第3回 匿名医療情報等の提供に関する専門委員会 議事録

保険局医療介護連携政策課保険データ企画室

日 時

2021年3月19日(金) 13:00~17:00

場 所

全国都市会館 第1会議室(東京都千代田区平河町2-4-2)

出席者

【専門委員】
・宇佐美 伸治(日本歯科医師会 常務理事)
・齋藤 俊哉(国民健康保険中央会 理事)
・鹿野 真弓(東京理科大学薬学部 教授)
・嵩 さやか(東北大学大学院法学研究科 教授)
・田尻 泰典(日本薬剤師会 副会長)
・田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学 教授)
・東宮 秀夫(一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 研修事業本部長)
・長島 公之(日本医師会 常任理事)
・中島 誠(全国健康保険協会 理事、代理:矢崎 和彦)
・中野 壮陛(公益財団法人医療機器センター 専務理事)
・中野 惠(健康保険組合連合会 参与)
・堀 真奈美(東海大学健康学部長 兼 健康マネジメント学科 教授)
・宮島 香澄(日本テレビ報道局 解説委員)
・山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長)

議 題

  1. 1. NDBの更改と医療・介護データ等の解析基盤の開発着手(報告)
  2. 2. NDBの利活用促進に向けた取り組み
  3. 3. 令和3年度匿名レセプト情報等の提供に関する審査スケジュール(報告)
  4. 4. 令和3年度匿名診療等関連情報の提供に関する審査スケジュール(報告)
  5. 5. 個別審査(非公開)

議 事

※非公開部分を含みます。
山本委員長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第3回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙の折、御参加いただきまして、御礼を申し上げます。
 開催に先立ちまして、事務局から、先般の新型コロナウイルスに対する感染拡大の防止に向けた対策の案内をお願いいたします。
山下課長  医療介護連携政策課長の山下でございます。
 本日は、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。開催に当たりまして、感染被害を減らすため、会場には出入口にアルコール消毒を設置しておりますので、適宜御利用ください。その他、開催中、感染拡大防止につながる行動をよろしくお願いいたします。
山下課長  このたび、ウェブ参加の方々は、齋藤委員、嵩委員、田尻委員、田中委員、長島委員、中野惠委員、堀委員、宮島委員になります。
 また、宇佐美委員は遅れて参りますけれども、宇佐美委員、鹿野委員、東宮委員、中野壮陛委員、そして山本委員長が会場での参加になります。
 併せて、中島委員の参考人としまして、矢崎参考人が代理出席ということで御参加いただきます。本日の欠席者は松田委員の1名となります。
 これにつきまして、運営規程に基づいた開催要件は満たしておりますことを、併せて御報告いたします。
山本委員長  ありがとうございました。
 会議の開催要件を満たしているとのことですので、早速ですが、本日の議事に入らせていただきます。
 なお、本日の会議は、ペーパーレスにて開催させていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
山下課長  ペーパーレスを進めておりますので、構成員の皆様には、お手元のタブレットを操作しながら資料を御覧いただくことになります。もし操作方法について、御不明な点がありましたら、お声かけいただければと思います。よろしくお願いいたします。
山本委員長  ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 議題としては、議事1、2ともNDBの利活用促進に関する内容であるために、一括して議論を行いたいと思います。議題1「NDBの更改と医療・介護データ等の解析基盤の開発着手(報告)」、議題2「NDBの利活用促進に向けた取組」について、資料1、2の説明をお願いいたします。
山下課長  ありがとうございます。
 それでは、資料1「NDBの更改と医療・介護データ等の解析基盤の開発着手」につきまして、事務局より説明をいたします。
 おめくりいただきまして、1ページ目のスライドですが、NDBの本来目的利用と第三者提供の実績であります。第三者の申出件数については、累積で408件、そのうち345件承諾されておりますが、申出数は年々増加しております。加えて、厚生労働省の政策立案のために使われる本来目的の抽出作業が、直近2年間でも2倍以上となっておりまして、2018、19、20とグラフで見ていただいても、非常に多くなっているということでございます。
 この結果ですけれども、2ページ目のスライドですが、ナショナルデータベースの稼働状況としまして、様々なデータについての取り出し作業がありまして、申出をいただいてから実際に御提供するまでの期間が非常に長期化しております。これにつきまして原因としましては、サーバの老朽化とかスペック上の制限から、増加していく案件にどうしても対応できないということで、日数がかかってしまうという状況になっております。
 これを改善するために、3ページ目のスライドでございますが、今年度、2021年3月から2022年3月にかけて、ナショナルデータベースの更改作業と、併せて医療・介護データの解析基盤のための、HICと言っていますが、その開発に着手をしたところでございます。
 内容につきましては、下のイメージ図を見ていただきたいのですけれども、クラウド上にナショナルデータベースを置いて、またクラウド上で各研究者がクラウドにアクセスしていただいて、研究者に割り当てられた容量分の中で研究していただく環境にするという形で、今、構築しております。これにはちょっと時間をかけて対応してまいりますが、いずれにしても、先ほどの2ページ目のスライドのような状況を改善するべく、私たちとしても改善に向けて対応しているということでございます。
