2025年3月3日 第21回医療介護総合確保促進会議 議事録

日時

2025年3月3日(月) 14時00分~16時00分

場所

【会場】全国都市会館 第一会議室 3階  東京都千代田区平河町2-4-2

議題

  1. 1.地域医療介護総合確保基金の執行状況、令和5年度交付状況等及び令和6年度内示状況について(報告)
  2. 2.医療法等の一部を改正する法律案について(報告)
  3. 3.令和5年の地方からの提案等に関する対応について(報告)

議事

議事内容
○田中座長 委員の皆さん、こんにちは。ただいまから第21回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、対面とオンラインの併用での開催となっております。
 会議に先立って、構成員の交代及び本日の出欠状況について事務局から報告をお願いします。前回の会議以降、事務局にも人事異動があったそうなので、併せて紹介をお願いします。
○山田課長 保険局医療介護連携政策課長の山田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私から御報告させていただきます。
 まず、構成員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。
 猪口雄二構成員が御退任されまして、新たに日本医師会副会長 角田徹構成員が就任されております。
 川勝平太構成員が御退任されまして、新たに高知県知事 濵田省司構成員が就任されております。
 森昌平構成員が御退任されまして、新たに日本薬剤師会副会長 荻野構一構成員が就任されております。
 井上由起子構成員が御退任されております。
 続きまして、構成員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。本日は、永井良三構成員、中島栄構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、河本滋史構成員の代理として伊藤悦郎参考人、北川博康構成員の代理として川又竹男参考人、濵田省司構成員の代理として中嶋真琴参考人に御参加いただいております。
 次に、事務局の人事異動でございますが、お配りしております座席表を御覧いただき、紹介に代えさせていただきます。
 また、事務局におきましても、他の公務のため、欠席や途中参加、ウェブにより出席となる者がおりますが、御了承いただきたいと思います。
 以上となります。
 次に、議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。資料、3つございます。
 資料1 地域医療介護総合確保基金の執行状況、令和5年度交付状況等及び令和6年度内示状況について(報告)
 資料2 医療法等の一部を改正する法律案について(報告)
 資料3 令和5年の地方からの提案等に関する対応について(報告)
 この3つを御用意しておりますので、御確認をお願いいたします。
○田中座長 ありがとうございました。
 では、議事に入ります。カメラはここで御退出願います。
 議題1の「地域医療介護総合確保基金の執行状況、令和5年度交付状況等及び令和6年度内示状況について」の報告を伺います。資料1の説明をお願いします。
○山田課長 資料1をお願いいたします。地域医療介護総合確保基金の執行状況等について御報告させていただきます。
 2ページ、目次となっております。冒頭に「基金の概要」、前半が医療の関係、後半が介護の関係です。医療と介護の資料の構成は、同様にしております。
 4ページ、「基金の概要」の資料となります。病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、医療・介護従事者の確保・勤務環境の改善等を進めるため、平成26年度から消費税増収分等を活用し基金を創設し、各都道府県に設置しています。各都道府県は、都道府県計画を作成し、当該計画に基づき事業を実施しているところです。
 対象事業としましては、右下の枠のとおり、区分I-1から区分VIまでの7区分ありますが、その内I-1、I-2、II、IV、VIの5つが医療分の事業、IIIとVの2つが介護分の事業となります。
 5ページ、お願いいたします。基金の令和7年度当初予算案になります。都道府県負担分も含めた公費ベースで1433億円。内訳は、医療分909億円、内国費が613億円となっております。介護分524億円、内国費349億円となっております。
 続きまして、8ページ、お願いいたします。平成26年度の基金創設から令和4年度までの医療分の執行状況について御報告いたします。予算総額は8983億円、内国費が6119億円。交付総額は7739億円、内国費が5195億円。執行総額は5909億円、内国費が3969億円となっております。
 9ページでございます。医療分全体の執行状況になります。表の右下に記載しておりますが、全体の執行率76.4%となってございます。
 10ページからは、医療分の事業区分ごとの執行状況となります。
 10ページでありますが、区分I-1 地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業について、また右下に記載しておりますが、執行率52.9%となってございます。「地域医療構想に係る地域の関係者との協議などに一定の時間を要する」、「コロナによって協議が困難だった」ということが、執行率が少し低くなっている理由として考えられます。
 また、都道府県に対し、今年度末を期限として、より具体的な執行予定額や執行スケジュールの調査を行っているところでありまして、調査結果も踏まえながら、引き続き執行に努めてまいります。
 11ページ、お願いいたします。区分I-2 地域医療構想の達成に向けた病床の機能又は病床数の変更に関する事業であります。執行率は右下に記載しておりますが、81.2%でございます。
 12ページです。区分II 居宅等における医療の提供に関する事業について、執行率は右下の85.6%となってございます。
 13ページ、お願いいたします。区分IV 医療従事者の確保に関する事業について、右下に記載のある執行率は95.7%となってございます。
 14ページであります。区分VI 勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業について、執行率は49.8%でございます。令和2年度に新設された事業ですが、令和6年4月から医師の時間外労働の上限規制が適用され、執行状況は改善されております。
 16ページでございます。令和5年度、直近の単年度の医療分の交付状況についてでございます。各都道府県が令和5年度計画で実施する事業ということで、公費の額として事業の区分ごとに記載しております。I-1の事業区分で約183億円。I-2の事業区分、約59億円。IIの事業区分、約45億円。VIの事業区分で約439億円。VIの事業区分で約27億円となっております。なお、括弧内の数字は国費ベースの数字になります。
 また、公民の割合を見ますと、公的機関が37.5%、民間機関が57%、交付先未定が5.5%となっております。
 17ページ以降は、今、申し上げました交付額の「全体」と「事業区分ごと」の都道府県の数値を示してございます。少し飛びまして、22ページまで都道府県ごとの数値を示しております。
 23ページは、今、申し上げました事業区分ごとの交付額を左上の円グラフにしています。下段には都道府県別にしたものを記載しております。
 24ページは、公民、公と民間の割合を円グラフにしたものを左上に記載しております。下には、都道府県別にしたものを記載しております。
 25ページでございます。公民の割合を事業区分別に示させていただいております。
 26ページからは、基金事業における主な取組例を紹介させていただきます。基金事業につきましては、PDCAサイクルを回していくということにしております。まずは、都道府県の計画の中で報告いただいています令和5年度基金事業の中から、一部主な取組例として報告させていただきます。
 27ページをお願いいたします。区分I-1です。
 上段は地域医療構想の実現に向け、将来過剰とされる病床から不足とされる病床機能への転換を促進するために必要な施設整備等の支援に係る事業。
 下段です。バランスの取れた医療提供体制を構築するため、過剰と見込まれる病床機能から不足が見込まれる回復期病床への機能転換を促進する事業になります。
 28ページでございます。区分I-2になります。
 上段、下段ともに病床機能再編の実施に伴いまして、減少する病床数に応じた給付金の支給に関する事業になります。
 29ページ、区分IIになります。
 上段です。介護支援専門員や訪問看護師など、在宅療養を支える職種に対しまして、歯科に関する知識の普及や歯科支援の重要性の理解を促進する事業でございます。
 下段です。看護職員に対し必要な知識や技術を習得させるための研修を実施し、より高度な知識と技術を持った看護職員の育成・確保を促進する事業になります。
