第27回医療ニーズの高い医療機器導入に関する検討会

第27回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録

 
 
 
 
 
 
 
 
 
           第27回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会
 
 
                                          日時  平成29年4月28(金)
                                                10:00~
                                          場所  厚生労働省共用第8会議室

 
○医療機器審査管理課長 お見えになってない先生もおられますが、定刻になりましたので、第27回「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を開催いたします。本日は大変御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 最初に、委員の交代について報告いたします。本日お配りしている資料の議事次第と書いてある紙のその次が委員名簿ですので、それを見ながら御紹介させていただきます。座長を務めていただいておりました吉田茂昭先生の後任で、東京大学消化器内科の小池和彦先生です。それから、整形外科の四宮謙一先生が御退任され、その後任として筑波大学の山崎正志先生です。小池先生は今ちょうどお見えいただいております。山崎先生は本日御欠席です。
 本日は医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会委員21名のうち、14名に御出席いただいております。また、本日は検討品目に関する専門家として、ワーキンググループの先生より、参考人として5名の方に御出席いただいておりますので御紹介いたします。また、ワーキンググループの名簿を、先ほどの議事次第の所の参考資料の2にお付けしておりますので御覧いただければと思います。後ろのほうになりますが、参考資料2の、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会ワーキンググループ委員名簿、そちらのほうから4ページの、本日のワーキンググループ3で、消化器、泌尿器科、産婦人科領域のほうから、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院院長の西田俊朗先生。また同じく、ワーキンググループ3から、滋賀医科大学附属病院臨床研究開発センターのセンター長の久津見弘先生。続きまして、同じ4ページ下のワーキンググループ4で、循環器、呼吸器領域の、小倉記念病院循環器内科部長の曽我芳光先生。同じくワーキンググループ4の循環器、呼吸器領域から、国立研究開発法人国際医療研究センター病院第二新生児科医長の水上愛弓先生。次の5ページの真ん中の、ワーキンググループ6の臨床検査領域のほうから、山形大学医学部附属病院検査部部長の森兼啓太先生の5名に、参考人として御出席いただいております。
 なお、ワーキンググループ委員にも変更がありましたので、この場で御紹介させていただきます。3ページに戻りまして、ワーキンググループ2の天笠委員、ワーキンググループ6、これは5ページになりますが、6の蔦委員、米山委員が御退任され、次の3名の方をワーキンググループ委員にお迎えいたしております。ワーキンググループ2が3ページの、歯科、整形外科、形成外科領域として、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授の田上順次先生。それから5ページのワーキンググループ6の関係ですが、公益財団法人がん研究会がん化学療法センターゲノム研究部部長の冨田章弘先生。同じワーキンググループ6で、慶應義塾大学医学部臨床検査医学教授の村田満先生。村田先生には、本検討会の委員もお願いしております。
 次に、先ほど申しましたが、前回まで座長をお願いしておりました吉田茂昭先生が規定により今回御退任になりましたので、まずは、新しい座長の選出を行います。事務局からは、前回から副座長をお願いしておりました浜松医科大学の今野先生に座長をお願いできないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
                                  (異議なし)
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、今野先生、よろしくお願いいたします。
○今野座長 今野でございます。不慣れでございますので、委員の先生方、それから事務局の皆様、どうぞ御支援、御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続きまして、副座長の選任をよろしくお願いいたします。
○今野座長 分かりました。副座長としまして、多くの学会で理事と評議員等の経験も豊富で、実力も兼ね備えていらっしゃいます、東京女子医科大学先端生命医科学研究所教授の村垣善浩先生にお願いしたいと思います、いかがでしょうか。
                                  (異議なし)
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。村垣先生、よろしくお願いいたします。
○村垣副座長 はい。
○医療機器審査管理課長 以降、今野座長にお願いいたします。
○今野座長 早速始めたいと思います。時間が限られておりますし、今日は議題がいっぱいありますので、なるべく時間内に終わるように努力したいと思います。まず、配布資料の確認を、事務局よりお願いいたします。
○事務局 配布資料の確認をいたします。議事次第の裏面に配布資料の一覧があります、これに従って御確認をお願いいたします。資料の数が多いため、資料のタイトルは省略して御説明させていただきます。まず、議事次第の下に、委員名簿です。資料1-1から資料1-9まで、委員の皆様にはクリップで留めた別冊として御用意をしております。傍聴の方にはツーアップにしたものを一緒にとじております。資料1-1から資料1-9まではワーキングの評価結果の後ろに、学会からの要望書をお付けしています。また、要望書の添付資料の文献、論文などについては、お手元のタブレットに収納しておりますので、必要に応じて御参照ください。もし、タブレットの使い方が分からないことがありましたら挙手をお願いいたします。ヘルプデスクの者が御説明に参ります。傍聴の方々には、文献は省略させていただいておりますので御了承ください。
 続いて、資料2-1から資料2-3までをひとまとめにしています。次に、資料3-1から資料3-5までをひとまとめの資料としています。資料4は裏表1枚の資料です。資料5-1と資料5-2をひとまとめにしています。資料6は表面1枚の資料です。最後に、参考資料1から参考資料3までをひとまとめの資料としています。また、参考資料4を1枚追加でお配りしています。過不足等がありましたら、会の途中でも差し支えございませんので、事務局までお申し付けください。
 これより議事に入りますので、傍聴されている方によるカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
○今野座長 資料はよろしいでしょうか。不足していましたらお申し付けください。今回、9品目ございますので、議事の進め方を事務局から御説明いただきます。よろしくお願いします。
○事務局 今回は9品目について御審議いただきます。まず、品目及びワーキンググループ評価結果について、参考人としてお越しいただいた先生方から、1品目5分程度で御説明をお願いしたいと思います。9品目ですので、前半と後半に分けたいと思います。まず、資料1-1から資料1-3まで御説明いただいた後、資料1-1から資料1-3までの質疑応答、議決をお願いしたいと思います。その後、後半として資料1-4から資料1-9まで御説明いただいて、それぞれの品目に対して質疑応答、議決をお願いしたいと思います。
 なお、ここで利益相反に関する申出の状況について御報告させていただきます。本検討会では検討対象品目について、関与又は特別な利害関係を有する場合は、当該品目に関する議論及び選定可否に関わる議決には参加してはならないとされております。本日の審議事項に関する影響企業について、寄付金、契約金の受取状況をお伺いしたところ、本日御出席の委員及び参考人の先生方の中で、議論、審議に御参加いただけない方はいらっしゃいませんでした。
 また、要望学会の執行部に在籍する委員は、当該品目の選定に係る議決には参加してはならないとされております。所属学会について確認させていただいたところ、木村先生が日本外傷学会代表理事であり、また日本救急医学会の理事を務めていらっしゃいました。両学会から、資料1-1腹部開放創用ドレッシングキットの要望を頂戴しておりますので、木村先生には、資料1-1に関しての御議論には参加いただけますが、議決には御参加いただけません。
 それでは、早速ではありますが最初に、西田先生から資料1-1の御説明をお願いしたいと思います。
○西田参考人 ワーキンググループから4品目提案させていただきます。資料1-1を御覧ください。最初の2品目はほぼ効能・効果は同じで、「腹部開放創用ドレッシングキット」です。製品名はRENASYS-ABとABThera OAです。要望学会は先ほど御紹介ありましたように、日本外傷学会と日本救急医学会です。これはどういう場合に使うかというと、外傷あるいは大動脈瘤の破裂、あるいは感染等で腹部の手術をやった場合、一時的に腹部閉鎖を強制的にやると多臓器不全を起こす場合があります。そういう場合に一時的に開放創でメンテナンスをするのですが、従来はvacuum pack法という方法で、私自身も現役時代やってきましたけれども、それをパッケージとしてできた製品で、非常に優れた製品です。
 機器の種類は下の真ん中ぐらいに書いています、本品1と本品2というところです。医療上の有用性に関しては、先ほど申しましたように、現在我々は手作りでvacuum pack法といって、例えば腎と透析バッグを使いながら何とかしのいでいる状況ですので、代替えが全くないかと言われると必ずしもそうではありません。ただ、後で述べますように、こちらのほうが効能・効果がいい可能性が非常に高いということがあります。2番目には、疾患の重篤度が非常に高い死亡率を持ちます。20%という報告もありますし、臓器不全に至っては非常に高いです。どういう場合に使うかというと、先ほど述べましたように、医療上の有用性に関するコメントを読んでいただければ有り難いですけれども、腹部創が一時的に閉鎖できない、あるいは無理に閉鎖すると腎不全であったり肝不全だったり腸管不全を起こすような場合に開放創として創をメンテナンスするものです。
