技能の道

義肢装具士

アビリンピック「義肢」種目金賞受賞
太田賢人さん

おおた よしひと●1986年、静岡県生まれ。2016年から専門学校日本聴能言語福祉学院の義肢装具学科専任教員を務める。第39回全国アビリンピック「義肢」種目で金賞を受賞。

◎今回の受賞により学生たちの意欲も向上

 専門学校の義肢装具学科で教鞭をとる太田賢人さんは、昨年11月の第39回全国アビリンピック「義肢」種目で金賞を受賞しました。義肢とは、事故や病気などで失った手や足の外観・機能を補完する人工の手や足のこと。自身も左足に障害があり、装具をつくってもらった経験から義肢装具士をめざし、国家資格を取得しました。

 「義肢」種目の課題は、足の切断部分に装着する「ソケット」製作です。「型に合わせて合成皮革やクッション材で形をつくり、ミシンで縫ったりボンドで貼り合わせたりといった工程を経て完成させます。ソケットは肌に触れる部分なので、段差ができたりボンドがはみ出していたりするとフィット感が損なわれ、見た目も美しくありません」。同大会への出場は、応用力など技術を磨くためにとても重要だと語ります。

 「患者さんが義肢に求める機能性は人それぞれ。技術だけでなく、コミュニケーションの重要性も学生に伝えています」と、太田さんは後進の育成に尽力しています。金賞受賞は、学生たちの意欲向上にもつながっているそうです。

◎上司からのコメント(中川三吉さん)

 学生教育に活かしてほしい
 全国大会出場のために培った技術を、これからの学生教育に活かしてもらいたいと思います。また、太田先生の活躍を通して多くの方に義肢装具士という医療専門職を知っていただき、この職業に興味を持っていただけるとうれしく思います。

「アビリンピック」とは
「全国障害者技能競技大会」のこと。障害のある人たちが技能を競う大会。大会を通じて企業や一般の人に障害者に対する理解を深めてもらう。


肌に触れる「ソケット」製作で滑らかさと美しさが問われる


足の切断部分に装着する「ソケット」


段差ができないように注意して縫い進める

 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2020年6月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省