第18回 匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会 議事録

日 時

2024年9月18日(水) 13:00~15:00

場 所

Web

出席者

【委員】
・今村 知明(奈良県立医科大学 教授)
・小野寺 哲夫(日本歯科医師会 常務理事)
・川又 竹男(全国健康保険協会 理事、代理:長谷川 功)
・東宮 秀夫(一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 参事)
・長島 公之(日本医師会 常任理事)
・中野 壮陛(公益財団法人医療機器センター 専務理事)
・中野  惠(健康保険組合連合会 参与)
・野口 晴子(早稲田大学政治経済学術院 教授)
・原口 亨(日本薬剤師会 副会長)
・堀 真奈美(東海大学 健康マネジメント学科 教授)
・宮島 香澄(日本テレビ報道局 解説委員)
・武藤 香織(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野 教授)
・村松 圭司(産業医科大学公衆衛生学 准教授)
・山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長)
 

議 題

1. 医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について
2. 個別審査(非公開)
3. 模擬審査(非公開)
 

議 事

※非公開部分は含まれません
 
山本委員長 ただいまより第18回「匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加ありがとうございます。
 委員の出欠状況について、事務局から報告をお願いいたします。
佐藤課長補佐 老健局老人保健課の佐藤でございます。
 本日は、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、委員の皆様全員がウェブ参加となります。
 齋藤委員、鹿野委員、嵩委員、田中委員、辻委員は欠席となります。
 本日は、川又委員の代理人として、長谷川参考人が代理出席となります。
 本日は、公開の議題がございまして、傍聴者の出席がございます。
 申出の個別審査は、非公開の議題ですので、審査の前に御退室いただきます。
 議事録作成のため、事務局にて録音させていただきますので、御了承をお願いいたします。議事録作成後に、録音ファイルは消去いたします。
 続きまして、資料の確認をいたします。
 議事次第のファイルをお開きください。
 本日の議事と資料一覧が記載されております。
 資料はお手元にございますでしょうか。
 本日の資料を画面表示して御説明いたしますが、適宜、事務局から送付しております資料もお手元で御参照いただければと存じます。
 御不明な点等がございましたら、会議のチャットに記載していただくか、御発言いただければと存じます。
 御不明な点はございませんでしょうか。
 よろしければ、山本委員長に進行をお渡しさせていただきます。
 それでは、山本委員長、よろしくお願いいたします。
山本委員長 それでは、早速、本日の議事に入らせていただきます。
 会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
  (冒頭カメラ撮り終了)
山本委員長 議題1「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」を行います。
 事務局から説明をお願いいたします。
西川企画官 医政局でございます。
 それでは、資料1について御説明させていただきます。
 今、政府で医療DXを推進しておりまして、その中で、医療等情報の二次利用についても進めていくことになっております。
 具体的には、3ページでございます。
 上半分に、政府が去年6月に定めた医療DXの工程表がございまして、この中では、様々な論点について整理し、幅広く検討するための検討体制を構築することになっております。
 下半分は、同じく去年6月の規制改革実施計画でございまして、この中でも、所要の制度・運用の整備及び情報連携基盤の構築などを検討するとされたところでございます。
 4ページです。
 骨太2024の抜粋でございまして、真ん中の赤字になっているところでございますが、二次利用の環境整備とか、医療介護の公的データベースのデータ利活用促進、また、研究者、企業が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築するとされたところであります。
 5ページです。
 武見大臣が8月30日に発表しました近未来健康活躍社会戦略の抜粋でございます。
 「医療・介護DXの更なる推進」という1枚がございまして、真ん中に「医療等情報の二次利用の推進」ということで、今後の方向性をまとめております。
 この後、御説明いたしますが、公的データベースの利用促進とか、クラウド環境の情報連携基盤の構築、利用手続のワンストップ化といった今後の方向性を打ち出させていただいております。
 6ページでございます。