 併せて、4枚目のスライドになりますが、クラウド化することに伴うセキュリティにつきまして、どうなっているのかを御紹介いたします。このセキュリティにつきましては、特に赤枠で囲っているようなところについて対応しますが、これは政府機関全体の情報セキュリティ対策のための統一基準に基づいて、私たちは対応しているということでございます。こういった要件を満たすようなことでクラウド化して、研究できる環境を整えるようにという指示で、今、作成しているところでございます。
 その内容のセキュリティ要件については、ちょっと飛ばしますけれども、セキュリティ要件1、2と書いてありますので、また御覧いただいた上で、何か御指摘があればお伝えいただければと思っております。
 続きまして、資料2に参ります。「NDBの利活用促進に向けた取り組み」ということでございます。
 おめくりいただきまして、3ページ目のスライドですけれども、3点ありまして、まず、個別審査の運営方法の見直しということをお伝えいたします。個別審査ですけれども、前回、12月に審査していただいたのですけれども、専門委員会の皆様方においては、ナショナルデータベースのデータを使いたいという申請者からの申出に従って、引き続き審査をしていただきたいと思っています。
 ですけれども、これまで、その審査に当たっては、提供申出者の代わりとなって、事務局である厚生労働省が代わりに説明している。また、その審査の内容は、当然、提供申出者の着想を保護するため非公開としているのですけれども、結果的には、提供申出者は皆様方の審査がどうされて、どういう議論がされているのかということが分からないため、ナショナルデータベースが一体どれだけの個人情報の保護として、ちゃんと配慮していかなければいけないのか、その重要性が伝わりにくいという面がありました。
 また、提供申出者の研究したい内容についても、これは代わりとなって我々が代弁することについても、そこの間にギャップがあって、専門委員会の皆様に十分に提供申出者の意図を伝えられずということで、審査継続になってしまうというケースも見られました。
 このため、提供申出者にナショナルデータベースを利用することのルールをしっかり理解してもらうとともに、提供申出者の研究の意図を審査していただく皆様にしっかりと伝えてもらうために、提供申出者御本人、グループからきちんと申出をしてもらう対面の審査を導入してはどうかと思っております。対面と言っても、実際にこちらにお越しいただく場合もあるかもしれませんけれども、基本的にはウェブで直接説明していただき、交替制でやる。当然、次の人たちは、前のところとか後の情報を聞くことはなく、という形で進めていくとしてはどうかと考えております。
 続きまして、同じ個別審査の運営方法の見直しで、対面審査と簡易審査と通常審査ですけれども、まず、提供申出者に参加していただいて、皆様方による審査をする対面審査というのは、どういう基準で対面審査にするかといいますと、ナショナルデータベースの提供申出が初めてである場合とか、研究内容が複雑で、これはしっかりと説明してもらわないと、という場合。また、過去に不適切利用があったということに伴って、新しく提供申出があった場合とか、その他、専門委員の皆様方がこれは対面でやろうと御判断いただいた場合に対面審査。
 また、簡易審査も設けようと思っていまして、ここに書いてあるとおりですけれども、簡単に言うと、今までもこういったデータセットで提供しているとか、また、過去も申し出していただいて、その変更の申出で、それほど大きな研究目的の変更とかもない場合という場合については、簡易審査という形で対応する。
 それ以外の通常審査は、引き続き事務局である私たちが、提供申出者の意図を皆様に説明して進めるという形にしようと考えております。
 続きまして、2つ目の論点ですけれども、公表物確認の重点化と提出書類の効率化ですが、まず、5ページ目のスライドは公表物確認です。現行の公表物確認というのはどういうことをしているのかといいますと、例えば論文を投稿しますので、こういった形で使ったNDBについて公表したいということで公表物確認の依頼があります。確認するのは、厚生労働省の事務局で確認します。その後、論文を投稿するときに論文の投稿先を変更する場合であっても、公表物確認は厚生労働省に事前にしてくださいとなっています。その後、論文が出版されて、例えば成果物を別のところに投稿するということについても、また公表物確認が必要ということにしております。
 さらに、例えば論文の投稿先の変更とか、査読で指摘されたので、改めて対応する場合。また、新規データが含まれない内容の軽微な修正であっても、改めて毎回、公表物確認を行っているという現状になっております。
 そこで、私たちとしましては、提供申出書にちゃんと記載されている公表形式で、一度公表物確認をしているのであれば、新規のデータの追加がない限り、公表物確認は一度切りで、それに追加の公表物確認をしていくことはないような形にしていきたいと考えております。
 続きまして、6枚目のスライドですけれども、今度は2番目の論点の提出書類の効率化でございます。提供申出をする。さらに、承諾を得てデータを提供し、研究者による解析が終わりまして、研究終了、そしてデータを返す。要は、消去するというところまでのプロセスで、様々な書類の提出ということを厚生労働省では求めております。そこについては、提出する書類は一つ一つ同じことを書かなければいけないという面もありますし、また、重複するような内容も入ったりしております。
 そこで、一つ一つの提出していただく書類につきまして改めて整理しまして、統合できる書類については、統合することによって、提出していただく書類の効率化を図るというものでございます。
 また、7ページの3番目の論点。ナショナルデータベースに収載する情報や、研究者からの申出に基づいて提供する情報の拡大ということで考えているものでございます。ナショナルデータベース、研究者にとって、これだけ研究できる、非常にいいデータが集まっておりますので、私たちとしましても、研究者の皆様にしっかりと研究していただいて、医学の発展、もしくは医学に関わる社会の理解が進むような研究をしていただきたいと思っております。そのため、ナショナルデータベースに入っている情報として、例えば収載する情報を拡充するということ、また他の公的データベースとも連結することによって、より詳しく分かるようなことをしたいと考えております。
