第6回 匿名医療情報等の提供に関する専門委員会 議事録

保険局医療介護連携政策課保険データ企画室

日 時

2021年6月24日(木) 15:00~17:00

場 所

Web または ソーシャルイノベーションハブ(東京都港区虎ノ門1-1-13 磯村ビル3階)

出席者

【専門委員】
・宇佐美 伸治(日本歯科医師会 常務理事)
・鹿野 真弓(東京理科大学薬学部 教授)
・嵩 さやか(東北大学大学院法学研究科 教授)
・田尻 泰典(日本薬剤師会 副会長)
・田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学 教授)
・東宮 秀夫(一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 研修事業本部長)
・長島 公之(日本医師会 常任理事)
・中島 誠(全国健康保険協会 理事、代理:矢崎 和彦)
・中野 壮陛(公益財団法人医療機器センター 専務理事)
・中野 惠(健康保険組合連合会 参与)
・堀 真奈美(東海大学健康学部長 兼 健康マネジメント学科 教授)
・松田 晋哉(産業医科大学公衆衛生学 教授)
・宮島 香澄(日本テレビ報道局 解説委員)
・山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長)

議 題

  1. 1. NDB収載・提供情報の拡大について
  2. 2. 履歴照会・回答システムの活用に伴うNDBの第三者提供に係る手数料の改定について(報告)

議 事

 
山本委員長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方には、御多忙の折、お集まりいただき、御礼申し上げます。
まず、委員の出欠状況について、事務局から報告をお願いいたします。
山下課長  医療介護連携政策課長でございます。
本日は、委員の皆様方、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
今回ですけれども、専門委員の皆様全てがウェブの参加でございます。
また、全国健康保険協会の中島委員の参考人としまして、矢崎参考人が代理出席となります。
また、齋藤委員でございますが、欠席ということで伺っております。
なお、運営規程に基づいた開催要件は満たしておりますことを併せて報告いたします。よろしくお願いいたします。
山本委員長  ありがとうございます。
会議の開催要件を満たしているとのことですので、早速ですが、本日の議事に入らせていただきます。
カメラはここで御退席をお願いいたします。
それでは、議題1「NDB収載・提供情報の拡大について」資料1の説明をお願いいたします。
山下課長  ありがとうございます。
資料1を御覧いただきたいと思います。「NDB収載・提供情報の拡大について」でございます。
初めに、NDBについて振り返りというか、どういうことかということで、2ページ目でございますが、ナショナルデータベース(NDB)なのですけれども、厚生労働大臣が法律に基づいて医療費適正化計画の作成に資するということで、保険者または都道府県から医療のレセプト、特定健診の情報の提供を受け、これをナショナルデータベースに収載しているというものでございます。
あわせて、このデータについて、国民保健の向上に資する目的で相当の公益性を有する分析等を行う者に対して提供することができるということになっていまして、右下の参照条文の第16条の二に一、二、三とありますけれども、国の他の行政機関及び地方公共団体、大学その他の研究機関、民間事業者その他の厚生労働省令で定める者ということでございます。
また、ナショナルデータベースなのですけれども、左下にありますように、個人の診療の履歴については、追跡可能性ということでそのひもづけの確保はできるのだけれども、その診療歴は一体誰のものなのかということは特定できないといった形で集めているものでございます。これを受診状況とか様々な健診データの分析に使っていただくということで提供しているものでございます。
3ページに入りますが、これまでの議論でございますが、振り返りますと、3月19日に第3回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を開きまして、まず、そこでナショナルデータベースに収載する情報として、例えば今までのレセプト情報に郵便番号とか市町村コードをつけた上で格納してはどうか、さらに、高額療養費の自己負担限度額区分について、付け加えた上で格納してはどうか、また、医療機関コードについても付け加えて格納してはどうかという話を提案させていただきました。これに関しては、そのときは、そうすると個人特定の可能性がより高まるのではないか、それの対応方法をちゃんと決めなければいけないのではないか、また、こういった情報が入ることによる研究という面でのメリットもあるのではないかという御意見をいただきました。
これを踏まえまして、非公開で大変申し訳ございませんけれども、第4回の専門委員会で改めて懇談会を設置して、2回ほど行って、その中でどんな議論があったかといいますと、収載すること、提供することのメリット、また、そのメリットとともにどういう懸念があるのか、その懸念に対してどう対応できるのか、さらに、この専門委員会で実際に第三者に提供する際の審査のポイントをどうするかということについて議論させていただきました。これは、そういった経緯が分かるとなると、それを先回りして変な申請をされては困りますので、非公開でずっとやってきたところでございます。そうした議論を踏まえまして、本日、この専門委員会で今までの懇談会の議論を紹介するとともに、再度皆様方の御議論を賜りたいと思っております。
4ページを御覧いただきたいのですが、これまでいただいた御意見でございますが、最初のポツなのですけれども、データをうまく活用して、国全体がメリットを得ることをどうやるのかという議論も踏まえると、皆が納得するのであれば、活用という方向へかじを切ることも十分に考えられるのではないか。
