2022年9月30日 第17回医療介護総合確保促進会議 議事録

日時

2022年9月30日(金) 15時00分~17時00分

場所

オンライン開催

議題

  1. 1.総合確保方針の改定に向けた検討について
  2. 2.医療計画・地域医療構想関係等の検討状況について(報告)
  3. 3.介護保険事業(支援)計画関係等の検討状況について(報告)
  4. 4.地域医療介護総合確保基金の令和4年度内示状況及び令和3年度の主な取組例等について(報告)

議事

議事内容
○田中座長 構成員の皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第17回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。もう皆さん慣れていらっしゃるでしょうが、会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンを押し、私の指名を受けてからミュートを解除後、御発言ください。発言終了後は、再度ミュートに戻すようお願いいたします。
会議に先立って、本日の出欠状況について、事務局から報告をお願いします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
本日の皆様の出席状況を御報告させていただきます。
本日は、大西秀人構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
また、川勝平太構成員の代理として紅野聖二参考人、七種秀樹構成員の代理として濵田和則参考人、平石明構成員の代理として田中雅英参考人にそれぞれ御参加いただいております。
また、齋藤構成員からは、本日16時半目途で途中退席との御連絡をいただいてございます。
次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料は全部で6つでございます。
資料1 総合確保方針の改定に向けた論点及び主な意見について
資料2 医療計画・地域医療構想関係等の検討状況の報告
資料3 介護保険事業(支援)計画関係等の検討状況の報告
資料4 令和4年度内示状況及び令和3年度の主な取組例等について(報告)
参考資料1 令和4年9月28日第7回全世代型社会保障構築会議 資料2
参考資料2 第8次医療計画等に関する検討会及び各WGにおける主な意見の整理
この6つを御用意いたしております。御確認をお願いいたします。
○田中座長 ありがとうございました。
早速議事に入ります。カメラはここで御退室ください。
まず、議題1「総合確保方針の改定に向けた論点及び主な意見について」、資料1の説明をお願いします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料1、「総合確保方針の改定に向けた論点及び主な意見について」という資料でございます。前回の総合確保促進会議におきまして5つの論点を事務局のほうからお示しして、御議論をいただきました。いただいた御意見につきまして、私ども事務局のほうでどの論点に関係するのかといった観点、それから一部私どもの責任において整理、まとめさせていただきまして、それぞれの論点ごとにこのような意見が出たということを整理した資料でございます。
2ページを御覧いただきますと、論点1「人口構造の変化への対応」ということで、薄い青地に白抜きのところは前回お出しした資料でございますので、今回説明は省略をさせていただきます。
3ページにお進みいただきますと、赤地に白抜きとなっているものが、私ども事務局のほうで前回関連する御意見としていただいたものを整理してまとめたものでございます。
1つ目のポツを御覧いただきまして、2040年に向けて、地域における人口構造、地域の事情、いろいろ異なってくるということで、それぞれの実情に合った提供サービスを構築していくということ。その中で、医療・介護事業の地域経済に占める影響度、地域での雇用の比重、こうしたものが高まる中で、より効果的で効率的なサービス体系の構築が必要。
2つ目のポツでは、そうした地域差の文脈の中で、医療圏の見直しが必要な地域も出てくるのではないか。
3つ目のポツでは、施設そのもののベッド数をダウンサイジングし、そこに在宅系の拠点、社会参加の場、生活支援を提供するソーシャルビジネスが交錯した拠点が必要になるといった御指摘。
4つ目のポツでは、医療・介護提供体制の最適化を図っていかないと、必要なサービス提供だけでなく、保険制度の持続可能性そのものが確保できないといった御指摘。
5つ目のポツでは、次期の将来人口推計が公表されれば、速やかに医療・介護の給付の見直し等について推計を行い、そうした中長期的な方向性を示す際に、バックキャストで施策を検討することが必要。こうした御指摘を頂戴いたしました。
続きまして、4ページにお進みいただきまして、論点の2つ目「『地域完結型』の医療・介護提供体制の構築」でございます。このページも前回お出しした資料でございますので、5ページ、6ページ、赤地に白抜きのところで前回いただいた御指摘を整理してございます。
1つ目のポツのところでは、医療と介護のきめ細かい連携が重要であるといったこと。第8次の医療計画、第9期の介護保険事業計画、医療費適正化計画、健康増進計画、医療・介護の同時改定、こうした中でかかりつけ医機能、地域包括ケアシステム、こうした概念について、具体的な記載を盛り込むことが必要という御指摘。
2つ目のポツ、医療機能の分化・連携、集約化が必要といった御指摘を頂戴しました。
3つ目のポツでは、地域医療構想につきまして、2040年に向けたバージョンアップを行う必要がある。こうしたことについても議論をすべきであるといった御指摘。
4つ目のポツでは、急性期医療で要介護者になりかける人を減らすために、予防的な措置・仕組みが重要であるということ。
5つ目のポツでは、かかりつけ医機能を担う医師・医療機関は、地域包括ケアシステムにおける要であり、要としてどういう役割を果たしていただくべきか、そうしたことを確保方針に書き込むべき。
6つ目のポツでは、医薬品の安定供給、医薬品提供に関する計画の視点を盛り込むべき。そうした御指摘でございました。
6ページにお進みいただきます。1つ目のポツですが、コロナ禍で明らかになった医療と介護の課題、そうしたものをしっかりと位置づけていくべき。
2つ目のポツでは、中山間地域や離島においては、地理的要因によって医療資源が非常に脆弱な町村が存在するといった御指摘。
3つ目のポツでは、定期巡回、小多機、看多機など包括報酬で柔軟な運用のサービス、こうしたものをより強化していく。そして、ケアマネジメントを含めた複合的な在宅サービスの在り方を考える必要がある。
4つ目のポツと5つ目のポツは主に患者の視点ということになろうかと思いますが、高齢者自身の最期の迎え方等に関する認識、家族の意識、そうしたものがまだまだ不足しているということで、人生会議、ACP、シェアード・ディシジョン・メイキングなど、そうした御指摘を頂戴しました。
最後のポツのところでは、国民の理解に基づく行動変容が求められる。そうした観点から、我が事として考えられる身近な情報、こうした提供の視点が必要ではないかということでございました。
7ページにお進みいただきまして、論点3「サービス提供人材の確保と働き方改革」でございます。これも8ページと9ページ、赤地に白抜きのところで前回いただいた御指摘を整理してございます。
1つ目のポツでは、この関係、キーワードといたしましてタスクシェアリングの推進、ICT技術、介護ロボット、介護助手の活用、オンライン資格確認、こうした環境整備について御指摘を頂戴しています。
2つ目のポツでは、医師の勤務環境の改善に向けた取組についての御指摘。
3つ目のポツは患者の視点でということになろうかと思いますが、こうしたタスクシフト、タスクシェアにつきましては、いろいろな職種の方の専門性や役割。彼らがどのようなことをシェア、シフトするのかということをしっかりと国民が理解できるような、そういう情報提供が必要ではないかということでございました。
4つ目のポツでは、看護職や補助看護師などの収入が上がる制度にということ。
5つ目のポツでは、基金における医療従事者の確保に関する事業として薬剤師の例示をという御指摘。
最後のポツのところでは、介護の人材確保の問題。これは当然医療にも共通する問題である。そうした御指摘でございました。
9ページにお進みいただきます。1つ目のポツですが、処遇改善による介護人材の確保の重要性。
2つ目のポツのところでは、特に在宅系のサービス、訪問介護での人手不足は危機的な状況であるということ。
そうした中、3つ目のポツでは、介護人材の確保について、広域的連携を支援する制度についても十分議論すべきではないかという御指摘でした。
4つ目のポツでは、ICT・介護ロボットの活用、こうしたものの推進をという中で、人でしかできない業務、ICTなどで補完できる業務、そうしたものを常に検証することが重要ではないか。
5つ目のポツですが、急激な感染拡大がエッセンシャルワークや現場にもたらした影響、求められる取組を考慮していくべき。
最後のポツのところでは、特定技能、外国人技能実習生など、外国人に関する雇用も議論すべきといった御指摘でございました。
10ページ、論点4「デジタル化・データヘルスの推進」でございます。
これも11ページ、赤地に白抜きのところを御覧いただきます。1つ目のポツのところでは、医療においてもICTを活用してサービス提供の最適化、効率化を図っていく、そうした方向性を明確にすべきといった御指摘。
2つ目のポツでは、医療と介護という意味で、医療・介護連携を推進・強化する観点から、医療・介護現場の関係者間で情報がスムーズに共有されるということが重要であるといった御指摘。そのための共有すべき情報の整備、情報の電子化・標準化が必要であるということでございました。
3つ目のポツは患者の視点でということだと思います。医療・介護を切れ目なく使うための情報というものがきちんと届いていないのではないか。そうした意味でのワンストップの相談窓口が必要であるということ。
最後のポツでは、デジタル化を進めていくということになると、メンテナンスフィー、ランニングコスト、こうしたことについても考えていかないと、現場として負担が大きいといった御指摘でございました。
12ページ、論点の最後「地域共生社会づくり」でございます。
13ページにお進みいただきまして、これも赤地に白抜きでいただいた御指摘を整理してございます。
1つ目のポツですが、地域包括ケアシステムの深化、充実の先に地域共生社会があるということで、関連する事業計画との整合性を確保していく、そうしたことが必要ではないか。
2つ目のポツでは、85歳以上の方々は、医療と介護両方のニーズがある。また、経済格差、生活困窮といった要素もあるので、そうした1人の方が複合的なニーズを持って在宅療養することになるといった御指摘。
3つ目のポツでは、仕事と介護の両立、ヤングケアラーの問題、こうした問題もクローズアップされているということ。
最後のポツのところでは、住まいの確保というのが地域共生社会づくりにあって、医療・介護提供体制の確保はもちろんのこと、視点として重要ではないかといった御指摘でございました。
以上が前回いただいた御指摘を5つの論点に沿って整理をしたものでございます。
関連いたしまして、参考資料1を御覧いただければと存じます。これは9月28日、第7回全世代型社会保障構築会議において、「医療・介護制度の改革について」ということで、検討の論点として示されたものでございますので、併せて御紹介をさせていただきます。