 30ページ、お願いいたします。区分VIになります。
 上段です。病院薬剤師の復職を支援するため、復職プログラムの作成やマッチング支援をする事業。
 下段は、理学療法士などの医療従事者の確保につながるイベントの実施や、イベントに参加するための経費の補助事業になります。
 31ページは、区分のVIになります。
 上段、下段ともに医師の労働時間短縮に向けた取組を総合的に実施する事業に必要な経費を支援する事業になります。
 32ページからは、医療分の令和4年度基金事業につきまして、主な取組例の事後評価を示した資料になります。先ほど申し上げたPDCAサイクルの一環としまして、基金事業につきまして、それぞれの都道府県におきまして事後評価を実施していただいているところであります。
 33ページ以降ですが、ここでは一つ一つの説明は省略させていただきますが、例えば整備をする病床数、あるいは実際そうした事業を運営している機関数、こうしたものにつきまして、ある程度の数値目標を置いて、それが実際どうであったかなどを赤字に書いてあるような数値でもって事後評価をしているという状況でございます。
 少し飛ばしていただきまして、42ページ以降、内示状況でございます。
 43ページ、お願いいたします。令和6年度分につきまして、現時点までに都道府県に医療分として内示している状況をお示しした資料になります。
 右下に記載のとおり、全体で1080.2億円、国費で751.7億円となっております。
 44ページ以降は、事業区分ごとの内示状況となります。県の中にところどころ「-」が記載されております。これは「過年度に交付された基金の執行残を活用するため、現時点で令和6年度の内示を行っていないもの」あるいは、「事業によりましては、地域の医療機関との調整に一定の時間を要しているため、現時点では内示を行っていないもの」などがあるということを示しております。
 以上、医療分となりまして、続いて介護分となります。
 49ページ以降、介護分となっております。
 51ページ、お願いいたします。介護分の執行状況などについてでございます。介護は、基金が創設されましたのが平成27年度ですので、平成27年度から令和4年度までの執行状況となります。予算総額は7754億円、内国費が5169億円。交付総額は7552億円、内国費が5034億円。執行総額は5838億円、内国費が3892億円となってございます。
 52ページが全体の執行状況になります。
 また、表の右下のほうに執行率を記載させていただいております。全体の執行率は77.3%となっております。
 53ページ以降、事業区分ごとの執行率となっております。介護の事業区分は2つになりますが、53ページの区分III 介護施設等の整備に関する事業についての執行率は、右下に記載がございますように73.8%となっております。
 54ページの区分V 介護従事者の確保に関する事業について、右下に記載の執行率は85.4%となってございます。
 続きまして、令和5年度、直近の単年度の介護分の交付状況について御説明いたします。
 56ページ、お願いいたします。各都道府県が令和5年度計画で実施する事業ということで、公費の額として、介護施設等の整備に関する事業で約532億円、介護従事者の確保に関する事業で約155億円となっております。括弧内の数字は国費ベースの数字となります。
 公民の割合は、公的機関5.3%、民間機関85.9%、交付先未定が8.8%となっております。
 57ページからは、今、申し上げました交付額の全体と事業区分ごとの都道府県別の数字を示したものであります。
 60ページにお進みください。今、申し上げました数字を左上の円グラフで示すとともに、下段は都道府県別の割合を示しております。
 61ページでございます。公民の割合を円グラフで示すとともに、下段で都道府県別の割合を示しております。
 62ページは、公民の割合を事業区分別に示してございます。
 63ページ以降、令和5年度基金事業の主な取組例を紹介させていただきます。
 64ページでございます。区分IIIですが、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の整備を促進するため、地域密着型サービス施設等の整備に関する支援事業になります。
 65ページからは、区分Vになります。
 65ページの上段、多様な世代を対象に、福祉・介護体験やセミナー等を実施し、福祉・介護人材の安定的な参入促進を図る事業。
 下段です。県内の高校生を対象に、介護に関する基礎的な知識と技術を習得する機会を提供し、施設・事業所関連の団体等及び高校と連携し、就職を希望する高校生に対し、介護資格取得を支援する事業になります。
 66ページです。
 上段です。事業実施施設において、介護の周辺業務の切り分け研修から、地域の元気高齢者の募集、事前説明会、就労マッチングを行い、地域の元気な高齢者を「介護助手」として育成する事業。
 下段は、外国人留学生に対しまして、介護事業所等が学費や生活費などを奨学金として貸与又は給付する事業になります。
 67ページでございます。
 上段です。介護ロボット・ICTの普及促進に関する研修を支援し、施設等における機器の導入を促進することで、介護業務の負担軽減や効率化を図る事業でございます。
 下段は、介護現場の生産性向上に関する取組を行う総合的窓口の設置や介護現場の現状等を関係者間で共有する「介護現場革新会議」を実施しまして、介護人材の確保・定着を目指す事業になります。
 69ページからは、基金事業の事後評価になります。それぞれ事業区分ごとにまとめておりますが、説明は省略させていただきます。
 72ページ以降、内示状況になります。
 73ページ、御覧ください。令和6年度におきまして、現時点までに都道府県に介護分として内示している状況を示した資料になります。
 73ページ、右下に記載のとおり、全体で445.3億円、国費で296.9億円となっております。
 74ページ以降、事業区分ごとの内示状況を記載しております。
 説明は以上となります。
○田中座長 ありがとうございました。地域医療介護総合確保基金の執行状況、令和5年度交付状況等及び令和6年度内示状況について説明を伺いました。
 ここから委員の皆様より意見を頂戴いたします。会場の参加者は挙手でお願いいたします。オンラインから御参加の方は、「手を挙げる」ボタンを利用し、私の指名を受けてからミュートを解除後、発言をお願いします。発言終了後は、再度ミュートに戻してください。では、どうぞ、どなたからでも。
 井上構成員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 御説明で都道府県ごとの執行状況はよく理解できたわけでございますけれども、重要なことは、それぞれ資料の後半にある、具体的な取組状況あるいは事後評価の辺りだと思います。残念ながら、事後評価の中には、十分な実績、アウトカムが得られていないという例も散見されておりますので、ぜひ今後、原因分析も含めて効果の検証を行っていただきまして、事業の改善につなげるようにお願いしたいと思います。
政府では、内閣府が中心となって、現在、EBPMアクションプラン2024を進めておるところでございまして、この中にも効率的な医療・介護サービスの提供体制の構築というものが対象の一つとなっております。ぜひこの基金の事業につきましても、このEBPMアクションプランで提示されています、具体的なアウトカム指標、検証事項、分析・検証方法、こういうものと整合性を取った形で効果検証を行っていただき、事業の改善あるいは予算の有効活用につなげていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中座長 今後の方向について、ありがとうございました。
 大西構成員、お願いいたします。
○大西構成員 ありがとうございます。
 私のほうから、地域医療介護総合確保基金につきまして、意見を一言言わせていただきたいと思っております。
 2025年、団塊の世代が後期高齢者になりまして、これから2040年まで高齢者がどんどん増えていくということで、医療と介護の連携がますます重要になってくるということでございます。そのためには我々市町村が中心となって、いわゆる地域包括ケアシステムの構築といったものを各地域においてきちんとつくっていかなければならない。そのためには財源が必要ですので、必要な予算額を確実に確保していきたい。そのための中心となるのが、この地域医療介護総合確保基金かなというふうに思っております。したがいまして、その地域の実情に応じた弾力的な基金の活用が行えるように、十分な配慮をいただきたいということでございます。
 今、報告がありましたように、地域医療介護総合確保基金につきましては、全体額として令和2年度以降、年々減額されておるということでございます。いろいろな要因があろうかと思っていまして、執行率はまだ十分ではないというところもあろうかと思っておりますが、一方で経費のほうを見てみますと、近年の物価高騰等の影響によりまして、施設整備費や人件費等の必要経費も高騰しておるということでございます。現状として、多くの医療機関や介護施設において経営が非常に苦しいといった話もよく聞くわけでございまして、施設の整備や人材の確保も十分に行われていないという状況にあろうかと思っております。