また、3つ目のポツなのですけれども、メリットは十分に理解できるものの、個人特定のリスクを最小限にするため、提供時はより慎重に検討する必要があるのではないか。
また、目的と研究に応じて審査できる体制をどうつくるのか。
よりデータの利活用を進める方向とするためにも、より丁寧な審査に必要なデータを提供するのがよい。
提供申出書になぜこのデータが必要なのかという理由を十分に記載して、それを専門委員会にて判断できる形がいいのではないか。
一方で、本委員会ですが、研究自体の新規性とか学術的価値を判断するのではなく、あくまでも提供するデータによって個人が特定されるおそれがあるのではないかということに対する安全管理といったことを検討する場であるべきではないかという御意見をいただきました。
あわせて、5枚目のスライドなのですけれども、郵便番号、市町村コード、高額療養費自己負担限度額区分に関しては、それぞれこうした議論がありました。
御紹介させていただきますと、患者の居住地情報が把握できるのであれば、2次医療圏もしくは都道府県を超えた患者の移動の分析もできるのではないか。
さらに、所得階層が分かれば、その制度が所得にかかわらずうまく機能しているのかということも分かるのではないか。
また、健康格差の課題への対処とか医療費の分析もできるのではないか。
さらに、低所得層とか子供の受診抑制が起こっているかどうかという把握のために、こうした高額療養費の自己負担限度額区分を使って観察、研究ができるのではないかという話がありました。
また、医療機関コードについては、患者の居住地と医療機関コードを組み合わせると、限りなく個人特定のリスクが高まるのではないかということ。
医療機関のコードよりも、そもそも医療機関が診療所なのか、病院なのか。また、診療所でも病床があるのか、ないのか。また、病院であっても、200床や100床とかそれぞれの状態、病院の属性情報が研究には必要ではないかということ。
なので、医療機関コードが公開されていることに対して、コードそのものではなくて、属性とちゃんとひもづいての提供があるのではないかということをいただいたところでございます。
6ページに行きまして、ナショナルデータベースに郵便番号とか高額療養費の自己負担限度額区分、医療機関コードを付け加えることによる研究の例としまして、我々が研究者に確認をしたところ、例えば郵便番号がつくと、空間的なことも分かりますし、さらに、例えば空間だけではなくて、時間を検討して、例えば天候の変化で疾患とか増悪に関する患者数がどう変化したのかということも、レセプトでは受診日も分かりますので、そういった天候と併せて患者数を予測するという研究ももしかしたらできるかもしれない。
また、高額療養費の自己負担限度額区分があると、所得差による健康格差も分かるかもしれない。
さらに、医療機関コードを付け加えると、こういうことができるかもしれないということがあります。
7ページ以降は、NDB収載・提供情報の拡大のニーズとメリットについて、それぞれより詳しく書いてあるところでございます。
郵便番号、市町村コードが分かることで、患者の流出入について、より適正・正確に把握することができるのではないか。
また、患者数予測も分かるのではないか。
さらに、患者の居住地の地理的情報によって、社会的要因とか環境要因との疾病の罹患も分かるのではないか。
さらに、患者の発生分布を居住地ベースでやることによって、事後的に感染症の空間的・時間的な蔓延・遷延状況も把握できるのではないかということがございます。
8ページに移りまして、今度は高額療養費の自己負担限度額区分なのですけれども、繰り返しになりますが、もしかしたら所得差からの受療行動の差異もあるのではないかとか、実際に糖尿病の重症化予防で何かあるのではないかということも確認することができるのではないかというメリットが考えられます。
9ページになりまして、医療機関コードなのですけれども、医療機関コードと組み合わせることによって、他の診療所や病院、もしくは介護サービスとの連携の状況も分かるのではないか。
また、ICUの管理体制とか肺炎患者の予後への影響も分かるのではないか。
下のほうになりますけれども、医療機関の移転とか統合が頻繁に発生するので、一体どこの医療機関でという医療機関のひもづけができていかないと不十分・不正確な分析になりますが、どこの医療機関か分からなくても、移転・統合においてもきちんとひもづくのであれば、属性情報をきちんと把握し続けることによる分析の精度の向上が考えられるのではないかと考えております。
10ページになりますが、こうした様々な情報が付け加わることに伴う懸念点も当然ございます。様々な情報が付け加わることによって患者個人が徐々に絞られていって、特定されるのではないかというおそれが当然あるということに対して、我々から今、ナショナルデータベースが一体どうなっているのかを少しお伝えしたいと思います。
左下の「医科入院外レセプトの例」でいいますと、その次の「NDBの格納項目」の青いところとリンクしていますけれども、何をNDBに格納するのかというと、診療年月と医療機関コード、保険者番号。一方で、保険医療機関名、被保険者証記号番号は消去していますし、患者氏名も消去、患者の生年月までは行っていますが、月日の日は消去して、性別を残してという形にしてハッシュ化をしております。併せて氏名、生年月日、性別もハッシュ化しております。この赤いところのハッシュ化と黒いところのハッシュ化という形に加工しています。あわせて、傷病名はそのまま残っていますし、診療行為はそのまま残っています。請求点数もそのまま残っています。
こうした情報に郵便番号や市町村コード、高額療養費の自己負担限度額という追加情報を得た上で、これらのレセプトについてハッシュ化しまして、一体誰のものかは分からないけれども、先ほど言ったように、追跡可能なという形にしています。