 7ページの右下にありますけれども、収載させる情報の拡充としまして、2つあります。これは、加入者、患者さんの居住地の情報。要は、患者の郵便番号の情報をつけ加えるというもの。もう一つは、患者さんの所得階層の情報をつけ加えるというもの。こういったことをつけ加えることによって、より研究する幅が広がるのではないか。
 さらに、他の公的データベースとの連結により、こういった研究の深みが増すのではないかということを考えております。
 次に、8枚目のスライドになるのですが、ナショナルデータベースに収載する情報としまして、患者の居住地情報と所得階層情報をどのように入れるのかということの説明になります。
 まず、現行、ナショナルデータベースには、医療機関の情報はレセプトの記載事項で収載されているのですけれども、患者の居住地情報は収載されておりません。その結果、患者さんの居住地情報が入っていなければ、この病院でどんな患者さんが、例えば急性期で救急車で運ばれるということを調べたいとしても、患者さんの居住地が分からないので、アウトカムに与える影響が分からない。さらに、患者さんの所得情報も分からないと、所得によって利用する医療サービスがどういうふうに変わるのかということの研究ができないということになります。
 そこで、私たちとしましては、8ページの真ん中の下にありますレセプト振替・分割機能という機能を使って、患者さんが診療された、オンラインでやってくる請求のレセプトに、患者さんの居住地情報、もう一回言いますけれども、郵便番号と所得階層。これは、高額療養費の限度額で決められた所得階層の情報が、このレセプト振替・分割機能に入っておりますので、ここにくっつけて格納していくということによって、そのレセプトが、どの患者さんはどこの郵便番号の居住地なのか、どういう所得階層なのかということが分かった上で入っていくということになります。
 もちろん、こう言うとあれかもしれませんけれども、このナショナルデータベースは、最終的には個人を特定できないようにハッシュ化をしますので、誰がどんな所得かということが分かるわけではなくて、こういう所得階層の人がどんな医療を受けているのかということが、結果的にナショナルデータベースに格納されていくということでございます。
 続いて、9枚目の資料ですけれども、同じように提供する情報としまして、現行のガイドラインは、医療機関や薬局のコードもつけております。また、保険者番号もつけております。これは、その際に地域性の分析・調査にのみ用いる目的である場合に提供することとされております。
 けれども、一方で、地域性の分析以外に、様々な医療機関の属性、例えば特定機能病院とか地域医療支援病院とかの属性についての分析というところについてのニーズもありますし、近年、医療機関の移転とか統廃合が多いので、例えば病院と診療所の連携を見たいのだけれども、統廃合が繰り返されると、一体どこがどうなっているのかということが分からないということによって、研究に支障が生ずることがありますので、我々としては、医療機関や薬局のコードというのは、保険医療機関、保険薬局として指定されているコードがありますので、そのコード。さらに、保険者の番号もつけてという形で格納しておりますので、それを研究の内容に応じて提供することとしたいと思います。
 その一方で、そうすると、例えば診療所をお一人でやっていらっしゃる先生の個人の情報が分かってしまうということもありますので、そういったことについて、公表される成果物、つまり、審査をしていただく皆様の段階で、この研究の目的と実際に成果として出てくるものの段階できちんと審査していただくことになりますが、それについて、どう考えるのかということを御議論いただきたいと思っております。
 あとは、参考になります。10枚目の資料は、今、私が申し上げました居住地情報、所得情報、医療機関コードをつけ加えることによって、こういう研究が進むのではないかという例でございます。
 さらに、11枚目のスライドですが、現行のナショナルデータベースと個人情報保護の関係でございまして、例えば、今、薬局や医療機関のコードの話もありましたけれども、保険者番号の提供について、すごく規制があります。
 あとは、右下にあります成果物の公表時ですけれども、個別の同意がある場合を除き、原則として特定の医療機関が第三者に識別されないよう、最小集計単位の原則の遵守とあります。最小集計単位というのは、3未満になる集計単位を含めないことによって、3がなくなることによって、この人がこの病気になっていると特定するわけじゃなくて、こういうまれな病気が何人いるのかとなると、それが3未満だと表れないということについても、どう考えるのかということを御議論いただきたいと思っております。
 残りは参考資料になりますので、私の説明は以上になります。
山本委員長  ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思いますけれども、まず、資料1は基本的には御報告ですけれども、これに関して、御質問がございますでしょうか。
 どうぞ。
長島委員  日本医師会の長島です。
 クラウド化に関して、そのメリットは十分分かりますが、一方、クラウド化に対してセキュリティ上の不安を感じる人も非常に多い。特に、医師などでも非常に多いということ。それから、最近、例えばCOCOAなどで見られるように、厚生労働省がしっかりとしたシステムの関与ができるのかという不安もある。あるいは、いろいろな巨大なコミュニケーションツールで情報の漏えいがあるのではないかという疑いも報道されている。
 セキュリティというのは極めて重要ですので、ここできちんとしたセキュリティ対策をするということですが、そこをきっちり継続的にこういうふうにチェックして、その結果、こうであったということを継続的に報告することが重要かと思います。だから、単につくるだけではなくて、チェックと報告をぜひお願いいたします。
山本委員長  事務局から何かございますか。
山下課長  ありがとうございます。
