照会先

人材開発統括官 政策企画室

室長:
立石 祐子 (内線5306)
職業能力開発指導官:
田井 裕貴 (内線5602)

(代表電話) 03(5253)1111

(直通電話) 03(3595)3377

報道関係者各位

「平成30年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を本日閣議決定

~企業における技能継承の取組と課題や、人材育成に向けた取組などを紹介~

政府は本日、「平成30年度ものづくり基盤技術の振興施策」(「ものづくり白書」)を閣議決定し、国会に報告しました。
「ものづくり白書」は、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめたものです。この白書は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省が連携して作成しており、平成13(2001)年の白書から、今回で19回目となります。

「ものづくり白書」の構成(2部構成)
【第1部】:ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章 平成の製造業とものづくり白書の変遷(経済産業省、厚生労働省、文部科学省合同)
第2章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望(経済産業省)
第3章 ものづくり人材の確保と育成(厚生労働省)
第4章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発(文部科学省)
【第2部】:平成30年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策
厚生労働省が担当する「第1部第3章」では、ものづくり産業における人材確保の状況や、技能継承の取組を分析し、ものづくり人材の育成に関する厚生労働省の施策について記述しています。
 

第1部「第3章 ものづくり人材の確保と育成」に関する取組と課題のポイント

  • 第1節 企業における技能継承の取組と課題
    1. 1.ものづくりを支える人材の雇用・労働の減少
      • 国内の製造業の従業員割合は減少傾向にある。新規学卒入職者の製造業への入職割合は長期的に減少傾向で、特に会社規模によって入職者数に格差が広がっており、若年就業者が減少する中で、中小企業の人材不足は深刻な状況となっている。【P195、図311-1】
    2. 2.ものづくり企業の基盤を支える技能
      • 技能の継承については、かつて「2007年問題※1」が注目された。しかし高齢者雇用安定法の改正により、団塊の世代の多くが雇用延長したことから、高齢者が一時期に大きく減少することはなく、問題は回避されたかに思われた。しかし最近になって「技能継承に問題がある」と感じている企業は2007年当時を上回るようになってきている。【P200、図312-4】
      • 技能継承の取組のうち、2010年には「雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用」を行う企業が最も多かったが、現在は減少傾向にあり、一方で新規学卒者の採用や、中途採用を増やしている企業が増加しており、現在の継承問題では、技能継承の伝え手より受け手となる人材の確保が課題となっている。【P201、図312-6】 
    3. 3.ものづくり産業における技能継承の現状と課題
      • 企業の意識調査では、技能継承を重要と考え、技能継承に不安を感じている企業が多い。また、技能継承の成果が上がっている企業よりも、技能継承の成果が上がっていない企業の割合がやや上回っている。【P205、図313-1、図313-2】
      • 技能継承がうまくいっている企業は他社と比べて労働生産性が高いと回答し、新人が一通りの仕事をこなせる技能者になるまでにかかる時間が短い傾向がある。【P206、図313-3】【P207、図313-4】 また、ものづくり人材の定着状況について、技能継承がうまくいっている企業ではうまくいっていない企業に比べて、人材の定着状況が「よい」と回答した割合が高く、人材の定着が進み、熟練技能の蓄積がみられる。【P211、図313-11】
      • ものづくり人材の育成・能力開発の方針についてみると、技能継承がうまくいっている企業は、「個々の従業員が当面の仕事をこなすために必要な能力を身につけることを目的に能力開発を行っている」のみならず、「当面の仕事に必要な能力だけでなく、その能力をもう一段アップできるよう能力開発を行っている」、「数年先の事業展開を考慮して、その時必要となる人材を想定しながら能力開発を行っている」と回答している割合が多く、将来を見据えた育成や能力開発を行う目標を立てていることがうかがえる。【P213、図313-14】 また、ものづくり人材の育成、能力開発の方針の社内での浸透度についても技能継承の成果に比例している。【P213、図313-15】
      • 技能継承をすすめるための取組については、技能継承の成否にかかわらず、「再雇用や勤務延長などにより高年齢作業員に継続して勤務してもらう」と回答した企業が最も多かった。次いで「継承すべき技能の見える化(テキスト化・マニュアル化・IT化)を図る」と回答した企業が多かったが、この回答では技能継承がうまくいっている企業の割合が多い。また、「技能継承の指導者に対して「教える」ことに関する訓練を実施する」、「会社内外を問わず熟練技能者を講師として勉強会を開催する」、「技能継承専任の指導者を選抜する」などについて、うまくいっている企業と、うまくいっていない企業とで取組に差が出ている。【P215、図313-18】
         
  • 第2節 人材育成に向けた取組
    • 第2節では、ものづくり人材の育成に関する厚生労働省の施策を紹介しています。【P231~251】

「ものづくり白書」は、厚生労働省ホームページの「統計情報・白書」のページからダウンロードできます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/
ほかには、全国の政府刊行物サービス・センターなどでも販売する予定です。

※1 2007年問題:2007年から団塊の世代(昭和22年から昭和24年生まれの世代)が60歳の定年を迎え、これまで養ってきた技能や技術をどのように継承していくかなどの問題が「2007年問題」と呼ばれ、ものづくり産業において注目された。