あわせて、生年月によっては100歳以上で、例えば110歳とかになってしまうと、これは特定の1人ではないかとなりかねませんので、100歳以上の情報については一くくりにしてしまうことにしていますし、審査においては、必要最小限の範囲でしか提供しないということをやっております。
さらに、今度は懸念として、意見として出ました医療機関コードの対応なのですけれども、11ページなのですが、現行については、医療機関コードについては公開されておりますので、提供申出者はそれらの医療機関コードからどこの病院か、どこの診療所かと分かっていまして、例えば提供申出者、研究者のほうで病床数で区分したい場合は、例えば20床未満なのか、また、100床未満なのかという形で自ら病床の区分でやります。もしくは病床の区分ではなくて、所在地で見ていきたいので、2次医療圏コードでしています。そうした独自の医療機関コードにひもづく医療機関の属性を自分で表としてつくった上で、厚生労働省にこういったレセプトが欲しいのですということで来た場合、厚生労働省はこれに連結するレセプトを渡すことにしております。
一方で、その際に、医療機関コードについては、匿名化させています。つまり、どういうことかといいますと、病床の区分とか2次医療圏コードの別という形で提供申出者に言われたとおりの別にした上で、そこのレセプトはこうですというふうにしておりますが、それがどこの医療機関のレセプトなのかということが顕名で分かる医療機関コードとは変えて渡しているということになります。
同じように、見直し後も、こうした病床数で提供してほしいというようなことを言われれば、我々の持っている医療機関の属性と医療機関コードでチェックしまして、それについて、提供申出者、要は研究者が調べたい医療機関の属性に合わせて提供する。だけれども、その提供されたコードは匿名化後の医療機関コードですので、これを提供申出者、研究者が見たとしても、一体どこの医療機関かは分からない。だけれども、病床の区分や2次医療圏とか、本当にその研究者が研究したい属性については、きちんと整理されて提供されるという形にしたいと考えております。
さらに、12枚目のスライドで、対応案としまして、これは現在やっていることと新しくする対策をそれぞれ書いておりますが、今行っている対策は「事前規制」と「事後規制」とありまして、まず、事前規制は、収集時には、先ほどお伝えしたとおり、個人情報を削除した状態で収集しております。
また、NDBの提供時については、ハッシュ化をして個人が特定されない形にするとともに、一方で特異な情報、例えば100歳以上を一くくりにするという形で、個人が特異的に出てくるものは削除しております。
さらに、審査において、研究者が何でもかんでも欲しいというのではなくて、こういった研究をするのであれば必要な情報で、必要最小限の範囲でしか提供していないことになります。
また、併せて提供後の事後規制なのですけれども、当然のように、提供されたNDBの情報と他の情報を連結することは禁止しております。前の1の「法令による対応」なのですけれども、他の情報と照合することを禁止しております。
また「安全管理措置」としまして、提供されたナショナルデータベースのデータをどこで扱うことができるのかということについて、そのデータの利用の区域は特定の場所になります。つまり、このデータは誰でも、普通のパソコンで使えるということではなくて、一体誰が使っているのか、また、その使うための区域を管理しまして、そこに何時何分に誰が入室したのか、また、そこから何時何分に退室したのかということもしっかりと管理すること、また、きちんとしたデータのログを残すことなどの安全管理措置を行っています。
さらに、事後規制として、3として「成果物の公表のルール」としまして、実際にナショナルデータベースを使って研究した結果、その成果物を公表するに当たって、公表前に必ず厚生労働省による公表物確認を経てもらいます。もちろん、その前に、研究者独自のものとして、最小集計単位ということで、研究の結果、非常に特異な方、特異な状態が出るということについては、なるべく大くくりにする。例えば市町村のどこどこのということで1件ありましたとなると、本当にその市町村で1件となると誰でも分かってしまう可能性がありますので、そういった場合には、例えば県という大きな形、もしくは程度によっては西日本でという形で公表するようにという形の事後規制をしております。
さらに、今回、郵便番号や市町村コードのような地理的なコードとか、もしくは高額療養費の所得区分の限度額区分を付け加えることになりますが、実際には、そうした研究をする研究申出者において、どうしても市町村コードが必要なのだ、例えば郵便番号の7桁が必要な研究なのです、例えば高額療養費の限度額区分がきちんと整理された形のものが必要なのですということを提供申出者が提供申出書にその必要性をしっかりと書いて、それらについて、この専門委員会の皆様方に審査していただくという形にしたいと考えています。ここが追加のものでございます。
これらについて、13ページ以降は、提供申出をする際の様式の見直しをするという形で出しておりますが、これらの様式をちゃんと出してもらっていただければ、事務局である私たちのほうで、皆様方に対して研究者の意図とその際に研究者は市町村コードが欲しいと言っています、7桁の郵便番号が欲しいと言っています、所得コードが欲しいと言っていますということを明示して議論していただきたいと思います。なので、20ページまで飛びまして、そういう状況で対応したいと思っております。これらが様式の見直しになります。
飛びますけれども、21ページで、そのほかにも提供するコードで新たに公費負担医療があります。
公費負担医療はどういうものかといいますと、生活保護の医療扶助が一番分かりやすいのかもしれませんけれども、生活保護の医療扶助の場合は、10割全て医療扶助という形になっています。
だけれども、そのほかにも公費負担医療はありまして、7割分は保険で出すけれども、3割分の自己負担分は公費で出すという医療がありまして、こうした医療のレセプトについても、実は公費負担医療という形で、どの公費負担なのかというコードがありますが、これまでは、それらについては提供していない、つまり、レセプトとしては提供していますが、そのレセプトについて、公費負担医療なのかどうなのかということについては、これまで提供の対象外としていました。
