第7回:近畿厚生局 健康福祉課

地域住民が安心して暮らせる
生活環境・社会福祉基盤整備に取り組む

厚生行政の政策実施機関として、全国8(支)局で「健康・福祉」「医療」「年金」「麻薬取締」の業務をこなす「地方厚生(支)局」の仕事と、そこで働く人を紹介するコーナー。第7回は近畿厚生局の「健康福祉課」にスポットを当てます。

<近畿厚生局の概要>

近畿7府県(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)における厚生行政を管轄する地方機関。管内人口は約2,100万人で、日本の全人口約1.2億人の約18%に相当する。

大阪府大阪市にある本局のほか、福井(福井市)、滋賀(大津市)、京都(京都市)、兵庫(神戸市)、奈良(奈良市)、和歌山(和歌山市)の6府県に、各府県内の保険医療機関・保険薬局などに対する指導監督や施設基準等届出の審査業務などを行う地方事務所を1カ所ずつ設置している。

職員は非常勤を含めて約400人。事務職のほか、医師、歯科医師、薬剤師、看護師など、多くの職種の職員がいる。

補助金の交付など8つの業務を担当

健康福祉課は、地域住民が安心して暮らすための健康福祉サービスが適切に提供されるよう、生活環境や社会福祉基盤の整備に関して、各市町村が設置する健康・福祉施設の整備や手当の交付に必要な経費の一部補助等の業務を行っています。
また、医療、保健衛生および福祉分野の養成施設等の指定・監督などを通じて、各分野の良質な人材確保に向けた取り組みを支える役割も担っています。

加えて、昨年4月からは、こども家庭庁からの委任により、こども・子育て支援に関する補助金等の交付業務を行っています。
そんな健康福祉課で所掌する主な業務は次の8つです。
(1)地方公共団体等に対する補助金等の交付に関する業務
(2)各種養成施設等の指定・登録および指導監督など
(3)各種講習会の登録等業務
(4)民生委員・児童委員等に関する業務
(5)生活保護法施行事務監査
(6)三種病原体等の所持または輸入の届出等の監督業務
(7)児童扶養手当の支給に関する事務についての指導監査
(8)経営力向上計画の審査・認定業務
このうち、(1)(2)(4)の業務を以下に詳しく説明します。

補助金の交付を通じた社会福祉基盤の整備

(1)に関しては、地域住民が安心して暮らせる健康福祉サービスの提供へ向け、補助金の交付を通じて生活環境や社会福祉基盤の整備に取り組んでいます。
具体的業務としては、地方公共団体などから提出された交付申請書や実績報告書を審査し、交付額の決定、精算額の確定などを行っています。そのため、補助金担当者による定例ミーティングを開きます(写真1)。
また、台風や地震などで被害を受けた施設には職員が出向いて調査を行います(写真2)。

養成施設の運営状況を実地で確認・指導調査

(2)に関しては、社会福祉士、介護福祉士、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の各種養成施設等の指定・取消や提出された書類について審査などを行っています。
また、管内の指定等を受けた養成施設等に対して、適正な運営に資することを目的として、指定基準等の遵守状況および運営状況を実地確認し、課題の把握ならびに解決に向けた指導・助言や情報提供等を行う指導調査を実施しています(写真3)。
さらに、これらの養成施設等に向けて、根拠法令等を明記した自己点検表をホームページ上に公表し、各施設自身による自己点検もお願いしています。

民生委員・児童委員の選任と感謝状などの送付

(4)に関しては、民生委員・児童委員の選任に関する業務や物品の送付、厚生労働大臣表彰の選考委員会を開催しています。
これらの委員は、地域住民の生活状態を適切に把握し、相談・助言、福祉サービスのサポートなどを無償で行う非常勤・特別職の公務員です。その選任については、毎月自治体より具申書等の提出があるため、新たに推薦された方には委嘱状、辞められる方には解嘱状、一定の要件を満たした方には感謝状や表彰状を送付します(写真4)。

採用1年目の職員が語る「近畿厚生局の魅力」


若山直樹

風通しの良い環境下でメリハリをつけて働ける
私が厚生局に興味を持ち始めたのは、採用説明会でした。
当時、職場の風通しの良さを軸に就職先を探していましたが、採用説明会では、近畿厚生局の方は特に明るい方が多く、人柄の良さを感じました。

入庁後もそのイメージは変わりませんし、業務外でも気遣っていただける上司や先輩が多いことから、旅行やご飯に行ったりスポーツをしたりと交流を深めやすい環境があります。先日は、愛知県へ日帰り旅行をしてとても充実した休日を過ごせました。

