第25回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録

 
 
 
 
 
 
 
           第25回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会
 
 
 
                                      日時 平成28年6月23日(木)
                                            17:00~
                                      場所 新橋会議室8階8E会議室

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、始めさせていただきます。今日は久しぶりの開催になり、また、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。「第25回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」です。実は今回から委員の先生方が大分変わっておられます。新任の先生が非常に多くなっていますので、私から新任の委員の御紹介をしますのでよろしくお願いします。
 本日、配布している資料の参考資料1として、名簿があります。また、座席表もお付けしています。参考資料1の名簿に下線を付けているのが新任の先生ですが、私から御紹介します。あいうえお順で恐縮です。最初に大須賀穣先生です。小川郁先生、木股敬裕先生が御欠席です。続いて、木村昭夫先生です。小林義典先生です。今野弘之先生は御欠席です。今日は、坂英雄先生も御欠席です。続いて、日本歯科医師会の杉山茂夫先生、鈴木康之先生です。村垣善浩も御欠席です。村田満先生です。ありがとうございます。本日は委員21名のうち13名の先生方の御出席を頂いています。
 また、事務局側も組織再編があり、役職名などが変更されていますので御紹介をします。私の隣に座っていますのが、医薬品審査管理課長の山田です。司会をしています私は医療機器審査管理課長の磯部です。どうぞよろしくお願いします。
 前回の会議の際に、ニーズ検討会のいろいろな運用の見直しに伴い、発足当初からずっと委員の交替がなかったこともあり、70歳以上の先生方には今回から御退任を頂き、新たに先生方に入っていただいたわけです。座長の北村先生も御退任となったため、最初に座長の選出を行いたいと思います。この検討会ですので、事務局から少し御提案をさせていただければと思っています。以前まで副座長をお願いしていた吉田先生に、本検討会議の座長をお願いしたいと考えていますが、いかがですか。
(異議なし)
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、吉田先生、座長席のほうへお願いします。
(吉田委員、座長席へ移動)
○医療機器審査管理課長 吉田先生、ありがとうございます。続いて、副座長の選出をお願いしますが、こちらは、できれば座長の吉田先生から御推薦いただければと思っています。よろしくお願いします。
○吉田座長 本日、御欠席ではありますが、多くの学会で理事、評議員等々の経験も豊富なことから、浜松医科大学の今野先生にお願いしたいと思います。
○医療機器審査管理課長 いかがですか。
(了承)
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、今野先生に副座長をお願いするということです。また、以降の議事進行については、座長の吉田先生にお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○吉田座長 それでは座長を務めさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。早速、配布資料の確認を事務局からお願いします。
○事務局 事務局から、配布資料の確認をいたします。本日は、個別の検討品目に関する議題はなく、人道的見地から実施される治験への本検討会の関与に関する議題と、これまでの選定品目の現状に関する議題を主に扱います。資料の確認ですが、タイトルは簡略化いたします。一番上に議事次第、裏面に配布資料一覧となっています。続いて座席表。参考資料1と参考資料2で、こちらがそれぞれ本検討会とワーキンググループの委員名簿となっています。その下、資料1-1、1-2、1-3、1-4、続いて資料2、資料3-1、3-2、3-3、3-4、資料4、参考資料3、参考資料4。委員の皆様には、ここまでを事前に送付しています。加えて、当日配布資料として、当日配布資料1、2をそれぞれ配布しています。配布資料の確認は以上です。不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。
 また、これより議事に入りますので、傍聴されている方によるカメラ撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いします。
○吉田座長 ありがとうございました。資料はよろしいですか。よろしければ、これより議事に入ります。議題1「人道的見地から実施される治験について」、事務局からの説明をお願いします。
○事務局 「人道的見地から実施される治験について」ということで、資料1-1~1-4、さらに、当日配布資料としてお配りしている1枚横のパワーポイントの資料で御説明します。当日配布資料1、パワーポイントの資料を御確認ください。中身の詳細に入る前に、この議題で何を議論させていただきたいのかということでお示しする図が、当日配布資料1にあります。「ニーズ検討会の目的」として、現行は、上に青で書いているように、国内の未承認又は適応外の製品について、これまで医療ニーズの高いものの選定をする業務を行っていただいたところです。
 今般、後ほど説明する人道的見地から実施される治験という制度を開始するに当たり、この治験に参加したいとされる患者が参加できなかった場合に、以下の観点からその制度に該当するのかどうかを本検討会の目的として新しく追加したいということを、この議題の目的としています。中身については、今後、資料1-1を使って説明したいと思います。