ですけれども、研究者のお話を伺うと、そうしたデータも研究のニーズがあるといただきましたので、検討するとともに、一方で、公費負担医療は、一般の医療よりもはるかに人数が少ないものですから、個人の特定がされるのではないかという懸念もありますので、先ほどと同様、そこについての個別審査を強化するという形で対応したいと思っております。
22枚目のスライドになりますが、公費負担医療には一体どんなものがあるのだというと、こういった形で、一番下の生活保護は言ったのですけれども、ほかにも感染症の公費負担、つまり、今回のCOVID-19の対応の医療ですということも含めてこのような形であるということでございます。それらの番号がついているということでございます。
23ページは、こうしたことに対して、そうはいっても公費負担医療の患者さんは少ない、特に難病とかということで、病名は知られたくないという人もいるので、より慎重に取り扱うようにという御意見をいただいているところでございます。
24枚目なのですけれども、こうした懸念と併せて、24枚目にあるような公費負担医療としての研究のニーズもあるということでございます。
我々としましては、25枚目の資料なのですけれども、先ほどの郵便番号や高額療養費の自己負担限度額と同様、こうした懸念に対して対応するとして、どうしても公費負担医療のレセプトが必要ということであれば、必要と言っている研究がちゃんと分かるようにするとともに、その状態で研究をしたいという研究申出者に対して分かるようにいたしますので、専門委員会の皆様方においては、その必要性について、審査を強化してしっかりと審査をしていただくという形で対応したいと思っております。
最後に、NDBにつきましては、こういった形で医療のレセプト、悉皆のレセプトデータがこれだけ集まっておりますし、また、特定健診のデータも集まっております。今回、居住地とか所得階層、医療機関コード、さらに公費負担医療というデータも付け加えて格納していくことによって、行政である私たち自身も分からないような新しい研究を通じて、新しい発見とかがあるのではないかと私たちとしては期待しています。
けれども、一方で、その結果、個人の特定がされやすいというおそれは、当然ずっと内在しておりますので、この専門委員会での皆様方の審査はとても大事になってくるということでございます。そこのバランスを私たちもしっかりと取っていかないといけないと考えているところでございます。
最後に、27ページで、こうしたことに対するスケジュールなのですけれども、今回、この専門委員会を経た上で、親委員会となる社会保障審議会の医療保険部会にも同じことを報告し、議論していただく。それらを経て「ガイドライン改正」とありますが、一方で、生活保護の医療扶助の情報については、もう一度生活保護の観点からも議論していただきたいと思っていまして、医療扶助検討会が社会局のほうにありますので、こうしたところの議論を経て、ガイドラインの改正を別途していくということで考えているところでございます。
長くなりましたが、資料1の説明は以上でございます。
山本委員長  ありがとうございました。
それでは、今説明をいただいた資料1に関して議論を行いたいと思います。
懇談会の議論のまとめは、一応御報告がありましたけれども、重要な点に関しては、改めて発言していただいて結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
長島先生、どうぞ。
長島委員  提供するデータの範囲が広がることで、より深く、有意義な研究ができるというメリットは十分に理解しております。
一方、個人の特定のリスクも高まるという懸念に対しては、しかるべき対応が取られたのではないかとその辺りを評価しておりますが、審査の重要性がますます大きくなったということで、私たちの責任もますます大きくなったということかと自覚しております。
また、具体的な審査を経ながら、必要な修正があれば、そこもしっかりと行っていくことも重要かと思いますし、また、研究申出者の説明力、なぜこれが必要なのかをしっかりと説明していただくということもますます重要になったかと思っています。これからが重要であると思っております。
以上でございます。
山本委員長  ありがとうございます。
今回から審査が幾つかグレード分けされていまして、非常に十分な説明を聞きたいという申出に関しましては、申出者が委員会と対面で審査をすることも可能にはなっております。そういったことも活用しつつ、しっかりと審査をしていかなければと考えております。
ほかはいかがでしょうか。
嵩先生でしょうか。
嵩委員  東北大学の嵩ですけれども、今回まとめていただきました新しい情報を提供していくという方向性は、今後の研究や政策課題の検討とかに非常に有意義だと思います。
他方で、個人情報の保護という観点も重要になってくる中で、先ほどまとめていただいた中で、事前規制と事後規制、追加のこれからの審査をより厳しくしていくことが組み合わさった点は非常に重要だと思いまして、全ての規制は、一つ一つは完璧に全てを保護できないかもしれないのですけれども、それを重層的に、いろいろな角度からの規制を組み合わせることが非常に重要で、かつ、一つ一つをちゃんとチェックというか、運用していくことが重要かと思います。
今後の我々の審査も一応こうなっていますので、そこでの役割は非常に重要だと思うので、そこはまた身の引き締まる思いというか、きっちり検討していきたいと思いまして、全体的な方向性としてはいいかなと思いました。
以上です。
山本委員長  ありがとうございます。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
宮島先生、どうぞ。
宮島委員  私も方向性に関して賛成です。