2040年を視野に入れて、高齢化への対応と併せて、人口減少に対応した全世代型の社会保障制度を構築していく。そうした中で、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化するとともに、社会経済の変化に対応した医療・介護の提供体制を構築するということが必要とされてございます。
1つ目の丸が医療分野の関係でございまして、医療保険の関係でございます。
(2)が医療提供体制とございまして、今回医療介護総合確保促進会議ということでございますので、この提供体制のところを主に御説明させていただきます。
1つ目の丸のところでは、都道府県の責務の明確化等による、地域医療構想の推進ということ。
2つ目のポツ、医療法人の経営状況の見える化など、医療法人改革の推進。
3つ目のポツ、働き方改革の確実な推進とともに、タスク・シフト/シェア、医療の担い手の確保や、医師偏在対策の推進。
4つ目のポツ、今後の人口動態や医療ニーズの変化、新型コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ、2025年、さらには2040年を見据えた医療提供体制とする観点からの入院、在宅、外来医療の在り方。
5つ目のポツ、身近な診療所等の医療機関で必要な医療を必要なときに受けられるという観点において、患者・国民等から期待される「かかりつけ医機能」の在り方と、その機能が発揮される制度整備の在り方とされてございます。
お進みいただきまして、「その他」というところでございます。医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションの確実な推進、こうしたことも論点として掲げられてございます。
続きまして、介護分野でございます。在宅での生活を希望する方の意向に応える観点から、地域の拠点となる在宅サービス基盤の整備と機能強化。
2つ目のポツでございます。認知症本人や家族を含めた包括的な相談支援や権利擁護のための施策。
3つ目のポツでございます。介護予防や社会参加活動の場の充実。
4つ目のポツでございます。介護職員の勤務環境の改善、介護現場の生産性の向上、経営の大規模化・協働化等による人材や資源の有効活用。
最後のポツでございますが、高齢者の負担能力に応じた負担、公平性等を踏まえた給付内容の在り方。こうしたものが掲げられてございます。
以上、駆け足でございますが、資料1及び関連して参考資料1について御説明をさせていただきました。
○田中座長 ありがとうございました。
総合確保方針の改定に向けた論点及び主な意見について説明いただきました。
なお、ただいま説明を受けた議題1の「総合確保方針の改定に向けた論点及び主な意見について」は、続く議題2「医療計画・地域医療構想関係等の検討状況について(報告)」、議題3「介護保険事業(支援)計画関係等の検討状況について(報告)」にも関連しますので、後ほど併せて議論を行います。
よって、続いて、議題2「医療計画・地域医療構想関係等の検討状況について(報告)」、資料2の説明をお願いします。
○鷲見課長 地域医療計画課長の鷲見でございます。
資料2に基づきまして、医療計画・地域医療構想関係等の検討状況の報告について、御説明させていただきたいと思います。
1枚おめくりいただきまして、医療計画について説明します。医療計画は、都道府県が国の定める基本方針に即し、地域の実情に応じて、医療提供体制の確保を図るために策定するものでございまして、昭和60年の医療法改正により導入された後、こちらに記載されているような経緯を経ております。
計画期間としましては6年間でございまして、第8次の医療計画は2024年度からの6年間となっておりまして、中間年で必要な見直しを実施します。
記載事項としましては、こちらに書いてあるとおりでございまして、医療圏の設定、基準病床数の算定、地域医療構想、そして5疾病・6事業及び在宅医療に関する事項、そして医師の確保に関する事項、外来医療に関する事項でございます。
6事業のところにつきましては、令和3年の医療法改正に基づきまして、新興感染症が新たに追記されまして、5疾病・5事業から5疾病・6事業となったものでございます。
次のスライドは医療計画の策定に係る指針等の全体象でございます。先ほど申し上げましたように、国が基本方針を定めることとなっておりまして、次の第8次医療計画に向けまして、今年度中にこの基本方針をお示しする予定としております。併せまして、下に書いてありますが、医療計画の作成指針、そして疾病事業等に関する指針、こうしたものも発出する予定としております。
医療計画の中身としましては、先ほど御説明したとおりでございますが、右側に細かい項目を含めて記載がなされておりまして、現在こうした事項につきまして議論がなされているところでございます。
次のスライドは検討体制でございますが、第8次医療計画等に関する検討会を立ち上げまして、この下に4つのワーキンググループを置いております。地域医療構想及び医師確保計画に関するWG、外来機能報告等に関するWG、在宅等に関するWG、救急・災害医療等に関するWGということでございまして、そのほか、右下にございますように、へき地、周産期、小児医療、5事業のうちの3つにつきましては、厚生労働科学研究等を活用しながら、また有識者の意見交換等を踏まえながら、検討会のほうで直接議論をなされるという形となっております。
また、右上にございますように、5疾病につきましては、健康局、あとは障害部のほうで議論がなされているところでございます。
また、先ほど御説明いたしましたように、新たに付け加えられました新興感染症等につきましては、今後予定されております感染症法等の議論を踏まえながら、基本方針等について議論がなされる予定となっているところでございます。
次のスライドはスケジュール感でございますが、先ほど申し上げましたように、今年度中にこの基本方針や作成指針を発出する予定としておりまして、年内に検討会とかワーキングの一通りの議論を終え、来年の1月から3月にかけてこうした基本方針・作成指針を取りまとめていくという流れとなっております。
一方、地域医療構想につきましては、こちらの矢印に書いてありますように、2025年までとなっておりますところ、まず2025年に向けまして、地域におきまして今年度、来年であります2022年度、2023年度にしっかり民間医療機関も含めた対応方針の策定ということをお願いしているところでございますが、そうした内容を踏まえつつ、2025年以降の検討をいずれかのタイミングで行う予定となっております。
また、医師確保計画につきましても、この医療計画の一部でございますので、医師確保計画につきましても同様のスケジュールで進みます。また、外来医療計画につきましては、今年度からまさに開始します外来機能報告を踏まえた紹介受診重点医療機関の選定のプロセスを経て、外来医療計画を策定いただくという流れとなっているところでございます。
次のスライドは検討会のスケジュールでございます。ワーキングのスケジュールまでは掲載していないところでございますが、これまで14回検討会を開催しております。また、それぞれのワーキングで数回ずつ開催しているという状況でございます。メンバーがこちらに書いてあるとおりでございます。
お手元の参考資料2には、これまでの検討会及びワーキングにおける主な意見の整理として載っているところでございますが、こちらは今回説明は省略させていただきたいと思いますが、お時間のあるときにお目通しいただければと思います。
以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
医療計画・地域医療構想関係等の検討状況の報告について、報告を伺いました。
続いて、議題3「介護保険事業(支援)計画関係等の検討状況について(報告)」、資料3の説明をお願いします。
○日野課長 介護保険計画課長でございます。
それでは、資料3に基づきまして介護保険事業計画の検討状況について御報告をさせていただきます。
1枚おめくりいただきますと、介護保険事業計画の概要の資料をつけております。介護保険事業計画につきましては、3年を1期として計画を策定し、保険給付を円滑に実施しているということになっております。
青色の箱の上、国の基本方針のところですけれども、こちらは介護保険法の規定に基づきまして、今、御議論いただいております総合確保方針に即して、国が保険給付の円滑な実施を確保するための基本指針を定めるということとされております。国がこの基本方針を定めますと、それを受けて市町村の介護保険事業計画の策定に移っていく。日常生活圏域の設定、介護サービスの量の見込み、地域密着型サービスの必要定員総数の定め、地域支援事業の量の見込み等々を定めていただくということになります。
こちらの市町村保険事業計画は、右の箱に行っていただきますと、保険料の設定、地域密着型サービスのいわゆる総量規制というものが一番大きな眼目ということになります。市町村の介護保険事業計画を集約する形でその下にございます都道府県の介護保険事業支援計画というものを策定することになります。こちらではもう少し市町村よりも広域の老人福祉圏域を設定していただき、広域型のサービスの総量を決めていったり、2つ目の丸、市町村計画を踏まえた介護サービス量の見込み、3つ目の丸にあるとおり、介護保険施設、介護保険の特養、老健、介護医療院等々の必要定員数、こちらを含めて計画に記載をいただく。こういったところで、右側に行っていただいて、介護保険施設等の必要定員数、総量規制を定めていただくということになっております。
2ページに行っていただきますと、今、介護保険事業計画は第8期でございます。2021年から2023年ですけれども、こちらにおける国の基本指針の構成をお示しした資料ということになります。第一が基本的事項、第二が市町村の計画に関する事項、第三が都道府県の計画に関する事項ということになりますが、医療計画の関係で言いますと、第一の三、医療計画との整合性の確保といったところで、関係者が集まった協議の場を設けて議論をすると。そういうことを書かせていただいております。
3ページに行っていただきますと、総合確保方針、医療計画、介護保険事業計画のスケジュール表になります。詳しいスケジュールは後ほど出てまいりますけれども、確保方針を踏まえて、来年度介護保険の基本指針を定めるということになってまいります。
4ページは、介護保険事業計画の作成プロセスのイメージでございます。つくり方といたしましては、一番上の箱にあるとおり、自然体推計、足元の介護サービスの状況をベースに、将来推計人口を入れ込んで自然体の推計をまずつくっていくということになります。その上で、真ん中の右ぐらいにありますとおり、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査、在宅介護実態調査等々、国のほうで調査をお願いしているものの結果を反映していただいたり、左側の箱にあります各種自治体の独自の調査、地域ケア会議、右側に行っていただきまして、特別養護老人ホームの入所申込みの状況、都道府県や市町村の医療・介護担当者の関係者による協議の場、ここの御議論等を反映していただいて、最終的な将来推計をつくっていく。それを市町村の計画作成委員会において検討して、最終的に市町村の介護保険事業計画を策定する。こういったプロセスを踏んでいくということになります。
5ページは、今回の事業計画のスケジュールということになります。今は令和4年9月の段階ですが、各市区町村におきまして先ほど申し上げた日常圏域のニーズ調査や、そういったところの調査をやっていただいているというところでございます。
国のほうでは、介護保険部会等で制度改正の議論を行っているところですけれども、基本指針の関係につきましては、年内に介護保険部会の議論がまとまる前提にはなりますが、年明けの部会で基本指針の大枠を出させていただき、2月、3月ぐらいの全国の課長会議で基本的な考え方をお示しする。来年の7月ぐらいに基本指針の案、文書編をつくって、各都道府県、市町村にお示しする。こういった流れになってまいります。それを踏まえて、最終的には各市区町村、都道府県で計画を策定いただき、令和6年4月から計画がスタートをする。こういった流れになっております。
