技能の道<特別編>


時計修理

技能五輪「時計修理」金賞受賞
澁井智行さん

しぶいともゆき●1995年生まれ。2014年、セイコーエプソン株式会社に入社。現在は、同社のWP生産部WP生産拠点サポートグループに所属。第54回技能五輪全国大会の「時計修理」職種で金賞受賞


総合的な技術力で金賞獲得
腕時計の魅力発信も

 クオーツ腕時計の故障および不具合修正、機械式ムーブメント(駆動装置)の故障および不具合修正、時計部品製作、外装部品仕上げという4つの課題に2日間にわたって取り組む時計修理の職種。故障の判断から100分の1㎜単位での部品成形、各パーツの調整、磨き上げまで、総合的な技術力が審査されます。澁井智行さんは、2016年開催の第54回技能五輪全国大会で金賞を受賞しました。

 大会後は腕時計のムーブメント生産ラインや、外装組み立てを経験。「部品や道具の扱い方をより意識するようになり、精度が上がりました。また、多くの出会いが人脈につながり、意識が変わるきっかけにもなりました。自分を支えてくれた会社に技術で貢献したいという思いも強くなっています」

 現在は生産ラインにおける最適な組み立て方法を検証・設計する業務を担当しています。「指先を使ったものづくりが好きなので、いつかまた高級腕時計を組み立てる現場でキャリアを積んでいけたら…。そして、腕時計の魅力を、多くの人に伝えていきたいです」と、語ってくれました。
 

◎上司からのコメント(下平政彦さん)
常にスキルアップを怠らない


 澁井さんには、探求心と時計への愛着がとても強く感じられます。現在も、常にスキルアップをめざしており、経験を活かして作業工程の改善、メンバーへの指導・育成にも力を注いでくれています。さまざまな場面での活躍を期待しています。
(取材・文/国分美由紀  撮影/和田 博)


「技能五輪」とは
各都道府県から選抜された、原則23歳以下の若手技能者たちが技能レベルを競う大会。
 



腕時計の組み立てから離れ、より総合的な視点で経験を積み、今後のキャリアに活かす


大会後は高級腕時計の針・文字盤など外装組み立ての部署を経験



腕時計の内部は緻密なつくりで、高い技能が求められる


広報誌『厚生労働』2020年11月号
発行・発売:(株)日本医療企画

 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2020年11月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省