 エビデンスに関しては、どちらも前向きのランダマイズドコントロールスタディはありません。観察研究です。RENASYS-ABはスモールサイズの検討があって、非劣性の結果が出ておりますし、ABTheraは比較的3桁の数字の前向きのコホートスタディがあって、これはvacuum packに比べて有用性が高い、つまりアウトカムが非常にいいというデータが出ております。
 次のページの、疾患の重篤性に関しては非常に重篤な場合にこういう手術が必要になってきますので、重篤度が非常に高いです。
 海外の状況は、3ページの下ですが、2011年に米国では510(k)を取得していますし、同じ年に欧州でもCEマークを取得されて承認されている状況です。どちらの製品も基本的には欧米で承認されている状況です。
 この製品はまだ日本では未承認の製品ですので、使い方、その他の指導に関しては4ページの真ん中、その他のコメントですが、これはやはり学会等から周知し、臨床成績がまだ全く日本ではありませんので、そのフォローをする必要があると思いますが、これまで手作りでそれぞれの術者がやってきた手法よりはより安定した成績が得られるものとして、我々ワーキンググループとしては是非前向きに検討していただくようにお願いしたいということです。以上、私のところは終わりまして、引き続き、超音波、ビーズのところを久津見委員からお願いします。
○久津見参考人 久津見でございます。第2番目の品目、「超音波内視鏡下瘻孔ドレナージ用ステント(No.27-7)」です。要望学会は、日本消化器内視鏡学会です。本邦では未承認の医療機器となります。対象疾患としましては、ドレナージが必要な急性膵炎に伴う局所合併症としての嚢胞になります。そういう患者さんに対して、消化管と嚢胞腔内に人工的な瘻孔を形成させるようなステントになります。機器の概要ですが、写真にありますように、フランジと言って外側に太鼓状の出っ張りが出た長さ1cmのフルカバーのステントになります。これを超音波内視鏡下に胃の中から、主には胃になりますけれど、胃から嚢胞に対して留置をするというものです。サイズとしては、10mm.径のものと15mm.径のものがあります。従来から急性膵炎に伴う嚢胞に対しては、内視鏡下のドレナージというものが標準治療としてガイドラインに載っているものです。超音波内視鏡下の手技としては、一昨年保険収載もされていますが、現状それに使うための道具が承認されたものがないということで、経乳頭的な胆道用のドレナージ用のデバイスが適応外使用されているというのが現状です。
 本品はそういう超音波内視鏡下の専用の処置具としての品目です。従来はそのような胆道用のものを使っていたため、複数のドレナージチューブを留置したり、ドレナージを行う際に、道具を何回も入れ換えて処置に工夫を要していたというところがありますが、本品は先端に高周波の通電メスが付いており、一期的に留置操作が可能というものです。本品についての臨床成績は、仮性嚢胞を対象に30例実施した海外成績がありまして、技術成功率は100%、臨床的有効率は83.3%という報告があります。有害事象としては18件報告されています。内容としては、抜去時の出血及び蜂巣炎が2件ありますが、その他は重篤のものはありません。以上のことから、治療法としては期待できるという観点で、医療上の有用性は「イ」という判断になります。
 疾患の重篤性に関しては、急性膵炎全てがこのようなドレナージが必要な状態になるわけではないのですが、およそ10%から20%に嚢胞の合併症を伴うとされています。その中でも壊死性膵炎に至ると死亡率が50%に上昇します。そこに多臓器不全が合併しますと70%の死亡率になるということで、重篤性は「ア」と判断しております。
 次のページは海外の状況ですが、米国では510(k)を2015年12月に取得しております。適応としては、胃や腸管と嚢胞が密着し嚢胞サイズが6cm以上の症候性の仮性嚢胞、又は6cm以上の被包化壊死ということになっています。欧州ではCEマークを2013年4月に取得しています。欧州の適応としては、膵仮性嚢胞だけではなく、胆管や胆嚢のドレナージも適応となっています。
 その他、必要と思われる事項ですが、関連学会の連携の上に、研修・トレーニング等を含めた本品の適正使用のための指針を策定する必要はあると考えられます。抜去に関してはまだエビデンスが少ないので、抜去のタイミングとか脱落等の対応なども含めて検討する必要があると考えます。また、本品を使用した治療成績は比較的まだまだ新しい手技ですので、治療成績が技術者の技術に依存するということから、実施施設、実施医の拡大は慎重に行う必要があり、市販後にはデータの集積が必要と考えます。
 次の品目は、「放射性ビーズ(No.28-2)」です。本品も本邦では未承認の医療機器になります。要望学会は日本インターベンショナルラジオロジー学会。対象疾患及び使用目的は、外科手術、ラジオ波凝固療法などのアブレーション治療や血管塞栓療法、化学療法、放射線療法などの標準的治療が不適・不能の肝臓の悪性腫瘍に対して血管撮影の技術を用いて、血管内に注入して、局所をβ線照射することにより、がんを死滅させるというようなものです。
 製品の概要です。本品はYttrium-90を含むマイクロスフィアで、粒子の大きさは20~60μmです。β線ですので体内での平均照射距離は2.5mm.という短い照射距離です。半減期は64時間となっています。これを血管内のカテーテルから肝臓の腫瘍へ注入するものです。
 次のページですが、これは少々非常に複雑ですので、ゆっくりと説明させていただきます。2段落目からですが、肝悪性腫瘍の治療法に対しては、主に外科治療をはじめ、ラジオ波照射やTACEとか、7種類もう既にありまして、ほぼ手技としては確立しているものの、いまだそれに対して不応な患者さんもいるのは確かです。本品は腫瘍に対して取り込まれたマイクロスフィアから腫瘍に対する局所放射線療法を行うもので、新しい概念のものです。ただ、治療の概念としては、TACEとよく似たものですけれども、TACEは肝動脈の動脈塞栓を行うという概念のもので、門脈塞栓を有している患者さんには、動脈も門脈も血流が途絶えてしまいますので、禁忌となっています。それに対して、本品は門脈塞栓のある患者さんにも使える可能性があるという特徴があります。ただし、本品が有効に作用するためには、腫瘍を栄養する動脈が正常部に比べ豊富である必要であるということです。つまり腫瘍よりも正常部分への放射線照射量が多くなることが想定される患者さんには使えないというものです。対象患者は既存の治療法が不適、あるいは不応の症例ですけれども、そういう点で血流の点を十分考慮して検討する必要があります。
 米国では本品の適応は2002年の承認時に実施した治験の内容を反映しており、大腸がんの肝転移の適応が510(k)では取られておりますが、原発性肝がんに対しても各種保険の償還を受けているというのが現実です。また、欧州では本品がTACEと同様に塞栓効果を有すると本来考えられていたことから、門脈閉塞を有する症例は禁忌とされていましたが、本品に大きな血管での動脈塞栓効果がないということが明らかになり、門脈血栓を有する症例にも使用されているという実績があります。
 文献上ですが、外科切除、肝移植、放射線などや、血管塞栓の適応外とされた肝細胞がんに対して、本品を投与した24例の検討においては、評価可能な21例のうち20例においてサイズの縮小が認められています。それと、もう1つの文献では切除不能な肝がんに対する45例の検討で、評価可能な40例に対して、30例に腫瘍縮小が認められています。予後に関する有効性の評価としては、平均生存期間が標準療法では6か月のところが、27.7か月、3年生存率も標準療法が0~5%のところが、26%というように有効であったということです。
 有害事象に関しては死亡などの重篤のものはなかったということです。もう1つの文献ですが、外科切除不能な門脈塞栓を有する肝臓細胞がんの25例を対象とした検討では、平均生存期間がよかったという報告があります。
 動静脈シャントが存在する場合がある場合には、本品が使えないという欠点があります。動静脈シャントがあると本品を注入した途端に肝静脈から肺のほうにいってしまいますので、肺に本品が詰まってしまうということです。肺の毛細血管に詰まるということので、本品を使用する前に、シャントを評価する必要があり、テクネチウム99を肝動脈に投与して、シンチでシャント率を測定し、シャント率が20%を超えるものは本品は使えないという特色があるということです。
 ワーキンググループとしての重篤性に対するコメントですが、重篤性としては、やはり不応な患者に対しては、ほかに手がないとして重篤ということで、「ア」という判断をしております。
 海外の状況ですが、米国では治験が行われて2002年に承認されていますが、先ほど述べたように、大腸がんを対象にしていますので、大腸がんがPMAで承認されています。保険上は肝細胞がんにも使われているのが現状です。欧州はCEマーキングを2002年に取られています。適応としては、切除不能な進行性肝がんです。その他、カナダ、オーストラリアでは承認を得ています。
 その他、留意事項です。本品は今述べましたように非常に特殊なもので、やはり施設基準、実施の基準が必要であろうということ。適切な学会によるガイドラインの策定も必要であると考えております。また、法規制の問題があり、本品は放射性同位元素であり、本品を使う場所としては、カテーテル室が想定されますので、カテーテル室の整備、法整備を含めた整備が必要であろうということ。もう1つは、使用前に肺へのシャント率を測定する必要がありますので、現在、テクネチウム99は静脈投与での保険承認となっています。これを動脈投与の承認も得る必要があるということです。後は適応疾患としては、門脈塞栓があるものが、海外でも公式には適応外となっていますが、現状としてはそういうものにも有効である。むしろ有効性はそういうものにこそあるという点が1つ上げられるということを理解した上で、治験に取り組む必要があるのではないかという意見でした。結論として、ワーキンググループとしては本品を、「可」とする結論をいたしております。以上です。
○事務局 久津見先生、ありがとうございました。それでは1-1、1-2、1-3について質疑応答と議決を、1品目ずつお願いしたいと思います。
○今野座長 消化器、泌尿器、産婦人科領域ワーキングで「可」とされた3品ですが、いずれも消化器の関連です。まず1-1の「腹部開放創用ドレッシングキット」についての御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木(康)委員 1-1でお伺いしたいのは、これは腹壁が欠損したような症例にも使えるものと考えていいのでしょうか。欠損というか、一部欠損している。例えば、いろいろな疾患で壊死に陥ったり、腫瘍が浸潤したりということで腹壁が足りなくて閉められないということがよくあるのです。その際に一時的にこの器具を使用して、肉芽が上がってくるまで待ってそれを閉めるということができるのかどうか。
○西田参考人 これを私自身が使ったことがあるわけではないので、正確ではないのですけれども、一時的なトランジットのブリッジの治療としては使えると聞いております。例えば次に筋皮弁を持ってくるとか、その前のコントロールとしてこれを置くのは可能と考えます。