 一方で、執行状況がまだ基金の十分な活用ができていないというところも散見されているわけでございます。我々といたしましても、この辺、何が執行の妨げになっておるのか、分析を行っていく必要があろうと考えておりますけれども、厚労省におかれましても、その辺の要因分析等について見ていただいて、必要かつ十分な措置ができるように御配慮いただけたらと思っておるところでございます。とにかく予算を確実に確保していただきまして、地域の実情に合ったような形で基金を弾力的に活用できるよう御配慮いただきたいということを意見として言わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
 佐保構成員、お願いします。
○佐保構成員 ありがとうございます。
 予算額につきましては、令和2年をピークに年々減少しております。また、執行状況を見ると、都道府県・区分によって交付額や執行率には差があり、交付額が全くない事業もあります。地域によって必要な取組は異なるとは思いますが、この基金が十分に活用されているのか、地域間の濃淡も気になるところです。
 とりわけ人材確保については、どの地域においても課題だと考えます。医療や介護の現場で働く人からは、例えば研修費用にこの基金が使えたり使えなかったり、そもそも研修費用にこの基金を使えることを知らなかったという声などが連合にも寄せられております。都道府県によって基金が使えたり使えなかったり等、ローカルルールがあるようであれば、是正が必要ではないかと考えます。状況の把握や周知を含め、現場で有効に活用できるよう取り組んでいただきたいと考えます。
 また、これは質問ですが、医療従事者の確保に関する事業では、産科医への分娩手当や小児救急医療支援として職員の給与への補助が行われていると思います。こうした手当などに関する事業が全体でどれぐらいあるのでしょうか。事業数や執行額など、具体的に教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 質問にお答えください。
○高宮参事官 医政局の参事官でございます。
 今の御質問、医療介護総合確保基金を活用した産科医療機関の分娩手当あるいは救急の手当などの執行状況という御質問でございました。この医療介護総合確保基金において、そのような医師の確保の支援については、分野・対象を限定したものを対象にしております。産科医・救急医等の確保を図るために、1件ごとの分娩手当あるいは救急対応1回ごとの支援を行っている都道府県もございます。これらの支援も含めました、不足している診療科の医師確保支援については、令和5年度に国から都道府県に約29億円を交付しています。これは不足診療科の医師確保支援全体の数字でございまして、この内御質問の分娩手当あるいは救急手当等に限定した事業規模については、把握していないという状況でございます。
○田中座長 佐保構成員、よろしいですか。
○佐保構成員 ありがとうございます。
 手当等に関する事業について具体的に分析等もしていただければ、ありがたいと思います。効率的な提供体制の構築や人材確保に向けて、国としても地域の濃淡には目配りしていただき、基金の有効な活用に向けて好事例を横展開するなどの取組を進めていただければと思います。
○田中座長 次に山際構成員、お願いいたします。
○山際構成員 ありがとうございます。民間介護事業推進委員会の山際でございます。
 3点意見を申し上げたいと思います。
 1点目ですが、69ページ以降に介護分の事後評価資料が掲載されております。中には、計画と実績に大きな乖離が存在するものも見受けられます。例えば、施設系であれば、建築業界の人手不足等で着工が遅れるなど、様々な理由があると思いますが、事後評価のところで、次年度以降の検討状況であるとか執行の状況についてもぜひ記載いただけると、実態がより分かりやすくなるのではないかというふうに思っております。
 基金の運営については、この後、御報告される資料3でも、計画のつくり方について柔軟なつくり方ということで改善がされてきたということでありますが、併せて、基金の計画そのものについてもより柔軟につくっていく、見直していく必要があるだろうというふうに思っております。一度立てた計画の見直し、つくり直しをして、実態に合ったものにしていくということを検討いただければと思っています。
 また、事後評価につきましては、各都道府県が実際行っているというふうに承知しておりますが、こうした自己点検とか自己評価は当然必要だと思いますが、併せて、第三者も含めた評価のような、より客観的な見方で、この基金運用について評価できるような仕組みについても必要ではないかと考えています。
 2点目です。基金によって様々な事業が展開されているわけですが、事業者などに十分周知され切れていないという実態があるというふうに思われます。非常に重要な中身ですので、この基金事業の取組について事業者等にさらに周知徹底させ、有効に活用される。こうしたことを進めるべきだと考えております。
 3点目です。基金の使途についてですが、地域包括ケアシステム、2025年に向けて構築が進められてきたということですが、そのシステムの切り札とも言われていた地域密着型サービスについて、整備がなかなか進んでいない、遅れているという実態があります。例えば、看護小規模多機能、小規模多機能、定期巡回のような内容については、極めて有効なサービスだと考えています。今後、特に医療介護連携の中で医療機関から退院される方が非常に早いタイミングで出てくるということです。こうした方々を在宅復帰に向けて引き受ける重要なサービスだというふうに思っています。
 これらの地域密着型サービスについては、退院直後の方々に対して集中的なサービスを提供し、状態像を安定させる中で在宅に戻していく。そして、状態像が安定してきたら適切にサービスを抜いていくというか、適切なサービス量に落としていくということ。そうしたコントロールが可能なサービスです。また、定期巡回も、一定の人口の集積があれば非常に展開可能な有効なサービスだというふうに考えています。
 こうした内容については、包括報酬の形ですので、財源的にもコントロールしやすいということがあります。したがって、利用者にとっても、事業者にとっても、保険者にとっても極めて有効なサービスになると思っていますので、この基金を活用した地域密着型サービスの拡充について、より積極的に進められることをぜひ意見として申し述べたいと思います。
 以上でございます。
○田中座長 意見を3点ありがとうございました。
 次は、伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。健保連 河本に代わりまして、私のほうから意見を述べさせていただきます。
 この後の議題2にも関わることでございますけれども、事業区分あるいは都道府県によりまして状況に格差があるというふうに感じてございます。今後、この基金をより効果的に活用していく検討をしていくためにも、個別の取組について御報告はいただいておるわけでございますけれども、事業全体につきましても総括的な検証をすべきと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 続きまして、平田構成員、お願いいたします。
○平田構成員 ありがとうございます。
 まず、基金の執行状況をただいま御説明いただきましたけれども、介護分の介護施設等の整備に関する事業について、今後の有効活用、さらには今後の人口減少社会において、サービス提供基盤を維持していく観点から課題を申し上げたいと思います。関連資料を提出させていただいておりますので、御覧いただきたいと思います。
 まず、令和7年度の予算案において、一定の対応を予定されているというふうに承知しておりますけれども、改めてお伝えさせていただきます。
 資料の1ページのとおり、物価高騰等で福祉施設全般に関わるのですけれども、建築・修繕の単価が上昇を続けています。必要な施設等を整備する、あるいは既存施設を修繕し、有効活用するためにも、ぜひ補助単価の引き上げ等が必要な状況にあるということです。
 また、2ページのとおり、補助事業の目的あるいは在り方についても、地域差をもって顕在化している状況を踏まえた上で、今後のサービス基盤の維持などを見据えた仕組みとすることが必要であると考えています。
 最後に、3ページになります。現在の基金のルールでは、既存の広域型あるいは従来型の特養の大規模修繕等が非常に困難になっています。地域密着型の介護施設等を1施設造らなければ、あるいは一定期間内でなければ、既存施設の改修等に関する補助が出ないというようなルールになっていますので、地域別に様々なニーズあるいはサービスの基盤維持のために、補助要件の見直し等、ぜひ今後、御検討いただきますようにお願いいたします。
