世界が変わる 技術で変わる

日本を支えるものづくり。国は今、2023年技能五輪国際大会の愛知県招致をめざしています。技術の魅力や面白さを若手技能者にインタビューしました。

夢は逸品ものをつくれる職人

圷 志織さん
貴金属装身具
あくつ・しおり●1996年、神奈川県生まれ。2015年、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジのアドバンスドジュエリーコースに入学。16年から毎年、技能五輪全国大会に出場。18年に同大会の貴金属装身具で金賞受賞。卒業後、19年4月より株式会社俄に入社

ひたすら目を養い
違和感に気づけるように

金や銀、合金と宝石などを組み合わせてつくられる貴金属装身具(ジュエリー)。昨年11月に行われた技能五輪全国大会の貴金属装身具では、9時間30分の競技時間のなかで、3つの課題作品を完成させなければなりません。
制作過程では、宝石を「石座」と呼ばれるパーツで固定します。0.1カラット(約3mm)のダイヤモンドを固定する3本爪石座は、台の大きさは直径3mmで爪の長さは1.5mmととても小さいパーツです。金賞を受賞した圷志織さんは、「宝石を石座にかちっと留めるのが難しい」と説明します。少しでも隙間があれば、宝石はぐらぐらと揺れてしまうからです。少しずつヤスリで石座を削り、ノギスと呼ばれる測定器で測って図面との差を0.1mm以内に収めます。
専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジの2年生のときから同大会に出場している圷さん。先生からは「図面と作品をひたすら見比べて違和感に気づくことが大事。そのためにも目を養いなさい」とアドバイスをもらったそう。そのかいあって、念願の金賞を受賞しました。
今年の春に社会人となった圷さんは「逸品ものをつくれる職人」をめざし、奮闘しています。

技能五輪国際大会はこちら


 

出  典 : 広報誌『厚生労働』2019年5月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省