○佐藤委員 参考までにお聞きしたいのですが、1-1の治療対象患者数で、重症を含む外傷発生頻度が年間800件、ダメージコントロール手術数が年間100症例とあります。このような機器は救急の医療施設に常設というか、常備しておくようなものなのでしょうか。
○西田参考人 私のイメージとしては、救急の医療施設といっても三次から一次までいろいろあります。三次のような非常に重篤な患者が来る所であれば常設すればいいでしょうし、そうでない所に関してはその使用頻度はそうたくさんないと思いますので、病院経営で考えていただくのが妥当ではないかと思います。
○今野座長 救急においては、実際に同類のものが使われているわけですから利便性があるということだと思います。いかがでしょうか。それでは今の御意見、御質問等も踏まえた上で、特に御異議ということではないように思いますので、議決に入らせていただきます。腹部開放創用ドレッシングキットを、早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 それでは、御異議がないということで議決させていただきます。ありがとうございました。
 続いて、久津見先生から御説明のあった1-2、「超音波内視鏡下瘻孔ドレナージ用ステント」についての御意見、御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。特に御質問等はありませんか。御質問がなければ御異議がないと判断することになりますが、よろしいでしょうか。症例自体、実際にはかなり限定されますか。
○久津見参考人 かなり限定されると思います。
○村垣副座長 確認します。先生は御説明のときに30名の臨床試験の結果をお話されたのですが、それは14ページにあるこの試験結果のことをおっしゃったのでしょうか。
○久津見参考人 どの資料でしょうか。
○村垣副座長 別添様式1の14ページです。ステントに関して30名の試験のことをおっしゃっていましたね。この資料の次のページで、成績はまだ未発表、未公表とあるのです。
○久津見参考人 この資料のときはまだ出てなかったのですが、その後に発表されました。
○村垣副座長 了解しました。
○今野座長 それでは御異議がないと判断させていただきますので、超音波内視鏡下瘻孔ドレナージ用ステントについて、早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 それでは議決させていただきます。ありがとうございました。
 続いて1-3、「放射性ビーズ」です。これは久津見先生がかなり詳細に御説明されたことから、ワーキングではかなりディスカッションがあったことが推察されます。是非、御意見、御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○澤委員 私は全くの門外漢ですが、門脈閉塞には適応外だけれども、当該品目はそれに非常に有効であるというお話がありました。行政上の問題だと思いますが、日本で導入する場合、「門脈閉塞は適応外」としているのを外していくものなのでしょうか。
○久津見参考人 本品は実績がありませんので、どうしても治験を行うと聞いております。その治験の中で、そういうところをきちんと評価するようなデザインを組んでいただくことになってくると思うのです。ワーキングでディスカッションをしたのは、実はそこがあります。どういう患者が最もより適応かと言いますと、やはり要望者の先生からは、今まで手が出せなかった門脈塞栓の患者であるとはっきり言われますので、それであればそういうものを対象とした治験になるかと思いますが、そこはこの先の話になろうかと思います。
○澤委員 これを拝見すると、文献としてはかなり報告がありますね。文献的考察を基に適応として認められればいいのかなとは思います。
○久津見参考人 そうですね。そうしていただくと、現場としてはすごく有り難い可能性があります。
○今野座長 ポジティブな御意見を頂きましてありがとうございました。ほかにいかがでしょう。御意見はありますか。
○佐藤委員 有用性のところで、既存の治療法がないということで、治療の選択肢を与えるものとして期待できると考え、「ア」と判断しておりますね。一方で、エビデンスとしては十分に確立されてないと。ワーキンググループのコンセンサスの面でお聞きしたいのですが、エビデンスが確立してなくても、ほかに選択肢がないので期待されるということで有用性を「ア」とすることに関して、ワーキンググループの中では何か議論はありましたか。
○久津見参考人 有用性に関しては、今までほかに手立てがなくてニーズがあるという意味合いで判断するというのがよろしいかと、私は認識しておりますし、ワーキングも同じ認識だと思います。一方で医療上というか、疾患の重篤性というところで、実は議論がありました。そこに関しては元の疾患が悪性腫瘍というところでは、腫瘍の一連の疾患の流れの中で、いつかは最終的に重篤な時期がくるという点を捉えると、「イ」という判断というのも議論されました。ただ、その患者の予後などを総合的に判断して、「ア」と判断される時期と言いますか、疾患の状態ということで「ア」と判断されたということです。ちょっと抽象的になりますが。
○今野座長 よく分かります。
○中谷委員 その他で書かれてあることですが、放射性元素をカテーテル室で用いるというように、割とさらりと書かれてあるのです。しかし、これは結構大変だと思うのです。というのはRIを使った検査で、昔EFとかを運動付加検査などで使おうと思っても、そこがすごく壁になっていて、結局世界ではルーチンになっているものが日本では行えませんでした。それより変わったという状況ではないと思いますので、ここはかなり大きなバリアだと思うのです。だから、もっとここを強く「必要である」ということも含めてやらないと、ここでは「ニーズは高い」と言っても良いという気はするのです。
○今野座長 とても大切なことだと思いますが、いかがですか。何かコメントはありますか。
○久津見参考人 それはもちろんワーキングの議論になりましたけれども、ワーキングとしては、ニーズとしてはあるということで挙げさせていただいております。あとは行政と話合いをしながら、本品の開発を進めていくことになると思います。
○今野座長 では行政側から。
○再生医療等製品審査管理室長 厚生労働省です。現在、放射線各種を扱う規制として、障防法と医療法とがそれぞれあります。今回の製品のようなものを治験に供するという段階では、放射性物質の規制について考えなければいけないということで、担当している部局と現在協議をしている段階です。
○今野座長 門脈塞栓を合併した患者を何とかしたいということはよく分かりますが、シャントの問題とか、動脈が主体であることが担保されなければいけないとか、ハンドリングが非常に難しいことは確かです。それゆえ、久津見先生が最後に、ガイドラインや施設要件等を限定することを要件にという説明になったと思います。今のところ御発言の中には否定的な御発言はないように思いますが、ほかに忌憚のない御意見をどうぞ。よろしいでしょうか。では、いろいろ規制をしっかりやっていくという前提で、放射性ビーズについて早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 それでは、そのように選定させていただくことにします。ありがとうございました。それでは、また事務局に進行をお返しします。
○事務局 次に水上先生に、資料1-4から資料1-6の説明をお願いしたいと思います。
○水上参考人 循環器、呼吸器ワーキングからは、4品目における評価結果を説明させていただきます。まず資料1-4、「フォンタン開窓閉鎖デバイス」について説明いたします。AMPLATZER Septal Occluderは、日本小児循環器学会よりサイズバリエーションの追加を含む適応追加が要望された品目です。対象疾患及び使用目的は、先天性心疾患である単心室に対する機能的修復術(フォンタン手術)の際に作成された開窓を、後日閉鎖する場合に使用することとしています。本品は現在、二次孔型心房中隔欠損に限定した適応で承認されており、最小ウェスト径が6mmとなっていますけれども、今回、開窓閉鎖への適応拡大及びウェスト径の更に小さい4mmと5mmの製品の追加が要望されています。
 まず、医療上の有用性についてです。フォンタン手術は、上大静脈と下大静脈を右心系を経由することなく、直接肺動脈に吻合する手術です。しかし肺動脈の圧が高い、肺血管抵抗が高い場合には、肺に血液が流れず血行動態が成立しないので、始めから圧を逃がす目的で心外導管に小さな孔を開けておいて、静脈血の一部を心房に流します。ただし、この開窓を長期間残しておくと右左シャントによるチアノーゼが残ってしまい、遠隔期に脳梗塞の原因となる可能性があるため、術後、一定期間が経過すると外科的に閉鎖しています。しかし手術を行う場合に開胸が必要で、患者への侵襲が大きくなること、癒着があるために手術時間が長くなること、出血が多くなることが問題点となっています。本品を用いたカテーテル治療による開窓閉鎖が可能となれば、患者への侵襲が小さくなり、入院期間も短縮できることから、患者が受ける恩恵は大きいと考えております。
 有効性・安全性を示す臨床データとしては、米国のPMA承認時の臨床データが存在しており、開窓部の閉鎖は全例で成功、有害事象も死亡が0件、脳梗塞等の重篤な合併症も4.2%と少ないので、本品は当該適応に対して有効な治療手段であると考えております。以上より、本品の有効性・安全性は一定程度示されていると考えられるので、医療上の有用性は「イ」に該当すると判断いたしました。
 次に疾患の重篤性についてです。長期にわたって開窓が残っているとチアノーゼが持続するため、運動耐容能の低下、成長・発育に影響を及ぼす可能性があります。中長期的には低酸素性腎症等の不可逆性の臓器障害を来し、奇異性脳梗塞の危険性が報告されています。以上より、適応疾患は病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患と考えられることから、適応疾患の重篤性は「イ」に該当すると判断しております。
 なお、本品の海外における承認状況としては、米国で2001年にPMA、欧州で1998年にCEマークを取得しており、適応は二次孔型心房中隔欠損の閉鎖であり、フォンタン開窓部の閉鎖を必要とする患者に対する使用も適応とされています。
 また、今後必要とされる事項については、心房中隔欠損に対する本品の使用に関しては、既に施設基準、医師基準が策定されておりますので、フォンタン開窓部の閉鎖に関しても同様に、関連学会と協力して施設基準、医師基準の策定の実施が必要と考えております。製造販売後調査も必要と考えております。
 次に資料1-5と1-6、2種類の「動脈管閉鎖デバイス」です。これは使用目的が同じでサイズ違いなので、一緒に説明させていただきます。Amplatzer Duct OccluderⅡ及びAmplatzer Duct OccluderⅡ Additional Sizesは、日本小児循環器学会より未承認医療機器として開発要請が要望されております。対象疾患は動脈管開存症です。両者の違いは、適応とされるサイズであり、Duct OccluderⅡは動脈管の長さが12mm未満で、最小径が5.5mm、Duct OccluderⅡ Additional Sizesは長さが8mmで、最小径が4mm未満の小さいものとされています。本品は形状記憶合金のワイヤー形成されたデバイスで、大動脈側と動脈管側のそれぞれに脱落防止用の突出があって、経動静脈のどちらからも留置可能な構造になっています。ディスク径とウェスト径にバリエーションがあるので、動脈管の形態に合わせて適切なサイズを選択するようになっています。
