特集

パートナーと一緒に読みたい
生理から考える女性の健康



過度なダイエットによる生理不順、子宮に関係する病気、閉経と更年期障害……。
女性の健康を考えるうえで、生理(月経)を正しく知ることはとても大切です。
女性もそのパートナーも、一緒に生理について学んでみませんか。


●インタビュー

その出血、生理ではないかも
女性の体のSOS~隠れた病気~

関口由紀さん
医療法人 LEADING GIRLS女性医療クリニックLUNAグループ理事長
山形大学卒業後、横浜市立大学医学部泌尿器科助手などを経て、2005年、横浜元町女性医療クリニックLUNAを開設。
女性のライフステージに合わせた医療を提供。
 


◎病気が原因の場合もあるので要注意

 不正出血の原因はさまざまです。関口さんは、「病気ではないものとして排卵出血があります」と説明します。通常、生理が始まる2週間前に排卵が起こります。そのときに卵巣の膜を突き破って卵子が出てくるため、出血することがあり、排卵出血と呼ばれます。

 また、排卵の乱れによる消退出血と呼ばれるものも。これは、少量の出血が1週間以上続きます。「ストレスや不摂生な生活によるホルモンバランスの乱れ、加齢などが原因です」と話します。

 病気が原因の不正出血もあります。

 原因となる病気の一つががんです。子宮頸がんや子宮体がんなどにかかった場合は出血量が多く、繰り返し出血します。子宮頸がんは若い世代に多いので、特に若い世代は要注意です。

 子宮筋腫の場合も出血量が増えます。良性の腫瘍なので死には至りませんが、貧血を起こしやすくなるなど、生活の質が下がるため、婦人科を受診しましょう。



◎かかりつけの婦人科医をもとう

 出血があっても、生理なのか不正出血なのかわからない人もいるでしょう。不正出血に気づくためには、量・頻度・周期に注意するとよいと、関口さんはアドバイスします。この3点のどれかがいつもと違ったら、体に異常が生じている可能性があります。

 痛みもサインの一つです。たとえば、生理の場合は1~2日目に生理痛が起きますが、もし3日目も痛み止めを使わなければならないくらい痛みが激しいときは、病気が原因かもしれません。

 もし不正出血を疑うのであれば、まずは安静にしましょう。そして体を保温し、規則正しい生活を送ってください。ストレスや不摂生が原因の場合は、症状が治まります。

 それでも治らない場合は病気の可能性があるので、婦人科を受診することが大切です。婦人科を受診する際は、「最終月経の始まった日と終わった日」「生理は定期的にきているか」「腹痛はあるか」「腹痛がある場合はどれくらい痛いか」「生理のときにめまいや立ちくらみ、動悸などの症状はあるか」を伝えてください。もし医師から性交渉をもった時期について聞かれたら、正直に答えることも大事です。

 婦人科を受診することにハードルの高さを感じる人もいるかもしれませんが、関口さんは「年に1回は婦人科の検診を受け、加えてかかりつけの婦人科をもち、何かあったら相談しましょう」と勧めます。




 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2020年3月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省