6ページは介護保険部会の進め方の資料になります。今、ちょうど議論を進めているところでございますが、大きく申し上げますと4つの柱がございまして、地域包括ケアシステムの更なる深化・推進、介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進、給付と負担、その他の課題ということで、9月26日に「給付と負担」「その他の課題」をやりまして、全部のテーマを一度触ったというところでございます。今後議論が深まっていくという段階になっております。
7ページ、8ページ以降につきましては、介護保険部会に出させていただいた、主に基盤整備、在宅医療、介護連携の関係の資料をお示しさせていただいております。7ページ、8ページは基盤整備、介護の提供体制のところでございますが、大まかに申し上げますと、今、85歳以上の高齢者が急増して、今後単独世帯、夫婦のみ世帯が増加をしていく。中重度の方、医療・介護双方のニーズを有する高齢者が増えていく。そうした中で、高齢化の進み方も都市部と地方で差があります。こういったことを7ページ、8ページで書かせていただいています。
9ページに地域包括ケアシステムの更なる深化・推進の当面の論点が書かれております。3つ目の丸のポツが8つございますけれども、地域の実情に応じて重度の要介護状態や医療が必要となっても在宅で暮らし続けられるような在宅サービスの基盤整備の在り方、在宅医療・介護連携等々、8つの論点が示されているところでございます。
10ページは、在宅医療・介護連携の議論の際に出された資料でございます。ここの中で、1つ目の丸にあるとおり、医療計画と介護保険事業計画の整合性の確保、こういったところが書かれております。
2つ目の丸に、在宅医療・介護連携推進事業が記載されております。この事業は平成26年に創設されたところでございますが、各保険者における取組状況に差がございますので、人材の問題、ノウハウの問題、事業評価が難しい、こういった様々な課題を抱えております。今後議論を深めてまいりたいと思っております。
11ページは地域リハビリテーションの関係でございます。これから在宅の高齢者が増えていきますので、地域リハビリテーション提供体制をどう構築するのかということが大きな課題になっております。
12ページは御紹介でございますけれども、介護人材確保、介護現場の生産性の向上というのが今回大きなテーマになっております。7つの論点を中心に今後議論を深めてまいりたいと思っています。
介護保険部会で議論、検討を続けまして、成案を得まして、保険者、県に第9期の計画策定に向けた基本指針を国として取りまとめてまいりたいと思います。
説明は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
介護保険事業(支援)計画関係等の検討状況についての説明も伺いました。
では、ここから議題1、2、3について意見あるいは質問がおありの方は御発言ください。河本構成員、お願いします。
○河本構成員 ありがとうございます。
前回の会議で申し上げました意見については、資料に記載をしていただいておりますので、今回は総合確保方針の策定、改定に当たって、特にポイントと考える点を中心に意見を申し上げたいと思います。今回の改定の最大のポイントは、高齢者人口が最大となる一方で、生産年齢人口が急激に減少するといった人口構造の変化が進む2040年頃を見据えて、地域における医療及び介護の提供体制をどうやって確保していくのかという点だと思います。また、こうした人口構造の変化は、地域によっても進捗に大きな違いがあるということにももちろん留意が必要と思います。
こうした課題に対応していくためには、地域医療構想とか、あるいは地域包括ケアシステムの推進、各種の人材確保対策など、これまで進めてきた施策をさらに推進するとともに、地域包括ケアシステムの要となりますかかりつけ医機能を明確化した上で、機能強化に向けての制度整備を行うといった新たな施策も推進していく必要があると思います。
こうした制度整備、環境整備に当たっては、急速に進歩するデジタル技術の活用の視点というのが欠かせないと思います。オンライン資格確認システムとか、あるいは電子処方箋のさらなる推進、医療機関等が活用する全国医療情報プラットフォームの構築、また、ほかの構成員の御意見にもございますけれども、国民が医療・介護を切れ目なく利用するための医療・介護の情報連携、こういったことも含めて強力に推進していく必要があると思います。
今回の改定に当たっては、2040年を見据えて、デジタル技術や情報インフラを最大限に活用して、効果的で効率的な医療・介護提供体制を構築していく、こういう方針を強く打ち出すべきだと考えております。
以上でございます。
○田中座長 包括的な御意見、ありがとうございました。
次に、猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
前回のいろいろなまとめもございますが、ちょっと重なる部分もありますけれども、ポイントとなるところを幾つか申し上げたいと思います。現在も介護人材の不足というのは、本当にすごい不足が生じております。これは介護施設のみならず、医療施設の看護補助、介護部門に本当に人が来ない。人がいない。この状況でさらに高齢化が進みますと、果たしてそこを本当に補えるのだろうかということで、人材の確保につきましては、ぜひ具体的な方法論をちゃんと詰めて、例えばある程度のシニアの方を利用していくとか、外国人の方をどうするか。また、ICTで何が補えるのか。そういうことを具体的に詰めてやっていかないと、多分現時点でも追いついていないと。そういうことが大きいと思っております。
もう一点、介護のほうに出ております在宅医療・介護連携のことですが、これはどちらの市町村でも一応形はやっているのですけれども、それが全国的に見ると非常に大きい差がある。市町村で積極的にやっているところもあるのですが、そうでないところは本当に1か所だけ形だけつくっているということもかなり散見されますので、これについてはもっと力を入れて、全国的にパワーを持たせて。何といっても医療と介護の連携というのは極めて重要な部門ですから、そこのところをぜひ進めていただきたいということ。
あと、前回も言いましたが、IT化、特に医療、介護、どちらもICTを進めていくについて、セキュリティーのことをもう一度申し上げたいと思います。今、新たにセキュリティーをかけようとしても、ベンダーさんが今、本当に手いっぱいで、長い時間待たされてしまう。その間に何かをやろうとすると、また危険にさらされるということも出ておりますので、その辺のことについて、国においてもそのベンダーのほうによーくお話をして進めていっていただきたいと思っております。
以上です。
○田中座長 いずれも貴重な御意見、ありがとうございました。
続きまして、佐保構成員、お願いいたします。
○佐保構成員 ありがとうございます。
総合確保方針の改定に当たって盛り込むべき視点に関連して2点意見を申し上げたいと思います。
1点目は、資料1の論点2の「『地域完結型』の医療・介護提供体制の構築」に関してです。人口減少下や感染症下でも安心して医療を受けられるよう地域医療構想を再検討し、切れ目のない効果的な医療提供体制を構築していくことが重要だと考えます。総合確保方針の改定に当たっては、今後の新興感染症等への対応を見据え、各地域において機能に着目した病床数だけでなく、診療所等をどうするかといった点についても触れる必要があるのではないかと考えています。
2点目は、秋の臨時国会に提出が予定されている感染症法等改正案に「流行初期医療確保措置」が盛り込まれています。当該措置では医療機関の減収補償に保険料財源を充てるとされておりますが、基本的に全額公費によって賄われるべきである旨、この間審議会等で発言してまいりました。その上で、感染症発生・蔓延時の医療提供体制の確保のためには、こうした措置を講じるだけでなく、協定締結医療機関に対して、措置とは別に協定適用時の初動対応に備えるための施設改修や人員体制の強化などの財源確保が必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
続きまして、平田構成員、お願いいたします。
○平田構成員 ありがとうございます。
それでは、資料1の9ページに「処遇改善による介護人材の確保を通じて、介護保険サービスを持続可能なものにすることが重要」と書いていただいて、非常に重要なご指摘ですが、この処遇改善は2009年から始まり13年間で現在第三段階です。基金を使ってこの処遇改善が行われていますが、現在公的価格評価検討委員会で検討され、資料等も出されていますが、例えば全産業平均との介護関係職員の賃金格差がどうかというところを見てみますと、平成24年で9万5000円、令和元年でも8万5000円でした。令和2年で、全産業平均を含めてコロナの影響か、全体が下がってはいますけれども、5万9000円ほどの格差がある。つまり、処遇改善をしていただいてありがたいのですが、他産業と競合して介護関係の人材を確保する比較の上においては、まだまだ追いついてはいない現状があることを認識していただいておく必要があるのではないかと思います。
その主旨で、今後の報酬改定での対応を含めて、この基金を使って処遇改善金額の大幅な増加と、13年間での改善額の実情を考慮して頂いて、2040年に向けてはスピーディーな金額増等の対応を図っていただくような文脈なり表現に是非していただければと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
猪口委員と同様、人材確保について御意見を頂戴しました。
続きまして、山際構成員、お願いします。
○山際構成員 ありがとうございます。民間介護事業推進委員会の山際です。
私は3点発言をしたいと思います。
1つ目は論点の1と2に関連してです。今後85歳以上人口が急増するという中では、やはりニーズに対応できる医療と介護の生活支援、こうしたものの地域拠点。これはサービスの拠点なり、あるいは受け皿の拠点ということになると思いますが、これをきちんと整備をしていく必要があるだろうと思っています。介護で言えば、利用者の状態像に合わせて、これは増加する認知症の方も含めてですが、柔軟にサービス提供ができる、そういう包括ケアであるとか、包括報酬型のサービス、例えば地域密着型サービスのようなものの拡充が必要だと考えています。
在宅のサービスですが、これは今まで重要な役割を果たしてきたということで、今後も重要なわけですけれども、地域の実情に合わせてサービスの複合化。例えば連携の強化やサテライト化、あるいは複合サービス化していくこと、こうしたことの検討が必要だろうと考えています。利用者に一体的なサービス提供をする。そして人材が非常に不足している中で、提供体制の効率化も図れることになるだろうと考えています。ぜひこうした点を今回の改定の内容に盛り込んでいただければと考えています。
2つ目は、論点3に関連した意見です。基金を活用した介護人材確保定着の施策の拡充が必要だということで、特に若い世代への働きかけであるとか、介護との接点をつくることが非常に重要だと考えています。これはコロナ前ですが、例えばある事業者さんに私どもが視察に行ったときに、グループホームに学校帰りの小学生がたくさんいらっしゃるわけです。何をしているかというと、御利用者さんと学校帰りの小学生が親しげに話をしている。お子さんたちから見ると、ひいおばあちゃんとかひいおじいちゃんとか、そんな世代に当たるわけですが、非常に楽しそうに話をしているということです。
