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どうやって受診するの? どこで受けられるの?
担当者に聞く 電話・オンライン診療 Q&A

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、院内感染等を防ぐための手段として自宅にいながら受診できる「電話・オンライン診療」が注目されています。「どうすれば利用できるのか」「薬の処方はどうなるのか」「どこで受けられるのか」――さまざまな疑問や不安をお持ちの方も多いと思います。そこで「電話・オンライン診療」に関する疑問について、土岐太郎・厚生労働省医政局医事課 課長補佐に答えてもらいました。


お話をお聞きした人
厚生労働省医政局医事課課長補佐
土岐太郎氏




●Q1
 今回、電話やオンラインでの受診が便利になったと聞きました。そもそもオンライン診療とはどのようなものなのですか?
◎A
 オンライン診療とは、医師と患者間において情報通信機器を用いてリアルタイムに診察や診断、処方等を行うことを言います。簡単に言うと、スマートフォンやタブレットのテレビ電話およびビデオチャット機能を使って、画面を通じて医師に診療してもらうというイメージです。もともとは生活圏に受診できる医療機関がない特殊な難病の患者さんなどの、遠方の医療機関の受診にともなう長距離移動の負担軽減などに使われてきました。慢性疾患あるいは定期的な管理が必要な患者さんも対象となっていますが、オンライン診療はあくまでも対面診療の補完という位置づけであり、初診についてはこれまで認められていませんでした。
 ただ、今回新型コロナウイルス感染症が急激に拡大するなか、院内感染を含めた感染防止のため、時限的・特例的な対応として、初診からオンライン診療を受診できるようになりました。併せて、電話でも初診から診療を受けられるようになっています。


●Q2
 オンライン診療を受けるにあたっては専門の機器が必要ですか?
◎A
 スマートフォンやタブレット、パソコンなどのテレビ電話やビデオチャットができるものがあれば、オンライン診療は受診可能です。
医療機関によってはオンライン診療専門のシステムを導入しているところもありますが、必ずしも専用のシステムがないとできないというわけではありません。
 なお、今回、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて初診から可能になったのは「電話・オンライン診療」であり、電話での受診も可能です。
 つまり、高額な機器や特別なシステムは不要だということです。


●Q3
 電話・オンライン診療では薬の処方はどうなるのですか?
◎A
 電話・オンライン診療により医師が薬を処方することも可能です。この処方薬を薬局で調剤する場合には、医薬品医療機器等法により、対面指導が原則として義務づけられています※。しかし、今回新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、希望すれば電話やオンラインでも服薬指導が受けられ、薬を自宅に配送してもらうこともできるようになりました(薬局に来訪し服薬指導を受ける必要がある場合もあります)。なお、初診の場合には麻薬や向精神薬などの処方は行えません。

 ※薬機法改正により、今年9月から一定の要件のもとオンラインによる服薬指導が解禁されます。


●Q4
 電話・オンライン診療で対面診療と同程度の医療の質を担保できますか?
◎A
 初診からの電話・オンライン診療に関しては、できる限り質が担保されるように、過去の診療録や診療情報提供書、地域医療情報ネットワーク※または健康診断の結果等によって、患者さんの基礎疾患の情報を把握・確認のうえ、診断や処方を行うこととなっていますが、電話・オンライン診療の場合、触診や聴診ができないなど得られる情報が限られているため、対面診療と同程度の質を担保するのは難しいと言えます。医師は、患者が診察室に入ってくるときの雰囲気なども診断に活用することもあると聞きます。たとえば、「頭が痛い」という症状だけでさまざまな疾患が考えられますが、電話・オンラインで得られるだけの情報ではどのような疾患なのかを診断するのは難しいと思います。ですから、電話・オンライン診療はあくまでも対面診療を補完するものとの位置づけです。

 ※患者の情報を得たうえで、医療機関間において、診療上必要な医療情報(患者の基本情報、処方データ、検査データ、画像データ等)を電子的に共有・閲覧できる仕組み


●Q5
 電話・オンライン診療はどの医療機関で受けられますか?
◎A
 かかりつけ医をお持ちの方は、まずはかかりつけ医に相談していただきたいと思います。
かかりつけ医をお持ちでない方は、厚生労働省のホームページで、電話・オンライン診療を実施している医療機関の都道府県別のリストを公表していますので、そこから最寄りの医療機関を選んで連絡してください。
 医師の判断によっては、すぐに医療機関を受診する必要があるため、お住まいの近くにある医療機関を選択することをお勧めします。


●Q6
 電話・オンライン診療の支払いはどうなりますか?
◎A
 診察費(一部負担金)の支払い方法については、銀行振込やクレジットカード、電子決済など、医療機関ごとに異なります。
 また、薬剤を配送してもらう場合の薬剤費や配送料についても代金引換のほか、銀行振込、クレジットカード、電子決済など異なります。
 どのような支払方法に対応しているかについては医療機関や薬局にお問い合わせください。


●Q7
 電話・オンライン診療で新型コロナウイルス感染症の診療を行ってもらえるのですか?
◎A
 電話・オンライン診療では、検査ができないことなどから、新型コロナウイルス感染症の診断は難しいと言われています。自覚症状がなくても肺炎に罹患しているというケースもあるため、新型コロナウイルスに限らず、感染症は対面診療でなければ難しいと考えられます。ただし、PCR検査を受けて新型コロナウイルス感染症と診断されたものの軽症であるという方の経過観察を、オンライン診療で行うことは十分ありうると言えます。


電話・オンライン診療対応医療機関リスト



 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2020年6月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省