もちろん、いろいろな心配はあるのですけれども、いろいろな意味で具体的ではない心配に対する防御が大きくて、本来進んだほうがいいものが進んでいないものが、特に日本で今、すごく目立つなと思います。
もちろん、具体的な恐れはあるのですけれども、それとは別に何となく怖いというものもあると思いまして、私たちの努力としては、その何となく怖いというのを、こことこことここはちゃんと押さえたから安心してくださいと言えるぐらい、できるだけ真摯に対処するところでそういう不安を少し減らしていくというか、そのような形がいいのではないかと思います。
山本委員長  ありがとうございます。ある意味審査の透明性といいますか、説明性が非常に大事になりますね。
ほかはいかがでしょうか。
今、追加でいただいた御意見以外は、山下課長がおまとめいただいた懇談会の議論を踏まえてということで、一応よろしゅうございますでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
山本委員長  もし何か追加あるいは協調で結構ですので、御発言がありましたら、お願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
 
(首肯する委員あり)
 
山本委員長  よろしゅうございますか。
これは懇談会の議論ではなかったと思うのですけれども、NDBをこの法律に基づいてやるのは今回からですが、それ以前に10年ぐらい審査をしてきて、その際には必ず試行期間、模擬申請をやって、審査自体も本当にきちんと機能するかということを確認しつつ進めてきました。つまり、これは法律が改正されて、申請できるということになっていますので、模擬をやるタイミングはなかなかうまく取れないかもしれませんので、これからガイドラインの改正等がありますので、その間も含めて、できるだけ細やかに我々のほうにも情報提供いただいて、検討を進めていくという形を取っていただければと思いますので、事務局、よろしくお願いいたします。
山下課長  かしこまりました。ありがとうございます。
あと、堀先生が手を挙げていらっしゃいます。
山本委員長 そうですか。
では、堀先生、どうぞ。
堀委員  今回、丁寧にまとめていただきまして、今まで委員会の中でも出てきた懸念等もうまく回避されていると高く評価します。
前回の会議の中でもあったと思うのですが、介護との関係で、今回、NDBの収集・提供データの拡大について議論しているので、介護について議論するのは別の委員会だということは分かってはいるのですが、せっかくこちらのほうで提供情報を拡大して、個人情報の懸念とかも含めて議論をしていますけれども、今後のスケジュールの中で、情報共有あるいはこのデータを介護と一緒に接合するときに、医療と合わせて最終的にどのように扱うのかを検討するところはあるのでしょうか。
山本委員長  もちろんあるといいますか、この検討会と介護の検討会がありますので、両方でそれをチェックすることになろうかと思いますけれども、連携に関しまして、事務局から何か御発言はございますか。
山下課長 ありがとうございます。
まさに今、委員長がおっしゃったとおりでありますけれども、今回はNDBだけという話になっていますし、もしかすると、これまではナショナルデータベースのデータが欲しいということでのお話かもしれませんが、今後、もしナショナルデータベースの医療のデータと介護のデータを連結してほしいのだという話になると、この委員会と介護のデータベースの委員会と合同で審査をする形になりますので、そうした懸念もしっかりと含めた審査になりますので、よろしくお願いいたします。
堀委員  ありがとうございます。
今回、医療では、高額療養費の自己負担限度額が入っていますけれども、同じように医療と介護の合算制度がございますので、将来的には両方を合わせて見たほうがいいようなところもあるのかなと思いましたので、お伝えさせていただきました。
以上です。
山本委員長  ありがとうございました。
地域包括ケアとか在宅診療回りでは両方を合算しないと、なかなか全体像が見えてこないところはございます。
ほかはいかがでしょうか。
介護のほうも、今のところは私が座長を務めておりますので、適宜情報共有して、もちろん、連結の場合は合同で審査することになりますので、よろしくお願いいたします。
ほかはよろしゅうございますか。
それでは、今日おまとめいただいた方針でこれから進めていただくというふうにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
また後で御発言いただいても結構ですので、もし何かありましたら、そのときによろしくお願いいたします。
続きまして、議題2「履歴照会・回答システムの活用に伴うNDBの第三者提供に係る手数料の改定について(報告)」で資料2の説明をお願いいたします。
山下課長  ありがとうございます。
それでは、資料2の履歴照会・回答システムの活用に伴うナショナルデータベースの第三者提供に係る手数料の改定について、お伝えします。
1ページおめくりいただきまして、この資料を見てもちょっと分からないかもしれませんけれども、私の説明を聞いていただきたいと思っています。
今、私自身の話を言いますと、私は厚生労働省の職員ですので、厚生労働省の共済組合から保険証を頂いています。今までは家族全体で同じ1つの番号だったのですけれども、昨年10月からは一人一人の番号になっていまして、今までの世帯にある番号にさらに2桁付け加わりまして、私の番号ができております。
私が例えば転職して、例えばトヨタ自動車には転職できませんけれども、仮にトヨタ自動車に転職しましたというと、今度はトヨタ健保になります。そうすると、トヨタ健保でまた個人単位の番号を頂きます。ところが、そうすると、今まで厚生労働省の共済組合として受けていた私のレセプトは、その番号しか入っていませんから、そこで厚生労働省の山下護だということが認識される。一方で、トヨタ健保に行ってしまうと、今度はトヨタ健保で新しく付番されてしまいますので、今後、トヨタ健保で私がどこか受診すると、トヨタ健保の番号としてレセプトが格納されていくことになります。その結果、番号が違いますから、これまでの厚生労働省の共済組合でのものとトヨタ健保でのものがひもづかなくなる可能性がある。