職員の方に聞くと、子供たちが見守ってくれることで非常に助かっていますというお話もされていました。この子供たちは首からスタンプカードを下げていて、1回グループホームに来るとスタンプを1つ押してもらえるということで、これが5個たまると500円の商品券として地域のスーパーで活用ができる。そのような取組を推進されていました。
やはり核家族化が進む中で子供たちが高齢者と触れあう機会というものはとても少ないと思っています。こうした形で高齢者と関わり介護と接点を持つことで、介護に対する見方はやはり確実に変わってくるのだろうと思っています。
コロナが一定落ち着いたということが前提になりますが、ぜひ子供たちとか若い世代が介護に触れあえる機会を基金の中でつくっていくということが非常に重要で、こうした点をぜひ方針の中にも位置づけていただければと思っています。
3つ目は、論点5に関連した意見です。共生社会づくりに当たっては、当然医療・介護の提供体制と併せて、地域住民はもちろんのこと、医療とか介護以外の事業者とも協力し合えるような仕組みづくりが非常に大事だと考えています。
今後認知症高齢者の方が急増いたしますが、官民協議会が推進しているような生活関連の事業者を巻き込んだ取組が非常に重要になると考えています。私は出身の母体が生活共同組合になりますが、例えば職員の認知症キャラバンメイトが2,000人以上いて、サポーターが4万人以上おります。今後、地域の組合員、地域の生協の組合員だけで2300万人いらっしゃいますので、そこを対象にしたサポーター養成講座が拡大できるだろうということを期待しております。
また、各自治体の皆様と締結した地域の見守り協定は既に1,200自治体を超えています。全自治体の70%以上の方々と結んでいるという形になっています。宅配の事業などを中心にやっていますが、毎日2万台以上の車両が動いていて、週に1000万世帯以上の御家庭を御訪問するということで、そういう事業者、もちろん生協以外でも社会福祉法人であるとか、様々な事業者が地域貢献、あるいは地域のイノベーションを起こす取組を行っているわけで、こうした多様な事業者と協力できる関係をちゃんとつくっていくことが地域共生社会づくりに役立つだろうと思っております。こうした観点もぜひ方針の中に盛り込んでいただけるとありがたいと考えております。
以上、3点でした。
○田中座長 介護分野について前向きな意見、ありがとうございました。
続きまして、森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
資料1の5ページ目の論点2「『地域完結型』の医療・介護体制の構築」の一番下に医薬品の安定供給や医薬品提供に関する視点を取り上げていただき、ありがとうございます。医薬品の安定供給、革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市といった観点から、現状の課題を踏まえ、流通や薬価制度の在り方について検討を行うことを目的とした有識者会議も厚生労働省に立ち上がっています。医薬品の安定供給、医薬品提供に関する計画を作成する上で、薬局というインフラの整備、薬剤師の確保が不可欠となります。その点も含めて総合確保方針に書き込んでいただきたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田中座長 薬局について、ありがとうございました。
次は井上構成員、お願いいたします。
○井上(隆)構成員 ありがとうございます。
改定の方向性については、資料1でおおむね整理をされていると思います。前回も発言しましたけれども、もう一点、これは強調してもし過ぎることはない点として、医療・介護のDXという部分は強調していただきたいと思います。特に情報を必要な範囲で共有することによって、国民一人一人が安心を実感できるようなものにするということが重要だと思います。その入り口としては、身近なところで言うとマイナンバーカードの普及の促進が必要です。そのためにも保険証の利用を確実にマイナンバーで代替していくということも重要であろうかと思います。
以上でございます。
○田中座長 DX化等についての御発言、ありがとうございました。
続きまして、杉浦構成員、お願いいたします。
○杉浦構成員 ありがとうございます。
前回は介護提供体制について意見を申し述べたところでございますけれども、今回は医療提供体制についてお話をしたいと思います。第8次の医療計画でも僻地医療については検討されているようでございますが、特に中山間地域・離島においては、現に医師や看護師、助産師等専門職の不足が深刻な状況となっています。そのため、これまでも全国町村会を通じまして各地域間の医療人材の偏在を解消し、医療アクセスの公平性を確保することが重要であると主張してきたところでございます。
今回の計画におきまして、1つ目ですが、中山間地域や離島を含めた、地域における医療人材、医師、看護師、助産師、栄養士、薬剤師、各種技師等、これらの人材の育成と確保。2つ目ですが、総合的医療体制、または医療機能の公平性と安定化を図ることを目標の一つとして位置づける必要があると考えております。
国境離島としての国土保全、水産資源の確保、中山間地域の水源の涵養、CO2削減など、大きな役割を果たす地域に暮らす人々が遠くいところにいるということを、視点としてぜひとも捉えていただきたいとお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田中座長 僻地についての御発言、ありがとうございました。
続きまして、山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございます。COMLの山口でございます。
3点ございます。まず、資料1の2ページの論点の4つ目、生産年齢人口が減少していく中で、急激に高齢化が進行する地域もあれば、高齢化がピークを越える地域もあるということで、医療・介護需要の動向は地域ごとに異なることから、そういった地域の実情に応じた医療・介護提供体制の確保を図っていくことが重要ではないかとございますけれども、例えば在宅医療ということで考えますと、自宅で在宅なのか、居宅扱いの施設が主なのかとか、地域によってニーズも異なってくると思いますし、在宅医療が本当に充実できる地域となかなかできない地域というものがあると思います。各地域の住民が、自分の住んでいる地域がどのような介護の状況、在宅医療一つをとってもどんな状況なのかということがきちんと分かるような、そういったことをこういう総合確保の中で知らせていく仕組みということもしっかりと構築していくことが大事ではないかということが1つです。
2つ目として、資料3の11ページに「地域における高齢者リハビリテーションの推進」というのがございます。私たちのところでもこれまで32年間、6万6000件を超える電話相談をお聞きしてきたのですが、最近、特に高齢者のリハビリについて、生活期のリハビリでも回復期並みのリハビリテーションを求めたいというようなことをおっしゃる方がとても増えています。一般的に急性期のリハビリテーション、回復期のリハビリテーション、生活期のリハビリテーションといった違いがあるということもなかなか理解できていないという現状があると思っておりますので、こういったこともきちんと知らせていく必要性があるのではないかというのが2点目です。
3点目として、先ほど猪口委員が介護人材の不足ということをおっしゃいました。もちろん、高齢者、最近医療的ケア児ということも言われますが、例えばALSとか筋ジストロフィーの方とか、生活全般が介護で成り立っているという方たちが、ヘルパーさんを含めた介護の人材不足で死活問題だという声も届いております。そういったことも視野に入れて考えていく必要があるのではないかと思いました。
以上でございます。
○田中座長 ありがとうございます。在宅医療、高齢者リハ、人材について御発言いただきました。
続きまして、田中参考人、お願いいたします。
○田中参考人 全国老人福祉施設協議会から介護保険事業計画策定についてお願いする点は3点ございます。
その前にぜひ踏まえていただきたいと考える実態をお話し申し上げます。特別養護老人ホームは入所待機者が多いと言われておりましたが、近年、人口減少や各種介護サービスの充実などに伴って入所希望者が少なくなり、空床が生じている地域が出ております。一方、大都市部については、東京都の例を挙げて説明いたします。東京都高齢者福祉施設協議会が令和3年7月に実施した特養待機者に関する実態調査のデータに基づいて要点だけお話しします。
対象施設507、回収率は81.3%でした。待機者の定義は、市町村部では申込者、23区では入所判定基準をクリアした入所可能な方という違いがあります。昨年度と比べて全ての地域で全室個室、ユニット型の待機者は減少し、従来型は増加しています。待機者に入所の案内をした際に本人あるいは家族から入所辞退をしてきた人数は、1施設当たり年平均で12.2人。一方、待機者のうち施設側で入所困難と判定せざるを得ないケースもありました。その理由の一番は医療依存度が高い方。以下、身元引受人や身寄りのない方、精神疾患のある方、低所得者と続きました。つまり、こうしたケースは新たに施設ができても入所できず、待機者として残り続けることになります。
それから、平成30年に実施した都内449の地域包括支援センターへのアンケート結果でも、医療ニーズが高い方、経済的に厳しい方、身寄りや身元引受人が不在の人、要介護3以下の人、この4つのケースは、特養の新設、新たにつくっていることにかかわらず、行き場がないということが示されました。
他方、都内特養の稼働率は低下傾向にあります。令和元年度94.3%に対して、令和2年度は92.98%でした。多くの施設の目標は97~98%ですので、4~5%低い結果となっています。仮に全施設が目標どおりの4%稼働率を上げると、都内の特養のベッド数が約5万ベッドありますので、2,000ベッド埋まることになります。100床の特養20施設分です。新たに施設を建設するよりも、まずは稼働率を上げることに力を入れるべきだと考えます。
令和2年の経営実態調査では稼働率低下の理由として、第一に人材不足。以下、他施設競合の増加、ユニット型の費用負担問題が挙がりました。ショートステイは稼働率の低下により特養に転化したベッドが391ございました。待機者の背景にこれらのミスマッチの問題がある場合は、まずは介護人材確保や特養における医療アクセスの問題などの解決を図ることが重要であると考えています。自治体によっては、表面的な総数だけを見て施設の増設を進めようとしている場合もありますので、待機者の実態把握の必要性を示唆していただきたいと思います。
それでは、3つのお願いでございます。1つ目は、各自治体における介護サービスの需要量の見積りや供給量の計画について、表面的な総数だけではなく、ただいま申し上げたような実情を勘案していただいて、現実に沿った適切な計画を策定していただきたいということです。その実情は地域にとって千差万別ですので、計画策定に当たって事業者の生の声を聴取していただければありがたいと存じます。
2つ目です。介護人材の確保を図るためになお一層の支援をお願いしたいということです。地域医療介護総合確保基金を活用した各種人材確保施策や、生産性向上のためのICT導入補助などのさらなる充実をお願いいたします。
3つ目は、特養における医療アクセスの向上です。この問題は現在、老人保健健康増進等事業によって現状把握が進められておりますが、これを踏まえ、対応策の御検討をいただければありがたいと考えております。