 資料1-1、パワーポイント、1枚2アップでお示ししている資料を見てください。資料1「医療機器・再生医療等製品における人道的見地からの治験実施について」というタイトルが付いているものです。これは、Compassionate Useと言われているものでして、未承認の医療機器とか、再生医療等製品の治験が実施されているにもかかわらず、治験に参加できなかった患者に、どうにか人道的見地から当該治験に参加していただくことができないかというものを検討した制度になります。既に、医薬品のほうで同様の制度について本年1月から開始されているところではありますが、今般、医療機器・再生医療等製品についても、同様の制度ということで開始させていただきたいということで、検討を進めているものです。
 制度の全体的な内容及び方針については、これまで薬食審の薬事分科会で議論しており、お配りした資料1-1のほとんどのものは、薬事分科会でこういう制度にさせていただきたいということを御説明させていただいて、御了解いただいて進めているものです。その人道的見地から実施される治験の制度の枠の中で、後ほど説明する同資料の7、8ページに書いているのですが、その制度のうちニーズ検討会の目的として、一部分の所について業務をお願いしたいということを本日の議題としています。
 資料1-1の1ページへ戻っていただいて、当該制度自体について、御存じのない先生方もいらっしゃるかと思い、既に御存じの先生には大変申し訳ないのですが、どういう制度を考えているのか、その上でニーズ検討会でどういうことをお願いしたいのかを簡単に説明します。
 資料1-1、1ページ、上のほうですが、先ほど御説明したとおり、目的としては、未承認の医療機器・再生医療等製品について、国内で治験が実施されているにもかかわらず、参加できなかった患者に対して、どうにか人道的見地から参加していただく方法はないかというものです。
 その下、背景として書いていますが、生命に重大な影響があって、なおかつ、既存の治療法の有効なものが存在しない患者で、国内治験実施から承認、販売までの期間を待つことができない方もいらっしゃるところです。
 2つ目の矢印です。そうした方に、国内開発の「最終段階の治験」、その治験が終わったら実用化で承認申請をと考えている治験に仮に参加できた場合について、リスクよりベネフィットの蓋然性のほうが高いものについては、アクセスができる形が重要ではなかろうかと。しかしながら、参加基準に外れるとか、組入れが終了しているという理由で参加できないというケースはあろうかと思っています。
 こうした事情を踏まえ、製品の実用化が遅れることがあっては本末転倒ですので、実施している治験には影響を及ぼさないことが大前提ではありますが、治験に参加できない患者に対して、何とか未承認の製品を提供する仕組みが重要ではないかということで、当該制度について検討をしているものです。
 検討の前提です。前提としては、先ほども申し上げましたが、実施中の治験に影響を与えて製品の実用化を遅らせることがないように、当該治験の実施後あるいは実施中であっても、組入れ終了後というタイミングで参加できなかった患者に対しての治験を考えるのが、まず1つ。
 2つ目が、先ほど申し上げましたが、何でもかんでもこういう特例的な処置をというのもよろしくない話ですので、生命に重大な影響があり、かつ、既存の治療法に有効なものが存在しない方々がいらっしゃる場合に限定をしたいと。
 3番目、どのような範囲、効能・効果であってもというわけにもいかないので、治験を実施して、承認申請を予定している効果・性能の適応範囲内の患者に対して使用することを前提にしたいと。
 4.当該制度は、あくまで人道的見地から行われるものですので、治験を依頼する企業の任意の協力の上に実施していただくということで、製品供給が難しい等々の理由で余裕がない場合については、なかなかできないという状況もあろうかと考えるところです。
 3ページです。具体的にどう対応するかです。今の前提に該当する治験の場合、参加できなかった患者に対して、どうやって治験の枠組みの中で実施していただくのかというときに、大きく2つの方法があろうかと思っています。ケース1としては、実施中の治験の変更をして、当初の治験は終わったけれども、治験の計画を一部変更して患者を追加して継続してやっていただく方法。さらには、ケース2として全く新しい治験を実施して、本当のメインの治験とは別に、この対象となる患者だけの治験を実施していただく方法が考えられるのではないかと思っています。どちらにしろ、真ん中に矢印を書いていますが、これらの参加できなかった患者が参加する治験は、当初の組入れ基準等を緩和して、メインの治験と比べてより安全性の確認に主眼を置いた治験ということで実施いただくことを考えています。
 3ページの枠囲いの中に書いてありますが、なぜこういう制度が必要かですが、2015年3月に小児用補助人工心臓の治験の際に、組入れ基準に参加できなかった患者がいらっしゃった問題もありましたので、こういうケースの場合に、当初は参加できなかった患者に対して何とか参加を可能にする方式はないかということで、私どもはこの制度を考えています。ここまでが、制度の趣旨と具体的にどのような考え方でやっていただくのかという話です。
 具体的にどういう手順でこの人道的見地からの治験が実施されるのかということで、4ページを見てください。「人道的見地からの治験実施の手続に関する流れ」と書いてあります。まずは一番上にあるように、実施中の治験について、PMDAのホームページに情報の掲載をする予定にしています。その上でそのメインの治験が組入れ終了後になったタイミングで、1ですが、患者自らの主治医を通して、治験を実施している企業の方に、医師主導治験の治験の場合は治験責任医師にですが、治験に参加したいのだけれどもということで要望を提出していただくと。
 2、その要望を受けた治験を実施する側としては、その治験ができるのかという検討を頂いて、人道的判断からできる場合は、実施をお願いしていただきたいし、難しい場合はその旨を回答いただきたいということで、できるか、できないかという御判断を頂くものです。
 3です。2の結果について、主治医に対して、できるできないの理由と、実施の可否の結果について、御回答を頂くという手続になっています。
 また、少し横道に逸れますが、5ページです。こういう人道的な見地からの治験を実施すると、費用負担が治験を実施する側に大きくかかってくることが予想されます。あくまでも人道的観点から治験の実施側が任意に協力いただくものですので、費用負担についてというのは、通常の治験とは異なる考え方の導入が必要ではないかということで、費用負担についても考えているということです。1つ目の矢印。医療機器・再生医療等製品は製造コストとか手術検査等のコストがかさみますので、企業側で全ての費用を負担するのは困難ではないかと考えています。
