特集

認知症になっても
希望を持って暮らせる社会へ

 毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー※」で、9月は「世界アルツハイマー月間」です。国も今年6月に「認知症施策推進大綱」をとりまとめ、「共生」と「予防」をキーワードに取り組みを進めています。この機会に、認知症について知り、認知症の人との関わり方を考えてみませんか?
※ADI(国際アルツハイマー病協会)とWHO(世界保健機関)が共同で定めた日


Part1 大丈夫!!
認知症の基本

 「認知症」という言葉は日常的に使われていますが、症状の特徴や原因を知っていますか? Part1では皆さんに、認知症の種類や症状などをお伝えします。基本を学んでみましょう。

◎認知症の種類
 いろいろな原因で脳の細胞が死んだり、働きが悪くなることで、さまざまな障害が起こり、生活に支障が出ている状態(6カ月以上継続)を認知症と言います。原因ごとに症状は違うんですよ。


「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(2013年5月報告)から作成


◎有病率
 なんと、現在は高齢者の約15%が認知症で、軽度認知症まで含めると、約25%だと言われているのです!


「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(2013年5月報告)から作成



Part2 大丈夫!!
まちのみんなが支えてくれる

 認知症のおばあちゃんの元に遊びにきた、小学生の孫・コウセイ君。一人暮らしを心配しています。おばあちゃんの生活ではどんな風に支えられているのか教えてくれました。







●成年後見制度
 判断能力が低下した場合に、本人の権利を守るため、家庭裁判所が成年後見人などを選び、本人の金銭管理や契約行為を支援する制度です(法定後見制度)。判断能力が不十分になる前にあらかじめ本人自ら選んだ人に代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく「任意後見制度」もあります。


《活動事例》
認知症にやさしい町づくり連絡会
ニューサマーオレンジ(静岡県東伊豆町)

住民総出で声掛け訓練
 静岡県東伊豆町では、2014年から、あんしん見守り事業として「声掛け訓練」を行っています。これは、町内のスーパーやコンビニ、金融機関、交通機関、中学校、高校などで、認知症の人が困っている場面を想定し、声を掛けるなどの対応法を学ぶもの。「声掛け訓練は、参加人数が2015年度から17年度の3年間で2倍に増加。昨年度は、こうした取り組みにより、行方不明者6人のうち5人が保護されました」と、東伊豆町地域包括支援センターの宮原崇敏さんは住民の訓練への関心の高さとその効果を話します。



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出  典 : 広報誌『厚生労働』2019年9月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省