世界が変わる 技術で変わる

日本の産業を支えているのは、働く人々が身につけた高度な「技能」です。
技能の魅力や面白さについて、活躍中の若手技能者にインタビューしました。

緻密な手縫いで着物を仕立てる





荒木啓衣さん
和裁
あらき・けい●1996年、長崎県生まれ。実家が美容院だったことから、幼少期から着物や着付けに関心を持つ。高校卒業後の2014年、石田和裁に弟子入り。2017年から技能五輪全国大会に出場。


表地と裏地のつり合いを計算しながら仕上げる

 着物は、反物を直線に裁断し、直線で縫い合わせてつくります。和裁士としての修業は、いろいろな素材の布をまっすぐ手で縫う練習から始まります。その後、裏地となる胴裏や八掛、着物の下に着る長襦袢、浴衣などを経て、表地と裏地を縫い合わせる袷の着物を仕上げられるようになることが、プロへの第一歩と考えられています。これには、通常2~3年かかります。

 荒木啓衣さんは、石田和裁で修業をして5年が経ちます。2018年度の技能五輪全国大会の和裁職種では金賞を受賞。大会では、9時間で袷の着物を仕立てる技術を競いました。

 「布は、天候や湿度によって収縮度合いが変わります。生地がどの程度縮むかを予測し、表地と裏地のつり合いがとれるよう計算するのですが、読み切れない難しさがあります」と、荒木さんは話します。

 競技時間も大きな壁。「2年前に出場したときは、制限時間ぎりぎりに仕上がりました。その反省点を生かしてスピードアップを心がけ、最終チェックの時間を確保できたことが金賞につながりました」

 技術を磨き、「日本の文化を支える着物の素晴らしさを国内外に発信したい」と、目標を掲げます。
 

技能五輪国際大会
 


まっすぐに手で縫う練習が欠かせない



2018年度の技能五輪全国大会の様子。「仕様誤り」「できばえ」「作業態度」の3項目で評価を決定する