 イニシアルとしてつくってしまったらおしまいではなくて、これはある研究者を審査していただいて、この研究者に認めるとなった後も、その研究者がクラウド上で研究・解析をするのですけれども、そのやっている最中も、常時、セキュリティがきちんと守られているかチェックするというのは当然でございますので、そのような対応をしてまいりたいと思っています。御指摘ありがとうございます。
山本委員長  ほか、御意見、御質問いかがでしょうか。
 齋藤さん、どうぞ。
齋藤委員  国保中央会、齋藤です。
 資料を見る限り、今まで平均所要日数が非常にかかっているというのが分かるのですが、今回のNDBの更改並びに解析基盤で日付の短縮というのですか、それの見込みとか目標というのはある程度お持ちなのでしょうか。
山本委員長  現時点でありますか。はい。
明神主査  厚生労働省、明神でございます。
 現時点で日数というのを具体的には設定しておりません。と言いますのも、この時間がかかる要素として、サーバのスペックだけではなくて、研究者と第三者窓口とのやり取りで、どのような項目を実際に抽出するかという要件定義的な部分も時間を要している部分がございまして、その辺りがどこまで具体的に早くできるかというのはできておりません。まずは、一旦構築させていただいて、その後、抽出からの日数というのは検討させていただきたいと思っております。
山本委員長  確かに、抽出分を完成させるまでにすごく時間がかかるということがございますので、そこのところは、多分システムが変わっても余り変わらない。むしろ、研究サポートといいますか、研究者の支援の仕組みをしっかり整備する必要があるだろうと思います。
齋藤委員  分かりました。ありがとうございます。
山本委員長  ほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、後でまた返っていただいても結構ですので、資料2のほうに移りたいと思います。3つテーマがございますので、まず最初の個別審査の運営方法の見直しということで、この点に関して、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
 長島先生、どうぞ。
長島委員  対面審査の中の考え方に、これは審査以前の経過の中で、むしろ相談対応とか、分からないことを支援するというものも含まれていますので、そこをきちんと整理して、そういうことは当然、様々な場合も行った上で、対面が必要なものは対面の場所で行う。そこは、きちんと整理されたほうがいいのではないでしょうか。
山本委員長  もう少しプレのプロセスもきっちり書いたほうがいいということですね。
牧戸室長補佐  承知しました。対面審査の対象は、今回、試験的に2例やらせていただきますが、今後、対面審査が蓄積されたうえで、課題等があれば、それを考慮して対象を選定しようと思っております。
山本委員長  ほか、いかがでしょうか。
 中野惠先生、お願いします。
中野(惠)委員  私は、積極的に対面を行った方がよいと思っておりますが、今後、事務局としては何割ぐらいを目指すとか、別の意味の目標値ですが、こちらも目標値がございますでしょうか。
山下課長  それはございません。実際にどんな提供申出が来るかによりますので、ございませんけれども、初期、初めての申出者については、まずは基本、対面で、ナショナルデータベースが一体どんなもので、それを扱うというのは、言い方はあれですけれども、どういう覚悟でやっていただくのかということを、この審査委員の皆様方の指摘でちゃんと理解してもらうといった過程が大切ではないかと考えております。
中野(惠)委員  ありがとうございます。
山本委員長  ほか、いかがでしょうか。
 堀先生、どうぞ。
堀委員  東海大学の堀です。
 運営方法の見直しですが、基本的に賛成いたします。ただ、対面審査と簡易審査と通常審査の基準のとおりというのは理解しておるのですが、具体的に対面審査になったときに、専門委員会でどういうところに注意するのかとか、ある程度統一的な基準、対面審査の運用について、どのようにお考えなのかを伺ってよろしいでしょうか。
 と言いますのは、対面審査のやり方がある程度決まっていないと、また厚生労働省の方が提出申請者の方とコミュニケーションでうまくいかなかったというときと同じように、委員会のほうでも同じようなことになってしまうかもしれませんので、対面審査における何か統一的な、マニュアルはできないと思うのですけれども、見てほしいところというガイドラインのようなものをつくられる予定なのかどうか、お伺いできればと思います。
山下課長  ありがとうございます。
 もちろん、事前に私たちも書類を見た上で対面審査に臨んでいただくということで、研究者との間でコミュニケーションして、それでこの専門委員会を迎えるということなのですけれども、その過程で私たちが事前に見ている観点で、注意点として、こういったところはどうなのかという形で伝えていくということになります。
 もちろん、それ以外の観点につきましては、引き続き、書面であろうが、対面であろうが、審査する皆様御自身のそれぞれの研究とかの背景で、関心のあるところを御指摘いただくということだと思っておりますので、対面になったから、皆様の審査が特別変わるということではないのではないかと思いますが、いずれにしても、我々が事前に見ている中での注意点は共有するようにしたいと思っています。
山本委員長  ほか、よろしいですか。
 それでは、次の論点の公表物確認の重点化と提出書類の効率化。提出書類の効率化は、多分問題ないと思いますけれども、この論点に関しまして、御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
 どうぞ、長島先生。
長島委員  とりあえず、これでやっていただくのはいいのですが、それでやってみて問題が起こらないかどうかというチェックをきちんとしていただいて、何か問題があれば再修正という形で進めていただくのがいいかと思います。
山本委員長  ありがとうございます。そのように進めます。
 田中先生、どうぞ。
田中委員  今は、再度公表したい場合には全て確認を行っているので、ほぼ網羅されていると思うのですけれども、対応案でしたときの加工の程度が、一度公表したものだったらいいというところのはかり方が曖昧なところが出てくるので、そこのところで今、長島先生がおっしゃったような問題が起こるかどうかというのは少し懸念があるので、慎重に見ていく必要があるかなと思います。