 2つ目の矢印、治験費用について、企業が医療機関等々と相談した上で、費用について患者側に負担を求めることができることとしてはどうかということにしたいと考えています。その下ですが、費用負担を求めることとした場合であっても、その額は適切に設定されなければいけませんので、企業は患者に対して、額とその理由を説明する必要があるのではないか。さらに、その額と理由については、患者だけではなく厚生労働省にも御報告いただいて、余りにも高すぎる額にならない仕組みが必要ではないかということで、こういう費用負担のことを考えることになっています。ここまでが、人道的見地からの治験に関する大枠な制度設計ということで、3月の薬事分科会で御議論いただいて御了解いただいたことになります。
 では、この枠組みの中でニーズ検討会という場において何をして、何を業務としてお願いしていただきたいのかが、7、8ページです。先ほど手続の所で書きましたが、主治医を通して要望があったときに、企業側ができる、できないという判断をしていただくことがあります。その判断の結果、こういう理由で難しいという手続に進んでしまったときのフォローという形で取扱いを考えているところです。
 7ページ、今、御説明したとおり実施が困難という場合には、企業から主治医に対して、その理由を分かりやすく回答いただくというスキームが必要であろうと考えています。理由としては、ここに挙げているように、1.患者の病状に鑑みて、安全性の観点から治験製品の使用が勧められない。2.先ほどの制度の大前提である、生命に重大な影響がある重篤な疾患ではないとか、既存の治療法に有効なものが存在するのでわざわざやらなくてもという場合。3.メインの治験が組入れ期間中等の理由で、メインの治験に悪影響を与えてしまう恐れがある。4.そもそも予定している承認の範囲外なので、治験という枠組みでは馴染まない。5.製品供給や受入先の病院の体制に余裕がないので、難しい。この1~5に掲げているものについてが、難しいという判断の理由になろうかと思います。
 患者及び主治医側が、企業から「判断に不満です」という回答を頂いたものの、その判断には不満があるという話になったものについては、主治医を通して厚労省宛てに検討依頼を提出するというフォローの仕組みが必要ではないかと考えています。
 ここでようやくニーズ検討会にやっていただきたいことが出てくるのですが、主治医から厚労省宛てに、企業の判断を再検討していただきたいという依頼があった場合について、厚労省開催の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」、つまりは本検討会において企業側が行った判断の内容について検討を頂いて、該当性ありと判断した場合については、企業に対してもう1回再検討してくれないかという要請をすると。その要請を受けた企業は、改めて治験の可否を判断し、結果を主治医に回答するというスキームを考えており、回答内容の検討について、今後、ニーズ検討会で御議論いただきたいと考えています。
 具体的にどういう検討をお願いしたいと考えているのかを8ページに示しています。7ページに理由として書いた1~5のうち、2.疾患の重篤性などと書いていますが、「生命に重大な影響がある重篤な疾患でない、既存の治療法に有効なものが存在する」という部分は本制度の基本となる非常に重要な項目であり、本検討会において、各診療科の専門家に客観的な判断をしていただきたいと考えている、というのがまずメインのお話です。
 一方で、それ以外のもの、1.の安全性の観点から治験製品の使用が困難みたいなお話について議論をしようと思うと、患者のカルテとか、治験のプロトコールなどの膨大な資料とか、個々の患者の病状を詳細に把握しないと、なかなか議論が難しい内容なので、ニーズ検討会という公開の場で議論を行って検討会としての公式見解を示すのはなかなか難しいのではないかと考えています。そういうことで、議論の項目ということよりは、主治医から提出された公開可能な情報の範囲内、これは上にある2.の検討に必要な情報がメインになろうかと思いますが、こういう情報の範囲内で各委員からお聞きする点がある場合にはコメントを頂いて、参考情報として企業側にフィードバックするという取扱いにしてはどうかと考えています。
 残りの3、4、5、本来の治験に悪影響を与えるとか、承認の適応外、製品供給で難しいみたいな話については、どちらかというと、機器や製品の供給側、さらには治験実施側に関する問題で、外部の第三者から評価をするというのは、検討の余地が少ないのではないかと考えられることから、本検討会としては、参考資料として取り扱うこととしたいと考えています。
 以上が、ニーズ検討会で検討いただきたい内容となっています。その後ろの資料は、参考として付けているものなので省略いたします。今、御説明した7、8ページについて、メインとしてニーズ検討会での業務をお願いしたいのですが、どうでしょうかということで御議論いただくことになっています。
 資料1-2、1-3を御覧ください。資料1-3は、従前からあります、本検討会の開催の要領及び本検討会における検討をどう進めるかという手続を示した文書です。先ほど御説明したとおり、ニーズ検討会で新しくこういう業務をやっていただきたいということで、もし御了解いただけるのであれば、ニーズ検討会で定めているこれらの規定についても変える必要があろうかと考えており、ここの赤字で示した内容について、追加修正をさせていただくことについても併せて御議論いただきたいと考えています。
 簡単に内容を説明します。資料1-2、1ページ、目的ですが、(1)従前、「ニーズの高いものを選定」とされていた目的について、(2)として、人道的見地から実施される治験について、治験に参加できない場合に、その妥当性について各診療科の専門家の先生方により客観的判断を行うこと。
 2.主な検討事項として、前半部分に、従前のニーズの高いものの議論がありますが、その下の「また」以下で、新たに開始の要望がある人道的見地から実施される治験について、既存の治寮法に有効なものが存在しないかどうか、患者の生命に重大な影響を与える重篤な疾患かどうかを御議論いただくことを考えています。
