田村大臣閣議後記者会見概要

H26.7.1(火)10:45 ~ 11:04 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私からは御報告ありませんので、御質問を頂きたいと思います。

質疑

記者:
政労使会議なんですけれども、この秋にも再開をする見通しになりました。甘利大臣の方からは労働時間規制の適用除外の話も含めて議論をするという御発言が出ているんですけれども、すでに労政審(労働政策審議会)の方で議論が本格的にこれから始まるところなんですけれども、厚労省としてどのようなスタンスでこの政労使会議に。
大臣:
甘利大臣の御発言を私自身は拝聴させていただいておりませんので、どういうお話をされたのかよくわからないんですけれども、基本的には新しい労働時間制度に関しましては、これは労働政策審議会で労使、それから公といいますか、専門家に入っていただいて御議論をいただくということになっておりますので、そちらの方で御議論をいただけるものだというふうに考えております。甘利大臣がおっしゃったのはたぶんそういうような話ではなくて、例えば、全体としての健康確保をどうしていくのかだとか、休日等々をどうとっていくのかだとか、たぶんそういうことも含めて、ワーク・ライフ・バランス全体のお話をされたんだろうなと。新しい労働時間制度に特化した話ではないんじゃないのかなというふうには、これは推測ですけれども、思うんですが、いずれにいたしましても、労政審の方で御議論をいただくことになろうといふうに考えております。
記者:
ベビーシッターの仲介サイトの件で、厚生労働省の調査で本人確認が不十分な例というのがかなり状態化しているということがわかりました。これに対して厚生労働省としてどのように対応していかれるお考えでしょうか。
大臣:
届出義務がないような無認可の施設でありますとか、そもそも施設形態ではないようなベビーシッターでありますとか、そういうところはなかなか自治体としても把握していないというようなこともわかってきたわけでありますし、また、保育をする方々の研修も非常に短かったりでありますとか、そういう状況もわかってまいりました。そもそも、情報開示自体ですね、その保育をされる方々の情報は自己申告であるというようなこともあるわけでありまして、これはこれから整理をしてどのような対応をとるのか、例えば、届出をしていただくようにするならばその範囲はどれぐらいにするのであるとか、いろんなことを検討しなければなりません。ただ一方で、預かってもらっている方々がおられるという実態もあるので、それによって全く子どもを預かってもらえなくなっちゃって日々の生活に支障を来すというようなことが起こるのも、これはまた違う意味での問題も起こってまいります。一方で、子どもの安全確保はしっかりやらなければならない。この難しい答えを見つけていかなければならないんですが、こういうような形で状況でわかってまいりました。これから有識者の方々にも御議論をいただきながら、どうあるべきかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
記者:
集団的自衛権の件で、これの行使を可能にする憲法解釈の変更というのが今日の臨時閣議にかけられる見通しになっております。所管外ではありますけれども、閣僚の一人としてこの問題についてどのようなスタンスでおられていらっしゃるか。
大臣:
これは内閣の方針に従って適切に対応してまいります。
記者:
集団的自衛権に関連してなんですけれども、今お話あったのですが、そもそも集団的自衛権を使えるようにすることの是非と、あと手続論として閣議決定でいいのかという議論もあるんですが、この2点についてお聞かせいただければと思います。
大臣:
集団的自衛権といいますか、集団的自衛権というような概念全てという話ではないということは総理もおっしゃっておられるので、その中において、我が国にとって最低限必要なものというものをこれから法律の中も含めて整備していくわけでありますから。ただ、今現状としてやらなければならない、若しくはこれからそういような状況が生まれたときに対応せざるを得ないというものに関して対応するためには、集団的自衛権という概念の中の一部というものを限定的にできるようにしていかなければならんという判断の中で、だというふうに思いますので、それは私も同じ考え方であります。それから手続論に関しては、これは今までも解釈でいろいろと対応が変わってきておるわけでありまして、御承知のとおり、そもそも個別的自衛権を認めていないところから、解釈で個別的自衛権を認めてきたわけです。そういう意味からすると、その時々において必要に応じて、憲法には書いてありません。個別的だ集団的だという自衛権のことで一切。そういう意味では必要なものを必要な時に国民的な議論に則った上ででありますけれども、対応していくということは、これは重要なのではないのかなと思いますので、この手続論というものも今は必要な中において、このような対応をいたすということであるというふうに思います。
記者:
2013年度の過労死、過労自殺の集計がまとまりましたけれども、最悪レベルが続いていて、精神疾患に関しては過去最悪の申請件数です。このことをどう受け止めるのかというのと、新しい労働時間制度でも労働時間規制が外されれば長時間労働がはびこるんじゃないかという懸念があります。どうお考えになりますか。
大臣:
精神疾患等の申請が労災の方に多かった、これ過去最高だというのはやはり社会の中において非常にストレスが多い、そういうような環境になってきておると。それは職場でも同じような状況があるということだと思います。もちろん、パワハラ、セクハラ等々も含めて、こういうものが生じないような、そういう職場環境というものを整備していくために、これからも厚生労働省として対応していかなきゃならんというふうに思いますが、今般の安衛法(労働安全衛生法)の改正も、そういう意味ではこの自らのストレスの気づきというものを気づいていただくというような形で一次予防のような形で対応していこうというような話でございますので、そういう意味ではこういうような今般の改正等々も含めて、そのような状況を改善していきたいというふうに考えております。これ、新しい労働時間制度に関しましては、これは基本的にはそれによって労働時間が長くならないといいますか、時間では測らない、測れない、そういうようなもの、成果で測れるというものに対象を限定するというような形になっております。これから労政審の中で御議論をいただくというふうに思いますが、年収要件が少なくとも1,000万(円)以上というものも含めてこれから御議論いただきますけれども、その1,000万(円)以上の方々が全て適用されるというわけではないわけであります。そういう意味からいたしまして、その中でのあの中で書いておりますような職務の範囲を明確にする、そして一方で高度な職業能力を有するというような形で成果を測れる、そういうような働き方でありますので、それ長く働いてそれで成果が上がるというような、そういう職種の方々ではないんであろうというふうに我々は、これからの議論ですけれども、考えておりますので、それは労政審でしっかりと御議論いただきながら、これによって今言われたような労働時間が延びて結果的に精神的に疾患に陥ってしまうというようなことがないような制度設計作りというものを労働政策審議会の中でしていただきたいというふうに思います。
記者:
追加で申し訳ないですけれども、労働時間の話はわかりましたけれども、最初にストレスのことをおっしゃいましたけれども、精神疾患でも約4分の1が長時間が直接的な原因になってます。長時間労働が精神疾患に深く影響しているというのは明らかだと思うんですけれども、成果による支払というのはわかるんですけれども、労働時間の規制がない中で、長時間労働を防ぐという担保はどこにあるんでしょうか。
大臣:
これ何ですか、新しい労働時間制の話。
記者:
そうですね。今も労働時間は長いままですよね。
大臣:
労働時間が長いというのは別に新しい働き方、この新しい労働時間制度の話じゃなくって全般的に長いわけですよね、今、日本の国は。労働時間が。
記者:
はい。
大臣:
これは、実は産業競争力会議の中でもそこは何とかしなきゃならんという議論があったのは御承知のとおりで、それはそれで長い労働時間をどうやって短くしていくかという努力は、これから我々もいろんな形でして行かなきゃならんというふうに思います。それはそれでやります。新しい労働時間制度というのはさっきも言いましたとおり、長く働けば結果が出るというようなものではない、もっと言うと、簡単な一つの例ですけれども、長く構想力や発想力が浮かばずに疲れた頭でずっと考えて答えにならないようなものを考えているよりかは、頭をリフレッシュしながら構想力だとかそういう発想力みたいなものを、いうなれば活性化する、そういうようなものの中において例えば成果が出る。これは一つの例でありますけれども、そういうような働き方の方々であろうというふうに我々は考えておりますので。時間をずっとだらだらと長くやったら成果が出ましたよと。例えば、事務量がどうだとかいうようなそういうような働き方ではないんであろうと。
記者:
それは十分に理解していますけれども、そういう方々が長時間働かないですむ担保はどこにあるんでしょうかと言っているんです。自分の判断ですよね。働き過ぎた時にそういうストップがないわけですよ。1日8時間、週40時間の規制がかからないわけですから、本人がストップをかけるしかないわけですよね。本人に長時間労働を防ぐ。
大臣:
それはまず御本人がそれは判断をされて、自分の身体のことでありますから。長く働けば成果が出るというものではありませんから、それは御本人もわかっててその職種に就かれているわけです。それは高度な専門能力を持っておられる方々ですから、今までもそういう働き方をやりながら、要はそれだけの能力をお持ちになってこられた方々でありますから、自分らがプロフェッショナルの中でどうやれば成果が出るかをわかっておられる方でなければ、そういうような能力があると評価されませんから。一定程度の年収以上ということはそれなりに今までも評価を出してきた方々だというふうに私は思います。それから新しい労働時間制度の中においても、これは産業競争力会議の中でありますけれども、一定の健康保持、これに関する何らかの手立てということは言われておられますので、それは労働政策審議会の中でそれがどういうものであるかというものは御議論をいただくのではないかと私は思っております。
記者:
そうするとかなり限られた人でないとそういう自己判断、全てを自己判断できて、自分の健康にも気づける、相当限られた人になると思うんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
大臣:
我々は絞り込んで、総理がおっしゃられたのは職務の範囲が限られているというのと、高度な職業能力を持っている労働者に絞り込むとおっしゃっておられますから、絞り込んでいくんであろうというふうに考えております。
記者:
神奈川の厚木でアパートに置き去りにされた子どもが遺体で亡くなるという事件が起きて、私どもの方で置き去りにされた子どもの数をちょっと集計したところ、この3年間で延べ483人になったんですけれども、中には餓死する寸前で保護されるケースもあったんですが、この現状についてまずどのように。
大臣:
現状に関しては、我々も実は調べておりまして(平成)22年度、(平成)23年度、(平成)24年度ということで、我々はこれを件数で調べているんですが、棄児と置き去り児童ということで667件、件数であります。これだけ、ちょっと今回の報道とは年度が違いますので若干のずれはあるんだと思いますけれども、おっしゃられますとおり対応をしっかりやらなきゃならんということで、一つは例えばでありますけれども、これはいろんなパターンがありますから全てに対して対応するというと、またいろんな対応を考えていかなきゃなりませんが、夜働きに行って置き去りにされるでありますとか、夜に何か急用ができて自宅等々に置き去りにされるという形に関しては、例えばトワイライトステイでありますとか、ショートステイでありますとか、こういうものを充実していくというのは新制度の中にもこれは入っているわけでありますし、あわせて、アウトリーチという意味からしますと今も乳幼児家庭の全戸訪問事業でありますとか、それから養育支援訪問事業のようなものを、これは全戸訪問をした中において必要があるというようなことに限れば養育支援のような形で訪問をするという事業もやっておりますが、そういうものもやりながら要対協(要保護児童対策地域協議会)ともしっかりと連携して対応していかなければならないと思いますが、まだまだそれだけで十分対応できていないということも我々もわかっておりますので、そこは有識者の方々にも入っていただきながら、どういう対応の仕方があるのかということは今後検討はしていきたいというふうに思います。いずれにいたしましても、よくちょっと分析をさせていただきながら対応していかなきゃならないなと。それから新制度もありますので、新制度との関係も含めて対応していかなきゃならないというふうに考えております。
記者:
一定程度こういう数の方々がいるという現状についてはどういうふうに。
大臣:
今も言いましたが、いろんなパターンがありますので、夜働くから預けるところがなくって置いて行かざるを得ないというような環境、得ないということはないんでしょうけれども、そういう環境には例えば夜間の保育なんかをもっと整備していくということも一つの対応だというふうに思います。それから、遊びに行くのにほったらかしにして行っちゃうというのはこれはちょっとやっぱり親の意識というものをもう少し持っていただくような形で、先ほど言いました訪問事業も含めて、親としての心構えみたいなものをしっかりと身につけていただくということも必要だというふうに思いますし、そもそも路上に子どもを置いていくというのはこれは言語道断でございますので、そういうものに対してそういうようなおそれのある、リスクのある家庭に関してはきめ細やかな対応を普段からしていくでありますとか、いろんな対応もやってかなきゃなりません。事実、そういうことがあるというのは我々もしっかり認識をして対応を考えていかなきゃならんというふうに考えます。
記者:
金曜日のJ-ADNIの質問に対して、東大が自主的に調査をするということでうかがっているというふうに大臣の発言があったんですけれども、東大の方は自主的な調査は限界であると。もうできないということを取材に対してずっと一貫して述べています。昨日も実際にもう限界であるということをまた述べていました。この東大が言っていることと、どうして大臣がおっしゃられたことが違ったのかということと、東大がもう自主的に調査はできないということであれば、国が調査をするということを金曜日の会見でおっしゃったと思うんですけれども、今後、国の調査というのを検討なさらないんでしょうかということについてお聞かせください。
大臣:
東大がどうおっしゃっているか、ちょっと私はわからないんですけれども、我々は東大にやっていただけるということで、今、いろんな打ち合わせ、相談をしておりますので、東大がやっていくものだろうと。東大が主体と言った方が良いのかもわかりませんが、やっていただけるものだろうというふうに考えています。もし、東大がやらないと。我々はやっていただけると思ってますからね。そういう方向で我々として段取りを進めておりますので。もし、仮にやらないという話になれば、それは補助金出していますので、これは補助金返還ということを我々は場合によっては考えないといけません。今、データ自体がかなり、この間おっしゃられたとおり、ずさんであるというような話もありますから、それだと補助金を出すに値しない事業になるという可能性もあるので、その場合は厚生労働省が主体になって、我々が調査をせざるを得ないと考えています。それから、前に言われていた38研究機関、これは東大の方がなかなか自分らではというようなことは、そのとおりだと思いますので、我々は元々補助金を出している元でありますから、そういう38機関に関しましては我々の方から協力するようにしっかりと要請をしてまいりますので、そういうことにならないように我々としても努力はしてまいりたいと思います。
記者:
最低賃金なんですけれども、今日から審議会で議論が始まると思うんですが、成長戦略の中では引上げということが書かれていて、審議会の方に大臣としてはどのような議論を望まれるかということをお聞かせください。
大臣:
昨年と同じような書きぶりでございます。昨年から変わっておりません。今年、私が出るということはないとは思いますが、それはなぜかと言いますと、もう昨年我々の内閣の思いというものはお伝えをさせていただいておりますので。ただ、経済の循環が非常によく、昨年よりかは成果が出てきております。消費税という問題もありますが、労働市場はタイトになってきておるということもございますので、そういう意味ではこの経済環境、雇用環境を反映して、より良い成果が得られるような、そういうような努力を我々も内閣として、してまいりたいなというふうに考えております。

(了)