山本委員長  ありがとうございます。検証しつつ進めるということで進めたいという。
田中委員  研究者側も判断に困るところで、いいと思っていたけれども、駄目だったということがあるので、ある一定の基準を明確化するのは大事かなと思います。
山本委員長  基本的には、中身が変わったら駄目ですね。データが変わると駄目で、プロットのマークを変えるとか、表の縦横を少し成形するという程度になるだろうと思いますけれどもね。
田中委員  同じデータに基づいた表現の仕方を変えるのを、どこまでよしとするかということになるかと思います。
山本委員長  そうですね。
 どうぞ。
中野(壮)委員  今、公表物確認というスライドが出ていないですが、利用者が、提供申出書に記載した公表時期、方法に基づいて行った研究の成果を事前にやるということで、観点がガイドライン掲載のものに準拠しているかということなので、それ自体は、恐らく当初見られたときに確認ができていれば、通常、論文というのは、目的と方法、結果、考察、結論というところでいくと、記述の表記の揺れというのは、投稿する学会によって多少違わないと多分アクセプトされないので、変わってくるだろうと思うのですね。
 その場合、この公表物確認の主な確認観点というところは、おおよそ変えることはないというように、研究している立場からするとそういう理解をしますので、厚労省内で確認される方と利用される方がそこと論点と同じ感覚をお持ちであれば、余り問題になることはないかと思いますが。
山本委員長  どうぞ。
山下課長  一応、公表物確認は何のためにやっているのかというところですけれども、私たちが行っている公表物確認の目的というのは、アカデミックの研究のいい、悪いということではなくて、提供させていただいたナショナルデータに基づいて、例えば個人が特定されるようなことがなされていないかということのみを確認しておりまして、我々は研究者の研究内容をチェックするようなことはできませんので、個人情報が守られているかどうかという観点です。それを毎回確認するというのが、今の研究者からすると、一体何をしているのか、検閲しているのかと取られかねないので、私たちはそこを見ているわけじゃないということから、この問題意識で改善を提出させていただいているということでございます。
山本委員長  特別抽出の場合は、患者さんが一意に識別されるデータでも提供しているのですね。研究の結果、公表されるときは、それをそのまま公表されては困るのでということで、この公表物確認をすることで、提供するデータ自体は、そういった多少リスクのあるものも提供できるということになるのですね。したがって、今までも若干問題のある公表形式もありましたので、一応チェックしておいたほうが、研究者等に提供するデータの質を下げないという意味でも、多分いいだろうと思います。
 ほか、いかがでしょうか。これは、方針はこれでオーケーだけれども、少し注意しつつ進めていくということで御意見をいただいたように思います。ありがとうございます。
 それでは、3つ目の論点で、NDB収載項目、それから提供情報の拡大ということに関しまして、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
 長島先生、どうぞ。
長島委員  まず、患者の居住地情報とか所得階層情報を含めるということは、国民・患者にとっては極めて重大な拡大になるので、ここは国民・患者に十分よく分かる説明をして、理解・同意を得なければ行うべきではないと考えます。
 また、医療機関・薬局コードに関しても、これで医療機関が同定されることになると、極めて患者の個人情報が同定しやすくなることにつながりますので、この点に関しても、医療機関や薬局に対して十分説明して、同意を得てから行うべきと思います。
 また、そのためには、ここでどのようなリスクが生じるのか。特に、患者の個人の同定がどの程度可能になるのか。患者数が非常に少ない医療機関が同定されれば、そこにかかる患者さんが少ないので、それほどまれでない疾患の方ですら、極めて同定しやすくなると考えられますから、ここは根本的な大変革であるので、十分慎重かつ徹底的な検討を行った上で、これを具体的にどのような形で行うのか。公の益と個人の不利益とのバランスを考えるべきなので、今すぐ改正するということではいけない。まずは、きちんとどのような影響があるのかということをしっかり検討する場をつくって、そこでじっくりと検討して、それから進めるべきと考えます。したがって、今回改正することには反対します。
山本委員長  ありがとうございます。
 居住地情報・所得階層情報は、もともと支払基金等には入っているわけです。連結可能な情報としてあるわけで、これを研究のための付加情報として提供することがある。もちろん、長島先生がおっしゃるとおり、居住地情報・所得階層情報というのは、極めてプライバシーに関わる情報ですので、これがNDBの利用の結果として個人が識別されるような情報として出ていくのであれば、これは大問題であると思います。
 ただ、当然、我々の専門委員会のタスクが重くなるのですけれども、申請及び研究計画、利用計画、公表の確認のところで、今よりもより厳格にそういったことをチェックしなければならないというタスクは重くなりますけれども、今までと基準が変わるわけではないので、基本的には患者さん個人が識別されることはない。10人以下に同定されることもないということになろうかと思います。
 それから、これは御議論を続けていけばいいと思うのですけれども、医療機関番号・保険者番号も同様で、これでこのNDBで行ったリサーチの結果として、公表されるデータで特定の医療機関が識別できる。例えば、非常に大規模な病院が1個しかない2次医療圏だと、どうしたって識別されますけれども、そうではなくて、例えば個別の診療所が識別されるといったことは、公表物の確認として、当然ながらオミットされることです。
 問題は、これがないことによって、様々な調査が非常に不十分になるという事例が挙げられていますけれども、そういったことをできれば解決できないかという議論だと思います。もちろん、これで診療所や一般的な病院が識別できるような結果を公表していいということとは全く別の話だと思いますので、その点も御議論いただければと思います。
 ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。どうぞ。
長島委員  今の点、よろしいですか。公開されなくても、研究目的ということで提供される場合に、民間の企業なども対象となり得るということですから、提供の時点では分かってしまうということになると、これはレセプトを保険請求のために提出している医療機関にとっては、そういうものが民間企業に提出され得ると考えるだけでも、心理的なショックが極めて大きいと思います。
 したがって、これがどんな意味があるのか、これを行うことで、どのような情報がどんな形になるのか、あるいは具体的にどんなチェックができるのかということをまず明確にして、さらに、それをきちんとよく説明して、理解・納得した上でやらないと、そもそもナショナルデータベースそのものへの信頼を失うという極めて危険なことだと思いますので、少なくとも今回、ここで改正することには絶対に反対いたします。
山本委員長  ありがとうございます。
 ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。
 宮島さん。
宮島委員  宮島です。よろしくお願いします。
 今のお話ですけれども、私が物知らずかもしれないですけれども、これによって、よくなる部分と心配になる部分をもうちょっと具体的に知りたいと私も思います。というのは、この会議にそんなに記者が来ているわけではないですけれども、これが報道されて断片的に伝わったときには誤解が生ずることもありますし、割合誤解されやすい部分もありますので、もうちょっと具体的に、こういうところは困るから、これを提供する。ただ、こういう心配があるということを細かく砕いて議論できればありがたいと思います。
 皆さん、SNS時代によく御存じのように、匿名にしているものがSNSでどんどん暴かれているのは日常ですので、そして、それを止めることができないでいるので、みんな心配になる部分はあると思います。
 一方で、今、データの活用に関しては議論が進んでおりまして、個人情報を守ることと、守りながらデータをうまく活用して国全体がメリットを得ることをどうやっていくのか議論も、進んでいて、それでみんなが納得すれば、より活用するほうにかじを切るということも十分考えられている状況だと思います。私には、この情報だけでは、これがないことのデメリットの深さや可能性がちょっと見えにくいです。
山本委員長  ありがとうございます。
 どうぞ、山下課長。
山下課長  今、宮島委員からありましたので、事例を少しお伝えしたいと思います。例えば、所得階層情報があるとないのとでどうなのですかということですけれども、つい先日、私たち、後期高齢者の75歳以上の方々の患者負担、1割と3割というのがあるのですけれども、2割という区分を設けることについてという議論をしたときに、2割になったら、例えば今、1割の患者さんは、2割になったらどんな医療行動に変わるのか。例えば、所得の低い人は、今どんな医療を受けているのかということは、自分たちで言うのもあれなのですけれども、正直分からないのです。
 それは、ほかの情報として、75歳以上の高齢者の所得情報はというのが統計上ありまして、このぐらいのボリュームがいらっしゃいます。一方で、医療を受けている75歳以上の方々は、こういう方がいますということでしかないのです。僕たちがやろうとしているのは、誰がどんな所得かということをつまびらかにしたいわけでは決してありません。しかも、高額療養費の所得階層区分に応じて、例えばそのボリュームの人たちが一般的にというか、統計的にどんな医療をされているのか。それが、他の所得階層とはどう違うのかという分析ができるのではないかと思っていて、誰がということではなくて、どんな傾向があるのかというところを見るために必要な情報ではないか。
 実は、それは居住地でも一緒で、どこでではなくて、例えば医療機関との距離とか、地域としての話とか、そういったところでの傾向が分かるためであって、特定の個人を調べに行くということではない。
 それは、医療機関コードもまさにそういうことで、別にどの医療機関で何が行われているのかというのを、ナショナルデータベースを使って見に行くということでは決してない。それは、言い方は悪いけれども、既に保険者のほうでそういう情報がありますから、保険者もやろうと思えばできてしまうのですけれども、それをナショナルデータベースで研究者がこんなことをやりたいと申出をしてきたときに、何でこの研究は必要なのですかというところを、逆に言うと、皆様のほうで、それは学術的に何か意味があるのかというところが議論になってくるのではないかと思っています。
 私どもとしては、のぞき見すると言ったらあれですけれども、誰かを特定していくという観点でやっているわけでは全くないということでありますので、傾向とか統計的にということで御理解いただきたいと思っております。
山本委員長  よろしいでしょうか。
 郵便番号は、国保を除くとレセプトの大きな欠点で、医療機関しか分からなくて、その医療機関にどこの人が来ているかというのがレセプトでは分からなかったのですね。したがって、2次医療圏と言っても、その2次医療圏に存在する医療機関のレセプトを見ているだけで、患者さんがそこに住んでいらっしゃるかどうか分からない。そういう意味では、例えば乳がんでありますとか、そういった病気の場合、患者さんは非常に広範囲に医療機関を選択しているのですね。そうすると、2次医療圏を簡単に越えて、あるいは都道府県を越えて患者さんは移動していきますので、そういったことの分析というものがレセプトではできなかったのです。全く別の調査をするしかなかった。
 一方で、これだけ網羅的なデータベースですので、そういった情報があれば、非常に簡単にと言うと語弊がありますけれども、網羅的にそういった分析をすることができて、ひいては、医療機関にとっても、その医療機関の機能をどういうふうに整備していけばいいかとか、あるいは地域としては、一体何が足りないのか、足りているのかみたいなことが分かりやすくはなると思うのですね。それによって、患者さんを特定するというのは、当然ながらやってもらっては困るわけで、民間であろうと、研究者であろうと、そういう要素で出てきたら、この専門委員会でお認めすることは絶対ないということになろうかと思いますけれどもね。