 (4)は、また後で出てくる話なので飛ばして、4.運営等で書いている所です。従前、検討会を年4回開催ということで、開催大前提としていますが、今般、人道的な見地から実施される治験の話がもし議論いただけるのであれば、患者の容体によっては迅速な対応が必要な場合があろうかと思いますので、検討会座長の了解を得て、メール等による書面での検討を可能にする仕組みが必要ではないかと考えています。これが1-2の中身です。
 資料1-3、業務の進め方です。1ページ、第1章は医療ニーズの高い医療機器等の早期導入ということで、医療ニーズの高いところはどう検討するのかは既に決まっていますが、4ページを御覧ください。今までの部分を第1章、新しく人道的見地から実施される治験を第2章としていますが、検討会は以下の進め方により、人道的見地から実施される治験について検討するとしています。1.患者及び主治医からの検討依頼があった場合について、拡大治験への参加を希望する患者が、判断できませんと言われ不満がある場合、主治医を通して厚労省に検討を依頼する。その際には、主治医側は、企業からどう言われたのか、それに対して主治医はどう反論を考えられているのかという情報を付して、検討依頼書という形で厚生労働省に出していただきたいと。
 2.「新しい治療法・重篤な疾患の判断基準」への該当性検討ということです。主治医からの検討依頼書に従って、ニーズ検討会で、「新しい治療法・重篤な疾患の判断基準」への該当性を検討いただく。さらには、先ほど御説明しましたが、それ以外の所についても、以下に示すような個別の安全性に関する問題とか、承認予定範囲を超えているかというような、それ以外の部分についても、お気付きの点があればコメントを頂きたいということを書いています。
 3.検討結果による対応です。検討の結果、基準に該当すると判断された場合には、厚労省から実施者に対して、拡大治験の実施の再検討を要請する。また、その他の頂いたコメントを参考情報として実施者に伝える。要請を受けた実施者は改めて実施の可否を検討し、主治医にその結果を伝えるというスキームを考えています。
 最後に、7ページです。ニーズ検討会で見るべき基準について、先ほど2.についてがメインだということを御説明しましたが、判断基準として、別紙2という形で7ページにこのような基準を定め、この基準に従って検討をお願いしたいということを考えています。中身については、先ほど御説明しましたとおり、既存の治療法に有効なものが存在するかしないか、生命に重大な影響がある重篤な疾患であるかないかということで、両方とも○でありましたら、その基準に該当するので、もう一度実施を考えてくださいという結論になります。
 以上が、人道的見地から実施される治験とニーズ検討会で業務をお願いしたいことになります。繰り返しになりますが、制度自体については、薬事分科会でしていますので、患者からの要望に対して、ここに書いてある基準の内容について御検討いただきたいということが、今般、御議論いただきたい対象になっていますので、よろしくお願いします。説明が長くなって申し訳ありません。事務局からは以上です。
○吉田座長 ただいまの事務局からの説明に対して委員の先生方から御意見、御質問等はございますか。
○中谷委員 ここにある小児補助人工心臓の治験の組入れが終わった後に症例を実際に経験したものとして発言させていただきます。そのときは結局4例とか症例があって、そこから承認までは従来のとおり1年半から2年弱、急いでくれるということだったのですが、できないということで進んでいたのですが、やはりどうしても従来のもの、特に体内設置型で成績がいいということが分かってきたので、どうしてもという話が治験施設で起こって、できないと言ったのですが、やはり、その中でどうしてもいけないかということで厚生労働省にお願いに行くということで、実際1例始まりました。
 ただ、そのときもここに書かれているタイミングではなくて、症例が出て、的確であるとその施設が判断して、付けるまでの余裕としてはほとんど2、3日しかなかったという状況なのです。その後はシャットダウンされて、ただ、できるのではないかということで治験施設等が集まって、もう一遍再開できないのかということをお話して、そのときも症例を限定するのではなくて同じクライテリアで何例までというか、そこまでで、こういう急を要するものに関して症例ごとというのはなかなか難しいと思うのです。
 実際、また再開というか増やしたときも、前もって、それまでの成績から適応に関しては、ここは拡大するというか変えてもいいだろうということはみんな了解していて、これに合う症例があれば、あと何例まで、どうせ機械の問題もあったから実際できるのは限られているのは分かっていたのですが、それもやはり症例が出てきたときに検討する時間なんてそんなにないのです、それでまたやってという形になったのです。
 この形でやっていただくのは非常に有り難いと思うのですが、そういう経験からいくと、その症例が出たから検討するのでは、幾らメールだとかやる形にしても1年目は絶対、絶対とは言いませんがほとんど間に合わないと思うのです。もし、切るのならば基本的にどこかの所でそれをやってはいけないということはあってしかるべきだと思いますから、例えば、このニーズの委員会で、この基準に合っている、あるいはこう変更したという形で何例までやって、取りあえずは一応、1つはOKという形で、実際症例が出たときの確認という意味でメール等で確認するということ、そういう意味で何かがあってもいいと思います。最初からそのステップを踏まないと駄目だという形は少し難しいように思います。
○吉田座長 問題点を全部言い尽くして頂きましたが、いかがですか。要するに窓口がどこで、それを交通整理する人が誰で、治験者はどれぐらい発言ができて、治験をやっている施設がどれぐらい発言できてということが見えないと上手く動かないのではないかということ。それからもう1つ大事な点は、治験が困難な場合の取扱いうんぬんをこの検討会でやってくれというが、一例一例やるのですかと。そのようなことになったら、ものすごく大変な作業になるのではないか、幾らメールでやり取りしてもですね。
 というようなことでしたが、事務局としてはいかがですか。
○医療機器審査管理課長 今のお話で、中谷先生のおっしゃった事例は私も直接担当させていただきましたので、非常につらい事例だったと思っております。あのときは治験の参加の除外基準があり、どうしてもECMOを使ってしまって、ある程度長くECMOを使ってしまうと小児補助人工心臓の場合に使えないというエクスクルージョン・クライテリアを作っておりましたので、それでなかなか現場で使える使えないという話があって、私どもの話があって、そのときには私どもとしては承認申請のデータが取れていて、つまり、その症例はもう入っておりますので、私どもなりの判断で、医師主導治験だということもあり即座に入れてくださいということをいたしました。