 以上です。
○田中座長 追加資料の説明も含めて御発言ありがとうございました。
 次は、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 日本看護協会 山本でございます。意見を申し述べたいと思います。
 まず、5ページですけれども、各年度の予算額をお示しいただいております。今後一層、医療・介護サービスに係る人材確保、サービスの質の向上をはじめとした医療・介護の基盤強化が求められる中、基金の活用を通した各地域の課題解決が図られますよう、国においても予算の確保、都道府県での効果的な基金活用に向けて支援をお願いしたいと思います。
 また、8ページの令和4年度交付分までの医療・介護の執行状況について、全体の執行率が70%台となっております。過年度積立て分も含めて有効に活用いただけますよう、都道府県によるばらつきもあるため、都道府県と国との連携が必要と考えております。
 また、特に今後、人材確保が極めて重要な課題となる中で、看護学生の就学資金の充実を図る、返還免除の要件を拡大するなどの個別の県の取組も聞いております。そのほか基金を活用した医療従事者の確保に関する事業としましては、自治体内の医療・介護施設をコーディネートすることで、地域において施設のニーズに即した看護職の確保が行われている自治体もございます。このように、より効果的な事業の推進を図れますよう、都道府県によってばらつきも見られますので、各自治体への御支援をぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田中座長 看護についての御発言ありがとうございました。
 加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
 今、病院の置かれている経済的な状況、医業利益率、経常利益率、ともにマイナスに急性期が下がっている中で、例えば建物等施設の建築、医療機関の施設の建替え等をしますと、それ自身で病院の経営が難しくなるというような状況下で、そういったものを考慮した物価高騰、施設の建築費の高騰に関する対応を考えていただいた内容に、特に1番に関しましては、ぜひともやっていただきたいかなと思います。
 次に23頁の区分Ⅳを見ますと、医療従事者の確保・養成に関する事業というところでは56.1%を占めておりますし、執行率でいきましても95.7%。ここは非常に即効性のある有効な手段だと考えますので、病院においては、病院薬剤師さん、また看護助手さんの対応というものにぜひとも活用できるような内容にしていただきたいかなと思っております。
 その中で、30ページに千葉県で行われました病院薬剤師さんの復職支援事業等がございます。一方で、昨年度も行われていたかと思いますが、薬剤師就学資金貸与事業、奨学金返済支援をしているという県が10件ほど、もう既にあるということを聞いております。こういった形で、院内薬剤師さん、病院薬剤師さんの確保というものが非常に求められているわけですが、これに関する条件です。これは質問ですが、大阪においても非常に困難を極めているわけですけれども、病院薬剤師さんの偏在指標とか条件といったものがあるのかどうかということを1つお聞きしたいと思います。
 また、看護助手さんに関しましては、例えば66ページ等にございますように、介護の世界では外国人の奨学金に関する支援事業等も行われておりますが、これらも医療分野においても同じく実行可能なのかどうかもお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。
○田中座長 病院薬剤師の偏在についてと、看護助手について御質問がありました。お答えください。
○中田課長 薬剤師が不足する関係についての1点目の件ですけれども、例えばプログラムを作成する際に、対象となる薬剤師の希望に対応したものになるように努めるということで、その返済期間もしっかりと確保した上で、きちんと病院に勤めていただくといったことを念頭にプログラムをつくっていただくという条件になっております。
 また、看護助手の確保につきましても、各都道府県の実績に応じて対応していただくという状況になっております。
 簡単ですが、以上となります。
○田中座長 よろしいですか。
○加納構成員 そうすると、要件は各都道府県から要望すれば、特に条件はないということで理解してよろしいでしょうか。
○田中座長 どうぞ。
○中田課長 先ほど申し上げましたような、各地域においてきちんと確保できるような要件を各都道府県で検討していただくという前提になっております。そういった意味で、各地域で御検討いただいた内容で御提案いただくということになります。
 以上です。
○加納構成員 ありがとうございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
 では、七種構成員、お願いいたします。
○七種構成員 ありがとうございます。
 私のほうからは、区分V 介護従事者の確保に関する事業、59ページからの資料のお願いなのですけれども、実際に都道府県と国の負担が3分の2と3分の1ということになっているのですけれども、財源が豊富な東京都とか、突出した状況で金額が上がっています。財源が確保できている、強い東京都とか、そういったところは潤沢な基金の活用ができるのですけれども、ほかの地域を見ると1億円にも満たない状況で、30倍以上の差が開いてしまっている、交付額の差が出ているというのがあります。財源が弱い都道府県もありますので、そういったところはやりたいのだけれども、やれないということが現実、起きています。
 ですので、1000万確保するだけでも大変な県もありますし、そこを十分補えるだけの財源を持って、東京都とか大きな都市部を抱えているところはできますので、できればそういったところの格差を何らかの形で、すぐには難しいかと思いますので、いきなりというのは無理かもしれませんけれども、その辺を少し御検討いただいて、財源の弱いところがしっかり人材確保できるようになっていかないと、強い都市部に人が流れていってしまって、周辺の県の人材不足が深刻化している現状もありますので、そういったところを改善するためにも一度御検討いただけたらと思います。
 私からは以上でございます。
○田中座長 都道府県格差について問題提起いただきまして、ありがとうございました。
 山口構成員、お願いします。
○山口構成員 ありがとうございます。
 今回、資料1のところで主な取組事例が幾つか紹介されていて、恐らくこれは厚労省に各都道府県から報告された中でピックアップされているのだと思います。住民が自分の住んでいる都道府県がどのような事業に力を入れて取り組んでいるのかを理解することが私は大事だと思っているのですけれども、厚労省に報告されているような内容について、各都道府県が住民に基金を医療・介護にどのような事業展開をしているのかを、積極的に報告することになっているのでしょうか。事務局にお尋ねしたいと思います。もしお分かりであれば、厚労省として住民への情報提供の状況について、どれぐらい把握されているのかということも重ねてお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○田中座長 情報提供について御質問です。
○中田課長 今、いただきました御質問については、ちょっと調べてからお答えしたいと思います。
○田中座長 では、山口構成員、今、探しているようですので、少しお待ちください。
 その間、次の方の御質問を伺います。渕野構成員、お願いいたします。
○渕野構成員 どうもありがとうございます。精神科病院の渕野でございます。
 1点、質問をさせてください。令和6年の執行状況等は分かりました。それから、区分I-2の事業区分のほうで病床変更とか病床転換ということをずっとやられて、今年度もまたあるかと思います。そこで質問は、先日の補正予算で医療需要の変化を踏まえた医療機関への支援ということで428億円ほどついております。こういうふうに補正予算で額が決まって執行されるわけですけれども、ダブルの申請というと変ですけれども、確保基金のほうで今年また出そうと。それから、この補正予算で転換を図ろうということは可能なのでしょうか。それとも全く別のことだからできないとか、いろいろあるのでしょうか。その辺を教えてください。
○田中座長 今の点、お答えください。
○中田課長 地域医療計画課長です。
 先ほどの補正予算と基金との関係についての御質問であります。基金を活用した際の補正予算の予算の活用というものは可能でございますが、その事業につきましては、併給調整という形で金額の調整をさせていただくということを今、対応したいと思っております。
 以上であります。
○渕野構成員 そうすると、補正予算のほうは割と期限的なものがあるかなと思うのですけれども、この基金のほうは8月だから秋口ぐらいから申請になると思うのですけれども、同時に、取りあえず手を挙げることは可能である。そして、それを手を挙げられたところで、今度、吟味してということでやるという解釈でよろしいですね。