 医療上の有用性についてですが、動脈管開存症の治療法には現在、外科的に結紮、クリッピングなどの術式があります。ただし縦隔炎などの感染症、肺損傷、大血管損傷等の合併症が起こる可能性があります。また、カテーテル治療としては既存の動脈管開存閉鎖デバイス、ADO又はコイルの閉鎖術があって、未熟児動脈管開存を除いて多くの症例でカテーテル治療が選択され、一定の有効性及び安全性が確立されています。
 しかしながら、既存のデバイスではサイズや形状の問題があります。資料の最初にKrichenko分類というAからEまでの絵が出ているかと思います。C、D、Eに関しては留置後のデバイスの脱落や大動脈に突出するなどの理由で、カテーテルで閉鎖ができない症例も多いので、そのような症例に関しては現在も開胸による外科的手術が行われています。本品には両端にディスクがあるので、既存品では閉鎖が困難とされるC、D、Eに対しても脱落のリスクが軽減されること、また、ディスクのサイズが既存のADOと比較すると小さいので、大動脈突出のリスクが軽減されます。とりわけDuct OccluderⅡ Additional Sizesは、両端のディスク径が最小で4mmと非常に小さいので、特に大動脈側に突出してしまうと大動脈の縮窄を形成してしまうような、大動脈径の細い小児や乳児期早期の赤ちゃんに適応が考慮されると考えています。
 有効性・安全性を示す臨床データとしては、Duct OccluderⅡによる動脈管開存症(PDA)を対象とした米国臨床試験が行われており、留置成功92.7%、不具合や有害事象としてはデバイスの脱落が1例、洞性頻脈が1例、残存短絡が1例で、重篤な合併症は見られなかったと報告されています。別の報告でも、27例を対象とした本品による動脈管開存症治療では留置成功が100%、合併症や死亡もなかったと報告されています。一方、Duct OccluderⅡ Additional Sizesに関しては、PDA59例を対象とした臨床研究があって、留置成功が96.6%、重篤な合併症が認められていないということが報告されております。以上より、本品の有効性・安全性は一定程度示されていると考えられることから、医療上の有用性は「イ」に該当すると判断いたしました。
 疾患の重篤性についてですが、乳児期に心不全を生じたPDAは、早期に閉鎖することが望ましく、心不全がなくても肺高血圧のあるPDAでは1、2歳までに閉鎖することが望ましいとされております。肺高血圧を合併しない場合でも適当な年齢、小学校に入る前くらいまでに、手術又はカテーテル治療により閉鎖しているというのが現状です。4歳以降になると、Eisenmenger症候群になることがあります。そのような患者に閉鎖術を行うと、死亡してしまうということも報告されております。以上より、適応疾患は病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患と考えられることから、適応疾患の重篤性は「イ」に該当すると判断しております。
 また、本品の海外における承認状況としては、Duct OccluderⅡは米国で2013年にPMA、欧州では2008年にCEマークを取得しており、適応は動脈管開存のカテーテル閉鎖となっています。一方、Duct OccluderⅡ Additional Sizesは、米国での承認はありませんが、欧州で2011年に動脈開存のカテーテル閉鎖という適応でCEマークを取得しております。
 今後必要とされる事項については、既存品のPDA閉鎖セットの使用に関しては、既に施設基準、医師基準等が策定されておりますので、Krichenko分類のC、D、Eの適応に関しても、既存品と同様に関連学会と協力して施設基準、医師基準の策定の実施が必要と考えています。また、ガイドラインの遵守や製造販売後調査の実施も必要と考えております。
○事務局 次に曽我先生から、資料1-7の御説明をお願いいたします。
○曽我参考人 私のほうから御紹介させていただくのは、心房細動に伴う脳塞栓予防の器具、「左心耳閉鎖デバイス」、WATCHMANに関してです。関連学会としては日本不整脈心電学会、日本循環器学会からの要望で御紹介いたします。使用目的については資料1-7の1ページです。非弁膜症性心房細動、CHADS2スコアが2点以上です。CHADS2スコアに関しては下に書いてありますけれども、左心耳に起因する血栓塞栓症のリスクを低減することを目的としています。本品はメッシュ、ナイチノール性の生体構造体が被覆されていて、左心耳の大きさに合わせ、サイズが幾つかあります。経カテーテル的に植え込んで、左心耳の中の血栓ができるのを予防するという機械です。
 医療上の有用性に関するコメントです。非弁膜症性心房細動の血栓塞栓症予防のため、最も一般的な治療法は抗凝固療法ですけれども、出血性の合併症が問題でした。また、左心耳を縫縮するといった外科的手術は、全身麻酔下で開胸を伴うため、侵襲が大きいという問題点がありました。その問題点をクリアすべく、こういった製品が開発されたということです。
 2ページにありますように、幾つか報告されております。ワルファリンの長期服用が可能な、CHADS2スコア2点以上が基本的に抗凝固療法で飲んだほうがよい、CHADS2スコア0点の患者は、必ずしも飲む必要はないということですけれども、できれば飲んだほうがいい1点以上の患者701名を対象とした試験において、ワルファリンと同等の非劣性が示されたこと、あるいはPREVAIL試験の結果もそこに一緒に載せており、ワルファリンを必要とする抗凝固療法の患者に対して、WATCHMANの有効性が期待できるという欧米からの報告があります。有効性に関しては、本品は有効性・安全性が一定程度示されており、新たな治療の選択肢となることが期待され、有用性は「イ」に該当すると判断いたしました。
 続いて重篤性に関してです。非弁膜症性心房細動において、心原性脳梗塞は最も重篤な合併症です。一度発症すると大きな機能障害を引き起こす可能性があり、左心耳の血栓塞栓予防をすることは、患者の大きなリスクを低減することで重要であると判断します。病気の進行性は不可逆で、日常生活に著しい大きな影響を及ぼすと考えられ、疾患の重篤性は「イ」と判断しました。
 欧米の状況ですが、アメリカにおいては2015年3月、欧州においては2005年ということで、10年以上前から既にCEマークを取得され、臨床で指摘されております。御審議、よろしくお願いいたします。
○事務局 次に森兼先生から、資料1-8及び資料1-9の御説明をお願いいたします。
○森兼参考人 資料1-8を御覧ください。選定候補品の一般名称は「マラリア抗原検出試薬」、名称はOptiMAL-ITです。マラリアに関しては先生方もご存じですが、2ページを見てください。本邦のマラリアの報告数は、年間60~70例という状況です。さらに詳しいことが5ページに書いてあります。この疾患は蚊媒介感染症で、世界中で数百万人の患者が毎年出ているという状況です。日本人も含めて世界中の海外渡航者で、毎年数万人の患者が発生していると考えられています。その中で日本人は、年間60人の患者が確認されています。そうしますと、疑いがあって診断を受ける患者も含めますと、その何倍かはいるという状況です。これがマラリアに関係するものです。
 疾患の病態は原虫が感染する病気で、数週間の潜伏期の後に意識障害、急性腎不全、高度黄疸などを来し、場合によっては死亡することもあります。もちろん治療法もあります。マラリアの診断については、従来は顕微鏡でマラリア原虫を検出するという方法で、いわゆる検査キットがない状況でした。そこで、今回の選定品ということになります。6ページを見ていただきますと、上から7行目ぐらいに「既存の治療法」と書いてあります。これが実際の診断方法ということになると思います。ギムザ染色を施した患者末梢血液塗抹検査を鏡検する顕微鏡法が、現在のスタンダードです。
 この問題点としては3つあります。1つは、熟練した技術を要するということ。希少疾患なので、慣れている技師が極めて少ないのです。2つ目に、切創事故などによる血液曝露のリスクがあります。鏡検法はスライドグラスなどの鋭利なものを使いますので、血液曝露のリスクがあります。マラリアが疑われているということは、当然エボラ感染症など、熱帯特有の病気なども鑑別で上がってくるわけですから、そういった面でもリスクがあります。3つ目に、1時間以上の時間を要すること。この3点の欠点があります。そこを乗り越えようというのがこのキットになろうかと思います。
 また1ページに戻ってください。実際のものとしては、いわゆるキットですので、インフルエンザの迅速診断キットなどと同じで、血液の検体を挿入しますと、約20分で結果が得られます。図1、図2と2つあります。図1でPf・P・Cという3つのバンドが出ているのが熱帯熱マラリアとしての診断です。図2はPfがネガティブになっていて、それ以外のPとCが反応しているのが熱帯熱マラリア以外の三日熱とか四日熱とか、ほかのマラリアということです。
 このキットの現状は、海外で既に使われております。2ページの一番下にありますように、海外で年間約1万8,000キットほど販売されているという実績があります。そういったものを使った既存の検査法との比較となりますと、幾つか臨床試験成績があります。7ページの下半分にありますように、ザッと見ていただきますと、熱帯熱マラリアで感度が大体90%、特異度がほぼ100%です。三日熱マラリアだと若干落ちますけれども、似たようなもので感度が80~90%で、特異度も100%近く、既存の検査法と比べても遜色ないと言えるかと思います。しかも先ほどのような3つの欠点を、いずれも克服するものだと思います。これらを踏まえ、ワーキンググループではいろいろな有用性として、既存の診断法はあるけれども、それが3つの欠点を持っていて、これらを乗り越えるということで有用性は「イ」という評価をしております。
 疾患の重篤性については、マラリアとしてということになるのでしょうけれども、生命に重大な影響がある疾患ですので「ア」という評価をしております。総じて体外診断用医薬品の厚生労働研究班からの要望に関しては、「可とする」という評価にしております。
 ただ、導入に関しては1点あります。やはりまだ既存の診断法の補助診断という位置付けでスタートすべきと考えておりますので、既存の方法、すなわち末梢血液塗抹標本の鏡検が実施できる医療機関で行われるのが望ましいという付帯条件を付けております。これについても是非、こちらででも御意見を頂ければと思います。委員の中では、むしろそういう制限を付けないで、鏡検ができない施設ほどこれが必要ではないかといった意見も出る一方で、やはり年間60人しかいない患者なので、大抵の場合はこういったことができる施設に患者が集まるはずだから、こういう付帯条件を付けてもいいのではないかという異なった意見が出ております。ですから、その辺りに関しても先生方の御意見を頂きたいと思います。