 多くの場合は、特に緊急を要するものについては、この会議に諮る前に実際に私どもで患者さんの御意向と企業の話を聞いてさばけるものが非常に多いと思います。ただ、なかなかそれでも埒が明かないケースもいろいろ出てくると思いますので、そのケースについては、こちらの先生方の御意見を頂こうと思っております。
 基本的には、確かに一例一例どうするのかというのはおっしゃるとおりなのですが、全く同じ病気で来たらあれかと思いますが、一応は一例一例考えざるを得ないのですよね。というふうには思っております。
○中谷委員 今のところは、最初あったのは症例数でも限られていて、組入れにはリミットがきているということもありました。だから、我々は基本的にはできないと、ただ、その症例に関してはそういう意味で、それプラス今言ったほかの補助循環を使っていたと、その補助循環を使っていることに関しては、みんなの基本的な合意としては、もうその4例の経験から、そこは外してもいいだろうという合意はもう既にできていたという形になっていて、問題は症例が出ないと実際上はいけない。例えば、多分、治験をやっている所では、そういうものが出たときにはどうするのですかということがあるから、正に今、座長が言われたようにそのときに、あのときでも持って行って話をしたらできますよということも分からなかったと。だから、それが明確で、取りあえずそこへ相談してくださいということがあるのならばそれでいいと思います。
 そのときにもう1個は、そういうことがあったときに、それらのときにその要望はXという人だけど、そのとき出たらということは想定されているわけです治験施設としては。そのときに、もしこういう症例が出たらということで、ある程度前もって相談に行っていて、こういうクライテリアだったらある程度いいですよという意味での予備審査をしておかないとという感情を持ったので、最終的なやつは一例一例やることは構わないと思います。
○医療機器審査管理課長 分かりました。そこの点は少し説明が足らなかったと思います。基本的には治験依頼者との関係がまず第一義ですから、実際に患者さんがおられて、主治医の方がどうしてもこの治験とは別に入れさせてほしいというときには、基本的に治験依頼者のほうに行くということだと思います。
 そういう形になるということについて、実際にPMDAのホームページに載せますし、最終的に認めていただければ通知で、そういう制度になりますということをお示しするしかないと思います。ですから、PMDAの所にはどこのメーカーの窓口かを明確にする必要があります。確かにエクスコアの場合は非常に難しくて医師主導治験だったこともあり、医師そのものが依頼者であったわけなので、3施設あったので、どのように決めるのかということは少し手間どったところがあったかと思います。
 それで、本来私どもが言う権利もなかったのですが、ただ、こういう事情になったのであれば、やっていただきたいということを逆にお願いした形になりました。そういうケースはいろいろあると思いますが、治験依頼者の方とお話を付けていただくということは基本形で、それについては先ほど言ったPMDAのホームページでも、どこがそうなるのかということを明確にしますし、そういう制度設計であることは通知して、必要であれば関係の学会の先生方にも通知して、こういうことの周知を図るという形になろうかと思います。
○吉田座長 この制度がうまくいくかいかないかは、私たちに直接責任はないわけです。制度を作ったわけではないし、それを運営するわけではない。制度に乗せるか乗せないかを判断するだけですね。
○医療機器審査管理課長 はい
○吉田座長 ただ、そのときに例えば、ホウ素捕捉療法が治験に入りました。あと10例やりますというとき、100人応募が来たときに全部私たちが審査するのですか。それはとても現実的ではないような気がしますが。
○医療機器審査管理課長 でも、基本、症例ごとにやらざるを得なくなってしまいます。
○吉田座長 もちろん、困ったときは相談に乗りますが、その辺の交通整理はあらかじめやっていただくという前提でないと「はい、やりましょう」というわけにはいかない。
○医療機器審査管理課長 それは、おっしゃるとおりだと思います。ここにかかってくるのは本当にどうしようかというケースだと思っておりますので、しかも、幾らメールでやっても時間の関係も出てまいりますし、すぐに皆さんの御意見を集められるのかということもありますから、基本はこの制度を運用するのは当然我々のほうですので、我々のほうで一義的なさばきはさせていただくということは前提です。
 その上で、これについてはこちらのほうに御意見も伺ってやらせていただくということになろうかと思います。確かに100例を一例一例全部やり始めたら、これは膨大な量になりますので、実行可能性も含めて考えていくことは工夫いたします。
○吉田座長 要するに、あくまでも用心棒のような、ということですね。
○医療機器審査管理課長 はい。ありがとうございます。
○吉田座長 ほかに先生方の御意見はございますか。
○佐藤委員 その判断、評価の具体的な事項、どのようにやるのかイメージが湧かなかったもので確認です。検討内容8のスライドで、疾患の重篤性について客観的な判断をするということなのですが、これまでのニーズ検討会では医療機器全体のいろいろな情報やデータを機器メーカー、学会等から頂いております。今回のケースは患者の主治医からのデータですよね。そうすると個々のケースですよね。
○医療機器審査管理課長 はい。
○佐藤委員 ですので、個々のケースの重篤性を評価するというのは議論がどのようにできるのかということが分かりません。今までは、その疾患の対象となる患者集団の全体的な重篤性ということで評価していたわけです。少しその辺が分からなかったです。
○医療機器審査管理課長 それについては、きちんと議論しやすいように、実は当然、治験の情報については私どもは持っておりますので、どういう疾患を対象にした医療機器で、どういう患者さんを対象にした治験かという情報は当然、御提供させていただきたいと思います。
 その上で、患者さんのある程度の情報、主治医の方から得られる情報についてもお渡しして、こういう疾患でこういう病態のときに使うデバイスで、こうなのだということから、そういう治験そういうデバイスがその疾患エリアでどういう位置付けなのかという御意見を伺うということになると思います。
