未来(あした)のつぼみ

「ひと、くらし、みらい」のために働く使命と魅力

大きな制度改正に限らず、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。


今回の執筆者

時松 夏実
社会・援護局総務課女性支援室

新しい女性支援の輪を全国に

私が所属する社会・援護局総務課女性支援室は、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、新法)の施行および新法に基づく女性支援の推進などのために、昨年4月に創設された組織です。

昨年度の女性支援室の業務は、今年4月の新法施行に向けた準備が中心で、その準備の一つに、新法の普及啓発業務がありました。自治体や関係団体の皆さまへ新法の趣旨や関連する予算についてご説明をしたり、マスメディアを通じた広報活動などを行いました。あるテレビ番組の制作にあたり、新法成立にご尽力いただいた有識者の先生方や民間団体の支援者の方がスタジオで解説されている様子を見て、自分たちの携わってきた新しい女性支援が実際に動き出そうとしているのを間近で感じ、今の自分の仕事に非常にやりがいを覚えることができました。

また、女性支援が行われている現場の視察にも行かせていただきました。民間団体による繁華街での見回り活動に同行させていただいた際には、「困ったことがあれば相談して」という姿勢で声をかけ、まずはつながることが女性支援の第一歩として重要であり、行政ではつながりにくい部分には民間と協働することによって必要な支援を届けられると知ることができました。

また、ある民間団体には、かつて当事者として支援を受けていたけれど、現在は支える側(支援団体の職員)として活躍されている方がいらっしゃいました。その方から、昔は自分も助けてもらったから、今度は自分が仲間にできることをお返ししたいという思いで活動しているお話を聞かせていただいたときは、こうした支援のつながりを全国に広げていきたいと思いました。

DV被害や性暴力、育った家庭の環境など、多様化・複雑化・複合化する困難な問題を抱えて大変な思いをされた女性の方が、心身の健康の回復や自立した生活を送ることができるようになるためには、より多くの関係機関がつながり、連携・協働しながら包括的な支援を行うことが重要であることを学ぶことができました。

新法は、まさにこの4月に施行されました。皆さんに新法と新しい女性支援について知っていただき、全国どこにいても必要な支援を受ける体制が整備されるよう、引き続き、現場の状況を実際に見て、肌で感じながら、業務に取り組んでいきたいと思います。



 

出典 : 広報誌『厚生労働』2024年月5号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省