 二次利用推進の様々な論点を検討するために、医政局に設置しましたワーキンググループの概要でございます。
 東京大学の森田先生に座長をお願いしまして、昨年の秋から5回にわたって議論をさせていただいたところでございます。
 8ページでございます。
 今後の対応方針としまして、8ページで、まず全体の課題とそれへの対応方針を整理してございます。
 医学・医療分野のイノベーションを進めるために、二次利用を推進していく必要があるということですが、次のような「現状・課題」があると考えていまして、それに対して、右の黄色い四角に書いてあるような対応方針で進められないかということでございます。
 まず「現状・課題」の1つ目ですが、カルテ情報に関するものでございます。
 我が国には、カルテ情報に関する二次利用可能な悉皆性のあるデータベースがないと指摘されております。
 大病院が複数入っているデータベースはありますが、診療所まで含めたデータベースがないということで、今、診療所も含めた長期間の分析ができない状況であることがよく指摘されるところであります。
 これに対して、右側の対応方針ですが、現在、医療DXの中で構築しています「電子カルテ情報共有サービス」がございます。
 この中で、まず、3文書6情報というカルテ情報の一部を共有していこうということで、今進めております。
 ここで共有されるカルテ情報について、匿名化ないし仮名化をした上で、利活用できるように、二次利用を可能とする方向で進めたいと考えております。
 その具体的な制度設計につきましては、ここにも書いていますとおり、医療関係団体等の関係者、利活用者の意見を踏まえながら、今後検討してまいります。
 真ん中は、仮名化情報の利活用に関する課題でございます。
 左の青いところですが、データ利活用が進んでいる諸外国では、匿名化だけではなく、仮名化情報の利活用も可能になってございます。
 一方で、我が国では、これまでNDBや介護DBがそうでありますとおり、匿名化した情報の利活用を進める形でやってきたところでございます。
 一方で、より情報量が多く、研究利用でも有用性が高い仮名化情報の利活用を進めるべきとの御指摘もあるところでございます。
 実際、昨年5月に次世代医療基盤法の改正法が成立しまして、仮名加工医療情報の利活用が一定の枠組みで可能になったところであります。
 こうした現状や課題を受けまして、右側の対応方針ですが、厚生労働大臣が保有する公的データベースについても、仮名化情報の利活用を可能にする。また、仮名化情報同士の連結解析を可能としてはどうかということでございます。
 「現状・課題」の3つ目でございますが、利活用環境に関する話でございます。
 現在の公的データベースでは、データを操作する物理的環境についても厳しい要件があり、研究者の負担の大きさが指摘されております。
 さらに、厚生労働大臣が保有する公的データベース以外にも、次世代医療基盤法の認定事業者のデータベースとか、様々な学会の各種レジストリなど、データベースが分散していますので、研究者や企業などが利用するときには、それぞれに申請するといったような非常に煩雑な手続になっている現状がございます。
 それにつきまして、右側ですが、まず、公的データベースにつきましては、研究者・企業などがリモートアクセスして、一元的に利活用・解析できるようなクラウド基盤の構築を進めてはどうかと考えております。
 また、利用手続につきましても、申請の受付を一本化するとか、審査体制を一元化するといった方向性で進めてはどうかと考えております。
 9ページでございます。
 今申し上げたものをイメージ図にしたものでございまして、真ん中やや上辺りに色がついたドラム缶の絵が並んでおりますが、NDBや介護DB以外にも、障害福祉や予防接種、感染症、難病等の様々な医療・介護のデータベースが厚生労働大臣の所管としてございますので、これらを一元的に利用できるような情報連携基盤をつくり、匿名化だけではなくて、仮名化でのデータ提供を進めていきたいという方向性でございます。
 10ページからが、より詳細な内容の御説明になります。
 10ページの上半分の「現状・課題」は、先ほど申し上げたところと重なりますので、省略させていただきます。
 下の「対応方針(案)」でございます。
 特に本委員会で御意見いただきたい点としましては、レセプトデータ、DPCデータ、介護レセプトデータについて、その必要性などについても適切な審査をした上で、厚生労働大臣・利用者の遵守すべき保護措置も定めて、仮名化情報の利用・提供を可能としていったらどうかということでございます。
 小さく※をつけておりまして、仮名化情報の提供に当たっては、現在のNDBや介護DBなどは、匿名化情報のデータベースに位置づけられておりますので、これとは別に、仮名化情報を利用・提供するための新たなデータベースを整備してやっていくということで考えております。
 この辺りの具体的なやり方につきましては、引き続き検討させていただきたいと思っております。
 その上で、これらの仮名化情報と他の公的データベースの仮名化情報、また、次世代医療基盤法の仮名加工医療情報との連結解析についても可能としてはどうかと考えております。この辺りの法的措置を行いたいと考えております。
