができていない、ガバナンスができていないということがあらゆるレベルにおいて、それぞれの病院で見届けられたということでありまして、今後タスクフォースを立ち上げて、しっかりと実態把握をして、これからどうするかを考えていきたいと思っております。
記者:
特に遺族の方への思いというものをもう少しお聞かせください。
大臣:
先ほど申し上げたとおりで、高度な医療を提供するはずの所で、このようなガバナンスの不備の中で、こういう形で大切な命が失われたというのは大変残念なことで遺憾に思っております。
記者:
今回病院に対する処分が出たわけですが、厚労省が所管する医師法には医師に医療に関する不正があった場合は、免許取消等の処分を行うことができるとされています。この是非の判断をするために、厚労省は検査をすることができますけれども、二つの病院の事案につきまして、個人の行政処分のための検査を行うことを検討されるつもりはありませんか。
大臣:
先ほど申し上げましたように、今回いただいた分科会からの意見書というのは、特定機能病院としての取扱いについての意見書であります。タスクフォースについては、まずは、大学病院など特定機能病院の在り方について、どこに問題があるのかということについて改めて立入検査をして調べ直そうということでありまして、医師個人に対する行政処分などの取扱いについては、この特定機能病院としてのガバナンスの在り方についてしっかり見ていくというのを優先していくわけでございますので、そのような問題については今後検討していくことになると思います。
記者:
本日、旧ソ連の抑留者で死亡された方々の名簿が公開されました。シベリア抑留だけでなく、北朝鮮や中国、樺太で抑留して死亡された方々の名簿も公開されたわけなのですが、改めて今回すべて公開するに至った理由、意義についてお聞かせください。
大臣:
ロシア連邦政府などから提供された抑留者に関する資料のすべてについて、その概要と主な記載事項等を今回公表するということになりました。提供された資料のうち、死亡者に関する資料につきましては、従来のシベリア・モンゴル地域に加えて、今お話がございました興南、大連地域なども含めて全地域の死亡者名簿を厚労省のホームページで公開をいたしました。今後、御遺族からの問い合わせに応じるとともに、日本側資料との照合、死亡者の身元の特定に努めて、御遺族が判明した場合には、御遺族に資料の記載内容をお伝えしようと思っております。今回シベリア関係を優先していたということで、発表が遅れたということは大変申し訳ないと申し上げたとおりでございまして、改めて今回すべてを公開したということであります。
記者:
タスクフォースについておうかがいいたします。迅速に集中的な立入検査をされるということでありますが、このスケジュール感を教えていただきたいのと、集中立入検査の結果を踏まえてですね、特定機能病院の承認要件を満たしていない病院が出た場合は取消しということになるのでしょうか。
大臣:
まずタスクフォースにつきましては、スケジュール感は、第1回目の会議を連休明け11日の週に開催をしたいというふうに考えてございます。
記者:
特定機能病院の集中立入検査をいつくらいまで行うのかというのと、集中検査を、立入検査を行った結果、要件を満たしていないような病院が出た場合の処分というか、指定取消しというのがあるのでしょうか。
大臣:
今お話のように、当然立入検査をしていろいろな問題が出てくるかも分からないということでありますから、それはそこでどういうことが出てくるのかということを踏まえた上で判断をしていかなければならないというふうに考えているわけでありますので、いつまでということでありますが、行ってみないと分からないので、できるだけ早く全ての今回対象として考えている特定機能病院、これを我々としては早く立入検査をしたいと。特に今回は、全部を見ようというのじゃなくて、特に安全管理などについての病院としてのガバナンスがなっていないというケースがこの二つであったと。例えばチーム医療としても、お互いのチェックというのが効かなければ意味がないわけであって、(分科会でも)チェックとしての機能を果たしていなかったということも分かったわけでありますので、そういうようなことをまず実態を把握することが第一というふうに考えております。
記者:
チェック機能という点では、確かに大学病院内でのチェック機能、ガバナンスが効いていなかったということが言えると思うんですけれども、一方で厚労省は、年1回立入検査を行っているわけで、特に東京女子医大については、意見書で検査に問題点があったが十分改善されていなかったと書かれています。そういう意味で厚労省のチェックの在り方というのがどうだったのかというのをうかがいます。
大臣:
(東京)女子医大に関しては、この(平成)19年に再承認をしたということは今御指摘のとおりでありまして、年1回立入検査も行ってきた、その中で、医療安全の管理体制についても確認をして、指導もしてきたわけでありますけれども、こうした医療安全管理体制が現実の問題として、漏れなく機能していたわけでは決してなかったということが今回分かったわけであって、個々の事案に関する問題点と医療現場の実態を厚労省としても十分把握ができていなかったということは率直に認めなければいけないというふうに思っているわけでありまして、したがって、今回タスクフォースを作って、私自らが本部長でありますが、この集中的な立入検査の結果を踏まえて、承認基準はもとより、立入検査の項目とか、方法等が今まで十分であったらこういうことになっていなかったかも分からないということを考えれば、それの見直しも視野に検査をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。

(了)