○佐藤委員 少し追加で、主治医がこれは重篤だから是非お願いしますと言ってきた個々の患者さんのものについて、我々がそれは重篤ではないでしょうと言えるのかと思ったのです。
○医療機器審査管理課長 そこのところはなかなか悩ましいところだと思います。先ほど説明した資料のスライド8です。いわゆる、今の佐藤先生がおっしゃった話は、その患者さん個々の状態から見たときにどうかという御判断ではないかと思います。そうすると8枚目のスライドで私どもも大分検討して、2番目のポツの所ですが、それについては主治医の先生にかなうものはないわけです。当然、今までの疾患の状況やいろいろな状況を様々に鑑みてどうなのかということは、主治医の御判断が一番正しいと思います。それについて、もし、それを検証しようとすると非常に膨大な情報を頂かないと多分、それについて判断はできないのだろうと思いますので、基本的にそれについては御判断いただく話ではないと思っております。
 ただ、その病気の疾患の状況から見て、この疾患についての治療法としてどういう治療法があって、主治医の先生はそうおっしゃっているが、この疾患では基本的にこういう治療法が大体確立していて、こういうものがありますよとか、主治医の先生はそうおっしゃっているが、この疾患そのものは基本的に重篤だとは思えないとか、そういう疾患としての一般論と言ったらあれですが、そういうことについては御議論いただける部分があるのではないかということで、当然、悩ましいところだとは思っておりますが、一応疾患そのものの重篤性の話と個々のその患者さんの状況を踏まえたときの話は、分けてここに記載しているつもりです。
○中谷委員 そこの主治医は、私が経験したというか、又はエクスコアの話をしますと、その主治医と該当できるのは治験施設の小児科、あるいは小児循環器の専門医でない限り、そういう意味でのことはできないと思うのです。だから、主治医といっても本当に、ここで書かれているのは、その患者さんを診ているというか、極端な言い方をすると開業医とかその辺の人たちも主治医になってしまうし、それから、そのものに対しての適応を考えてやっている、あるいは短時間、主治医になった人、その人が言ってくるのは今言われている形の判断は、正しいという言い方をするかどうかは問題があるかもしれませんが、該当性はあると思うのですが。ただ診ているだけの主治医というのは難しいところがあると思うのです。そこのところは主治医でくくられているのは、私もすごい不安感があります。
○吉田座長 要するに治験をやっている医師と、治験をやっていなかった患者さんの担当医師の意識の違いがこれだけあるから、拡大治療をやってほしいと言われてもなかなか難しいでしょうという話なのです。ついでに私見を言わせて頂きますと、元々白黒が明らかな状況であるにも拘わらず、どんどんグレーにしようとしているようにしか見えないのですよ。およそ治験というからには適格条件というものがあって、例えば、心臓の予備力がこれぐらいとか、あるいは癌だったらどれぐらいのステージにあってPSが幾つまでとか全部決まっていますよね。それに合ったものしか試験に入らないわけです。逆に、除外基準に相当してしまった人は自動的にオフです。そうすると、皆さんは重症度がどうのこうのとおっしゃっていますが、適格条件に合っている人は、みんな資格があることになるわけですよ。そうすると選べと言ってもジャンケンしろというぐらいしか言えない、分かりますか。
○医療機器審査管理課長 分かります。
○吉田座長 それぐらい微妙な話になってくるのですが、逆に、条件が明確に定められていますので、明らかにこれは重症なのに外れているとか、これはおかしいという事例は、それほど起こらないような気がします。なので、ものすごく難しいことが起こった場合には検討会に相談しますというような整理をしていただくと、我々としては随分と気が楽になるのですが。
○医療機器審査管理課長 はい。私どもも基本的に吉田先生のおっしゃることと同じです。正しく、先ほど先生は用心棒と言っていただきましたが、最後に我々もどうしようもない困ったというときに先生方のお知恵を借りたいということですし、そういうときは、はっきりどういうことをお聞きしたいのかということも明確にしたいと思います。
 先ほどのエクスコアの件で言いますと、当然、心臓移植が必要なお子さんですから、そういう方々に今必要なデバイスがないということは、ほぼ明らかですので、そういうケースであまりお聞きすることはないのではないかと。
 あとは個々の患者さんにどのように適応するのか、これは実際そこの、特に治験の施設であればそこの判断が大きいと思いますので、そうだと思います。治験のエントリーのクライテリアの問題でいくと、あのときはどちらかというと非常に患者さんを絞り込んで治験をやろうという形になって、そもそも数例しかできないということもありましたので、本来、実使用の段階では、当然入ってくる患者さんをかなりエクスクルードする形になってしまっていたので、それについて数例だけでも今、非常に重篤な状態に陥った方を助けようという形があって、そういう条件になったというケースだったと思います。
○吉田座長 そういった、通常じゃない判断を求められるような場合は検討会を使わせてもらいます、ということだったら分かります。
○大臣官房審議官 今の小児のエクスコアの件をここで御相談するつもりは基本的になかったはずなのです。あの場合は基本的に治験をみんなやってくれたので、やる場合はここに来ないのです。治験ができませんという話になる場合に、できない理由の中の1つ、疾患が重篤であるかないかという部分について、ないと言っている理由で無理ですと言われたものが本当にそうなのかということについて、疾患の重篤性については、この検討会でよく御議論いただいている経験があるので、そこに一応見ていただいて、これは重篤な疾患だという御意見があるならば、そういうものとしてできないのかということをもう一回企業には検討してもらうという、最後の一押しができる機会をこの検討会にサポートしていただいて検討を求める。
 それでも、例えば、おそらく企業としてどうしても対応できない場合もあるということではありますが、患者さんが希望しているケースをできるだけ実現できるために見識、御意見を頂きたいという場合だけの話をしております。
○中谷委員 私も、最初から余りエクスコアに限らずに補助人工心臓で今後やっていこうとしている治験のときに、この問題は多分起こってくるだろうということを想定して話をしたつもりなのです。