 11ページでございます。
 レセプトデータや介護レセプトデータ等、仮名化で提供するデータベースの在り方、また、その利用場面や利用者の保護措置などについて整理したものでございます。
 まず【データベースの管理】でございますが、仮名化情報の利用・提供を行うデータベースについては、現行のNDBがそうであるように、データ格納時に、本人特定が可能になるような氏名等の情報は削除して格納する形でいきたいと思っております。
 その上で、このデータベースにつきましては、個人情報を保有するデータベースということで位置づけて、個人情報保護法上の必要な安全管理措置、不適正利用の禁止、職員の義務等の措置を課すことを想定しております。
 真ん中の【利用の場面・目的】ですが、1つ目ですが、利用目的としましては、今の匿名化情報と同様に、相当の公益性がある場合に利用・提供を認めるということで「特定の商品又は役務の広告又は宣伝」のための利用・提供は認めないということでどうかと考えております。
 その上で、仮名化情報につきましては、真に仮名化情報が必要な場合に限定して、その研究が匿名化情報でも可能である場合は、匿名化情報で行っていただくことにしたいと考えております。
 その上で、仮名化情報の加工基準とか、審査委員会での審査基準は、改めてガイドラインを整備した上で、実際の利活用の必要性とか、提供に当たってのリスクに関する審査を行っていただいて、認められた場合には提供するという形で進めさせていただきたいと思っております。
 最後に【利用者の保護措置・利用環境】でございます。
 先ほど出てきましたが、クラウドの情報連携基盤をつくりたいということで、仮名化情報の利活用・提供は、クラウド上での利用を基本にしたいと考えております。
 これを行うことによりまして、利用者のデータの不正利用などのログの監視なども日常的に行うことが可能になるということで、より安全性が高まるものと考えております。
 ただ、一方で、従来のような記憶媒体でのデータ提供を求める声もあろうかと思いますので、そこにつきましては、引き続き、どういった場合に認められるか、検討していきたいと考えております。
 それから、今の匿名化情報と同様に、照合禁止とかデータ消去、安全管理措置や不正利用の際の罰則などについては、同様に設けていきたいと考えております。
 さらに、仮名化情報でありますので、匿名化情報よりもより厳格な運用を担保するという観点から、上乗せの措置としまして、厚生労働大臣が利用者に対して安全管理措置を要求するという義務を課すこととか、データの提供を受けた利用者が従業者への監督の義務を負うこととか、違反した場合の罰則などを上乗せで設けてはどうかと考えてございます。
 最後に、12ページでございます。
 クラウドの情報連携基盤の構築とか、利用申請・審査体制の一元化に関する内容でございます。
 まず、情報連携基盤の構築ですが、こちらについては、引き続き、セキュリティの要件とか、この基盤が備えるべき機能といったものを医政局の二次利用ワーキングなどで議論を深めていきたいと考えてございます。
 具体的には、令和7年度、また令和8年度に調査設計・開発に入っていきたいと思っておりまして、そのため、そこに向けた引き続きの検討をしていきたいと考えております。
 それから、下半分の利用申請・審査体制の一元化でございます。
 先ほど申し上げたとおり、利用者の利便性の観点なども考慮して、利用申請の受付窓口の一元化、また、審査体制の一元化を図っていきたいと。
 その中で、今、委員会ごとに少しばらついている審査手順とかガイドラインの内容の統一化も進めていってはどうかと考えております。
 この辺の審査体制の整備につきましても、各データベース、個々の事情もよく踏まえて整理していきたい、また、今後の検討を進めていきたいと考えております。
 資料の説明は、以上でございます。
 よろしくお願いいたします。
山本委員長 ありがとうございました。
 皆様方の意見を伺う前に、ただいまの資料について、本日御欠席の辻委員から意見書の提出がありましたので、私のほうで読み上げさせていただきます。
 「資料1_医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」で、申請手続については、各データベースで一元化できるとよい。一度申請したことがある研究者でないと扱いが難しい印象がある。
 それから、ページ11について、出口の部分である成果物の発表についても、国民の利となるように監視・監督・整備していく必要があると考えられる。
 それから、倫理審査について、専門委員会で一括して行うとすると、解析を外注する場合に研究者が主体性を持って研究に携わるかどうかも論点として重要と考える。
 以上の3点の意見をいただいております。
 今の辻先生の意見に対して、事務局、何かコメントはございますか。
 よろしいですか。
西川企画官 山本先生、すみません。
 1点目の御意見が聞き取れなかったのですが。
山本委員長 申請手続については、各データベースで一元化できるとよい。一度申請したことがある研究者でないと扱いが難しい印象が残ると。
 これは、一元化するとおっしゃっているので、これでいいと思うのですが。
