もっと活用しよう! わくわく「多様な薬局」図鑑

あなたの身近にある薬局は今、大きく変わりつつあります。「健康サポート薬局」「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」といったさまざまな種類の薬局がじわじわと増えています。これらの薬局は、どんな役割や機能を持っているのでしょうか。本特集では、“百聞は一見にしかず”で、実例を通して、写真や図を多用しながら、それぞれの薬局の実像をわかりやすくお見せします。



解説:医薬・生活衛生局 総務課主査
中村貴司



今回紹介する多様な薬局はこの4タイプだ



日本全国に約6万軒あるといわれる「薬局」。そのなかで、機能を持った薬局として、2016年10月にスタートした「健康サポート薬局」は47都道府県に2963軒(今年3月末時点)まで増えていますし、昨年8月から認定が始まった「地域連携薬局」も同2805軒(今年6月末時点)と増加しています。

「地域連携薬局」と同時に認定が始まった「専門医療機関連携薬局」は、がんなどの治療に対する専門的な薬学管理を実施していますが、この1年で33都道府県に112軒(今年6月末時点)と着実な増加を見せています。さらに世の中のDXに従ってDXする薬局も増えています。

しかし、多くの利用者にこれら薬局の役割・機能が浸透し、存分に活用されている、とは言いづらいのが現実です。

そこで、これら薬局の実例を本特集で読んでいただき、図表1~3で、あなたが住む地域の各薬局数を確認。12、15、18ページにある「探し方」を使って、ぜひ、最寄りの「健康サポート薬局」「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」を利用してみてください。






<コラム1>
来年から処方箋の電子化が始まります!




解説:医薬・生活衛生局総務課 企画調整専門官
高橋悠一



●患者にもメリット大

来年1月より、これまで医療機関から紙で渡されていた処方箋の電子化が始まります。電子化によって、スマートフォンからマイナポータルを通してお薬を確認することができます。薬局は電子的に処方箋を受け取ることができるので、薬局に行く前に連絡をしておけば、薬局では患者さんのお薬を事前に準備できます。

電子化によって、医療機関や薬局ではリアルタイムで過去のお薬やほかの施設で出されたお薬を見ることができるようになります。また、医師や薬剤師がお薬の飲み合わせや、お薬を服用することになった患者さんの状態などを踏まえた処方・調剤で質の高い医療提供が期待されます。

医師は処方時に電子処方箋にコメントを、また薬剤師も調剤時に医師宛にコメントをつけることができます。これまでも医師・薬剤師の間ではコミュニケーションが図られていますが、電子処方箋の導入により円滑なやりとりが期待できます。この結果、医師・薬剤師が患者さんの状態を確認できる時間が増えるなど、患者さんにとってもメリットのある仕組みとなっています。





<コラム2>
お薬手帳アプリを使ってみました!



リポート:医薬・生活衛生局総務課
増田美咲



今回は、たむら薬局(東京都練馬区)で、お薬手帳アプリを実際に使ってみます。

早速、アプリの使い方を、同薬局の薬剤師・田村憲胤さんに聞きました。

「お薬手帳アプリをスマホにダウンロードして、いつも利用している薬局を「かかりつけ薬局」として登録すると、簡単に便利機能が使えるようになりますよ。」と教えてくれました。


●たとえばこんな便利機能が使える!

○処方箋送信で待ち時間短縮!


処方箋の写真(画像)をアプリで事前に送っておけば、移動時間や買い物時間にお薬の準備をしてくれます。準備が完了したら通知が来るので、処方箋の原本を持って薬局に行き、待ち時間少なくお薬を受け取れます。

○お薬の情報をスマホのなかに!

自分や家族のお薬情報を一つのアプリで管理できます。お薬を受け取る際に発行されるQRコードを読み込んで簡単にお薬情報を取り込むことができます。

また、処方されたお薬だけでなく、店頭で販売しているお薬の情報も取り込めます。

○チャットでお薬相談!

お薬や体調について不安なことがあれば、チャットで「かかりつけ薬局」の薬剤師さんに相談できます。





今回の取材先
たむら薬局


江古田地域の栄町、旭丘、小竹町、豊玉上の4軒舗で、地域の皆さまの健康で豊かな暮らしに必要とされる「かかりつけ薬局」をめざしている。
処方箋調剤はもちろん、在宅訪問、一般用医薬品の販売など、江古田地域の健康サポート拠点として幅広い相談に対応している。



広報誌『厚生労働』2022年9月号
発行・発売:(株)日本医療企画