世界が変わる 技術で変わる


日本を支えるものづくり。国は今、2023年技能五輪国際大会の愛知県招致をめざしています。技術の魅力や面白さを若手技能者にインタビューしました。

“ひんやり”を緻密な作業で生み出す

 

北澤未鈴さん
冷凍空調技術
きたざわ・みすず●1998年、長野県生まれ。2016年、オリオン機械株式会社入社。現在、第三製造部第二冷凍製造グループ所属。2017年と2018年の技能五輪全国大会に出場。


炎の加減や向きに注意しながらろう付け

 私たちの身の回りにある冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなどの冷凍空調機器は、冷媒と呼ばれるガスなどにより空気を冷やしています。これらをつくるには、冷凍回路・配線回路などに関する知識や、冷媒を通す管を加工し接合する技術などが欠かせません。

 昨年の技能五輪全国大会の冷凍空調技術の種目で金賞を受賞した北澤未鈴さんは、オリオン機械株式会社で産業用冷凍機器の組立に従事。周囲からは、「ろう付けの技術が卓越している」と評判です。

 ろう付けとは、管と管を接合する作業のこと。まずガスバーナーなどで管を熱し、溶かしたろう材で管を接合します。ろう材が多いと管の内部を詰まらせる原因となります。一方、ろう材が足りず隙間ができてしまうと、そこから冷媒が漏れてしまいますので、品質に気を付けて作業をしています。

 同社の女性社員で初めて金賞を受賞した北澤さんは、「配管近くの部品に炎をあてないように注意しながら、ろう付けするのが難しい」と説明します。管をナットにつなげるためにフレア加工(管の端をラッパ状に広げる)する際は、体力を使うので大変だそうですが、「何度も加工するうちに慣れてきました。もっと女性の技能者が増えてほしいですね」と笑顔で話します。


 
管を曲げる北澤さん。手先の器用さが求められる


技能五輪国際大会



 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2019年7月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省