西川企画官 ありがとうございます。
 まさに今の手続がかなり煩雑で難しいところがありますので、窓口の一本化も含めて行うことで、この負担を少しでも減らしたいという趣旨でこういう提案をさせていただいておりますので、まさに御懸念のところが解消されるような形で進めていければと思っております。
 2点目の監視・監督もそのとおりでございますので、仮名化情報を提供する上で、前提として、審査委員会の中で適切に審査していただくことと、今もそうであるように、成果物についてもきちんと確認していくことが大事だろうと思います。
 その間のデータの利活用の不正利用は、クラウド基盤でログの監視とかを行うことによって、しっかりと監視していく。これは、個人情報保護委員会からも求められておりますので、そういったことが可能になるような体制で進めたいと思っております。
 3点目の倫理審査も、御懸念は非常によく指摘されているところであります。
 研究者の負担の軽減と、きちんと主体性を持って取り組んでいただけるところを両立しなければいけないと思っておりますので、ここもどういった形で審査委員会、審査体制を組むのがいいのかは、よく御意見を聞きながら詰めていきたいと思っております。
 以上です。
山本委員長 ありがとうございます。
 それでは、御出席の委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
 今村先生、どうぞ。
今村委員 今村です。
 御説明ありがとうございます。
 3つほど御意見いただければと思うところがあります。
 まず、9ページのイメージ図で、一元化して審査に臨めるようにしてもらえることは大変いいことだと思いますし、私も賛成です。
 私は今、感染症DBの審査委員長をさせていただいているのですが、今、介護DBとNDBはこうやって合同審査をやっているのですが、感染症DBの場合は、NDBとくっつけず、それぞれのところでやって確認するようなことをやっています。
 すると、お互いに何が相手方のデータにあるかが分からないと、審査が極めて困難ということが起こってきます。くっつけたときに、一体どんなことが分かるのかというのを分からないで審査するのが非常にしんどくて、これを一元化すると、申請する側は大変楽になるのですが、審査する側は、全ての組合せについて詳しくなる必要があって、なかなか前途多難な面があるのかなと思います。
 それが1つ目で、対応として何があるかという質問と、2つ目は、審査した結果、我々は公共物をイメージして審査するわけですが、知らないもの同士のデータをくっつけたときに、どんな公表データが来るのか、非常に想像しづらいところがあって、公表審査というポイントがまた重要になってくると思いますが、今のように、微に入り細に入りという公表審査をしていると、恐らく、とてもではないけれども、事務的に網羅し切れない事態が起こるのではないかと危惧しています。そこの公表審査について、今のお考えがあれば教えてほしいということ。
 3つ目が、次のページにあったクラウドの今後の利用について、基本的にクラウドを使うことは賛成なのですが、NDBのような大きなデータをクラウドで使うと、NDBは1年間で4テラぐらいありますから、10年分だと40テラのデータを自分の領域で使おうと思うと、クラウドで使うのはなかなか重たいという状態があって、そういう大きなデータを扱うには不向きだと思うのですが、その辺のお考えを教えていただければと思います。
 以上3点、お願いします。
山本委員長 ありがとうございます。
 事務局、答えられる範囲でお願いいたします。
西川企画官 医政局でございます。
 御指摘ありがとうございます。
 最初の審査の一元化につきましては、利用者や審査委員の負担の軽減の観点からも進めたいと思っておりますが、御指摘いただいたように、厚生労働大臣が保有するデータベースは、今、画面に映っているように、8種類か9種類ぐらいあります。
 また、それぞれの専門的な知見も持って審査するのは、なかなか難しいところもあると思っています。
 ここのところは、どうやれば負担の軽減をしつつ、専門的な知見も持った形できちんと審査できるかというのは、考えさせていただきたいと思っております。
 いずれにしても、いろいろな連結解析の幅が広がって、組合せが増えていきますので、合同委員会という形で全てやっていくところもなかなか厳しいのかなと考えております。
 2点目の公表物審査も御指摘のとおりで、審査が必要ではないかと思っておりますが、データの利用が進んでいく中で、どこまでの審査を行うのかについては、引き続き検討する必要があるかと考えております。
 いずれにしても、公表物の審査は、何らかの形で国としてする必要があるかと考えております。
 3点目のクラウド基盤ですが、御指摘のとおり、非常に大規模なデータをどう乗せていくかというのは課題でございます。
 今、明確な方向性が出ているわけではありませんが、クラウド基盤をどう開発していくかという調査設計を来年度の予算事業で厚生労働省としてやっていきたいと思っておりますので、こういった中で、どういう解決策があるのか、研究していきたいと考えております。
 以上です。