では、どうやってひもづけようとするかというと、厚生労働省の共済組合にいたときの山下護の名前と性別と生年月日と、トヨタ健保に転職した山下護の名前と生年月日と性別という形で検索するしか同一かどうか分からない。けれども、それは万が一同じような名前等があった場合にはちょっと分からなくなる可能性がある。
それだけではなくて、例えばトヨタ健保に行きました、中小零細企業に私が引き続き転職しました、退職しまして国保になりました、さらに75歳以上になると後期高齢者広域連合に移りましたというたびに番号が変わる。私自身は変わらないというか、生年月日も変わるわけではありませんし、変わらないのですけれども、そのたびに番号が変わってしまうと、そのときのレセプトは、もちろん僕ということは分かっても、それは一体、40代の厚生労働省の共済組合にいたときのレセプトとひもづくのかというと、徐々に怪しくなってしまうという懸念が今まではありました。
これに対して対応しないといけないということで、オンライン資格確認が始まりまして、今までは健康保険の加入者の情報は、その加入した保険者のほうで管理していたのですけれども、昨年10月からはそうではなくて、全ての保険者が一つのデータベースをつくるようになりまして、もちろん、その一つのデータベースは区画分けをしていまして、協会けんぽの加入者分は協会けんぽしかいじれませんし、共済組合、健保組合それぞれの区画しかいじれませんけれども、今までは一つ一つのほうに戻らないとなかったデータベースが一元化されたデータベースになりました。
その結果、例えば私が今言ったように、厚生労働省の共済組合からトヨタ健保に行きまして、協会けんぽに行きまして、国保に行きましてというのは、今までだとそれぞれの保険者でしか分からなかった情報が一元化されることによって、その履歴が一元的なデータベースにずっと残ることになります。つまり、私は厚生労働省の共済組合を脱退して、今度はトヨタ健保に入りましたという履歴が一元化されたデータベースに残っていきます。ずっとひもづいていきます。
それはどこにあるかというと、厚生労働省ではなくて、今、審査支払機関のほうに一元的なデータベースをつくっておりますので、そこに履歴が残っていくことになります。この履歴は、誰かということは分からないというか、番号の履歴ですから、一体誰のものかは分からないけれども、この履歴があることによって、例えば30年後、私が75歳を超えて、後期高齢者広域連合のレセプトになったとしても、そのときの番号をずっとたどっていくと、厚生労働省の共済組合だったときの山下護の番号に行き着けば、山下護かは分からないけれども、この番号にたどり着く、そして、トヨタ健保のときの番号をたどるとやはり、厚生労働省の共済組合の番号にたどり着く。このように、元がずっと一緒だということになってひもづくことになっていく。くれぐれも誰ということは分からないのですけれども、その人が新しい保険者に行ったとしても、そういった番号の履歴が過去の被保険者番号とひもづいていることによって、レセプトが違ったとしても、その番号を見ることによってひもづくということになります。私の説明がちょっと難しかったかもしれませんけれども、そういう仕組みが出来上がった。
この仕組みは、NDBの管理している厚生労働省の大臣のほうではなくて、審査支払機関のほうにつくられている。具体的には、社会保険診療報酬支払基金がそういった履歴情報をずっと管理していることになります。
これらを使ってやると、レセプト情報をずっと追跡していろいろと研究したい方にとってみると、今までは名前と生年月日と性別でひもづくかどうかというふうにやっていたことからすると、個人単位化された被保険者番号の履歴をずっとたどることによって、名寄せが非常に簡単にできるということに伴って、それらについて、NDBを持っている厚生労働大臣として、審査支払基金のほうに手数料をお支払いをしないといけないことになります。
そのお支払いについては、もちろん国がお支払いをするのですけれども、結果的にNDBデータを利用する方にとっては、今まで個人単位がひもづかないという問題が、我々が審査支払基金に支払うことによって、自らのそういった苦労がなくなるということもあります。その結果、このデータを使う研究者にメリットがありますので、大変申し訳ないのですけれども、第三者提供において徴収させていただいている手数料の額を若干上げさせていただきたいという内容でございます。
今までは、例えばさっき言ったような状態だと、違う人としてのレセプトで見なければいけないことが、今回のことのおかげで、1人の同じ人の履歴として、レセプトが同じ人なのだということでひもづきますので、それにかかるコストを実費として徴収させていただくということでございます。
最後の資料になります。対応方針になりますけれども、こうしたことで、被保険者番号の履歴を管理している支払基金に対して、NDBの管理者である厚生労働大臣が手数料を支払わなければいけないことから、我々としては、その分をこれまでの保守運用の経費にプラスして上乗せして、ナショナルデータベースのデータが欲しいという方に対して一部転嫁するというか、手数料という形で上乗せして徴収しますということになるということでございます。
今後のスケジュールなのですけれども、国庫に入りますから、手数料の額をどうするかということを財務省と調整しなければいけませんので、現在、財務省と調整しているところでございます。併せて関連のシステムを改修していかないといけませんので、そのシステムが完成するのは、来年度、2022年4月をめどに進めているところでございますので、それに合わせて政令を改正し、2022年4月以降のデータについては、必ずひもづいていますので、手数料については、ちょっと上乗せした手数料をこれから頂くことになります。説明がちょっと分かりにくかったら、また言ってください。