○中田課長 そのような解釈で結構でございます。
○渕野構成員 分かりました。ありがとうございます。
○田中座長 次、東構成員、お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の東でございます。
 質問を2点と意見を1点申し上げます。
 まず、資料1の56ページにある介護分の令和5年度交付状況についてです。2つ目の○に各都道府県が令和5年度計画で実施する事業の交付状況として、介護施設等の整備に関する事業で532.2億円、介護従事者の確保に関する事業で154.9億円とございます。これを見ますと、多くの額が介護施設等の整備に関する事業に充てられているように見えます。ただ、令和5年度に関しましては、令和5年度補正予算で介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業に351億円がついており、このなかで基金のメニューと同じ介護ロボット・ICTの導入補助が手当てされておるところでございます。今回、基金で充てられた介護従事者の確保の額が少ないというのは、この補助金があったからという解釈でよろしいでしょうか。まず、それが質問の1点目です。
 2点目は、資料1の73ページから令和6年度の介護分の都道府県別の内示状況が示されております。前回のこの促進会議で出された令和4年度の介護分の交付状況によりますと、介護施設等の整備が548.3億円、介護従事者の確保に関する事業が1068.4億円となっており、基金創設当初、施設分が9割、従事者分が1割だったものが、令和4年度では施設分が3割、従事者分が7割と、随分配分が変わっておりまして、現場にとっては介護従事者の確保に関する予算が多くなっており、非常に助かっておりました。
 ところが、今回の資料1の74ページ、75ページを見ますと、74ページの施設整備分が277.3億円、75ページの従事者確保分が168億円と、割合が6対4とさらに先祖返り、逆転をしております。そもそも令和4年度の介護従事者の確保に関する事業が1068.4億円であったものが、今回168億円と、大幅に減額となっていますけれども、この理由をお聞かせください。現在、介護現場では極端な介護職員の人員不足の状況がございまして、施設整備に財源をつけて新たな施設をつくるというよりは、介護ロボット・ICT導入支援等のメニューがある従事者確保分に多く基金のお金を配分するべきと考えます。国におかれましては、その趣旨が各都道府県に確実に伝わるようにしていただきたいと思います。
 その上で、私が本日提出いたしました資料の説明をさせていただきます。この資料を説明する前に、これは全て私ども全国老人保健施設協会事務局で各自治体に聞き取りをした、令和6年4月時点のものを取りまとめたものということを申し上げておきます。最終的な実態とは異なるということも申し上げておきます。
 1枚目、昨年4月に全老健で調べました基金の介護ロボット・ICT導入支援事業の表でございます。緑が5億円以上、これは8都道府県にすぎません。5000万以下となった都道府県も5か所ございます。
 次、2枚目。1枚目の計上額を各都道府県の老健施設の数で割ったものです。老健施設1施設当たりで見ても非常に低い額ですし、何よりも各都道府県の格差が非常に大きいということが分かると思います。
 次、3枚目。今回の促進会議の資料にも出ている、令和6年度介護分の内示額を表にしたものでございます。
 最後、4枚目が、それをグラフにいたしました。これを見ても都道府県の格差が大変大きいことが分かりますし、特に東京都においては、介護分の全てを介護従事者分に充てていますが、大阪府は従事者分はゼロとなっています。人材が極端に不足している今、施設の整備に基金を使うのではなく、従事者に使っていただきたいということを再度申し上げたいと思います。
 国で本格的に介護DXを進めるのであれば、基金における介護ロボット・ICT導入支援にもう少し資金を配分するべきだと考えますし、そういう意味では、都道府県に任せるのではなく、国一括で実施するということも考えていただきたいと思います。もし国一括で実施することができないのであっても、介護テクノロジー導入支援事業等の補助率は、一定の要件を満たせば現在4分の3以上、それ以外は2分の1になっておりますが、その補助率を6分の5とか8分の7とか、現場の事業者の負担が極力少なくなるようにしていただきたい。もしくは、基金の要件の中で50万円以上の資産になるものは事業所の負担を求めることとなっておりますが、介護ロボット・ICT導入については特例でその要件を外し、補助率を10分の10にするなど、思い切った施策をしていただきたいと思います。
 以上です。
○田中座長 提出資料の説明を含めて御発言ありがとうございました。
 質問が2点ございましたので、お答えください。
○峰村課長 高齢者支援課長でございます。
 質問、2点いただきましたけれども、1点目についてお答えいたします。
 令和5年度の執行状況につきまして、施設整備と介護従事者確保を比べた場合に、介護従事者確保のほうが予算の少ない理由として、令和5年度の補正予算351億円が影響しているかという御質問でございますけれども、これは確かに影響してございます。令和5年度は、年度途中に351億円のテクノロジー導入支援の事業費がつきましたので、執行段階において、そちらの執行を優先した結果、基金のほうの執行額を減らしているということをしてございます。
 1点目は以上でございます。
○吉田課長 2点目について、推進課長からお答えさせていただきます。
 令和4年度の本基金の交付額が1000億ほどであった、介護従事者に係る部分として、そのぐらいであったということなのですけれども、これは御案内のとおり、令和4年度におきましては、コロナの流行下における事業所のサービス提供体制の確保ということで、感染者が発生した場合のかかり増し経費への補助というものを本メニューにおいて行っていたということでございます。これは5年度まで本基金を使って実施しておりましたけれども、6年度から、コロナが今、もう5類になっておりますので、本基金からは対応しないというような形になっているということで、今の状況になっているということでございます。
○田中座長 東構成員、どうぞ。
○東構成員 分かりました。では、令和4年度1068億円の中で、コロナ対応分を除きますとどのぐらいの額になるのでしょうか。
○吉田課長 令和4年度でコロナのかかり増し経費の部分で、少なくとも約500億円、これは国費ベースでありますので、恐らく会長は国費ではなくて公費のほうでおっしゃられているのだろうと思いますけれども、その公費ベースで申し上げますと、800億ほどがコロナのかかり増し経費の補助というような形になっているということでございます。
○東構成員 分かりました。いずれにしても、250億あったものが、今回168億と減っておりますので、何度も申し上げてございますように、この介護従事者分のところで介護DXを行わなければ、介護職員の不足に手当てがなかなかできませんので、よろしく御検討のほど、お願いいたします。
○田中座長 ありがとうございます。
 では、武久構成員、お願いします。
○武久構成員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の武久です。
 2つ質問がありますので、お聞かせ願いたいと思います。
 地域医療介護総合確保という名前のごとく、確保という意味は、不足のところに補充するということの意味なのか。ということは、特養とか老健は、いまだに都市周辺では新設が認められております。一方で、地方へ行くと空床がどんどん増えております。例えば、空床が多ければ、その2つを一緒にして確保し直すということも確保なのかと思いますが、単純に補充だけをするような基金でもないと思いますが、この辺り、補充と、空床がいっぱいある地方との関係について、どうお考えかお聞かせ願いたい。質問の1つです。
 2つは、介護職員が、特に地方も含めてどんどん不足してきておりまして、大変困っているわけですが、こと医療についても、介護職員が不足していることによって非常に大きな問題になっています。特に急性期医療では、介護の人がいないために、看護の人たちが間接的な介護的なことが不足しているために、短期間の入院でも要介護者が多発してくるという意味では、医療・介護、総合的な確保という意味では、むしろ急性期医療における介護的職員の補充の対策というものが非常に必要なのではないか。2024年の診療報酬改定では、介護職員の夜勤について加算をつけていただいておりますけれども、こういったこともトータルに医療と介護はほとんど密接に重なっていますので、この事業は非常に重要だと思いますので、この2点について担当者の御意見を聞かせてください。
○田中座長 老健局、お願いします。
○峰村課長 高齢者支援課長でございます。