山本委員長 ありがとうございました。
今村委員 ありがとうございます。
 審査については、基本的に賛成なのですが、実際に審査する側に回ったときに、これは難しいなというのが次々と出てきています。
 感染症ならば、初めての人は、各県では、名前は出ていませんが、実際に報道されているわけです。だから、時期さえ分かれば、その人がどういう人かまで分かってしまう。実際に掛け合わせたときには分かってしまうような情報が出てきたときに、どうするかということを審査しなければいけないのです。
 両方とも知らないと、それは分からないということがあって、それは例えば難病DBとか、特に次世代型で、中身が全く我々の知らないものと掛け合わさったときには、その掛け合わせの結果、何が分かるかはもっと分からない状態の中で審査することになるので、そこの部分の負荷が大きくなると思うのです。
 それと、クラウドのデータですが、基本的にはクラウドでやることに賛成なのですが、実際に大きなデータを扱うと、クラウド上で50テラとかを使わせてもらうようなことは非常に難しい。
 その40テラのCSV情報をクラウドで使うことの技術的な問題点があるので、実際には切り出してもらったものをやるほうが、費用的にも、手間的にもはるかに楽なので、そこはすみ分けていただく必要があると思っています。
 今村からは以上です。
山本委員長 では、引き続いて、武藤先生、お願いします。
武藤委員 御説明ありがとうございました。
 やっといろいろなデータベースが本格的に連携できる体制になっているようで、非常に楽しみにしております。
 1点、私からは、倫理審査の関係で、資料の12ページの下の囲みのチェックの2つ目に「医学系倫理指針の要件を満たすものとし、各研究機関での倫理審査委員会の審査は必ずしも求めない」という記述がありますが、これの意味するところをもう一度お伺いしたいと思います。
 古い名称で医学系指針と書いてあるのは、多分、現在の生命科学・医学系倫理指針のことだと思うのですが、「要件を満たす」とは、この倫理指針で規定している倫理審査委員会の設置や運用の要件のことなのでしょうか。
 もしもそうだとすると、私は異論がありまして、データ利用審査の仕組みと研究の倫理審査の仕組みは別物だと思います。
 データ利用の審査で託されていることは、既に集められたデータを当該データベースの理念やルールに沿って適切な利用が期待できるかどうかを審査するということです。一方、人を対象とした研究倫理審査は、学問の自由が前提にあって、研究計画の科学的・倫理的妥当性を審査するということです。重なる機能もあるとは思いますが、役割は異なりますので「要件を満たすものとし」は誤解を招くため、検討し直して頂くほうがよいと思いました。
 あと、関連して、生命科学・医学系倫理指針では、公的データベースからのデータを倫理審査委員会の審査対象とするのか、あるいはそもそも倫理指針の対象とするかどうかが不明瞭なので、今後、倫理指針の改正において明確にしていただく必要があると思います。
 研究倫理審査を「必ずしも求めない」と述べる程度では、念のために依頼する例が残存すると思いますので、「求めなくてよい」と明確に指示したほうが倫理審査委員会の事務局も困らないのではないかと思いました。
 以上でございます。
山本委員長 ありがとうございます。
 事務局からコメントはございますか。
西川企画官 医政局でございます。
 御指摘ありがとうございます。
 12ページの御指摘いただいた点ですが「医学系倫理指針の要件を満たすものとし」とは、今、倫理指針の中で、倫理審査委員会の役割・責務ということで、どういった委員構成で、どういう体制でやるべきかというのが規定されておりますので、この内容を満たしたものとして、公的データベースの審査委員会を構成するということにしてはどうかと思っております。
 その上で、医学系倫理指針の中では、法令に基づく研究については、この指針の対象外となっておりまして、次世代医療基盤法の認定事業者のデータベースのデータを活用した研究についても、ここに位置づけられているところでございます。
 先ほど武藤先生がおっしゃったように、厚生労働大臣が保有する公的データベースのデータを活用した研究は、医学系倫理指針上の位置づけを明確にした上で、個々の大学とか研究機関での倫理審査自体は求めなくてもいいとしてはどうかというのが今回の提案でございますが、果たしてそれがよいのかどうかというところは、まさにいろいろな御意見をいただきたいと思っておりますので、それを踏まえて検討していきたいと考えております。
山本委員長 よろしくお願いします。
 英国NHSのデータ提供も、いわゆるヘルシンキ宣言に基づいた倫理指針ではなくて、カルディコット原則というデータベースにかなり特化した原則をちゃんとつくって審査しているのです。
 これは、私は非常に大事だと思っていて、そうしないと、例えばヒトを対象とする治験のような研究と、こういった後ろ向きのデータベースの研究は、かなり意味が違うところがありますので、あまりごっちゃにしてしまうと、多分、研究が進まないことになりかねないので、ここは検討したほうがいいかもしれませんね。