以上になります。
山本委員長
 ありがとうございます。
いかがでしょうか。御質問があったらよろしくお願いいたします。
長島先生、どうぞ。
長島委員  個人化された被保険者番号の履歴を取るというのは、以前から日本医師会がつくるべきと言った、言わば医療等IDにつながるものということで、非常に高く評価しています。
これは例えば医療と介護の横方向の連携だけではなくて、先ほど話があったような縦方向というか、時間軸に沿ったものにも使えるということで、非常に重要で、役に立つと思いますが、一方、この手数料の額があまりに高くなると、研究の妨げにもなり得るということなので、できるだけ安くしていただくことが望ましいと思いますので、ぜひそのような方向でお願いしたいと思います。
以上です。
山本委員長
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
東宮構成員、どうぞ。
東宮委員  単純な質問ですが、例えば断面研究のようにスナップショットの情報で研究することもあるかと思います。そういったケースでは、今回のひもづけが必ずしも必要ではありませんけれども、手数料に関しては、そういった研究を区別せずに一律に上乗せということですね。確認までです。
山下課長
 ありがとうございます。
そういう御意見は、大変申し訳ないのですけれども、必ずひもづいて提供させていただきますので、切り分けた形にはできませんので、手数料全てに上乗せという形になります。
東宮委員  分かりました。ありがとうございます。
山本委員長  中野先生、どうぞ。
中野(惠)委員  質問いたします。今まで研究者は国の行政機関、地方公共団体など手数料免除対象者が多かったので、しばらくは免除対象以外の方にかなり負担がかかるというイメージなのですが、この方たちが増えていけば、当然、手数料の金額は下がっていくという感じで積算されていくことになるのですか。
山下課長  おっしゃるとおりというか、計算方法としては、今、ナショナルデータベースの運営を任せている方々と、実際に提供申出が来て、皆様方から認められると、そこからプログラミングをしないとデータが来ないのです。そのプログラミングをする方のいわゆる人件費を単位当たりでつくっているということなのです。
なので、確かにたくさんの人たちが使えば使うほどというのはありますけれども、一方で、そうはいっても人件費は減りませんので、もしかしたらたくさん使えば減るかもしれませんが、たくさん来るということは、それだけプログラミングもまたしますから、そう変わらないかもしれないというところでございます。
中野(惠)委員  長島委員がおっしゃったとおりだと思います。手数料の金額によって研究をやめるという人はいないと思いますけれども、やはりなるべく負担が減ればよいなと思っております。
以上でございます。
山下課長  それで研究したくないと言われては、こちらも本意ではないので、一応お伝えしますと、科研費とか、手数料の免除対象者はこれまでどおりちゃんとありまして、そういう人たちから金をむしり取ろうとか、そういうことは全くございません。そういう免除の仕組みはちゃんとあるのですけれども、そうはいってもほかの民間のデータと比べれば、言い方は悪いけれども、値段は破格にリーズナブルなものですから、ぜひ御利用いただきたいと思っております。
中野(惠)委員  よろしくお願いいたします。
山本委員長  堀先生、御発言でしょうか。
堀委員  第三者提供に伴って利用手数料を徴収するのと額を引き上げるのはいいと思うのですけれども、質問なのですが、時間単位の金額は作業を要する人のプロフェッショナル度合いによって1時間当たりの作業量が違う気がするのですけれども、当然、作業を特定の方に指定できるわけではないですよね。
もう一点は、平均的にということですが、全ての作業が終わった後に確定金額が請求されるということでしょうか。あるいは、最初にこの内容なら10時間かかりますというように、事前に教えていただいてお願いするのか、それとも、事後に気がついたらすごい金額になっていて支払えないということが生じることがないのか、そこだけ教えていただけると。
山下課長  ありがとうございます。
まず、これは本当に慣れている人と新しくやった人の平均額です。いずれにしても、これができる人はそうたくさんいるわけではないのですが、平均額になっていますので、指名制ではなくて、そこはならされています。
また、あわせて、提供いただいてから必ず見積りを提示します。例えば300万かかりますという提示をさせていただいて、では、どうしますかという話になる。どうしますかというか、それでも頂くのですけれども、見積りは出させていただくことになります。
堀委員  ということは、仮に300万の見積りだと研究費では払えないとなったら、では、提供していただくデータを減らしますとか、そういうことが起こり得るのですか。
山下課長  はい。そこは起こり得ます。まさにそうです。
まさに研究者にとってみると、当たりをつけてあれもこれもというのは分かるのです。けれども、その額を見ると「えっ」というときは、では、これは減らすということがございます。
堀委員  なるほど。本当に重要なものだけを限定して出すと。
山下課長  はい。限定してということにしていただければ、当然、それだけかかる時間は減りますので、金額は減るということになります。
堀委員  ありがとうございました。
山本委員長  ほかはいかがでしょうか。
田尻先生、どうぞ。
田尻委員  これは単なる確認なのですけれども、今回の利用手数料について、額云々ではなしに、今回はこういう方法で徴収させていただきたい。金額の改定を行いたいということで、金額の大小を論ずる場ではないのですね。その確認だけちょっと取りたかった。
というか、この金額が妥当なのか何なのか、私たちには全く分かりませんので、そのことだけをお教えください。
山下課長  ありがとうございます。