 ほか、御意見いかがでしょうか。どうぞ。
堀委員  東海大学の堀です。
 今、山下課長の説明と委員長の説明にもありましたが、私自身もかつて医療費の分析をしたことがあるのですけれども、所得の情報であるとか居住地情報というのは、研究を進める上では非常に重要な情報だと思います。健康格差の課題とかも言われておりますけれども、実際、どういう所得層の人たちがどういう状態で医療機関を受診しているのかとか、あるいは地域ごとの医療費の在り方を分析するにおいても、肝心の情報がなければ、先ほど山下さんがおっしゃいましたけれども、本当に適正な医療費の自己負担になっているのか、そうでないのか、あるいは取り過ぎている可能性もあるかもしれないですし、厚生行政の適正化を進めるためにも重要ですし、それを行政だけではなく、研究者も研究目的でデータ入手、分析するということは、非常に重要なことではないかと思います。
 ただし、先ほどハッシュ化の話もありましたけれども、個人情報が特定されないようにするというのは、クラウドの問題もそうですが、これは本当に重要なことだと思います。厚生労働省の過去の様々な統計の問題とか情報漏えいの問題もあるので、そこの信頼性の確保を絶対にした上で、こういう所得情報とか居住地情報を研究目的で利用するのは、今後の日本の医療保障を考える上で非常に重要なことだと私自身は思っています。
 以上です。
山本委員長  ありがとうございます。
 東宮さん、どうぞ。
東宮委員  今のお話とかぶってしまうかもしれませんけれども、研究の価値と、その研究で所得なり居住地情報がどれだけ必要かということを委員会の中できちんと吟味していくことが大事だと思っていて、そのためにこの委員会がある。委員会で入り口をきちんと押さえることで、必要なときには提供できる形にしておくべきだと私は思います。
山本委員長  ありがとうございます。
 ほか、御意見いかがでしょうか。
 田中先生。
田中委員  田中です。
 私も今のお二人の意見と、それから医師会の先生の意見ももちろん理解するのですけれども、いろいろな国の医療施策が、所得を限っての助成制度が多くある中で、その制度がうまくいっているのかどうか、あるいはそれを緩和したときにどうなるのかということを考えるためにも、使えるときにはそれが使えるように情報は提供されているべきだと思っています。より有効な施策の改善のために。
 しかし、一方で、何度も皆さんおっしゃっていますように、個人情報の漏えいという問題は、ハード面もソフト面も非常に守らなければならないので、そこのところをきっちりどのようにマネージしていくかというところがキーになるのかなと思います。
 以上です。
山本委員長  ありがとうございます。
 それでは、鹿野先生。
鹿野委員  今の御意見、まさに同じようなことになってしまうのですけれども、提供される情報が広がることのベネフィットが確かにあるというのは、先生方、皆さん御理解いただいているのではないかと思います。
 一方で、個人情報漏えいのリスクというものは、扱う情報が多くなればリスクも大きくなる。そのリスクをいかに軽減するかということを、もうちょっと具体的に何か施策があったほうが理解は得やすいのかなと思いました。
山本委員長  ありがとうございます。
 長島先生、どうぞ。
長島委員  研究する側は、当然研究する材料が多ければ多いほどいいので、その人たちが多く集まっている場では、当然そういう意見になってしまいますが、情報を使われる側、国民の不安というものもきちんと吸い上げる必要がある。残念ながら、そういう方がここにいらっしゃらないので、その代理として医師会の私が申し上げますが、これは国民がこの情報が適正に使われるならいいですよという、きちんとした理解と同意がなければいけません。研究者側だけの論理で進めるのには、絶対反対です。
 それから、例えばそれで役立てるのであれは、国の政策のために使うというのならいいのですが、これは民間企業にも提供し得るということです。果たして、絶対間違いないのか。民間企業に提供したものが何らか漏れてしまうとか、違う目的に使われるということがあり得ないのかというと、これはどんな場合でもあり得ます。ということを考えると、そのような場合の重大性ということも考える必要がある。
 それから、様々な情報について一括して議論していますが、それぞれの意味が全部違いますから。居住地情報にしても、所得階層情報にしても、医療機関コードにしても、保険者番号にしても。それぞれについて、どのようなニーズがあったり、メリットがあるのか。それが何らかの個人の同定にどのようなリスクがあるのか。そのリスクを減らすためには、どのような手段があるのか、あるいはリスクがどうしても極めて大きいなら断念すべきなのかを、きめ細かく、きちんと議論すべきです。このような大ざっぱな、単なる1つの印象例だけで議論するようなものではないと思います。
 まずは、極めて重大なことを議論するのには、余りにも材料が不足しているし、そもそも今まで一度も議論していないことを、ここのごく短時間で決めるべきではありません。これは、国民にとって大きな不利益です。したがって、もしやるのであれば、様々な材料をしっかりそろえて、きちんと検討して、できるだけリスクを減らしてメリットがあるようなことを考える。それから決めるというふうにすべきだと思います。
 以上です。
山本委員長  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 どうぞ、田中先生。
田中委員  私、政策のより有効な見直しのためにという発言をしたのですけれども、そのときの想定は、民間企業へ情報を出すということについては余り想定していなくて、政策に関してということですので、どちらかといえば、どこに制限を設けるのかということを議論したほうがいいかなと思います。
山本委員長  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 どうぞ、鹿野先生。
鹿野委員  東京理科大学、鹿野でございます。