 御質問いただきました2点の内、1点目について、私からお答えしたいと思います。基金を創設した当時は、介護ニーズが増えるということで、新たに施設を作っていく、新規に増やしていくというところを支援することが主眼であったと思いますが、今、御指摘いただいたように、地域によっては施設に空きが生じている、ニーズが減ってきているというような実情もございます。
 まさに、そうした地域ニーズの変化を踏まえまして、実は基金の介護の施設整備の事業メニューに、今、国会で御審議いただいています令和7年度予算案のほうに新たにメニューを追加させていただいておりまして、具体的には、古くなった施設も含めまして施設を統廃合するとか、あるいはダウンサイジングする。地域のニーズの変化をとらまえた施設整備についても、今回の基金の対象にするということを加えてございますので、これは予算が成立しましたら、そういったことにも国が支援できるということを自治体を通じて周知していきたいと思っております。
○田中座長 もう一点のほうは。どうぞ。
○中田課長 地域医療計画課長でございます。
 御質問いただきました後段の2点目でございます。今後、医療と介護の非常に重要な課題についての御指摘かと存じます。私どもといたしましても、医療と介護、今後、一層密になって連携していくということも当然重要な課題だと思っております。少し総論的な回答になりますが、この次の資料2でもありますとおり、今後の地域医療構想の中でも、単に病床の機能分化だけじゃなくて、介護との連携、人材確保も含めた医療体制を解決するための地域医療構想として検討していきたいと考えております。今後、そういった点もきちんと受け止められるような体制を検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
○武久構成員 ありがとうございました。
○田中座長 では、大山構成員、お願いいたします。
○大山構成員 ありがとうございます。全国老施協の大山でございます。よろしくお願いいたします。
今ほど質問されて回答がいただけていたので、私も同じ質問でございましたが、まず、地域医療介護総合確保基金の対象事業で介護はIIIとVになっておりますが、IIIの施設整備に関する事業が創設されて8年が過ぎたところです。これからの課題は人材不足を踏まえた対応であり、施設整備だけをする話ではないと。新たなやり方をしなくてはならない状況に置かれているわけですので、旧態依然の事業内容では困るなと思っておりましたが、7年度予算案は、地域ニーズの変化を踏まえた新たなメニューを追加というお話を聞けました。
 ですので、それを絶対的とは申しませんが、地方の自治体にしっかりと落としていただきたい。そうでないと、このIIIに関する事業とVの従事者の確保に関する事業、どちらも脅威であるという事業者の感覚を自治体は認識しているのか、分析は分かりませんが、国のほうで、地域医療介護総合確保基金の中で各都道府県で非常にばらつきがあるということです。このばらつきの原因が何なのかという分析をしておりましたらお教えいただきたいですし、まだでしたら、この低い数字の自治体に対する対象事業の捉え方というものがおそらく違っているのではないかという気もいたしますので、その辺をお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中座長 ばらつきの分析があるかという御質問です。
○峰村課長 高齢者支援課長でございます。
 今、御指摘の点は、先ほど東構成員が御提出されたロボット・ICT事業の予算額を県別に見たときのばらつきだと思いますけれども、これは詳細に自治体のほうにヒアリングして、きちんと分析できていないところもございますけれども、1つには、自治体の中の財政事情が大きいと思っております。あと、県によっては、高い補助率は県の方針としては認めていないという事情もあったり、そういう県の方針・財政事情によるところが大きいのかなと思っております。
 国としては、御指摘がありましたように、できるだけばらつきがないようにやっていきたいと思っておりますので、特に令和6年度につきましては、各県の担当者を集めまして、今の補助金の執行状況とか今後の執行について意見交換する場を定期的に持っております。その中で、各県の予算の確保状況につきましても認識を持っていただくような取組も、今後継続してやっていきたいと思っておりますので、そうした取組を通じて、できる限りばらつきが小さくなるように努めてまいりたいと思っています。
○大山構成員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中座長 お待たせしました。仙賀構成員、どうぞ。
○仙賀構成員 日本病院会の仙賀と言います。
 6年間、この会議に出席させてもらって、その時その時に応じて柔軟な使い方が求められていると思いました。特にコロナ禍においての使い方、それから落ち着いてからの使い方、あと働き方改革、いろいろ変化がありましたが、私が言いたいのは、それぞれの事業区分で基金を使いたいと申請するときに、先ほど話も出ましたけれども、都道府県でそのハードル、条件がかなり違うということで、特に医療従事者確保に関して、公民問わず、小さな病院でもこの基金が申請すれば使えるようにしていただきたいなと。僕は神奈川県ですけれども、神奈川県は特にハードルが高いように思えました。なぜそう言うかというと、小さな病院が民間の派遣会社から人材派遣をお願いするようなことが少なくなっていただきたいなというふうな思いで話をしました。
 もう一点、介護分と医療分に関して、公と民で配分が違っていて、医療分では公に対しての執行が37%ありましたね。ところが、民ではほとんど民ですけれども、公での執行もあるということなのですけれども、介護分で公的な部分での予算の執行というのはどういうものがあるのか、僕、知識がないので、それについて教えていただきたいと思います。
 以上です。
○田中座長 どうぞ。
○峰村課長 高齢者支援課長でございます。
 公と民との関係ですけれども、公というのは、基本的には地方自治体が事業主体に含まれると思います。民が多いのは、社会福祉法人も民のほうに計上しておりますので、その辺が民の多い理由として挙げられるかと思います。
 以上です。
○田中座長 よろしいですか。
 先ほどの山口構成員の質問についてお答えください。
○中田課長 地域医療計画課長です。
 山口構成員からの先ほどの御指摘、各都道府県におきまして、地域医療構想がしっかりと透明性・公平性をもって行うための地域への周知の状況、関係者の意見の反映の状況がどういった状況なのかということの御質問と受け止めております。都道府県におきましては、その公平性・透明性を確保するために、幅広い関係者の方々からの意見を反映させるような措置を講じることとしております。その関係者におきましては、医療関係者はもちろん、例えば市町村や医療・介護を受ける立場にある方々からきちんと意見を反映させるための対応を行っていただいております。
 また、地域全体への幅広い周知につきましては、各都道府県、様々な媒体を通じまして地域医療確保基金の活用状況等、計画の内容について広報しております。厚生労働省も全体の分かりやすい広報の支援となるようなリーフレット、パンフレットのようなものも作成させていただいておりますので、そういったことでしっかりと理解が深まるような対応に努めてまいりたいと思っております。
 以上です。
○田中座長 山口構成員、よろしゅうございますか。
○山口構成員 ありがとうございました。
 もしできれば、分かりやすく住民へ提供しているところの取組事例で、また御紹介いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 では、次の議題に移ることにいたします。議題2「医療法等の一部を改正する法律案について」、資料2の説明をお願いします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料2をお願いいたします。「医療法等の一部を改正する法律案について」、御説明いたします。本法案は2月14日に閣議決定の上、国会に提出したものでありまして、この通常国会で御審議いただくことを見込んでございます。今回、御報告させていただく趣旨は、改正内容の中に医療介護総合確保法に関するものがございますので、それについて御報告させていただきたいと思っております。
 2ページを御覧ください。医療法等の一部を改正する法律案の全体像であります。本法案、高齢化に伴う医療ニーズの変化、人口減少を見据えまして、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するためのものでございまして、改正の概要のところに3つ柱が書いてございます。1つ目が「地域医療構想の見直し等」、2つ目が「医師偏在是正に向けた総合的な対策」、3つ目が「医療DXの推進」です。それぞれ医療介護総合確保法に関するところを赤枠で囲っております。1つの柱にちょうど1つずつ関連するところがあります。
 3ページ、お願いいたします。
