未来(あした)のつぼみ


大きな制度改正でなくとも、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。
ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきをご紹介します。





未来につなぐ、若者の「技」日本一の決定戦
~史上初めて無観客で行われた第58回技能五輪全国大会~


 皆さんは「技能五輪全国大会」について聞いたことがあるでしょうか。

 この大会は、昭和38(1963)年度から毎年開催している厚生労働省所管の一大イベントで、旋盤や自動車板金などのいわゆる「ものづくり」に関する製造系の職種や、建築大工・造園といった建設系の職種など、約40の職種ごとに青年技能者による日本一が競われます。

 直近では、昨年11月に愛知県において第58回大会を開催し、全国から944人の選手が参加して熱戦を繰り広げました。20万人超の観客が来場したこともある大会ですが、昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて無観客により開催することを決定し、これに伴い、初の試みとして開閉会式および競技風景のライブ配信を行うこととなりました。



 私は、より多くの方々に大会を見ていただきたい、その一心で大会の運営にあたりました。そのため、まず配信に際しては、専用サイトに配信コーナーを設け、サイトのQRコードを大会前からSNSなどで積極的に発信したり、広報用のポスターやパンフレットに掲載したりするなど事前周知に努めました。また、開会式では選手への激励として、田村厚生労働大臣のビデオメッセージを流せるよう、関係各所と調整して準備・撮影をしました。さらに、愛知県庁においても実況付きのライブ配信が実施されることになったため、視聴者にとって双方の配信場所がわかりやすいよう、サイトのレイアウトを工夫しました。

 その結果、過去5大会の平均来場者数が約15万人であったところ、今回は海外からも含め16万を超える方々にライブ配信を視聴いただけました。選手・関係者からはライブ配信について、「地元で応援している家族や同僚・在校生なども観戦できて大変よかった」、「とても良い取り組みだったので、ぜひ来年も続けてほしい」という声をいただいた一方で、「選手全員をバランスよく映してほしかった」などの意見も頂戴しました。また、ライブ動画のアーカイブ化についても要望が多かったことから、今後の課題と考えています。

 今年12月には東京ビッグサイトを主会場として、東京都で第59回技能五輪全国大会が開催されます。それぞれの分野で一生懸命競技に取り組む若手技能者の姿を多くの国民の皆さまに見ていただくことにより、技能を尊重する気運を醸成するとともに、「こんな風に自分も技能を磨き、全国大会の場で活躍したい!」と思っていただけるような機会を増やすことを通じて、日本の将来を担う若い技能者の育成につなげていきたいと考えています。




 
出  典 : 広報誌『厚生労働』2021年11月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省