 引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは、堀先生、お願いいたします。
堀委員 8ページの「現状・課題」で「診療所を含む医療機関における患者のアウトカム情報について、転院等の場合も含めた長期間の分析ができない」という現状が指摘されていまして、今後の対応方針について、異論ではなくて、これはこのままでいいと思うのですが、診療所を含め、医療機関の一次利用が進まない限り、二次利用もなかなか進まないと思いますので、一次利用を積極的にするように推進することも重要であると同時に、長期間の分析というところで、先ほどのクラウド化していく場合に、容量との関係もあると思いますので、どれぐらいの期間を想定しているのかも事前に考えておく必要があるのではないかというのが1点目です。
 それから、Visiting環境、クラウドの情報連携基盤についても、セキュリティの問題も当然あると思うのですが、私は進めていくべきだと思っています。
 ただ、あり得ないかもしれないけれども、ログで確認したとしても、本人のなりすましであることもあり得ると思いますので、利用者は研究者が多いと思うのですが、利用する際の認証をするような仕組みも、今まではないかもしれませんが、そういうものをしないと、いつ、誰がどこで使ったかというのを見られないと思いますので、そこが必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 3点目で、利用料についても、現在、公的データベースでは検討しているところだと思いますが、匿名になる場合と仮名になる場合ではどういう違いが生じ得るのか、基本的に同じ方向性で検討されているのかというところを教えていただければと思います。
 以上です。
山本委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
 利用料はまだ検討前ですね。
西川企画官 医政局でございます。
 ありがとうございます。
 最初に、利用料の話から申し上げますと、利用料をどうするかは、まだ全然検討が追いついておらず、これからの話になります。
 今も、利用料だけではなかなかペイできていないのが公的データベースだと思っておりますが、なるべく研究者や企業からの利用料でペイして、自走できるような形を目指していきたいと思っておりますので、それができるような仕組みにしていければと思っております。
 それから、御指摘があった中でいうと、まず、一次利用が進まないといけないということで、それはまさにそのとおりでございます。
 まさに一次利用を進めるために「電子カルテ情報共有サービス」を今つくっておりますが、これが全国に普及しないことには、データが集まってこないということになりますので、これをいかに早く普及させるかということが課題だと思っております。
 その上で、集まってきたデータをどのぐらいの期間保存するのか。まさにNDBと同じように、非常にカルテのデータも膨大になってくると思いますので、容量等の問題も考えていく必要があると思っております。
 それから、クラウド基盤のセキュリティですが、こちらについては、今後の検討ですが、御指摘があったように、利用者の認証についても必須だと思っております。
 説明のときに触れませんでしたが、12ページに、求められる情報セキュリティということで、利用者の認証、ログの保存・活用、研究者の使いたい解析ソフトウエアの持ち込みなどもどうするかといったところなど、必要ならば、今後、セキュリティ要件を詰めていきたいと考えております。
 以上です。
堀委員 ありがとうございます。
山本委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、ありがとうございました。
 大変重要な試みですので、しっかりと進めていただければと思います。
 これで本日の公開議事は終了いたしました。
 個別審査に移る前に、事務局から必要なアナウンスをお願いいたします。
佐藤課長補佐 事務局でございます。
 それでは、ここからは、申出者の具体的な申請内容に基づき審査を行うことから、非公開とさせていただきます。
 傍聴者の方は、御退室をお願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、傍聴者の方が御退室いただくまで、今しばらくお待ちください。傍聴者の方の退室が完了しましたら、事務局よりお声がけいたします。
  (非公開)
佐藤課長補佐 本日の模擬審査は以上となります。
 本日は御審査いただき、ありがとうございました。
 次世代DBとの模擬審査につきましては、いただいた御意見を受けまして検討を進めてまいります。
 次回会議日程につきましては、12月18日の予定でございます。
 詳細につきましては、追って御連絡させていただきます。
 どうもありがとうございました。
山本委員長 非常に長い時間、どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第18回「匿名医療・介護情報等の提供に関する委員会」を終了いたします。
 本日はお疲れさまでした。
鈴木室長補佐 途中トラブルがあり、申し訳ありませんでした。
 ありがとうございました。