 まず、地域医療構想の見直しについてでございます。本法案では、病床の機能分化・連携だけでなく、外来医療・在宅医療、介護との連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体の課題解決を図るものとして新たな地域医療構想を策定することとしており、地域医療構想には、将来の医療提供体制の基本的な方向や医療機関機能の分化・連携の推進に関する事項等を新たに記載することとしております。
 これに伴いまして、医療介護総合確保法において、同法の規定に基づく都道府県計画につきましては、医療法に基づく医療計画、介護保険法に基づく都道府県介護保険事業支援計画に加えまして、新たな地域医療構想との整合性の確保を図らなければならないことといたします。
 次に、真ん中でありますが、医師手当事業の創設についてでございます。本法案では、医療介護総合確保法におきまして、「重点的に医師の確保を図る必要がある区域」に勤務する医師の手当の支給に関する事業(医師手当事業)を設けることとしております。
 また、医師手当事業に関する基本的事項につきましては、本会議の検討項目である医療介護総合確保方針において定めることとしており、今後、同方針の改定に当たっては、この事項を盛り込む必要がございます。
 3つ目、最後でございますけれども、医療情報化推進方針の策定についてでございます。本法案では、社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営に係る母体として、名称、法人の目的、組織体制等を見直すこととしております。厚生労働大臣が医療DXの総合的な方針として医療情報化推進方針を定め、改組後の支払基金が医療DXの中期計画を定めることとしております。
 一方で、医療介護総合確保方針には医療DXに関する内容も盛り込んでおりますので、今後、医療介護総合確保方針の改定に当たりましては、医療情報化推進方針の内容も踏まえまして、整合性を図りつつ検討していく必要がございます。
 4ページ以降は参考資料となりますが、5ページが地域医療構想の見直しなどの参考資料でございます。
 6ページ、7ページは、医師偏在是正に向けた総合的な対策の参考資料。
 8ページが医療DXの参考資料になります。
 9ページ、10ページは、医療介護総合確保方針における医療DX部分を抜粋したものでありまして、11ページ以降は、条文の改正イメージをお示ししたものになります。
 説明は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 医療法等の一部を改正する法律案について説明を伺いました。意見、御質問おありの方はお願いいたします。
 佐保構成員、どうぞ。
○佐保構成員 ありがとうございます。
 医師手当事業について、先ほど議題1の中で質問したとおり、医療従事者の確保に関する事業で、手当の補助は、限定的にせよ、既に行われております。医療介護総合確保方針には、基金を充てて実施する事業が、それぞれの地域の実情に応じた創意工夫に対応しやすい面があるとあります。医師手当事業を実施するのであれば、基金を充実し、活用して行うべきではないでしょうか。医師手当事業は保険者からの拠出となっていますが、これは保険給付との関連性が乏しい施策の財源に保険料を充てるものであり、問題であると考えます。
 私からは以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
 角田構成員、どうぞお願いします。
○角田構成員 田中座長、ありがとうございます。日本医師会副会長の角田でございます。
 私からは、この地域医療構想の見直しについて幾つかお話しさせていただきます。この新たな地域医療構想に対しましては、病床のみならず、入院・外来、在宅医療と介護との連携を含む、将来の医療提供体制全体の構想をすることとされています。
 本日の資料には明記してありませんが、この病床の機能区分において、これまでの回復期という名称が今後、包括期に変更になります。急性期病棟以外で対応するような高齢者の肺炎、尿路感染症、これらの入院を受け入れる医療提供ニーズが急増することを踏まえまして、入院早期から多職種と協働で在宅介護生活につなげる包括的な医療を提供するというイメージに合致すると考えております。ほかの検討会でもお話ししておりますが、今後、この名称変更に伴う混乱等が生じないよう、より丁寧な周知をお願いしたいと思っております。
 もう一つは、新たな地域医療構想においても、今までの2025年までの地域医療構想と同じような、ハード面だけではなくて、ソフト面でも可能な限り事業区分I-1で手当てしていただくようにお願いしたいと思います。
 もう一つは、新たな地域医療構想では、在宅や外来も対象としまして地域包括ケアシステムとの関連性がさらに強まります。地域に寄り添って医療や介護を担う人材を育成・確保していくということは、今後極めて重要になります。地域の准看護師・看護師の養成所は大学等とは違いまして、卒業生も地元の医療機関に就職する率が非常に高くなっておりますので、こういった養成所への手厚く、かつ柔軟な支援をお願いしたいと思っております。また、本来であれば3分の1を負担する都道府県行政に対しても、そういった必要な地域に必要な負担をしっかりと求めていきたいと思います。
 私から以上でございます。
○田中座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 私からは、法改正後の対応について意見を申し上げたいと思います。
 まず、スライド3に医療介護総合確保法に関連する改正事項といったものを示していただいておりますけれども、事務局におかれましては、法改正後に総合確保方針の見直しに向けた議論を速やかに開始できるように準備を進めていただきたいと思います。特に地域医療構想につきましては、令和8年度から都道府県において策定作業に入るということになってまいりますので、これに支障することがないように総合確保方針の見直しをしておかないと、地域の協議に影響が生じるおそれがあるのではないかと考えております。
 健保連では、地域医療構想調整会議等に参加する健保組合に対しまして研修等の支援を行ってございます。新たな地域医療構想は、現行の構想に比べて扱う範囲がかなり広がっておりますので、令和8年度からの地域の協議が始まる頃までには支援を行いたいと考えております。事務局におかれましては、医政局とも密接に連携していただいて、地域の協議が開始されるまでに新しい総合確保方針ができ上がっているように、ぜひお願いいたします。
 また、先ほども申し上げましたけれども、健保連からは、以前より総合確保基金事業全体について総括的な検証が必要だというふうに指摘させていただいております。この基金に期限が定められていないということは承知しておりますけれども、2025年を目指して実施してきたことを踏まえ、遅くとも新たな地域医療構想の取組が始まる令和9年度までには検証し、より効果的に基金を活用する方策を議論すべきと考えておりますので、事務局においては、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上です。
○田中座長 検証について御意見ありがとうございました。
 武久構成員、お願いします。
○武久構成員 ありがとうございます。
 先ほどもお話ししましたけれども、今、都市部と地方との差が非常に大きくなっております。何年でしたか、各都道府県で3つから10ぐらいの地域に分けて、一般病床と療養病床の数を決めておったと思いますけれども、この境界線があるために不便になっている部分がかなりあると思います。この区分を金科玉条のごとく、ここを絶対守るのだという方針なのか、もう少しフレキシブルに2つの要件を一緒にするとちょうどうまくいくのに、区分を別々にすることによって都道府県が多分やりにくくなっているというところがあるのではないかと思います。これ、決まってからもう40年近くになりますね。たしか1985年ぐらいだったと思います。
 ということで、それ以降は十分充足している医療圏では一切の病床が認められておりませんが、片方の地域では、都会辺りでは不足してくる。これは社会福祉施設も同じことですけれども、もう少し柔軟なやり方をしないと、40年前から見ると人口分布が非常に変わっているので、これも変えていくほうがいいのではないか。地方の県では全県下的に見るというやり方もあるし、ある程度都道府県に選択の余地ができるようにしたほうが、スムーズに特養の定員も適正化されるし、医療においても過剰な医療機関もたくさん出ておるようで、厚労省としても1床400万を投与して補充して、ベッドを少し抑制するような形にもなっておりますから、そのトータルをもう少し容認していただけるような方法はないものでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
 以上です。
○武久構成員 圏域の設定についての御質問でした。
○高宮参事官 医政局の参事官でございます。
