未来(あした)のつぼみ

大きな制度改正でなくとも、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。


今回の執筆者

小川夕香梨
医薬・生活衛生局 検疫所業務課 係員


国民を感染症から守るために 日々尽力

「水際対策」が毎日のようにニュースや新聞で流れていたころに、「検疫」について初めて知った方も多いと思います。検疫所業務課では、検疫・衛生業務(検疫法)や動物の輸入届出制度(感染症法)、輸入食品の監視・指導業務(食品衛生法)などにあたる、港や空港の各検疫所を取りまとめる業務を行っています。

私は主に、各検疫所から送られてくるデータの取りまとめや公表作業、関係機関との調整を担うとともに、全国の港や空港で確認された新型コロナウイルス感染症の陽性者の報告データやゲノム解析結果の精査・取りまとめをし、公表を行っています。データの取りまとめは正確性を求められるため、作業に忙殺されるときもありましたが、そのデータが次の政策立案に活かされることに、とてもやりがいを感じました。

普段は霞が関の厚生労働省で業務にあたっていますが、現地へ赴くことがあります。たとえば、ウクライナから避難された方が到着する際は羽田空港へ、第4回アジア・太平洋水サミットが行われた際は熊本空港へ行き、速やかな入国・帰国のための調整や政府専用機の検疫業務に携わりました。また、博多港での2年半ぶりの定期船再開に向けた模擬訓練にも参加し、有事に備えた対応についての確認を行いました。つい先日は、G7広島サミット対応のため、現地の政府合同本部に入り、関係省庁との調整役としてかかわり、無事検疫業務を終えることができました。

このように、本省で勤務している検疫所業務課の職員と現場の職員は常に協力し、国民の皆さまを感染症から守るために日々尽力しています。
また、検疫所では、海外で流行している感染症の最新状況や予防方法などの情報提供、ならびに黄熱の予防接種と証明書の発行なども行っています。私も、黄熱予防接種で使用するワクチンの管理や行政検査などを担当していて、ワクチンを安定して供給できるように関係機関と調整を図っています。海外で流行している感染症の侵入を防ぐ砦としての役割だけでなく、すべての感染症を未然に防ぐことも検疫所の大切な仕事です。

最後になりますが、長きにわたり港や空港で実施していた新型コロナウイルス感染症に対する水際対策は、5月7日に終了しました。対策にご理解・ご協力いただきました国民の皆さまに、この場をお借りして心から感謝を申し上げます。今後も、国際的な脅威となる感染症から皆さまを守るため、措置や政策を振り返り、精査したデータを活かした訓練を実施するなど、業務に邁進します。


検疫所イメージキャラクター「クアラン」


定期船再開前の博多港で模擬訓練に参加

 
出典 : 広報誌『厚生労働』2023年7月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省