未来(あした)のつぼみ

大きな制度改正でなくとも、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。


今回の執筆者



松山才一(まつやま さいいち)
大臣官房 地方課 企画係



「地方課」と聞いて、どのような業務を思い浮かべるでしょうか。

中央省庁には、その職責を果たすために全国に「地方支分部局」という組織が置かれる場合があり、厚生労働省にも地方支分部局があります。具体的には、約1,800人の職員が在籍する地方厚生(支)局と、約2万1,000人が在籍する都道府県労働局・労働基準監督署・ハローワークが設置されています。

厚生労働省の想いを日本全国に届けるためには、この地方支分部局と本省が密に連携することが必要です。地方課の職責は、この連携の橋渡しをすることにあります。そのために、地方支分部局に対する総合的な監督や、人事・予算・施設整備といった多面的なサポートを行っています。

皆さんも、新型コロナウィルス感染症への対策として2020年のクルーズ船などへの対応や成田空港での検疫対応、2021年末から翌年にかけての入国者待機施設の設置が行われたことは記憶に新しいと思います。これらの水際対策においては、延べ3,000人以上の地方支分部局職員が現地での業務にあたりました。

私は入国者待機施設の設置の際に、地方支分部局の派遣人員確保に携わりました。当時は、国民の安全を守るために極めて限られた時間で対応する必要がありましたが、現地の状況を各所から情報収集し、それを密に地方支分部局と共有することで、迅速な人員確保と水際対策に貢献できたと考えています。

現在は、労働行政のデジタル化の検討にも携わっています。都道府県労働局では、労働基準行政や職業安定行政など、各行政分野に特化したシステムが整備されており、その連携強化によって業務効率化と行政サービスの利便性向上をめざしています。

緊急時の機動的な対応や行政の垣根を越えた連携の取り組みに携わるなかで、これらの実現のためには本省と地方支分部局との間に普段から信頼関係が築かれていることが重要だと実感しました。そして、この信頼関係は、本省が検討した施策の方向性を地方支分部局が受け止められることと、各地方で得られた気づきが本省でもしっかりと施策に反映されることによって醸成されるのだと、地方課での業務を通して確信しています。

厚生労働省が全国の国民の皆さまにその想いを届けるためには、日本中の厚生労働省職員が一丸となって業務にあたる必要があります。そのために、地方課の職員として、これからも日本全国から届く声に耳を傾け、広い視野で業務に取り組んでいきたいと思います。



 
出  典 : 広報誌『厚生労働』2023年1月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省