 圏域の設定についての御質問、御指摘でございました。2040年に向けて、新たな地域医療構想の策定というものに取り組んでいきたいと考えています。その中で、現在の構想区域、医療圏では人口がかなり少なくなるような構想区域も出てくる。こういうところについては、区域を広げていただく、一緒にしていただくということも取り組んでいきたい。あるいは、人口がかなり多い、100万人以上の構想区域などについては、協議がなかなか難しいというような御指摘もいただいているところでございます。そういうところも構想区域の見直しに取り組むというようなことも含めて、新たな地域医療構想に取り組んでいこうと考えています。
 以上になります。
○武久構成員 ありがとうございます。
○田中座長 では、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 日本看護協会 山本です。よろしくお願いします。
 この医療法等の一部を改正する法律案についてですけれども、昨年12月に公表された新たな地域医療構想に関する取りまとめに示されておりますとおり、2040年に向けて、大半の地域で在宅医療や訪問看護の需要の増加が見込まれており、医師偏在の是正とともに、医療従事者の効果的な協働の在り方をより一層検討していく必要があると考えております。概要には記載されておりませんけれども、医療計画の策定に当たって、医師以外の医療従事者確保も含め、計画的に進めていただきますようお願い申し上げます。
 以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
 続きまして、今村構成員、お願いします。
○今村構成員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の今村でございます。御説明ありがとうございました。
 資料2の改正の趣旨で示されております、高齢化に伴う医療ニーズの変化とか人口減少について、既に都道府県単位で将来予測に基づく対策等を医療・介護の事業計画等の中で策定し、実施されているというふうに承知しておりますが、資料1にもございましたように、その施行状況とか、例えば基金事業におけます取組及び事後評価といったものを拝見しますと、特に介護分野においては、アウトプット指標に対する実績が十分達成できている状況は少ないように見受けられます。本基金については、対象事業に関する市町村計画を都道府県がまとめて都道府県計画として国ヘ提出し、それぞれの事業が実施されていると思いますけれども、2040年を見据えた医療介護提供体制を確保するためには、各事業の達成率を上げていかなければならないと思うところです。
 他方で、2040年に向けた医療や介護サービスの提供体制等のあり方に関する検討会とか、医療介護DBを用いた研究等が行われておりますけれども、将来予測は、都道府県ではもちろん、市町村単位でも大きく違うことを踏まえつつ、こういった検討会とか研究等で示されているデータ等を活用した計画とか実施といったものを期待したいと思っているところです。
 少し資料1に戻ることにもなりますけれども、近年、介護分野においては、介護従事者の確保に関する事業の割合が増えてきていることは、都道府県としても人材確保に関して大きな課題意識を持っているものと認識しております。しかしながら、介護サービスを提供する事業者や現場の当事者はさらに強い危機感を持ちつつ、人材の確保と介護の質の担保を同時並行で行うために、工夫や取組といったものを重ねて事業を運営しております。それでもサービスの提供が困難となり、事業の撤退や廃業などが報道等でも相次いでいる状況にあります。
 これは必要なサービスを受けることができなくなる、いわゆる介護難民と言われるような方々が増えていくことを意味しているとも考えられますし、早急な改善を目に見える形で示していかなければならないのではないかと思います。そういう意味においては、人材確保については、都道府県の取組をさらに強化できるよう、検討の後押しをしたいと思っております。
 地域医療構想が見直されるということは、都道府県民の生活等に関する重要なことでありますけれども、地域住民としても、将来に向けて都道府県が行っている医療・介護について、今のうちから知っておくべきこととして、この基金の概要とか事業に関する周知・広報、さらには取組結果の公表などを充実させることがとても必要なことではないかと思います。この計画を通じて、地域住民への理解促進というものは、包括ケア等のさらなる推進といったものを図る上では重要ではないかと思います。我々職能団体といたしましても、今後の地域を支える介護人材として、例えばリタイアメントした介護福祉士がさらに活躍できないか、こういった視点も含めた検討を進めているところでございます。
 最後になりますけれども、2040年に向けて医療・介護サービスの提供体制を確保するためには、それぞれの地域において将来予測を見据えた事業等を効果的に実施していかなければならず、そのためには都道府県単位で活動している施設団体の皆様方、さらには我々職能団体、こういったところとの連携等は必須であるというふうに思われますことからも、国から都道府県への働きかけといったものを強くお願い申し上げて意見を述べさせていただきます。
 以上です。
○田中座長 認識に基づく御意見でした。ありがとうございました。
 では、時間の都合もありますので、議題2はここまでといたします。様々な御意見ありがとうございました。
 続いて、議題3の「令和5年の地方からの提案等に関する対応について」、資料3の説明をお願いいたします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料3をお願いいたします。令和5年の地方からの提案等に関する対応について御報告いたします。こちらは昨年1月17日に開催しました前回の会議において御議論いただき、お認めいただいた方針に沿って、我々が対応したということを御報告させていただくものになります。
 2ページでございます。令和5年の地方分権改革におきまして、地方から地域医療介護総合確保基金について、造成年度ごとに基金を管理する方法を改めて、都道府県計画を事業の実施年度ベースのみでの策定とし、過年度分の計画変更を不要とすることの御提案をいただきました。
 3ページでございますが、この提案への対応策として、前回会議にお示しした資料でございます。令和6年度都道府県計画以降、地域医療介護総合確保基金は年度ごとに造成するものではなく、当該年度ごとに決定された交付額、これには都道府県分の負担も含みます。及び運用益に加え、過年度の事業に生じた残額を一体的なものとして基金事業を実施するものとする。過年度に造成した基金の残余額を活用する場合に、過年度の都道府県計画を変更することを不要とする。これについて事務局より御提示し、この会議において御了承いただいたところでございます。
 4ページでありますが、それを受けまして、昨年10月8日に医政局・老健局・保険局の3局長連名の通知を発出し、自治体にお示しいたしました。赤枠内が該当箇所になります。この運用の変更につきましては、発出後に複数の自治体からも詳細な御質問をいただいておりますので、厚労省としまして引き続き丁寧に説明してまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 令和5年の地方からの提案等に関する対応について説明を伺いました。この点について、御意見、御質問おありの方はお願いいたします。
 中嶋参考人、お願いいたします。
○中嶋参考人 ありがとうございます。いつもお世話になっております高知県でございます。
 基金の年度別の区分経理を廃止していただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。この見直しによりまして、事務負担の軽減につながるだけでなくて、基金の効率的な執行につながるものと考えております。都道府県におきましても、執行残の減少に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。ないようでしたら、本日はここまでといたします。
 議題1では、地域医療介護総合確保基金の平成26年から令和4年度の執行状況、令和5年度の交付状況及び令和6年度の内示状況について説明を聞き、議論を行いました。都道府県においては、引き続き効果的な執行に努めていただくとともに、国としては、執行が遅れている都道府県をしっかりサポートしていただくようお願いします。
 議題2では、医療法等の一部を改正する法律案について報告を伺い、議論を行いました。
 報告3では、令和5年の地方からの提案等の対応について報告をお聞きしました。ありがとうございます。
 それでは、次回の日程について、事務局から連絡をお願いします。
○山田課長 次回の会議の日程など、詳細につきましては、追って御連絡させていただきます。本日はありがとうございました。
○田中座長 では、以上をもって第21回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。皆様、御議論ありがとうございました。