 民間企業という線引きでやるというよりも、個別に判断されたほうがいいのかなと思います。というのは、日本が欧米に比べて医薬品の開発が遅れるという原因の一つに、企業が利用できる疫学的な情報がそろっていなくて、どこで知見を得ればいいのかとか、どういう症状の患者さんが、どの程度、どこにいるのかという情報が非常に集めにくいということが言われています。医薬品の開発というのは患者さんのメリットにもつながりますので、企業であれば駄目ということではなくて、個別の計画に応じて、その必要性を判断していったほうがいいのかなと思います。
山本委員長  ほか、御意見いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、この論点3に関しましては、いろいろ御意見がございますので、事務局にお願いして、それぞれのメリットとリスクというものをもう少しきちんとまとめていただいて、それでまた、改めて。
 どうぞ。
中野(壮)委員  すみません、中野です。遅れて申し訳ございません。
 長島先生がおっしゃることは非常によく分かる点があって、がゆえに、リスクの見える化をすることも非常に大事なのかなという気がしています。その観点に立った場合、これまで研究計画というものを見せていただいて、ここで議論しているわけですが、研究計画が正直言うと少し薄いかなという気がしていますので、長島先生がおっしゃっていることは、国民の目線に立つと妥当かなと思うので、そのリスクの洗い出しができるような研究計画を出してもらうための、研究計画書にこの点だけ何か追加事項を入れるか、もうちょっと厚みを増すということで見える化することが大事かなと思っています。恐らく今の研究計画書は、そこの議論をしようとしても、踏み込むのは難しいかなと思います。
 もう一つが、先ほどの簡易審査か対面審査かというときに、当面の間でもいいのでしょうけれども、対面審査をここは必ず行うとかいうことを、皆さんのリスクという言葉も少し程度問題があるような気もしましたので、見えるようにするプロセスを入れるのが非常に必要なのかなと感じました。
山本委員長  ありがとうございます。
 確かに、今の申請書はセキュリティ部分が非常に大きくて、ページ数はすごく多いのですけれども、研究計画の実態のところはそれほどページ数が割かれているわけではないというところがございますね。もちろん、状況に応じて、こちらも要求していけばいいと思いますけれどもね。
 よろしゅうございますか。それでは、この3点目に関しては、いろいろ御議論いただきましたので、もう一度利点、リスク等を整理して、また議論を続けていきたいと思います。そういうことでよろしゅうございますでしょうか。
(肯首する委員あり)
山本委員長  はい。
 全体を通して、もし言い残した御意見がありましたらと思いますけれども、いかがでしょうか。
長島委員  もう一度言わせていただきます。研究者が非常に多いところで議論すると、どうしても研究側の議論が通りやすくなるので、国民の心配とか不安というものをきちんと受け止めるような中で議論すべきと思います。これは、極めて重要なことで、ナショナルデータベースの根本原理というか、存在意義にまで関わる問題で、国民と医療機関、医師の信頼を失ったら、こんなものは到底継続できない。それぐらいの重大問題だと思いますので、ここは慎重に、かつ丁寧な議論が絶対に必要です。
 以上です。
山本委員長  ありがとうございます。
 ほか、御意見ございませんか。
 それでは、その点も含めて継続ということにさせていただきたいと思います。
 それでは、次に議事の3つ目「令和3年度匿名レセプト情報等の提供に関する審査スケジュール」ということで、事務局からお願いいたします。
牧戸室長補佐  来年度も匿名レセプト情報等の提供に関する申出書の審査を先生方にお願いする予定です。来年度は、例年と同じように、6月、9月、12月、3月を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
山本委員長  ありがとうございます。
 それでは、引き続いて、4つ目の「令和3年度匿名診療等関連情報の提供に関する審査スケジュール」の説明をお願いいたします。
金光課長補佐  資料4「匿名診療等関連情報の提供に関する申出書の審査スケジュール」ということでお示ししてございます。ここにお示ししてございます6月と9月の2つの日程でお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
山本委員長  ありがとうございます。
 名前がややこしいですけれども、要するにDPC関連ファイルですね。分かりました。
 議事3、4に関しまして、何か御質問ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、この後、個別審査に入りますけれども、その前に10分ほど休憩をいただきまして、それから個別審査に入っていきたいと思います。
 それでは、今から10分間、休憩とさせていただきます。
(休   憩)
山本委員長  それでは、10分たちましたので、会議を再開いたします。
(非 公 開)
山本委員長  いよいよ以上です。たくさんあったので混乱してきましたけれども、これで今日御審議いただく案件は全てでございます。
 本日の議事はここまでとなりますけれども、何か特に御発言ございますでしょうか。この会議は、相変わらずヘビーですね。
 それでは、次回の日程につきまして、事務局から連絡をお願いいたします。
牧戸室長補佐  次回は、6月を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、長時間にわたり御審査いただき、誠にありがとうございました。御指摘があった部分に関しましては、確認を取らせていただき次第、提供に向けた手続を進めさせていただきたいと思っております。
 以上となります。
山本委員長  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第3回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を終了いたします。本日は、長い間ありがとうございました。