休日はプライベートの時間を大事にしている分、平日はメリハリをつけて働いています。
業務内容については専門的な内容もあり、慣れるまでは苦労することもありました。特に、一日に読む活字量には、現在も苦戦していますが、周りの方に沢山お世話になっている分、早く一人前になりたいと思い、日々業務に励んでいます。生涯働いていく場所として近畿厚生局を選んで良かったと感じていますので、少しでも魅力が伝わっていれば幸いです。

採用1年目の職員が語る 「近畿厚生局の職場環境」


森脇花恋

和やかで温かい雰囲気のなか充実した毎日を送る
私は大学時代、建築学を学んでいました。住環境について学んでいくうちに、将来は建築物そのものを設計することよりも、生活に最も身近な分野から、安心できて活気あふれる住環境づくりに携われる仕事をしたいと感じました。そこで、医療、健康、福祉、年金など、自分たちの生活に身近で、かつ必要不可欠なものに携わる近畿厚生局の業務内容に惹かれ、志望しました。

入局したばかりの新人の私だからと手厚く面倒を見てもらっているのかもしれませんが、近畿厚生局は和やかで温かい雰囲気の職場です。毎日知らないことの連続ですが、優しい上司や先輩方が丁寧に教えてくださいます。仕事の内外問わず気遣っていただける優しい方々ばかりです。

仕事をしていて、直接人から感謝されること、大きなやりがいを感じることは少ないかもしれません。ですが、長い目で見たときに自分の業務が、国民が安心して暮らせる社会の実現につながっていると考えると、とても素敵な仕事に携わっていると実感します。

<特別座談会>
若手職員が語る健康福祉課の業務と魅力


◎歳の近い職員が多くのびのび仕事ができる
大高●若手が多く和やかな職場です。業務の進捗などについて、上司の方がよく声をかけてくださるので、相談がしやすく働きやすい環境が整っていると感じます。個人が抱えている仕事について、自然と周りが一緒になって考えてくださる雰囲気があるため、チームで働いている意識があり、とても心強いです。

◎地域住民の安心安全な生活を支える
檜物●就学前教育・保育施設整備交付金については、保育所などにおいてどのような整備を行いたいかを協議書で確認し、実際に工事が完了したことを実績報告書で確認します。こどもたちのために必要な整備、たとえば防犯対策としての防犯カメラの整備や、床の軋みの改善などを無事に終えたことを確認できたときに、こどもたちの安全につながっていることを実感し、やりがいを感じます。

森脇●国民の豊かな生活、安心できる生活を支えるために必要な社会福祉士や介護福祉士、栄養士などの人々を育てる施設の監督業務を行えるので、直接的ではないかもしれませんが、国民の安心安全な生活を支える縁の下の力持ちのような感覚で働いています。
また、補助金交付の業務にも携わっているので、助けを必要とする方々に手を差し伸べることができているのかと思うと、やりがいも感じます。



◎上司との情報共有を心がけ、業務に優先順位をつける
大西●日々の業務では、上司との情報共有を心がけています。健康福祉課では多くの種類の補助金等を所管していることから、それぞれの職員が主担当として複数の補助金等を担当しています。
補助金等はそれぞれ独立しており、自分の業務の進捗状況などが他者から見て不透明な部分が多いため、自分が担当している業務の状況を定期的に上司と共有することで、業務の抜け落ちを防止するとともに自分の頭の整理にも役立てています。

若山●優先順位を考慮して業務を行うことを意識しています。忙しいときは、複数の業務を並行しながら行う必要があるので、自分の抱えている業務を紙に書き出して優先順位をつけることで効率よく業務に励むことができます。

◎保育所や養成施設の身近さを実感
檜物●保育所や認定こども園を通り過ぎる際に防犯対策や整備状況を観察することが増え、保育所の身近さを実感しました。法令上で保育所と認定こども園とは何かを知ることができましたし、保育所の平面図・配置図を確認しているため、実際の保育所の整備を、興味を持って観察するようになりました。

志望理由として挙げていた、生活に身近な業務に携わることができていると実感しています。
また、補助金を通して、地域独自の政策や対象施設についての理解が深まり、自分自身が知らないだけで世の中にはさまざまな施設があることを知ることができて興味の幅が広がりました。

森脇●電車の中にある大学や高校の広告は今まで気に留めていなかったですが、各種養成施設の書類審査を進めていくうちに、学校名を見るだけで、どの職種の養成施設かがわかるようになり、自分の行っている業務を身近に感じています。


 

出典 : 広報誌『厚生労働』2024年2月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省