なお、人口減少となっている過疎地域などにおいては、そもそも特養に入所を希望する高齢者自体が少なくなっている状況がありますが、これの問題は、訪問介護、ほかの居宅サービスにおいても同様であり、いずれも単独では介護事業が成り立ちにくくなっている現状があります。地域包括ケアシステム自体を存続させるためには、将来的には複合的な介護サービスを効率的に提供できるような新たな仕組みを検討していくことも重要かなと考えております。
以上です。
○田中座長 様々なデータを含めて発表と御要望、ありがとうございました。
続きまして、渡辺構成員、お願いします。
○渡辺構成員 ありがとうございます。高齢社会をよくする女性の会の渡辺でございます。
前回の私の発言について、論点2に挙げていただきましたACP、人生会議の現場での実現に関して述べさせていただきます。先ほどの御説明で患者の視点に立ってというお話でしたが、実はどうやって適切な医療を患者さんお一人お一人に行っていくかということは、医療側にとっても大変大きな問題でもあります。
ちょうど明日10月1日から在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所の要件として、厚生労働省のガイドラインなどを踏まえた「適切な意思決定支援にかかる指針」を作成していることという項目が追加されることが周知されております。在宅医療という性質上、ACP、人生会議は必須のものでございますが、ガイドラインで推奨されてからは現場ではその実行に向けて一層努力が続けられております。この要件追加で一部ACPがなされていない例でも強い推進力になると思われます。しかし、在宅診療を受けていない方、疾病のない方、ACPを実行する機会がない方が急病で急性期病院にかかった場合、退院までACPはなされていないというのが実態であります。これは急性期病院というシステム上、時間制限もあり、スタッフ不足もあり、電子カルテ上にその欄はあっても実行されていないというのが現実です。しかし、ここでACPが行われるということが重要で、全ての医療機関でACPを開始して繰り返し行っていくということを目指すことが必要であると考えます。
米国ではリビングウィルの歴史は長く、さらにはACPの概念が推奨されてからも実はなかなか普及しなかったということですが、ここ数年で医療機関にACPを実行し繰り返し行うことに対してインセンティブをつけた結果、格段に普及したと聞いております。ぜひ我が国なりのACPを促す手だてをお願いしたいと思います。
さらには、最近ではACPを行うために自治体主体で様々に工夫されたパンフレットなども見受けられておりますが、健康なうちからACPを意識した人生の振り返りや、最期までの自分の価値観など、あらかじめ表現、記入することは、地域包括ケアシステムを円滑に運営するためにも必要と考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○田中座長 ACPの重要性についても触れていただきました。ありがとうございます。
続きまして、紅野参考人、お願いいたします。
○紅野参考人 ありがとうございます。静岡県の紅野です。よろしくお願いします。
本県でも医療・介護人材の確保というのは急務だと考えております。中でも医師の確保についてはいろいろな施策を展開しているのですが、まだまだ医師不足は解消していない状況です。ましてや働き方改革で医師の時間外業務の上限規制の実施が目前に迫っている中、さらに医師不足が加速するではないかと危惧しているところです。本県でも少しでも医師不足解消に向けてさらなる施策を打つ必要があると考えておりますので、ぜひとも確保基金におきまして医療従事者確保に係る予算のさらなる重点配分をお願いしたいと思っています。
それからまた、基金の事業執行者、執行する立場として、地域の実情に配慮した柔軟な対応、事業展開できるように、例えば確保基金における事業区間分の流用を可とするような柔軟な対応を。総合確保指針の改定とともに、基金を有効活用できるような柔軟な対応を取れるように御配慮いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○田中座長 都道府県の代表としての発言、ありがとうございました。
続きまして、加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
私からは論点3の「サービス提供人材の確保と働き方改革」について、2点ほどお願いしたいと思っております。
資料1の9ページの一番下、特定技能や外国人技能実習生等々の外国人の問題に関しましてしっかりと明記していただきましたこと、まず感謝申し上げたいと思います。先ほどから議論になっています介護人材の確保というのは非常に大きな問題でして、特に病院におきましては、看護補助者の不足というのが今、本当に大変な状況になっていると考えております。先ほどから対策としましては高齢者の方、シニアの方を雇うという話があるのですが、現場で感じます印象としては、以前ですと、シルバーセンター、いろんな派遣のシステムがございますが、そういったところにお願いすると、割といろんな形で高齢者の方が集まっていただけた印象があったのですが、団塊の世代の方がだんだん後期高齢者に近づいてくると、それらの動きが少し鈍ってきているような感じがします。そういった意味で、どういうふうにすればいいかという、シルバーに関する問題が一つです。
それから、ICT、医療・介護のDXは今、本当に大変な状況になっています。例えばこの前から問題になっていますセキュリティーの問題で、我々は、電子カルテをバックアップするという形で、例えばバックアップのサーバーを使って1週間分を取ろうということを心がけますと、そのサーバーを今、発注しても我々に納入していただくのに半年以上かかり、かつ、すごい高額な費用がかかるということが要求されています。
DX、ロボットも含めて、我々介護の世界、医療の世界の補助に関しましてはいろいろ期待はしているのですけれども、それに関する経費的なものを含めたいろいろな負担がかかっております。これは単にイニシャルだけでなくて、ランニングコストのほうも継続的にかかります。こういったことに対するしっかりとした支援がないと、DX、DXと言っても、現場は余計負担が大きくなるということがあるかと思っております。
冒頭申しました外国人に関しましては、これを機会にぜひとも支援するシステム、基金等を使ってでも使えるようなシステムを構築していただきたいかなと思っております。それが1点でございます。
もう一点は、8ページのポツの下から2つ目でございます。「基金における医療従事者の確保に関する事業者の対象として、薬剤師の例示がない」ということがありました。私は第8次の医療計画の検討会の委員もさせていただいておりまして、そこでの事例として、いわゆる病院薬剤師の不足に対して基金が使えるという事例がある、ということをおっしゃっていただきました。これは非常に大きなことだと認識しておりまして、積極的に病院薬剤師さんの確保に関して、例えば特例の奨学金制度をつくるとか、基金においてそういった制度の活用が全国的にできるように、積極的な支援のほうをお願いしたいと思っております。
以上2点でございます。
○田中座長 意見と提言、ありがとうございました。
続きまして、齋藤構成員、お願いします。
○齋藤構成員 ありがとうございます。日本看護協会の齋藤でございます。
先ほど田中参考人より非常に医療依存度の高い方々がなかなか特養に入居できないというデータをお示しいただきました。そういった面からも6ページ、論点2にあります「『地域完結型』の医療・介護提供体制の構築」においては、3ポツ目に看多機等の包括報酬で柔軟なサービスの整備をということが記載されておりまして、まさしくここが大変重要になってくるのであろうと考えております。従いまして看多機の整備、あるいは定期巡回型、こういったサービスの整備をぜひ進めていただきたいということを再度申し上げます。
もう一点申し上げたいのは人材の確保と働き方改革として、タスク・シフト/シェアのことが8ページの1点目に記載されております。昨年の9月30日にタスク・シフト/シェアの通知が出されて、まさしく各医療機関等でこれをどのように進めていくのかという議論がなされている途中だと思っており、在宅医療や介護の中でもタスクシフトにつきましては検討せざるを得ないと認識しております。私ども日看協としましては、特定行為の研修修了者をいかに養成し地域に輩出するかというのが大変重要だと思っております。医師の働き方改革にもかなり貢献するできということがデータで示されておりますので、基金等を活用して地域で活躍する特定行為研修修了者の輩出をぜひお願いしたいと思っております。
もう一点は、資料の9ページに在宅系サービスで、特に訪問介護等での人手不足が指摘されておりますが、実は医療サービスを提供できる訪問看護につきましても同様のことが起こっておりまして、今後訪問看護で働く人材確保について、国の推計では2025年に12万人必要という状況ですけれども、まだ半分ぐらいしか満たしていない状況でございます。
この人材確保につきまして、各事業所の努力だけではなかなか解決に至らないという状況があるのではないかと思っておりまして、私どもとしましては、経営支援、人材確保、サービスの質の確保について一体的に、一元的に支援ができる訪問看護総合支援センターというものを掲げて、各都道府県に1か所ずつあればいいのではないかということで、試行事業等を行っているところです。現在23の都道府県でセンターまたは似たような機能を持っているところがあるという状況ございますで。この辺りも基金を使って一元的、総合的な支援体制整備が位置づけられるようにしていくべきだと考えております。
それから、すみません。私、4時半に退室させていただくのですが、資料4の御説明がない前に言及をさせていただきます。資料4の21ページの交付対象の中に、再検証要請対象医療機関がどの程度含まれているのかというのが、資料からはよく分からないような状況ですので、これらの医療機関への交付実績、その後の動向についてはフォローアップしていただいて、それらを踏まえて今後の方向性というものを検討すべきではないかと思っております。
以上でございます。
○田中座長 資料4に対する質問も含めて発言、ありがとうございました。
続きまして、東構成員、お願いいたします。
○東構成員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の東でございます。
私からは1点だけ、資料1の8ページ「サービス提供人材の確保と働き方改革」について申し上げます。これにつきましては多くの方から御意見が出ておりましたし、一番目のポツに「サービス提供人材の確保及び医療・介護現場のデジタル化の推進は最優先課題」であると記載されております。また、そこに「先を見据えたタスクシェアリングの推進や、ICT技術、介護ロボット、介護助手の活用」等々の文言がございます。介護現場では本当に介護人材の確保というのが喫緊の課題です。その中で、もちろんICTや介護ロボットにも期待をしているのです。それから外国人人材も期待をしておりますが、現場があまり即効性を感じるようなものがないのが現状でございます。
ただ、介護助手に関しましては、私の施設でも多数の介護助手を雇用しておりますが、介護職員の労働環境の改善、バーンアウト指標の低下等のエビデンスもたくさん出ております。ぜひ今後も推進をしていただきたい事項だと思います。即効性もあると思います。
今日の資料には出ておりませんが、令和4年度の新規の事業として「『介護助手』等の普及を通じた介護現場での多様な就労の促進」ということで、基金に137億の新規の予算がついております。これは各都道府県に「介護助手等普及推進員」というものを配置することがうたわれており、それにより、どんどん介護助手の雇用普及について役割を果たしていただければと大変期待をしております。