 そういう意味で言うと、今言われた形でこれが入る入らないという形でのこういうシステムを作っていただくのは全くもって何も反対していないし、ただ、実質座長が心配されているように、私も心配するのは、ここで何をどう決めるのかとなったときに、何かすごいことを決めなければいけないような説明の仕方だったと思うので、それは実行は無理なのではないですかということが私の趣旨だったのです。
○吉田座長 調整機関として利用されるとすごく困ります。私達はそこまで責任持てませんし。
○大臣官房審議官 全くそういうことではなくて、普段ここで検討いただいている疾患の重篤性はこうですねと見識を示していただいているところに当ててどうかということを入念的に頂くという、そこだけなので、スタンダードを変える必要は全くありません。
○吉田座長 人道的治験が行える余地があったのでエントリーしたのだけれど、できるはずなのに断ってきたというような場合、「それを断るのはおかしい」という判断をするか、「断るのはもっともだ」ということを私たちが決めればいいだけで、例えば、100人の申込みがあったものを10例に絞るとかそんな馬鹿なことはしなくても良いわけですね。
○大臣官房審議官 そのとおりです。
○吉田座長 ということだそうですので、少しは気が楽になったのではないかと思います。ほかに御意見はございますか。よろしいですか。
○小林委員 少し確認いたします。これは、流れとして最初主治医から要望があったときに、まず当局で判断するわけですよね。
○医療機器審査管理課長 はい。
○小林委員 そこで主治医に返して、そこでまだ不満があった場合にこちらに相談があると、なので一度フィルターは掛かっているわけですよね。そういう意味ですか。
○医療機器審査管理課長 実際にあり得るのは、主治医から治験依頼者にお話をして、是非この形でやってくれないかというお話があったときに、基本的に企業だと思いますが、企業の方がお断りされた場合に私どものほうに話が来ると思います。
 それについて、当然この会議にかけるためには、まず、うちに話が来ないとかけられませんので、まずうちで状況をよく確認して、先ほどうちの森審議官にお話いただきましたが、さばくものはきちんとさばいていくということが大事だと思います。いろいろなことがあったときに、今までこのニーズ検討会で御議論いただいているような疾患の重篤性等について御意見を伺うという形のステップになりますので、当然、我々が最初に入ってさばけるものはさばくという形になろうかと思います。
○小林委員 企業の意見だけではなくて、例えば、治験担当者の意見も入ってくるわけでしょうか。例えば、医師主導型ならそちらにいくということになるのですか。
○医療機器審査管理課長 はい。今、企業と申しましたが、いわゆる医師主導治験の場合は、当然、治験医、調整者ですね。全体の総括の方からのお話になろうかと思います。
○吉田座長 「受けない」というものを「受けろ」と言うわけにはいかないのでしょう。もうやりませんと、人道的治験まではとても余力がありませんというものを遮二無二やりなさいという話にはならないのですね。
○医療機器審査管理課長 そこはなりません。先ほどのスライド8に記載している。
○吉田座長 そこに「我々の検討会を使って」とかと書かれると、困りますが。
○医療機器審査管理課長 そこまで申し上げませんので、そんな御無体なことはさすがに言えませんので。
○吉田座長 よろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○土屋委員 確認ですが、やはりこうやって広げるというか、これはすごく大事なことだと思います。そのときに、いわゆる治験保険はきちんとカバーしてくれるのですか。そこを少し言っておかないといろいろな意味での負担が出てきてしまうのかなと思います。
○医療機器審査管理課長 いわゆる治験でやる場合は、これは拡大治験という形になろうかと思いますが、これは治験の範囲ですから治験のGCPの規定が全部かかるということだと思います。ただ、もう1つ言うと患者申出療養になった場合は、どうしても治験に入れなくて難しいと。先ほど吉田先生が言われたようにいろいろな理由で難しいというときに患者申出療養に行く場合もありますが、それはまた別の話ですが、治験の中に入る分には治験のGCP等もかかりますので、それが適用されます。
○吉田座長 よろしいでしょうか。
○鈴木(邦)委員 患者申出療養との関係については10ページを見ると分かるのですが、患者申出療養は、もともとは混合診療の話からスタートしておりますので、患者の負担も前提になっているということも理解できます。今回の話は拡大治験ということですが、Compassionate Useという名前があり人道的な使用です。これに対して、いわゆる今の案では自己負担を求めるという話になっています。人道的な使用と言っておきながら自己負担を求めるということは、お金が払えない人は使えないということだから、人道的ではないのではないかという批判が出る可能性があると思います。
 これはアメリカを参考にしておりますが、アメリカは医療に対する考え方が全く違うので自己負担を求めるということも当然あり得る話だと思います。一方で、フランスでは医薬品ですが、Compassionate Useの適応が認められた場合は全額公費負担、しかも限定した医療機関でしか使えないとか、そういう感じで社会保険制度の国はCompassionate Useと言った限りは公費負担して患者の負担は求めない。いわゆる本来の人道的な使い方をすると思います。
 アメリカでは医薬品の場合も医療機器と同じように自己負担を求めています。従来は日本の医療を考える場合は、ヨーロッパの制度を参考にする場合が多かったのですが、最近はアメリカの制度が参考にされているわけですが、医療に対する考え方が全く違う国なので、そこがCompassionate Useと言いつつ、自己負担を求めるということに対して人道的ではないという批判が出る恐れがあると思うのですが、それについてどのようにお考えでしょうか。
○医療機器審査管理課長 まさしく鈴木先生の患者の負担の件について、私どもは非常に悩みました。実は医薬品で作るときには患者の負担額と、負担を求められる形になっているのですが、現実にアメリカでもかなり企業が負担しているケースが多いということがあり、薬事分科会で議論したときにもそういう話が出ております。
