未来(あした)のつぼみ

感染症対策の情報を発信する難しさを痛感

大きな制度改正に限らず、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。


駒井清匡(きよまさ)
健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課


私は、2024年6月から感染症対策部感染症対策課という部署に所属しています。
感染症対策部は2023年9月1日に新設された部であり、企画・検疫課、予防接種課、そしてこの感染症対策課の3課で、感染症対策に関するさまざまな施策を取り扱っています。

そのなかで自分は、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザなどの呼吸器感染症を中心とした疾患ごとの対策と、災害やマスギャザリングイベントといった感染症のリスクが高まるとされる状況での対策に係る業務を担当しています。

この課に来てから、自分のなかで改めて強く認識したことは、情報発信の難しさです。2024年には、マイコプラズマ肺炎や手足口病など、新型コロナウイルス感染症の流行時には発生が減少していた種々の感染症が流行しました。流行時の対策として重要なものの一つに「注意喚起」がありますが、一口に感染症といっても、その性質は実に多様です。かかりやすさ、重症度、治療方法の有無、予防方法などによって、誰にどのように注意喚起を行うか、毎回非常に考えさせられます。

ホームページの作成・更新やSNSでの呼びかけ、啓発用のチラシの作成に当たっては、正確な表現について専門家に相談させていただいたり、課内の広報担当と相談したりしながら、国民の皆さまに正しい情報をわかりやすく届けられるよう日々心がけています。

また、疾患によっては、国民の皆さまへの呼びかけだけでなく、治療に携わる医療従事者への情報提供も重要です。たとえば、2024年に報告数が増加した「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」は、その発生自体はまれですが、突発的に発症し、重篤な症状を引き起こすことがある感染症です。このため、医療機関における迅速な対応に資するよう、専門家と連携して診療指針を作成し、医療機関などへの周知を行いました。

感染症に関する報道や、それに対するさまざまな反応を見るなかで、国民の皆さまにおける感染症への関心の高まりを感じています。そのなかで我々が発信する一言一言が、どのように受け取られるかを考えながら、引き続き情報発信を含め感染症対策に努めてまいります。


2024年に作成した手足口病に関するチラシ

 

出典: 広報誌『厚生労働』2025年1月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省