実は令和3年度までに介護現場における多様な働き方導入モデル事業というものがメニューとしてございました。これは介護助手等を雇用する際に、雇用から育成、定着までを一体的にサポートしていただけるメニューでございます。これは三重県でも採用していただいて、現場が介護助手の採用、雇用をするときに大変助かっているサポート費用でございます。全国老人保健施設協会で調べましたところ、全国47都道府県のうち介護現場における多様な働き方導入モデル事業を行っている都道府県は、福島県、長野県、三重県、大阪府、香川県、福岡県、長野県、大分県のたった8つでございます。8府県しかこのような働き方導入モデル事業を採用していないわけでございます。
今後この介護助手等普及推進員を配置することは大変重要でございますが、現実的に現場に介護助手を導入するときの導入のサポートモデル事業も非常に重要だと思います。国といたしましても、各都道府県にこのようなメニューを積極的に採用し、現場をサポートしていただけるように周知、通知等を行っていただきたいとお願いを申し上げます。
以上でございます。
○田中座長 介護助手を推進されたお立場からの発言でした。ありがとうございます。
続きまして、美原構成員、お願いいたします。
○美原構成員 どうもありがとうございます。全日病の美原です。
5ページ、論点2の2つ目の丸ポチ、機能の集約化ということが記載されています。機能が集約化されることによって医療の質が向上するのは明らかと認識しているのですが、公立病院の経営改善に関するガイドラインにおいては、公立病院に急性期機能を集約し云々という記載があります。一方、地域医療構想においては、公立病院は民間病院の対応できないような困難な課題について対応するということが求められると認識しております。このようなことを考えると、各地域において集約化を進められる場合に、公立病院、公的病院に偏ったやり方が行われないように留意していただきたいと思っております。
以上です。
○田中座長 公立病院の役割についての御発言でした。
続きまして、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 ありがとうございます。介護福祉士会の今村でございます。
私のほうからは資料1、主に論点3について意見を述べさせていただきます。人口構造が変わっていく中において、地域の実情に合ったサービスの構築が求められていくことについて、財源的、人材的にも厳しいことが予想されており、見直しを必要とする地域の動向等についての推計は、さらに議論を深めていくべきだと思っているところです。その中でも特に生産年齢人口の減少に伴う支える側の推計は非常に重要でありまして、医療も介護も制度そのものの持続を前提に検討をさらに進めていく必要があると考えております。
その上で、近年の基金につきまして、施設整備よりも介護従事者等の確保に関する予算が増えてきており、都道府県におかれましても力を入れているように見受けられますが、まだ差があるように思われますので、新たな取組とかさらなる推進ができるよう働きかけをお願いしたいと思います。
今後地域の実情に応じて、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築するためには、新規参入をはじめ、多様な人材の受入れ促進に関する事業はますます重要になってくると思われますが、他方で、今、まさに現場で働いている方々を辞めさせないという取組ですとか、併せまして現場から離れている有資格者へのアプローチという視点も重要になってくるのではないかと考えます。
2040年に向けて医療・介護の提供体制を維持していくために質の高い人材の確保とサービスの質を担保し、負担軽減が図られた現場を実現することが必要とするならば、新規参入はもとより、現場から離れている有資格者の利活用は不可欠であるというふうにも思うところです。
様々な取組を推進していく上で、人材の確保が一丁目一番地であるとするならば、予算、具体策等について、都道府県、また職能団体等が活用しやすく、継続的に取り組めるよう、国としても後押しをお願い申し上げて、意見とさせていただきます。
以上です。
○田中座長 人材確保についての御意見、ありがとうございました。
続きまして、菊池構成員、お願いいたします。
○菊池構成員 ありがとうございます。
本日は、医療・介護の専門的見地から、皆様の発言をいろいろ勉強させていただいておりまして、あえて発言は控えようと思っていたのですが、山際構成員の御発言に非常に共感するところが大きかったものですから、1つだけ発言をさせていただきたいと思います。資料1、論点5の地域共生社会の関係ですけれども、令和2年の地域共生社会の名を冠した法律がありました。地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律です。ここで対象となった法律は、医療・介護だけではなく、社会福祉法、介護保険法、老人福祉法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律、そして社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律です。この中で特に目玉でありました社会福祉法改正では、重層的支援体制整備事業の導入など、分野ごとの縦割りの体制を打破し、包括的な相談支援体制の整備という近時の政策動向を一歩進める内容となっています。
資料1の13ページの記述は、恐らくこの点を意識して、ヤングケアラーや住まいの問題などを議論されたのかと思われますが、例えば自治体の中には包括的な相談支援体制の整備に当たって、既に構築が進んでいる地域包括支援センターを介護以外の分野にも横展開するなど、医療・介護分野にとどまらない連携を見せているところが少なくないのではないかと認識をしています。
介護の分野では「通いの場」という言い方をされるようですが、子ども、障害、困窮分野などでは「居場所」という言い方をすることが多いのではないかと思います。ただ、地域には個別領域ごとにたくさんの地域が存在するわけではなくて、そこは多分重なっているのではないかと思います。医療・介護以外の領域においても、閉じられたものではないのだという点に留意して、総合確保方針の対象は十分理解しておりますけれども、やはり地域共生社会を論点として挙げる以上は、そうした分野ごとの体制を乗り越えるという、そういった地域共生社会を目指す方向性に目配りをした開かれた記載をお願いしたいと思います。
以上です。
○田中座長 医療・介護にとどまることなく、共生社会という広い視野を忘れるなとのご指摘でした。ありがとうございます。
続きまして、濵田参考人、お願いします。
○濵田参考人 それでは、論点に沿いまして意見を述べさせていただきます。資料3の7ページにも記載がございますが、85歳以上人口の増加ということが見込まれておりまして、厚生科学研究「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」によりますと、75歳代の認知症有病率が13.6%でありますが、85歳になりますと41.4%に大きく跳ね上がると示されております。また、健常者に分類されている方もMCIの方が多数存在することも報告されておりまして、全国平均として高齢者の単独世帯が25%弱に達しまして、高齢者のみ世帯を含めますと、全世帯の50%弱となる見込みでございます。
既に高齢化率が高い地域はもちろんのことでございますが、政令市など都市部においても一部の区域では独り暮らし高齢者の割合が極端に高い地域も見られまして、ACPをはじめ、各種の説明や同意について、患者ないしは利用者御本人や御家族が自律的な判断や選択が困難となる場合の増加も懸念されておりまして、次期確保方針策定ではそうした状況への対応策なども踏まえる必要があるのではないかと考えます。
論点の2つ目「『地域完結型』の医療・介護提供体制の構築」でございますが、6ページの1つ目のポツの記載にもございますが、自然災害時のDMATやDWATなどの医療・介護連携により支援が行えるよう、都道府県におかれましてはもちろんのことでございますが、市町村におかれましてもふだんの準備体制の確保が重要と考えます。要介護者の方の場合は、介護保険施設への入院・入居や居住系サービスを利用されている方も多いと考えられますが、ポツの3つ目にも記載のとおり、自宅でのケアを支えるには誰もがケアマネジメントによる複合的に在宅サービスが提供できる体制の確保、継続が欠かせないと考えております。
論点の3つ目「サービス提供人材の確保と働き方改革」でございます。9ページの2つ目のポツにもございますが、生活支援と訪問系サービス、特に介護支援専門員、主任介護支援専門員を含む介護人材不足が顕著であります。この要因としては、高齢化による退所者増ということもございますが、少子化による生産年齢人口減少の影響は明らかでありまして、医療・介護分野に限らず、他の産業においても人材不足が顕著でありまして、国内において早期に生産年齢人口を回復し、抜本的な改善に至るのは非常に難しい傾向にあると考えております。
このため、ポツの6つ目にありますように、意欲があり、優秀な外国人介護人材が確保できるように、基金事業におけるメニューや予算の充実を図ることも引き続き重要と考えております。
続きまして、論点4「デジタル化・データヘルスの推進」でございます。現在総合確保基金によりまして急速にICT機器等の整備が進んできておりまして、大変感謝いたしております。しかし、地域によってはまだまだばらつきが大きい状況もございまして、応募期間が短く、気がついたときには応募の締切りが過ぎてしまっているような面もございまして、毎日自治体様のホームページを見ていないと、なかなか対応が難しいような例もあると聞いております。このため、さらなる導入活用支援をお願いしたいと存じます。先ほども御指摘がございましたが、同時期に重なりまして、基金の利用者さんのほうから見積書の作成などの必要書類が間に合わないなど、このような例もあると聞いておりますので、引き続き御支援方、よろしくお願いできればと存じます。
また、ケアプランデータ連携システムにつきましては、今後の導入を期待いたしますとともに、特定の事業所だけでなく、相手方である地域の関係する全ての事業所が利用してこそ利便性が進むため、都道府県様や市町村、保険者様等で導入促進の声がけや、例えば基金事業などの活用が図られるのであれば、そうした負担支援策なども可能な限り御検討いただければ幸いでございます。
また、現在ケアマネジメントにおけるアセスメントやケアプラン作成につきましては、医療・介護連携時に情報開示請求を行って、基本調査、主治医意見書や特記事項など要介護認定調査情報を考慮して作成されております。利用者の皆様の同意の下、医療・介護関係者でこれらの共有化が図れましたら、各種の事務手続の負担軽減が進む可能性もございます。可能であれば、将来的に今後進んでまいります医療情報とともに、介護情報に関しましても各種のシステムを通じて利用が可能になることを期待したいと存じます。
論点5の「地域共生社会づくり」についてでございますが、12ページに記載いただいていますように、地域共生社会を文脈の中に位置づけていくことは大変重要と考えております。孤独・孤立により仕事と介護の両立支援やヤングケアの支援も必要であると考えております。一方、女性や高齢者の就業率は非常に上昇してきておりまして、最近、民生委員さんもなかなか成り手が見つからないような状況もあると聞いておりまして、地域のインフォーマルな支援者確保・育成にも目を配る必要が生じているのではないかと考えております。
以上でございます。
○田中座長 多様な分野に対しての御意見、ありがとうございました。
次に、武久構成員、お願いいたします。
○武久構成員 ありがとうございます。