 次に資料1-9です。こちらも体外診断用医薬品、いわゆる検査試薬です。一般名称は「NUDT15遺伝子R139C多型検査キット」です。これは開発要請ということで、要望学会は日本消化器病学会です。対象疾患は炎症性腸疾患です。炎症性腸疾患に関しては先生方もよくご存じのとおり、我が国の首相も罹患している非常に有名な病気です。2ページを見ていただきますと、疾患負荷としては国内で21万人です。難病指定に登録されていることもあり、20万人を超えているという状況が把握されております。しかも年間1万人を超えるペースで増加しているという、非常に重大な疾患です。慢性の腸炎症状、腹痛、下痢、血便などに一生悩まされるという非常に気の毒な病気です。
 これは治りませんので、維持療法が大変重要です。維持療法の現状は12ページに資料がありますので、詳しくはそちらを参照していただければと思います。5ASA、チオプリン製剤、抗TNFα抗体という主に3種類の治療法があります。問題は価格です。1か月当たりの薬価にしますと、圧倒的に高いのが抗TNFα抗体、逆に圧倒的に安いのがチオプリン製剤です。そうしますと、非常に大きな負荷の疾患に対して多く使われるのがチオプリン製剤ということで、安価で有効性が高いということが言えるかと思います。
 2ページに戻っていただきますと、チオプリン製剤の問題点について記載されております。一番下のほうに表があるのですが、そこに書いてある脱毛と白血球減少症という2つが、薬剤の大きな副作用ということになるかと思います。この脱毛や白血球減少は誰にでも起こるわけではなく、ある程度予測ができることが分かってきております。その1つが今回、検査をしようというR139Cの遺伝子型です。これにはホモとヘテロがあり、ホモの場合、遺伝子産物がシステインに置換されますので、システイン・システイン(T/T)というホモ型の患者の場合は、脱毛と白血球減少が必発するということが、もう既に様々な研究から分かってきております。脱毛は特に女性の場合ですと、かなり日常生活に大きな問題を来します。男性もそれなりに問題を来すかと思うのです。さらに白血球減少ですと、場合によっては死に至ることもあります。これらが予測可能ですと、この遺伝子を事前に検査しておくことが有意義かと考えられます。ほかにこういった診断法が存在しませんので、ワーキンググループとしては当然ながら、医療上の有用性は「ア」と判断しております。
 疾患の重篤性ですが、炎症性腸疾患に関しては今お話したように、当然維持療法で十分日常生活が送れるものですから、もちろん致死的な疾患ではないわけです。ただし、日常生活に様々な影響を及ぼし得るということで、疾患の重篤性に関しては「ウ」と判断しております。結論的にワーキンググループとしては、こういった検査法を前へ進めていくことで「可」とさせていただきました。
○事務局 森兼先生ありがとうございました。それでは、質疑応答、議決をお願いいたします。
○今野座長 ただいまの循環器、呼吸器領域のワーキングの水上先生から3品目、曽我先生から1品目、臨床検査領域からは森兼先生から2品目の御説明がありました。それでは、資料1-4「フォンタン開窓閉鎖デバイス」について御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木(康)委員 質問なのですが、このデバイスは取り出すものではないのですよね。ということは、単純レントゲンを撮れば写るということで。
○水上参考人 はい。写ります。
○鈴木(康)委員 そうなると、少し危惧するのは、単純レントゲンで写った、金属がある、ではMRIができない、となる可能性があって、特に小児の場合には生存期間が長いですから。これは実際にはMRIを撮ることができるものと考えていいのでしょうか。
○水上参考人 一定期間経過しますと内膜が張りますので、レントゲンには写ってしまいますが、それで動いてしまうということはないかと思います。
○鈴木(康)委員 そうですか。この例だけで言うべきではないのですが、臨床現場で金属が写ってしまうと、入れた経過とその成分を調べる必要が出てくる。しかし、入れた経緯はわかってもMRIが可能な成分か否かはわかることは希です。小児の場合には、この人が、60、70歳になったときに脳梗塞などになって、ではMRIを撮りましょうというときに、何か昔入れたというのでレントゲンを撮ると金属がある、では駄目だということになる可能性があって、この症例だけではないのですが、金属を入れるときにMRIを撮れる金属かどうかというのを後からレントゲンを撮っても分かるような仕組みというのはあったほうがいいなというのは普段考えていることです。この症例だけではないので先生をあれするわけではないのですが、少しその辺りのことを機械メーカーの方などに検討いただければと思うのです。単なる意見です。
○今野座長 すごく大切な点だと思います。どうですか、どなたか答えていただけますか。先生はMRIに関して分かりますか。
○水上参考人 ごめんなさい。現在も心房中隔欠損の患者さんには使用しておりますので、フォンタンの患者さんだけASDの人とは違うということはないかと思いますが。
○今野座長 特に日常診療では問題なく撮像されているという理解でよろしいのですか。
○水上参考人 はい。
○今野座長 理屈がよく分からないと納得しきれないところもありますが、臨床では実際に検査が行われているということですよね。
○水上参考人 はい。
○今野座長 何かコメントできますか。
○事務局 本品のMRIの適合性については、今、心房中隔欠損の閉鎖術に使われているのですが、それの承認時には確認されていないのですが、現時点の審査を行う際には、こういう血管内に長期に埋め込むものに関してはMRI適合性については必ず審査の中で見ているので、それについては審査が適合しているものは適合ですし、適合していない場合には、それをきちんと情報提供するような形で対応しておりますので、基本的には大丈夫かと思います。
 それと、現在、心房中隔欠損のほうの閉鎖デバイスで使われていて、MRI適合性について問題があるという情報は上がってきておりませんので、恐らく適合性についても問題ないのではないかと考えています。
○鈴木(康)委員 ありがとうございます。恐らく問題ないのだというのは頭では分かるのですが、実際の臨床の場で金属を認めてしまったら、大丈夫だという確証はないですよね。特に、何でこれを今、私が言わせていただいたかというと、小児の場合にはこれだけ良い手術をした場合に、恐らくその後長らく生きますよね。30年前に入れたものが果たしてMRIを撮って大丈夫なのかというのを分からないと臨床現場では撮れないのです。ですから、何年後でも、例えば単純写真を撮ったらOKと出るとか、何か印を付けることができると良いと思います。患者さんやご家族はいちいち覚えている方はいらっしゃらないですから。そうすると、臨床現場ではそれを撮れないのです。例えばMRIでなければ分からない疾患になった場合に診断精度が落ちてくるということがあるので、是非ともそういうことを御検討いただけたらと。
 言い方は悪いですが、予後の短い80、90歳の方に入れるデバイスではないのです。小児は予後が長いですから、そこも御検討いただきたい。実際に臨床現場では2年前に入れた金属がMRIを撮れるかどうかが分からないから、安全管理者や技師さんから「やめてください」と言われるのです。単純レントゲンなどで、「これは大丈夫」と分かるような仕組みを作っていただけたらということです。
○今野座長 重要な御指摘をいただきました。ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 今のお話は多分、各デバイスごとにやっていくと、添付文書でいろいろやっていくのですが、結局どれが一体あれなのだとなるので、どちらかというとMRI検査全般の注意事項としてどう考えていくのかということで、特に気を付けなければいけないデバイスがもしあれば、それをMRI検査をやる方々に情報提供するような形も考えないと。多分、1個1個のデバイスは、PMDAからお話いただきましたように結構細かく見ているのですが、実際に時間もずれるので、ではそれがあったからといっても、実際それが適応になるような何十年も先の話のときにはあれなので、どちらかと言えばMRI検査全般の注意事項で、特に気を付けなければいけないデバイスが何かとか、そういうものを少しやらないと、多分、今の先生の話はなかなか解決しにくいのではないかという気はいたします。
○鈴木(康)委員 ですからこの厚労省の会議で申し上げたので、それこそ国でこういう基準などを作っていただければいいかなと思った次第です。
○今野座長 ありがとうございます。基準設定と、それから、経年的な情報不足という点もありますので、その辺りも含めた配慮を、ということだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 はい。
○村垣副座長 先生、こちらのDuct OccluderⅡのAdditional Sizesのほうですよね。こちらはFDAにはまだ承認されていないというので、その御事情はご存じでしょうか。企業側がしていないのか、何か特別な理由があるのか、あるいは数が出ないとか、サイズがこういったものはアメリカで必要ないのか、その辺りはいかがでしょうか。
○水上参考人 申し訳ありません。そちらの事情の詳細は存じ上げておりません。
○今野座長 よろしいですか。何か追加であれば。
○村垣副座長 企業で確認していただければ。
○今野座長 では、確認していただくということですね。ありがとうございます。ほかにはありませんか。よろしいですか。
 それでは議決をしたいと思います。この今の品目について早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。特に御異議はありませんか。
 ありがとうございます。では議決したものとさせていただきます。
 続いて、資料1-5「動脈管閉鎖デバイス」についての御意見、御質問をお願いします。いかがでしょうか。
 別サイズなものは既に認められているがということですが、いかがでしょうか。
 
○中谷委員 これは必要だということで問題ないと思うのですが、最後に少しだけ気になったのは、ガイドラインの作成の必要性はないとしている点です。必要性はないと思うのですが、完全に不要と言い切っていいのかは懸念されます。というのは、これにはこのデバイスを使う、これにはこれを使うというような形の改定というか、追加というか、そういうものはされると思うのですが、それをしてくださいということぐらいは書いておくものではないかと思うのです。
○今野座長 御意見はありますか。
○水上参考人 新しいデバイスが出たときには適宜ガイドラインの改定を行われておりますので、その際には適応をしっかり決めていただくよう、学会には依頼したいと思います。
○今野座長 いりますよね。
○水上参考人 はい。
○今野座長 多分そうだと思います。これも大切な点です。ほかによろしいでしょうか。
