里親や特別養子縁組という家族の“かたち”


生まれた子どもたちが
大切に育まれる社会をめざす


社会的養護の現状を踏まえて、里親制度や特別養子縁組制度の概要を説明します。




理解を広め
より活用される制度に


 日本には、虐待などのさまざまな理由から親のもとで暮らすことができない、社会的養護が必要な子どもが約4万5000人います。そして、そのうちの約8割が乳児院や児童養護施設などの施設で生活しています。

 里親制度や特別養子縁組制度は、施設などで生活している子どもたちを、家庭で養育するための制度です。子どもたちを家庭に迎え入れて、健やかな育ちと安心感をもたらすことができます。

 里親になる場合は基本的な財力などが条件としてありますが、一番大切なことは「子どもに対する熱意」です。そのため、子育て経験のない人や単身世帯、共働き世帯、LGBT※の人でも里親になることができます。家族と離れて暮らす子どもを自分の家庭に迎え入れ、さまざまなサポートを受けながら、原則として一定期間、養育してもらいます。

 一方、特別養子縁組は、実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と新たな親子関係を結ぶものです。普通養子縁組の場合は、実親との法的な親子関係を終了しないままの養育になります。特別養子縁組制度については昨年4月に法律が改正され、養子となる子どもの年齢の上限を原則6歳未満から原則15歳未満に引き上げるなど、より広く活用されやすい制度になりました。

 少子高齢化が進んでいるなかでも安心して産める、子育てができる社会をめざしていかなければなりません。一人でも多くの子どもが心身ともに健やかに暮らせる社会にしていくためには、里親や特別養子縁組などの制度について理解が広まることが重要です。

※レズビアン(心の性が女性で恋愛対象も女性)、ゲイ(心の性が男性で恋愛対象も男性)、バイセクシュアル(恋愛対象が女性にも男性にも向いている)、トランスジェンダー(「身体の性」は男性でも「心の性」は女性というように、「身体の性」と「心の性」が一致しないため「身体の性」に違和感を持つ人)の頭文字をとったもの






 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2021年5月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省