実はずっと聞いておりまして、私は前回にも同じようなことをお話ししましたけれども、資料1の5ページに載っておりますが、大体問題が、要介護者がどんどん増えて、高齢者がどんどん増えていっている。このまま置いておいたらどうなるのか。一体要介護者はどこから来るのかというと、私は日本慢性期医療協会の名誉会長をしておりますけれども、急性期病院から回復期病院、慢性期病院、そして特養、老健等も運営している現場の現状としてお話をしたいと思います。2006年に診療報酬改定で7対1の基準看護とか、慢性期病院に医療区分が入ったりしたことがあります。このときからもう既に16年たっておりますが、入院患者さんの高齢化率は倍近くになっているのです。物すごい勢いで急性期病院での入院患者の高齢化率が進んでいる。しかし、その16年間一度も看護師の増加の決まりは変わっていない。
現実問題として急性期病院の現場の看護師さんは非常に困っています。要するに、40人の入院患者のうちの三十何人が高齢者なのです。夜中にトイレに行くとか、認知症の方もいらっしゃいます。とてもじゃないけど対応できない。そうなってくると抑制するということもあり得るし、膀胱にバルーンを入れるということが起こり得ることは、現場の看護師さんとしては非常に気の毒な状況になっているわけです。
ところが、この16年間全然変わっていないということは、どういうことになっているかというと、要介護者になるのは、元気な人がいきなりなるのでなしに、何か病気になって、医療の治療を受ける最中に要介護者になる例が非常に多いわけです。ということは、臭い臭いは元から絶たねば駄目というような言葉がありますけれども、やはり急性期病院での高齢者の医療・介護等についてより改善していく必要があるのではないかということで、私は強く話をしたいと思います。
残念ながら急性期病院の病棟には介護職員は十分いませんし、もちろんリハの職員もほとんどいません。現実問題としてこれらの方が病院にお勤めになっても、交付金、給付金、介護給付費の補助をほとんどくれないわけです。そういうことになりますと、現実に法的な問題として介護保険部会もありますし、中医協もありますが、ここの場が医療と介護の総合確保の会議の場ですから、ここでしか言えないということで、私は強く言いたいのです。医療の現場に介護の人やリハの人をあらかじめ配置していただくことによって要介護者が生まれるのを減らしていくという根本的なことを皆さん、一回考えてみてくれませんでしょうか。いろんな立場の方がいらっしゃいますけれども、前回私がちょっとお話ししたのは資料に載せていただきましたが、同じようなことを言っていただける医療系の方もいらっしゃいませんので、ここで強く話をしたいと思います。
やはり要介護者をつくらないように、つくらないようにする制度、やり方というのが非常に重要です。このまま行くとどんどん介護保険は拡大していって、果てしなくなります。急性期医療の病院でも現実に高齢者がどんどん増えてきて、現場にいる看護師さんはパンクしてしまいます。こういう状況を何とか変えていただくということが、この会議の中から改革の緒についていただけるようにして下さい。ありがとうございました。
○田中座長 介護者の発生について重要な論点、ありがとうございました。
続きまして、仙賀構成員、お願いいたします。
○仙賀構成員 日本病院会の仙賀です。
今の武久先生の意見には本当に大賛成です。
それは置いておきまして、構成員の皆様はそれぞれの分野の専門家なので、小生の立場では個人的にははっきりした意見はないのですが、一言述べさせてもらいます。医療介護総合確保方針の決定について、それぞれの団体からの構成員の意見は全てもっともであると思います。しかし、これらの希望を全て方針の中に入れるとなると、恐らく構成員の皆さんも思っておられると思いますが、玉虫色、実際には実現困難な方針になってしまうように思います。「確保方針」という名称から考えると、皆さんが言っておられるにように、人材確保に効率的に基金を使っていただきたいと思います。人材確保というのは、別に医療だけでなくて、介護、全てを含んだ意味での人材確保ということです。
1点ですが、先ほど日看協の齋藤構成員が少し言っていましたけれども、第7次の医療計画においては、看護師の特定行為の件については研修施設の充実、増やそうということが方針に盛り込まれていました。第8次の医療計画には、その特定行為研修を修了した看護師がそれぞれの地域でうまく活躍していただけるような内容を一言でも入れていただければ、タスクシフトとか、医師の立場からしてもやはりそれはいいと思います。
現在、特定行為研修を修了した看護師は急性期病院に偏っていますが、2040年には特定行為研修を終えた看護師はみんな年を取りまして、急性期病院をリタイアするはずです。そういう看護師が在宅に向かっていくという形になっていくと思いますので、そのような流れに自然になるとは思いますけれども、そういうことも含めてぜひとも特定行為を修了した看護師に活躍できる場を与えてください。僕は日看協の回し者ではないですが、特定行為に対する認識がまだまだ低いと思っております。
以上です。申し訳ありません。
○田中座長 総花的な指針にするなとくぎを刺していただきました。ありがとうございます。
続きまして、安藤構成員、お願いいたします。
○安藤構成員 ありがとうございます。
私からは、前回の会議でいろいろと意見を述べさせていただきました。今回のとりまとめで結構入れていただいているので、特に発言の予定はなかったのですが、先ほど菊池構成員の御発言の中で、医療と介護だけにとどまらないような書きぶりをという御指摘が、今後の地域共生社会づくりにおいて本当に大切だと思います。そこの部分を何とか入れていただけるように御検討いただければありがたい、という意見でございます。
以上です。
○田中座長 より広い視点を持てと。菊池構成員と同じ御意見でした。ありがとうございます。
続きまして、井上構成員、お願いします。
○井上(由)構成員 ありがとうございます。手を挙げるのが遅くなってしまって、このような最後のほうでお話しするのを申し訳なく思っています。3つほどお話をさせてください。
1つは、菊池先生のお話と通ずることですけれども、私は現在、高齢、医療、子供、障害といった方々の相談援助職のリカレント教育の場にいます。それぞれ専門の分野がありますけれども、実態としては分野を超えて仕事をしているのが現状です。そのように考えてくると、高齢分野では地域包括支援センター、ケアマネジャー、退院支援のMSWといった人たちの領域がこれからかなり広がっていくと感じていますので、そこを検討していただきたいというのが1点です。
2点目は、先ほどの武久先生のお話、とても共感して聞かせてもらいました。その先を考えていくと、やはり参加の視点が大事なのだろうなということで、この点も入れていただきたいというのが1点です。
最後にもう一つ、介護人材についてです。限られた職員数の中で介護を提供していくというお話と、労働生産性のお話が出てきますけれども、この二つは必ずしも一致しているわけではないと思うのです。特に労働生産性を上げていくためには人件費を上げていく。これは最終的には介護報酬につながっていくことになり、お願いしたいところなのですが、労働生産については各々の取り組みがどのように関係しているかを図式化し現場や私たちに示してもらいたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○田中座長 最後の点は事務局への注文でしたかね。ありがとうございます。
一わたり意見を伺いましたか。よろしいですね。
では、様々な御意見、ありがとうございました。
続いて、議題4「令和4年度内示状況及び令和3年度の主な取組例等について(報告)」、資料4の説明をお願いします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
医療介護総合確保基金につきましては、前回の会議におきまして令和2年度までの執行状況及び令和3年度の交付状況等について、御報告をさせていただきました。今回資料4におきましては、令和4年度の内示状況及び令和3年度の主な取組例等について御報告をさせていただきます。
3ページ目以降が医療でございます。
4ページをお開きいただきますと、現時点までに都道府県に医療分として内示をしておる状況。右下のところを御覧いただきまして、全体で701.4億円。その隣、国費で481.2億円となってございます。
5ページ以降にそれぞれの事業区分ごとの内示状況をお示ししてございます。ところどころにバーというのが見てとれますが、これは過年度に交付された基金の執行残を活用するため、現時点で令和4年度の内示を行っていないもの、あるいは事業によっては地域の医療機関との調整に一定の時間を要しているため、現時点では内示を行っていないもの等々があるということでございます。
こうした事業区分ごとの内示状況を9ページまでお示ししてございます。
10ページ以降でございます。基金事業につきましては消費税増収分が充てられているということでございますので、基金の事業につきましてPDCAサイクルを回していくということにしております。そうした中で、まず主な取組例につきまして、実際には都道府県の計画の中で御報告いただいているものですが、その中から一部の例を取組例として御報告をさせていただきます。
11ページでございます。区分Ⅰ-1につきましては、ここに書いてございますような医療機能の集約、あるいは回復期病床への転換、こうしたことを含む病床再編の事業に対する支援等がございます。
12ページにお進みいただきまして、こちらは地域医療構想に即した病床機能再編の実施に伴いまして、減少する病床数に応じた給付金の支給等々の事業でございます。
13ページ、区分Ⅱ、居宅等における医療の提供に関する事業では、在宅医療を中心に全人的な医療を提供できるかかりつけ医を養成することを目的とした研修。下の段でございますが、在宅歯科医療を推進するため、医科や介護等の他分野との連携を図るための窓口の設置等々の事業でございます。
14ページにお進みいただきまして、医療従事者の確保に関する事業。先ほどの議論でもございました看護師の特定行為、こうした研修につきまして職員を派遣する病院等に対する経費の補助とか、下の段、離職中の薬剤師に対する復職支援等々の事業でございます。
15ページ、区分Ⅵ、勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備ということで、医師の労働時間短縮に向けた体制整備に関する費用等々の事業でございます。
16ページ以降は、医療分につきまして、令和2年度の基金事業につきまして主な取組例の事後評価ということで、お示ししてございます。先ほど申し上げましたPDCAサイクルの一環といたしまして、こうした基金事業につきまして、それぞれの都道府県におきまして事後評価を実施していただいているところでございます。
17ページ以降でございます。ここは一つ一つ御説明は申し上げませんが、例えば整備をする病床数とか、あるいは実際そうした事業を運営している機関数、こうしたものにつきまして、ある程度数値目標を置いて、それが実際どうであったか、こうしたことを赤字に書いてあるような数値でもって事後評価をしていただいているという状況でございます。
21ページ、22ページは、区分Ⅰ-2の事業につきましての交付実績でございます。右下の下から2行目を御覧いただきますと、21ページでは令和3年度の事業におきまして、当該事業により2,770床の病床削減。22ページは、基金事業に入る前の補助金のときでございますが、2,846床の病床削減が行われているということでございます。
23ページ以降は介護の関係でございます。介護分の令和4年度の内示につきましては、関係者等の調整に時間を要しており、現時点でまだ調整中でございます。内示し次第、委員の皆様に御報告させていただければと思ってございます。