○再生医療等製品審査管理室長 今の中谷委員からのコメントですが、要望書のほうで、ガイドラインの作成の必要はないという形で書いてありますが、ワーキンググループの結果、例えば資料1-6の3などを見ていただけると、施設基準、医師基準の策定は必要と考えると。さらに、その学会ガイドラインの遵守、市販後調査も必要と考えるというような結論にワーキンググループではなっております。
○今野座長 やはり、なるべくきめ細かい対応を行うことが患者さんに資すると思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、この2つをまとめて選定品目として選定してよろしいかということでお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御異議はありませんか。
 ありがとうございます。では議決させていただきます。選定品目とさせていただきます。
 続いて資料1-7「左心耳閉鎖デバイス」について御質問、御意見を。では、村田先生からの御意見から。
○村田委員 この米国の使用目的とすることで可とするという記載があって、そこがワルファリン療法に適していると判断するという。ですから、この中身を読むと、このデバイスはワルファリンの代わりに使うのだということなのですが、それにもかかわらず、ワルファリンを使える患者でやろうということに限っていると。これはどういう魂胆なのでしょうか。
○曽我参考人 抗凝固療法に適しているという意味です。その適応があるということです。
○村田委員 そういうレベルというか、これはCHADS2スコアでやっていますが、その範囲に限定して、つまり、例えばこのデバイスが使えなくなったら、その患者はワルファリンで代用できるという考えもバックにあるのですか。
○曽我参考人 いいえ。基本的には薬を飲むだけのほうが侵襲度が低いので、積極的にWATCHMANを入れるという理解ではなくて、抗凝固療法の適応がある、要するに脳梗塞のリスクが低い人にこういうものを入れるのではなくて、リスクの高い人に入れるのですが、ワルファリンを継続するのが難しい、例えば出血性のイベントがある、消化管出血のイベントがある、高齢者である、腎機能障害がある、なかなか血中濃度が合わせられないといったようなリスクの患者さんに対してこういったものが代替えとして使えるというような説明です。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○佐藤委員 ワーキンググループの座長をやっていたものですので補足なのですが、御指摘のところは資料の3ページの「結論」の「米国の使用目的」という所で黒ポツで3項目挙げているところなのです。確かにこれは、実は私も事務局に確認したのですが、英文をそのまま日本文に訳した形なのですが、ちょっと分かりづらいところがありますので、これをもう少し具体的に誤解のないような書きぶりにしたほうがいいと思います。
 非薬物療法を必要とする適切な根拠があるというのも、今、曽我先生からありましたが、その辺りも適切な根拠というのが具体的にどういうものかというのをちゃんと書く必要があるのだろうなと思っております。
○今野座長 ありがとうございます。確かに少し分かりにくいですよね。ほかには何か御意見はありますか。
 あえてワーキンググループでいろいろ問題になったことをお伺いするのもどうかとは思うのですが、何か特段の御指摘等、ありましたか。
○佐藤委員 今の点だと思います。
○今野座長 やはり適応は難しいですよね。少し問題があるのではないかというような御意見はありますか。
○村垣副座長 ワーキンググループの中で、このエビデンスのところで少し引っ掛かるのが、2つ目の非劣性が確認されなかったという大規模臨床試験で、1本目は有効性としてOKで、今回、非劣性で示されなかったと。この解釈、恐らくインクルージョンクライテリアなどのいろいろな部分があるのでしょうけれども、その辺りのディスカッションを御教示いただければと思います。
○佐藤委員 すみません。先ほど漏れましたが、確かにその点については、これのデータをもって統計的な有意ではなかったけれどもというような点があるのです。非劣性は確認できなかったけれども一定の有効性は期待できるだろうというところで、「イ」にさせていただいたということになりました。
○今野座長 分かりました。大分ワーキングの雰囲気が伝わってまいりました。よろしいでしょうか。今後いろいろ御検討いただいて、更にしっかり詰めていただく必要はあろうかと思います。
 それでは議決に入ります。早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 では、議決したものとさせていただきます。早期導入品目とさせていただきます。ありがとうございました。
 続いて、資料1-8「マラリア抗原検出試薬」について何か御意見、御質問等ありましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木(康)委員 先ほど御説明いただいたマラリア抗原のことなのですが、これは付帯条件として、血液の診断ができる所に限ったほうがいいかどうかなのですが、私は限らないほうがいいと思います。実際に日本ではマラリアは60名程度ということなのですが、ただ、感染症の恐ろしいのは、例えばマラリアの発生地区に行ったことのない人でも十分かかる可能性がある。都会での接触者はとても多く、感染力の高い疾患では大変な脅威になることは中東呼吸器症候群などでも知られた事実です。また、不明熱も非常に多くて、後から、例えば脾臓を取った後にマラリアになったなどという方もいらっしゃいますので、その診断においても感度、特異度でも非常に良いので、いわゆるスクリーニングとして置いておくべきものになるのではないのかと感じて聞いておりました。
 少しお伺いしたいのは、スクリーニングなどということになると、ある程度大きな病院にこのキットを置いておくということになると、いわゆる有効期限、それから保存法などはどうなるのか。そこをお伺いしたいのです。
○森兼参考人 有効期限までは、すみません、調査が足りなくて申し訳ありません。どこかを調べれば分かるかと思うのですが。
 先生が最初におっしゃった御趣旨は、私はどちらかというとそちらのほうの意見といいますか、塗抹での診断法ができない施設こそこういうものは有効なのではないかと思っております。十分なお答えができずに申し訳ありません。
○村田委員 少しだけ違った視点からお話させていただきます。これは感度がやはり少し悪い。特異度は非常に良いのですが。となりますと、やはりこれでネガティブのときにマラリアが否定できないという。当然これはワーキンググループで御議論いただいたと思うのです。
 ですから、どう使うかということなのですが、確かに夜間休日に臨床検査技師が十分な判断ができないようなときにこれがあると、ものすごく現場は助かると思うのです。一方で、例えばインフルエンザの抗原検査であれば、これは臨床医は、明らかに症状がインフルエンザであれば、これがネガティブでも薬にいくという対応があるのですが、この場合は、悪いことを言いますと、下手に使うと「陰性だったので違いますよ」ということで終わってしまうリスクが若干あるかなということなので、やはりどこかでこれがネガティブであっても塗抹の検査はやってくださいみたいなことを言ったほうがいいかなという気がします。
○今野座長 分かりました。森兼先生からの付帯事項についての御意見を伺いたいという的確な御指摘だと思います。今までの御意見をまとめると、感度に問題はあるが、スクリーニングとして有用ではないかということだと思います。つまり、陰性の可能性があるという前提で広く使ってはいかがかというお話だと思います。ワーキンググループではどうですか。完全に分かれたのでしょうか。
○森兼参考人 村田先生がおっしゃった、感度が100%でないという点は、やはり同じように問題になりまして、例えば、一度検査してネガティブであっても、やはりほかの治療が例えば奏効しないとか、臨床的あるいは疫学的に、特に海外渡航歴があるとか、そういった状況であれば、やはり血液塗抹の検査をすべきであろうと。そうすると、その施設でできないのであれば、より高次の医療機関に紹介するとか、そういったことを二次医療機関などが十分に認識できるような注意喚起を添付文書等で行った上で、そこで使っていただくということが最も合理的ではないかというような議論の流れでした。
○今野座長 分かりました。ほかに何か御意見はありますか。
○澤委員 今の議論ですが、このもとの添付文書を見ると、陽性であったら2回、3回継続して検査をしなさいと書いてあるのです。すなわち、ライブパラサイトがあれば、当該品目が有効なのだということがこの英文の添付文書に記載されております。ですから、陰性であっても2回、3回検査をしなさいということ。
 それから、ライブパラサイトというところが、感染してからどのぐらいの期間(いわゆるウインドウピリオドというのが適切なのかどうか分かりませんが)などを含めてマラリアの専門家のほうから御説明があれば、添付文書をその方向でいけばいいのではないかと思います。
○森兼参考人 そもそもこのキットは熱帯熱かそれ以外かという鑑別しかできませんし、やはりこれで陽性だった場合には血液塗抹による最終的な診断確認というものが必要になってくると思います。それは非常に限られた医療機関、最終的に治療もするということになるとかなり高次の医療機関に最終的には紹介するということになると思いますので、そちらでそうすればいいのだと思います。
 そういう意味では、このキットで2回も3回も検査するというのは余り現実的ではないというか、実際にもしこれが導入されたとして、日本でそういうふうになるとは考えにくいと思うのです。
○澤委員 添付文書にはそう書いてあります。
○森兼参考人 おっしゃるとおりなのですが。
○医療機器審査管理課長 今のところは先生方の御意見をよくお伺いできましたので、また開発要請した後の審査の段階でよくチェックをしたいと思いますし、適切なものになるようにしたいと思います。
 また、先ほどから村田先生からもお話がありましたが、どんなふうに使うと一番いいのかとか、この検査薬の限界もあります。だから、こういう使い方をしないといけないのだということをよくお伝えをして、どんなふうに使うのが一番価値があって、逆に検査の限界もこういうことだから、こういうことに気を付けないといけないということをよく分かっていただかなければいけないと思うので、そういったことを学会と企業、我々も入りまして、ちゃんときちんとしたものを作って、お使いになる所にお伝えする。
 また、鏡検法との関係で、どのような医療機関に置いたらいいのかということも、よく学会や研究班ともいろいろ御相談しながら、うまくマラリアの対策に一助になればと思っておりますので、そういうふうに進めたいと思います。
○今野座長 的確に課長にまとめていただきました。付帯条件は非常にいい形のまとめになったのではないかと思います。スクリーニング的な使い方でも次のチェックは専門施設でということだと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、これも早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 では、いろいろな要件を加えた上でお認めするということにしたいと思います。ありがとうございます。
