導入から2年超 使おう! リフィル処方箋

~着実に増える利用回数、生活習慣病やアレルギー性鼻炎の利用が多い傾向~

2022年4月1日より導入された「リフィル処方箋」を利用する患者は年々増え続けています。本企画では、リフィル処方箋の発行実態や、どんなケースでリフィル処方箋が多く利用されているのかなどを解説します。


解説者:松田洋平
保険局医療課 係長

患者にも医療機関にも メリットが多い

「リフィル(refill=詰め替えの意)処方箋」とは、症状の安定している患者さんが、医師の処方により、薬剤師との適切な連携の下、一定期間内に最大3回まで反復利用できる処方箋のことです。

患者さん側のメリットは、薬をもらうために医療機関を受診する回数を減らすことができ、その間の移動や待合室での時間はもちろん医療費も節約されます。つまり、「処方箋をもらうためだけに医療機関を受診する」必要がなくなり、その分、時間的・経済的負担が軽くなります。

他方、医療機関側にとっても、いわゆる「医師の長時間労働」が問題視されているなか、外来受診対応が軽減されることで、労働時間の削減につながり、現在国を挙げて進められている「医師の働き方改革」にも資するメリットがあります。
厚生労働省は、患者さんと医療機関双方にメリットがあることを踏まえて、今年6月施行の診療報酬改定ではリフィル処方箋による診療報酬請求をしやすくしています。

着実に増えている リフィル処方箋の発行回数

リフィル処方箋は、2022年4月の診療報酬改定により導入されました。図表1にあるように、制度が始まってすぐの同年5月時点でのリフィル処方箋料の発行回数は病院で6,267回、診療所で1万4,750回でした。しかし、約1年後の2023年3月時点では病院で1万7,060回、診療所で1万8,854回と着実に増えています。

リフィル処方箋を発行している医療機関数も、制度発足当初は病院910カ所、診療所2,368カ所でしたが、2023年3月時点では病院981カ所、診療所2,583カ所と徐々に増えてきています。

厚生労働省としては今後も引き続き、リフィル処方箋の周知に取り組み、患者さんと医療機関の負担軽減に取り組んでいきたいと考えています。

幅広い年齢層で利用されている リフィル処方箋

図表2・図表3は、それぞれ2022年4月から2023年3月までの1年間の病院・診療所における、主な疾患別・年齢別のリフィル処方箋発行回数を示したものです。

主な疾患別に見ると、病院では「糖尿病」「高血圧性疾患」「その他の心疾患」、診療所では「高血圧性疾患」「アレルギー性鼻炎」「脂質異常症」がそれぞれトップ3になっています。

これらの疾患で医療機関に通われている方がリフィル処方箋を利用できるかについては、かかりつけの医療機関にご相談ください。さらに、年齢別に見ると、幅広い年齢層でリフィル処方箋が利用されていることが分かります。

この機会に、リフィル処方箋の仕組みをご理解いただき、ご自身の体調に照らして、リフィル処方箋のご活用を是非ご検討ください。

 


出典: 広報誌『厚生労働』2024年10月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省