24ページ以降で令和3年度の介護分の基金事業につきまして、主な取組例を示してございます。
25ページは地域密着型の施設の整備など、介護サービスの基盤整備に対する支援。
26ページ、介護従事者の確保につきましては、上の段では高校生あるいは地域住民を対象に介護施設・事業所における5日間程度のインターンシップを実施するとか、下の段では、介護施設で働きながら実務を経験しつつ、介護職員初任者研修を受講する機会を提供する事業。
27ページの上の段では、本日の議論でもございました地域の元気高齢者を介護助手として育成する事業。下の段では、介護職種の技能実習生、介護分野の特定技能外国人等を受け入れるための環境整備に関する経費の補助。
28ページにお進みいただきますと、ICT機器の導入にかかる経費の補助等々の事業がございます。
29ページ以降は、介護分につきまして、同じように事後評価ということでございまして、実際のサービスの基盤整備の状況、あるいは介護人材の確保の関係でどのように人材が確保されたか、一定の目標に対してどういったアウトカムであったか、アウトプットがどうであったかということにつきまして事後評価をしていただいている状況でございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございました。
令和4年度内示状況及び令和3年度の主な取組例等について報告を受けました。
議題4をめぐって御意見、御質問のある方は御発言ください。渕野構成員、お願いします。
○渕野構成員 ありがとうございます。渕野です。
今の説明で、資料の32分の5、5ページ、事業区分のところです。今の説明でバーの意味が分かったのですが、この前事前説明のときにバーのことを聞いたのですけれども、継続的なものだということが分かりました。
それから、6ページの秋田県などはいわゆる予算がなかったということですね。0億円で、内示もないということは、提出されなかったという解釈でよろしいのでしょうか。
それから、7ページぐらいで、予算で少し多めに上がっていて、内示で下がっているというのが区分Ⅱは割と多いようですが、これは申請したけれども、審議の結果そこまで行かなかったといいますか、下がった額になったという解釈でよろしいのでしょうか。
それから、一応お金が下りて、都道府県でそれが実行されて、そして検証というのもきちんとなされているのだろうかなとちょっと気になったので、お答えをお願いいたします。
○田中座長 質問にお答えください。
○鷲見課長 地域医療計画課長でございます。渕野先生、ありがとうございます。
先ほど御質問がございました6ページの秋田県の0.0億円ということですが、こちらは500万未満であるため、0.0ということになっているという状況でございます。
7ページの基金の規模と国費というところにつきましては、基金の規模は全体でございますが、国費分が3分の2でございますので、基金規模の3分の2という数字が入っている状況でございます。
評価を行っているかという点につきましては、まさに事後評価を行っておりまして、そちらにつきましては17ページ以降に事後評価の内容が一部掲載されておりますが、こちらに記載されているアウトカム指標、アウトプット指標という形で事後評価を行っているということでございます。都道府県自らが評価を行い提出されたものです。
以上でございます。
○田中座長 よろしいですか。
○渕野構成員 ありがとうございました。全ての事業に対しての評価が行われているということになるわけですね。
○鷲見課長 先生、そのとおりでございます。
○渕野構成員 分かりました。
○田中座長 続いて、加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 11ページ、12ページ等での事例の件なのですが、今回のは、新潟と広島の公立病院、公的病院の統廃合、集約化だと思います。このような事例の中で、病院名も実名が出ているのですけれども、もともと新潟も広島も公立病院のほうが救急の受入れも多いという状況もあるのですが、影響を受ける民間病院とかについては、このような事例においてちゃんと議論されているのでしょうか。
なぜそれを言うかといいますと、実はこの基金を使ってもっと人口密度の高い大阪、阪神間の状況で、これは尼崎で起こったことですが、2つの病院が500床と400床で、合計900床を730床にダウンサイジングして2割カットしたのですけれども、実際には2つの病院のときより繰入金が1.5倍になり、赤字が3倍になって、年間32億円のお金を投入、つまり税金を入れなければ運営できない病院ができてしまいました。その結果、以前からあった7つの民間の救急病院のうち6つは潰れてしまって、残すは1つかなという状況になっているという現実があります。トータルスケールはサイズダウンしているのですが、結果的に大きな病院をつくるということになりまして、周りの民間病院が影響を受けるということがありますので、この新潟と広島の例というのは、そういうのを考慮された上で基金を渡されるのでしょうか。
○田中座長 質問にお答えください。
○鷲見課長 加納先生、ありがとうございます。
ご指摘の広島の例でございますけれども、広島の取組については、尾三構想区域におきまして重点申請区域の申請が行われていますが、申請自体も地域において議論が行われて合意されているものと承知しております。
また、当該区域につきましては、重点支援区域として再編・統合後に地域医療体制の変化等についても調査・分析を行うということを予定しております。先生がご指摘の公が民を圧迫していないかというような御心配につきましてもそうした調査を実施していく中で確認してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○加納構成員 ありがとうございました。また検証のほうもよろしくお願いしたいと思います。
○田中座長 続きまして、美原構成員、お願いします。
○美原構成員 全日病の美原です。
区分Ⅵの勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業についてですが、この要件として、救急搬送の受け入れが年間1,000件以上で、医師の時間外労働時間が月に80時間以上であることを基金の利用条件としているために、恐らく使用できるような医療機関はかなり限局されているように思われます。
9ページ、実際にそのデータを見ますと、東京を除くと、愛知、大阪、福岡などの都会で多く利用されているようですが、地方では実際にあまり利用されていないという現況が分かります。当院でも働き方改革を推進し、医師の時間外労働時間短縮に向けた様々な機器の導入、ドククラの育成なども行ってきました。そのため救急搬送の受け入れ実績は年間1,000件を超えるものの、医師の時間外労働時間は月80時間を超えるものがいないため、この基金の対象となっていません。確かにそのような在り方、一生懸命頑張った結果として医師の時間外労働時間が80時間未満に抑えられていますが、80時間未満であれば働き方として適切かというと、そうでもなくて、こういうことは医師の偏在問題と関係してくると思います。いずれにせよ、医師の残業時間を減らそうといろいろ努力してきた機関が基金の対象とならないような在り方というのは適正と言えるかどうか、御検討いただければと思います。
以上です。
○田中座長 御要望ですね。問題提起と受け止めました。ありがとうございます。
次は佐保構成員、お願いいたします。
○佐保構成員 ありがとうございます。
私からは2点申し上げたいと思います。まず、医療分について、8スライド目、9スライド目の区分Ⅳや区分Ⅵで、それぞれ内示額、基金規模が示されておりますけれども、これは例えば都道府県の人口の規模などとは直接関連していない部分があると思っております。そういうことを考えたときに、こうした事業に関して取り組んでいるところとそうではないところの都道府県格差といったものが広がるのではないかと心配をしておりますので、ある程度平準化、都道府県格差がつかないような取組も必要ではないかと感じました。
もう一点は介護分の内示状況を、現在、調整、取りまとめをされているということで、都道府県の皆さんや厚労省の皆さんは大変御苦労されているのではないかなと思っております。後ほどお知らせしていただけるという話は先ほどお伺いしましたが、資料を見てみないと議論をする内容が分からないというのもあります。例えば次の会議などで議論をさせてもらえるような形になるのでしょうか。この点は質問事項になります。
以上です。
○田中座長 御要望と、介護についてのデータが会議に出るのかという御質問でした。いかがですか。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
介護分の内示状況につきましては、次回きちんと御報告をさせていただきたいと思っております。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
続きまして、井上構成員、お願いいたします。
○井上(隆)構成員 ありがとうございます。
資料の21ページ目に病床数の変更に関する事業の交付実績の表がございますけれども、これを見ますと、単独医療機関の取組の数と比べて、複数医療機関の取組というのが非常に少ないという印象を持ちました。もちろん、各都道府県や地域で実情は違いますので、数字だけで判断するわけにはいかないとは思いますが、やはり地域完結型の医療・介護提供体制の構築の中では、医療機関同士が連携しながら機能を分化・連携、集約化していくことが必要となってくると思いますので、必要に応じてこういう取組を促すようなことも考えていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
この基金の効果検証については従来からずっと申し上げてきておりますし、今回こういった形でお示しもいただいているわけですけれども、地域医療構想、2025年が取りあえずの終点ということになっておりますが、地域医療構想全体の進捗の評価ということを今後やられることになると思うのですけれども、その際に併せてこの基金が適切に活用されてきたのかということも含め、事業区分で言うとⅠ-1とかⅠ-2がそれに当たると思うのですが、適切に活用されたのかどうかということも含めた総合的な検証をお願いしたいと思います。要望でございます。
○田中座長 大切な点を御要望いただきました。ありがとうございます。
ほかにございませんか。ないようですね。
様々な御意見をありがとうございました。
まだ議論があるかもしれませんが、そろそろ終了予定時刻となりますので、本日はここまでといたします。
議題1、2、3では、総合確保方針の改定に向けて、医療計画や介護保険事業(支援)計画等の検討状況の報告、論点とこれまでの主な意見について御説明いただきました。
総合確保方針の改定は、これまで行ってきた議論を踏まえ、次回には事務局から改定案のたたき台(素案)が示される段取りになっています。その上で、改めて私たちで議論を行う予定でございます。
議題4については、令和4年度内示状況及び令和3年度の主な取組例について報告を受けました。
本日示されました様々な御意見を踏まえ、引き続き基金事業が効果的に活用されるよう都道府県への指導・助言を続けてください。
では、次回の日程について、事務局から連絡をお願いします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
次回の会議の日程など詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○田中座長 以上をもちまして、第17回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。
御議論ありがとうございました。