 最後です。遺伝子多型の検査キット、IBD関係に使うということですが、いろいろもっと適応は広いのですが、いかがでしょうか。
○村田委員 これはファーマコゲノミクスの検査になるかと思うのですが、これを今後どう広げていくかという議論にもつながるのかもしれないのですが、例えば最初にこういうものが出てきたのが、例のイリノテカンのときに抗がん剤の副作用が出やすい、出にくいということで、UGT1A1が最初だったと思うのです。例えばこの形ですと、チオプリン製剤となっているので、適応疾患が炎症性腸疾患では出ていますが、実際は血液疾患やリウマチ性の膠原病などいろいろなところから出てくる可能性があって、全ての場合でこれをやるという前提ですか。それとも、炎症性腸疾患に限ってということでしょうか。
○森兼参考人 先ほどの説明でその点が抜けており、大変申し訳ありません。ワーキンググループでもやはりそういった議論は出まして、炎症性腸疾患に限ってということでいいのかどうかということに関して、やはり議論がありました。ワーキンググループの大まかな方向としては、それに限る合理的な理由がどこにも見当たらないということではありましたが、差し当たっては非常に数の多い炎症性腸疾患の中の日本人で約1%いるであろうホモの人を見つけてくるというところに、まずは使っていこうといった流れになっていたかと思います。決してそれ以外のものを否定するところではありません。
○村田委員 そうしますと、これはラベルに書いたほうがいいかどうかですね。やらないで重篤な副作用が出たときに、遺伝子検査をやっていないではないかというような話で、例えば、先ほど申し上げたイリノテカンの場合にはオンラベルなわけですが、これは古い薬ですので、コンパニオン診断薬として出てきたものではなくて、後から診断が追いついてきたものと考えることができると思うのです。ですから、その辺りで、相当重篤な副作用、1%ぐらいしか出ないのですが、重篤な場合にこれを全員にやることを前提と、ロイケリンやイムランを使う方は全部やるというような話になってしまうのは少し難しいのかなという気はしております。その辺りはいかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 確かに先生のおっしゃるように、コンパニオン診断薬として、事実上この薬を使う場合に必須の検査にするのかということだと思います。海外の使い方も、いろいろな使い方もあると思いますので、よくデータも見て、また、専門の関係の、特にこの分野の専門の先生方とよく御相談もさせていただいて、どんなふうに使うのが一番、つまり必須とするのか、しないのか、また、必須としないでもどんなふうなやり方がいいのかというようなことについても、審査の段階でよく詰めていきたいと思います。
○今野座長 ありがとうございます。患者さん側が既に一定の情報を持っているのが最近の傾向であろうかと思います。村田委員の御指摘は逆のリスク対策にもなりますので、しっかりと御検討いただきたいと思います。
 本検討会といたしまして、この検査キットに関しまして、早期導入品目として選定してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、早期導入品目として選定させていただきます。お陰様で全て選定されたということになりました。いろいろな条件が付きますし、非常に御議論の中で深まった点も多々ありました。御協力を頂き誠にありがとうございました。
 それでは次の議題に入ります。議題2「開催要領等の改正について」、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 資料2-1「革新的医療機器の早期承認について」を御覧ください。この制度は、革新的医療機器のライフサイクルマネジメントを見据えた承認制度ということで、新たに革新的医療機器を早く承認まで持っていけるような仕組みとして提案しております。この内容そのものについては別の委員会、薬事・食品衛生審議会医療機器体外診断薬部会と、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で議論しておりますが、その中で少しこの検討会にお願いしたい事項がありますので御説明します。
 簡単に概略を申し上げます。2ページの下段のスライドですが、特にニーズに挙がってくるものはかなりそういった要素が強いと思いますが、現実に現場からの要望が非常に強い、医療上の必要性は非常に高いけれども、なかなか日本で開発が進んでいない、何とかならないのかというものがいろいろあります。そういったものに関して、今日の御議論でもあった、一定の臨床データはある、通常であれば新たに国内治験もやってということになりますが、一定の臨床データがある場合で、しかも新たな治験の実施はなかなか難しいというケースに関して、関係学会と協力して製造販売後のリスク管理をしっかりやることで、市販前・市販後の規制バランスの最適化を図る。これは単純に市販前のデータを簡素化するだけではなく、市販後の規制についても強化し、企業に対して製造販売後リスク管理計画案を作り、そのリスク管理措置を徹底してやっていただくことも併せて、市販前・市販後の規制バランスの最適化を図り、すばらしい医療機器が早く医療現場で使えるようにということを考えている制度です。
 4ページ、今回のこの委員会との関係で言うと、資料2-2「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」、目的の(1)(2)の後に(3)を入れておりますが、この制度の運用に当たり、医療上の必要性を判断するところがあります。いわゆる疾患の重篤性や代替治療がなく、先ほどから御議論いただいていた医療上の有用性があるのかどうか、疾患の重篤性があるのかどうか等、これについてはこの委員会で大分いろいろな御議論を頂いており、判断の蓄積があります。そういった部分に関して、企業と私どもとで意見が相違した場合など、この部分について御意見を頂ければ非常に有り難いと思っております。それほどの数が来るとは思っておりませんが、そういったケースについては対象疾患の重篤性、代替治療法の有無についての客観的な御判断を、この委員会にお願いできればということで加えているのがこの案です。細かくは、10ページから第3章を設けて記載しております。
 もう1つ、先ほどイットリウムの放射性ビーズの関係で、12ページを御覧ください。下線を引いた所で、この案では薬事の承認、特にFDAですが、薬事の承認がないのだけれど、医療保険の償還の対象になっているものがあります。これについては、薬の場合にはCompendiumの制度があって、特に抗がん剤の分野において、良い臨床研究が出たら保険のほうで明確にこれは薬事の承認がなくても適用するという制度がありますが、医療機器では余りそういったものを我々としても承知しておりません。ただ、今回のように、実際には薬事承認の範囲以上に適応外と思われるものが使われているけれども、アメリカでは保険償還の対象になっていることが確認できております。こういったケースに関して、薬のほうではそういうものも選定の対象になっていますが、医療機器についてはそこが明確になっていなかったので、今回のようなケースが出てきたこともあり、具体的にそういうことも対象にするということで、ここに明示してはどうかという御提案です。以上2点です。
○今野座長 端的に言いますと、この検討会の仕事が増えるということが1点。もう一つは厚労省から依頼があった場合には、この検討会で審議を行うということだと思います。いかがでしょうか。
○村垣副座長 すばらしい制度だと思いますが、普段は学会から要望書で、ワーキンググループで練った上でこちらに上がってくるのですが、今回、厚労省に来た場合、それをワーキングで一旦検討いただいて検討会に来るのか、プロの方が検討されている上なので、検討会に直接上がってくるのか、その辺りはいかがでしょうか。
○再生医療等製品審査管理室長 ここで提案している早期承認制度とニーズ検討会の流れは似て否なるもので、ニーズ検討会のほうは、通常同様学会から要望書を頂いて、本検討会で検討して選定していくという流れになります。一方、今回御提案している早期承認制度は普通の承認申請の流れの1つで、当然、企業は開発計画を練ってPMDAに相談をする、承認申請を目指す中で使っていただく制度の1つです。要件として、重篤性などの要件がニーズ品と似ているという点はありますが、そこは少し違うものという流れになります。ですので、こちらの制度は、行政側と申請者の側で、そもそも2ページの下に書いてあるような要件に合致しているかどうかを開発段階から議論していきます。その段階において、疾患の重篤性と代替療法の有無に関して事実関係がうまく把握できない場合に、厚労省から本検討会に御意見を伺う機会を設けようというのが、今回御提案している内容です。
○村垣副座長 ワーキングはやらないのですね。
○再生医療等製品審査管理室長 ワーキングはやりません。
○今野座長 PMDAに行く前、要件に合致したものが、ここで御意見を伺うということかと思います。恐らく、スピードアップのためや重要性の確認、グレード等がここでかなり明確にされていくのだと思います。ですから、その後PMDAは受け取りやすいというか、相談を受けやすい。そういう利点が企業側にもPMDA側にもあるということでよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、次の議題に入ります。これまでの選定項目の現状について、事務局より説明をお願いします。
○再生医療等製品審査管理室長 資料3-1を御覧ください。これまで行ってきた結果をまとめて表示しているものです。これまで学会要望を頂いたものが、12月の会合時点では128品目ありました。この中で選定品目は、前回9品目増えたので、127品目選定が行われております。うち64品目が既に承認を得ている状況です。12月の段階から1品目承認が増えておりますが、これは前回御議論いただいた肺胞洗浄カテーテルで、これが承認になっております。
 その下は現在承認審査中のものです。12月の段階で3品目ありましたが、1品目が既に承認、1品目は資料の不足で承認やり直しとなってマイナス2となり、新たに2品目、承認申請をした品目がありますので、変わらず3品目です。その下に4列にわたって白い所がありますが、承認申請の検討・準備中の所については、また後ほど詳細を御説明します。
 開発中止、公募中、ニーズ選定取り下げについては、12ページを御覧ください。横表になっており、まず開発中止ですが、これはメーカーの側から開発がなかなか難しいというお話を頂いているものです。2品目ありますが、上段の1品目目は、治験を企業主導でやるのは難しいのではないかという御意見を頂いているので、医師主導治験としてやるとか、開発の方策があるのではないかということを、今メーカー側と厚労省側で議論しているところです。下のラジオ波焼灼装置は、前回の検討会で御議論いただいたうちの1つです。複数品目があって、その1つですが、他社製品を開発中なので、こちらの開発は難しいのではないかというお話があります。今回、承認整理をするという話もあり、今回御了解いただけるのであれば選定を取り下げるという形で進めたいと思っております。