まさに、あえて報告とさせていただいているのは、これは審議事項で、この金額が妥当かというのを皆さんに了承を取ったという責任を押しつけるつもりは全くございませんで、これは我々のほうで計算して、我々のほうで別にそんな利益を得て何かしようというわけではございませんので、手数料が上がりますということだけ報告をさせていただいているものでございます。大変申し訳ございません。
山本委員長  ほかはいかがでしょうか。御報告ですから、よろしいでしょうか。
それなりにかかっている一部を申出者に御負担をお願いする。その上で、今までの手数料免除制度がありますので、本当に重要な研究をしていてお金がないという人からむしり取るわけではないと言っていただいていますので、この御報告をいただいたということにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
多分、皆さんはあまり関心がないと思うのですけれども、ID5が若干気にはなっているのですが、これは永続的にID5がそれぞれのレセプトについてくると考えてよろしゅうございますか。
山下課長  はい。おっしゃるとおりです。
山本委員長  なるほど。分かりました。
普通は多分、初期値といいますか、最初の保険まで戻って、それをハッシュ化したものがずっとそれぞれのレセプトについて回るという話ですね。
山下課長  はい。そうです。昨年10月時点での個人単位の被保険者番号ということです。
山本委員長  なるほど。分かりました。
ちょっとだけ気になったのは、この仕組みを議論する会議で気づいたのですけれども、この仕組みで一応よしとしたのですが、あくまでもこれは本当にマイナンバーに近い個人識別子になるものですので、そういう意味では、一つのユースケースに一つの番号体系にするほうがいいかなという議論があったのです。マイナンバーでいう機関別符号みたいな形ですけれども、それを何かと連結したい用途によって別のIDを繰り出すというか、有り体に言うと、請求するごとに番号が変わるのが最も安全かなという議論があったのですが、NDBの場合はもともと国がやるものですので、識別子があることに私は全く問題を感じていないのですが、その識別子としてID5が各レセプトに付いて格納されていくということでよろしいですね。
山下課長  委員長、ありがとうございます。
まさにそういった懸念もありますので、一応御説明しますと、NDBに入るときにハッシュ化して入れ込みます。同時に、今度はNDBに出すときにそのまま出してしまうと、全然違う研究者なのですけれども、ハッシュ値が一致してしまう可能性がありますので、出すときにももう一回ハッシュ化をそれぞれにいたします。出すたびにハッシュ化をかけて出します。なので、仮に僕のデータですけれども、違う研究者が違う目的でそれぞれやった場合は、全然違うハッシュ値で出ていきますので、変わるということではあります。
それで回答になっていますでしょうか。
山本委員長  よく分かりました。安心しました。
長島委員  長島です。
今の点で、初めに申しました医療等IDなんかの礎になるものと思いますが、つまり、ナショナルデータベースの中でそういう使い方をする。
例えば医療連携に使う場合に、また違う形でのつくり方ということで、これはまた別の場所でしっかりと議論が必要かと思いますので、そちらでまたよろしくお願い申し上げます。
山本委員長  山下課長も「はい」とは言いにくいかと思いますけれども、多分、議論はされていくのだろうと思います。
よろしいでしょうか。
では、この御報告を受けたということにさせていただきたいと思います。
それでは、議題1に関しまして、何か追加の御意見はございますでしょうか。
どうぞ。
長島委員  個別の審査をする上で、例えば様々な問題点なりが蓄積されていくかと思います。実際に、提供した後の事後チェックなんかでもいろいろな情報が集積されると思いますので、一定期間たったところで総括といいますか、今回の拡大にどのような効果があって、問題点があったのかをきちんと評価して、修正すべき点があれば修正するという機会を例えば1年なり、あるいは何件ぐらいやったらというのでぜひ必ず設置していただきたいと思います。
それとは別に、極めて危険なリスク、例えば個人の同定が生じた場合も、臨時にそのような会議を開いていただいて、そこで直ちに対応を考える。この2つをぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
山下課長  かしこまりました。そういったリスクがあると我々のほうでも思います。これからどんどん積み重なっていくと、もっとよい形で対応すると思いますし、もちろん、何か悪さをするという場合には、今、長島委員に言われたように、こういったことがあったので、このような取扱いに変えたいと思いますということも随時させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
山本委員長  よろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日御議論いただく議事は以上でございます。
次回の日程につきまして、事務局から連絡をお願いいたします。
牧戸室長補佐  事務局の牧戸です。
本日は、お忙しいところ、御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
次回の会議日程につきましては、今のところ9月22日に第7回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を予定しております。そのときは、またよろしくお願いいたします。
山本委員長  それでは、ほかに特に御発言がないようでしたら、以上をもちまして第6回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を終わりたいと思います。よろしゅうございますか。
  (首肯する委員あり)
山本委員長  それでは、終わらせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。