 13ページ、公募中の製品です。前回の段階では4品目ありましたが、そのうち1品目について、選定された品目とは違うのですが、同じ効能・効果を持つものを開発する企業が見付かりました。それが40番ですが、こちらは他社によって類似品が開発されることになったということで、1減となっております。その他3品目に関しては、国内に開発する企業がないということなので、この製品を持っている海外の企業、本社にこちらから開発の要請をするという段階にあります。
 最初のページに戻って、申請検討・準備中の品目の現状について御説明します。現在、申請検討・準備中のものは33品目あります。選定されてからの年月によって大きく4つに分けておりますが、特に長い5年以上経過しているものが19品目あります。これらのうち10品目は、現在、治験や先進医療を実施しているものです。準備中が3品目、検討中が4品目ありますが、準備中というのはおおむね承認申請資料などが仕上がっていて、これから申請のもの、検討中というのはまだデータ収集をする必要があるもので、これが7品目あります。同様に、3年以上5年未満経過している製品ということで、準備中・検討中が4品目あります。以上です。
○今野座長 フォローするのも大変だと思いますが、何か御質問、御意見等はありますか。
○村垣副座長 ニーズ時代からこの検討に関わってきました。今おっしゃった承認がゴールではなく、そこから先だと思いますが、各学会でこのニーズを使って承認されたものが現状どうなっているのか、標準治療までいっているのか、ある程度をやっているのか、その辺りがもし分かれば、今回の検討会の意義も高まるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○再生医療等製品審査管理室長 御意見を踏まえて、少し調査をさせていただきます。
○今野座長 全体の方向観等いろいろ御意見があろうかと思いますが、説明どおり引き続き早期導入に向けて、開発の進捗状況を定期的に確認することと、74-5については他社類似品が多数開発中ということで、ニーズ選定を取り下げる方向で進めてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○今野座長 ありがとうございます。それでは、議題4「平成26年度以降の学会要望について」、事務局より説明をお願いします。
○再生医療等製品審査管理室長 資料4は、表裏になっておりますが、黄色く塗られたものは本日御議論いただいた製品です。今回、全て選定いただいた形になります。裏面の最後の2行はまだ塗られておりませんが、一番下は新たに要望を頂いたもの、手術用ロボットですが、今後検討が必要なものです。こちらについてはワーキンググループ開催に向けて今準備中です。
 1つ上のトリプシノーゲン2の検出試薬ですが、要望いただいた後に類似品の承認を持っている会社が見付かりました。今、実際に販売をしていない状況でしたが、販売を再開できるかどうかを事務局で協議中です。以上2点が、まだ今後対応が必要な品目です。
○今野座長 かなりしっかり対応していただいているということかと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。
 続いて、議題5「医療機器デバイス・ラグ(開発ラグ)アンケートの結果について」、事務局から説明をお願いします。
○医療機器審査管理課長 資料5-1「デバイス・ラグの試算」を御覧ください。これは今のアメリカとの比較で、日本のデバイス・ラグがどうなっているかをまとめているものです。基本的には新医療機器で見ており、「開発ラグ」というのは、日本で承認されたものについて、アメリカと日本の承認申請の時期が実際どのぐらいずれているのかをまとめたものです。「審査ラグ」に関しては、承認した新医療機器は違うのですが、基本的には同じ年で、実際にアメリカと日本の新医療機器の審査期間全体がどうなっているかをまとめたものです。その申請の時期の問題と審査期間の問題を足して、全体として「デバイス・ラグ」と言っております。
 審査ラグに関しては、FDAとの審査期間については遜色ないと思っていただければと思います。開発ラグについては、どうしても件数が少ないので、これをそのまま飲み込んでいいかということもありますが、全般的にはそんなに悪くなっていないのではないかと思っております。ただ、気になるのは、今日のワーキングでもたくさん出ておりますが、デバイス・ギャップ、そもそも日本で開発しない、開発が遅れているので追いかけてくるのはまだいいのですが、そもそも開発に取り組まないというものをどのように見ていくかが問題だと思っております。その点についても、各学会でいろいろと御要望を頂いておりますので、一つ一つ対応を考えていかなければいけないと思っております。
 そういう意味では、先ほど柳沼室長から御説明した資料3-1の中で、ニーズ選定から長期間経過しているもの、特に2ページから、5年以上たっているものがあります。どの企業も、大体何とか考えますと言ってくれていますが、なかなか進まないところがあります。こういうところをもう少し掘り下げて、状況も確認し、なかなか開発が進まないのはどういう原因で、どういう対策が講じられるのかを別途考えていきたいと思っております。
 資料5-1に戻ります。今回初めてですが、平成26年度と平成27年度の新医療機器で新規に申請されたものに関して、どういう理由でラグが生じているのかについてアンケートを取っております。2~3ページは基本的な事項で、そもそもニーズ検の品目はどのぐらいあるのか、アメリカでの申請がどうかということです。
 4ページですが、デバイス・ラグが生じているもの、つまりアメリカが先行して、日本が遅れたものがどういう理由によるものかということを、平成26年度申請品目、平成27年度申請品目で並べてまとめております。ソが一番多くなっていますが、ソは「ニーズ検で開発要請があったため」ということで、私どもの質問の作り方が悪かったかと思っております。これは少し違うかなと思っておりますが、そのほかの理由では、ア、イ、エ、オが多くなっております。日本での開発体制、販売体制が整っていないとか、人的リソースが不足していたなど、特に外資のものが多いと思いますが、日本の法人の体制がどうかとか、かなり限られた人員でやられている所が多いので、どうしても優先順位が落ちてしまうというのがメーカーからの回答で多いと思っております。日本での市場性の問題といったことも挙げられております。
 5ページですが、逆にデバイス・ラグがない、つまりほぼアメリカと同じような時期に申請できたものはどういうものか、どういう理由なのかということです。これも件数が少ないので何とも言い難いのですが、国際共同治験ができたとか、アメリカと日本で開発体制が早期に整えられたといった理由が多くなっております。N数が少ないので、どのように見ていくかということはありますが、このようなことを我々も続けて、デバイス・ラグ、デバイス・ギャップを何とかなくせないかということで努力しているということを御紹介しました。
○今野座長 このソというのはよく分かりませんが、現状と今後の問題点を極めてコンパクトにまとめていただきましたが、何か御意見はありますか。ここはたくさん時間を掛けていろいろ御意見を伺うべきところだろうと思いますが、本日は品目が非常に多かったので、また機会を見てお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○今野座長 事務局でも適切に考えていただいておりますので、またいろいろなデータを取りながら、ギャップ、ラグがなるべく少なくなるようにしていければと思います。ありがとうございます。お認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは、議題6「薬剤耐性感染症診断薬の早期導入について」、事務局より説明をお願いします。
○事務局 薬剤耐性感染症の治療薬・診断薬の早期導入について、資料6を御覧ください。薬剤耐性感染症に関する対応は、国際的にも非常に大きな問題になっており、既にご存じのことかと思いますが、WHOの総会で「薬剤耐性に関する国際行動計画」が採択され、日本においても対応が必要になっております。
 その中で、「薬剤耐性対策アクションプラン」というものが、平成28年4月5日に国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議において策定され、治療薬の優先審査制度の創設や、治療薬に特化した薬事戦略相談の創設等について提言がされました。これを踏まえて、厚生労働省としては、市場性の低いARIに対する新薬の開発を促進するために、未承認薬の迅速実用化スキーム等を活用し、企業に対して開発要請を行うことで治療薬・診断薬の実用化を加速していきたいと考えております。
 これから御説明する内容については、医薬品分野における同様の仕組みについて、昨年8月、未承認薬・適応外薬検討会で御説明しましたが、今般、本ニーズ検討会で体外診断用医薬品において、以下に示すような同様の仕組みで対応していきたいと考えているということを御報告します。
 本ニーズ検討会の仕組みですが、ここに挙げている欧米未承認薬や未承認体外診断用医薬品についての要望があり、それを受けて対応することになっております。ここに挙げたような薬剤耐性感染症診断薬の要望について、開発初期の欧米未承認医薬品目について、今後要望が強くなって上がってくることが想定されるだろうと考えておりますので、そういうものが来ましたら、必要性が高いものについてはこのニーズ検討会で医療上の必要性を判断し、ほかの品目と同様にニーズが高いので開発促進すべきという御検討を頂きましたら、企業に対して開発要請や公募をし、厚生労働省としても承認申請に向けて開発の後押しをしたいと考えております。
 先ほど申し上げたとおり、まだ具体的に個別の品目が上がってきているわけではありませんが、今後このスキームを進めていく中で開発要請や、こちらからも支援要請等々をして、具体的品目が出てくることが想定されます。その際にはまた個別に御相談をさせていただき、必要に応じて上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○今野座長 先ほどの点と同じ文脈かと思いますが、よろしいでしょうか。ますます忙しくなりますが、是非、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 以上で、本日の議題は全て終了しました。長時間にわたり、御議論ありがとうございました。何か特別の御発言がなければ、これで終了したいと思います。
○医療機器審査管理課長 次回は、7~8月ぐらいを予定しております。本日のワーキンググループの内容等も出てくると思いますので、よろしくお願いいたします。また、議事録に関しても、作成次第御確認をお願いするようにしますので、その際にはよろしくお願いします。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、どうもお疲れさまでした。