 では、同じアメリカで医薬品はかなり企業が負担しているのだけれども、医療機器はどうなっているのかということについて、私どもからFDAにいろいろ照会をかけたり、企業にも聞きました。そうすると、基本的にはデバイスは医薬品と違ってそういうことはないと。FDAの方にお聞きしても企業の方にしても、そんなことを負担したことはないというお話で、アメリカの中でも医薬品と医療機器の取扱いが違っているのが現状です。
 もう1つとして、ヨーロッパもお聞きしました。ヨーロッパについては、CEマーキング制度ということで民間認証ですので、そもそもCompassionate Use制度そのものがありません。CEマーキングですから、そんなに難しくなく取れるのだろうからということだと思います。そういう状況になっていて、アメリカもヨーロッパも医薬品と医療機器はかなり取扱いが違っているということも鑑みて、日本だけ医薬品もこうやっているし、そういう形も多いから企業負担でお願いしたいとなってくると、欧米の状況等も考えるとなかなか難しいということもあり、このような形にさせていただいております。
 実際の御負担額をどのくらい求めるのかということについては、企業もいろいろ気にすると思います。それで実際にそれを主治医のせいにはできませんが、病院の側と幾らぐらいの御負担で物を提供するのかという形については、一定の額をもう少し考えてくるのだろうと思いますので、その中でどのぐらいのことができるのかということになろうかと思います。ただ、負担を求めないということを前提にするのは、なかなか難しいのではないかと思っております。
○吉田座長 人道的にはいろいろ意味があるのですが、以前であれば、治験が終わって申請、承認までの期間、治験と同じ治療は一切できませんでした。なので、そういう患者さんがいても治療できないのは人道的でないという指摘は以前からありました。お金を払った人には使えるようにしてあげるというだけでも人道的なのだと言いたいのでしょう。
○医療機器審査管理課長 おっしゃるとおりです。すみません、まどろっこしい言い方をして、大変申し訳ありません。
○吉田座長 ほかにいかがでしょうか。
○鈴木(康)委員 少し話がずれていたら申し訳ないのですが、これは組入れ基準内の人、インクルージョン・クライテリア内の人で、入れなかった人を入れてあげようかということなのでしょうか。それが気になりました。いろいろな病気のいろいろな状況があるのですが、例えば、臓器不全やがんがある程度進行してしまって、もう臨床医から見ると、この人は何をやっても駄目だという人が入ってくる可能性があります。
 治験の場合には、これをやったら治るという段階の人を入れないと効果判定がすごく悪くなってしまうと思うので、そこを危惧します。患者にとっては肝不全や腎不全、腎不全は透析がありますが、私は泌尿器科なのですが、昔、経験したのは、おばあちゃんの腎臓を、もうそろそろ死ぬから移植してくれと言われて移植したのです。
 移植は60、70歳になったらもうやめなさいと本には書いてあるのだけれども、患者からすると移植してほしいと言われます。もう明らかに駄目だと分かっていてもやらなければいけないというジレンマもあります。つまり、もうインクルージョン・クライテリアに入らない人でも、言ってきた場合に入れるのか。例えば、治験の人数が足りなくて入れた場合、効果判定がうんと悪くなって有用な治療法を受けられない、認証されないということがあるのではないかということが危惧でした。
○医療機器審査管理課長 今のことは3ページだと思います。基本的には組入れ期間の延長か組入れ基準の緩和になると思います。例えば、治験が終わって承認され、実使用の場面になってきます。実使用の場面を考えても、この人はリスクとベネフィットを考えたらリスクが上回るという方は、事実上適応外だと思います。そういう方は基本的に対象にできないと思っております。そこは特に安全性の面、有効性の面もそうだと思いますが、承認された後の実使用でも、この人は適応にならないという方は、さすがに対象にならないと思っております。
 ただ、どうしても患者さんを絞り込んだり、年齢の基準が揺れたり、どうしても少しはみ出てしまうことがあった場合に組入れ基準の緩和をして、医学的には十分この人は、リスクベネフィットを考えていけるという方が対象だと考えていると思っていただければ結構です。
○鈴木(康)委員 分かりました。
○吉田座長 ほかにございますか。よろしいですか。事務局の提案については、いろいろと御意見が出ました。基本的にこの検討会との関わりについては、かなり明確にしたつもりですが、微妙なところについては今日の議事録をもう一回読んで頂いた上で、判断して頂くという前提でお諮りしたいのですが、この事務局からの提案の本検討会の関わり方について、事務局の提案どおりということでご承認頂けますか。
(異議なし)
○吉田座長 ありがとうございました。異議がないようですので御了承を得られたものといたします。それでは議題2に進みます。議題2について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題2について、資料2、パワーポイントの資料です。まずは簡単に、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会(ニーズ検討会)について説明いたします。ニーズ検討会は、国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断用医薬品について、我が国の医療ニーズの高いものを選定し、企業に対する開発要請を行うことで、これらの迅速な医療現場への導入を目的として実施しております。
 下の図になりますが、学会等から要望書が提出されると、診療科ごとに設置されたワーキンググループで検討され、その議論の結果を基にこちらのニーズ検討会でニーズに選定するかどうかを決定いたします。ニーズに選定されると、国内に開発企業が存在しなければ開発企業を公募して、開発企業が存在すれば当該企業に対して開発要請を行います。その後は、既存のPMDAの開発相談等を利用して開発を進めていただき、薬事承認を目指すことになります。
 下のスライドですが、昨年度、このニーズ検討会の見直しを行って、主な変更点を下にまとめております。まずは要望対象の拡大になります。見直し前は欧米承認の医療機器等が対象でしたが、見直し後は欧米承認の医療機器等に加え、下記の一定の要件を満たす欧米未承認の国内外で実用化を目指している医療機器等にまで拡大しております。
 会議運営の効率化ですが、見直し前は2回行っていたワーキングを、見直し後は1回のワーキングで処理することとしております。また、見直し前は個別の検討事項において全診療科を網羅する1つのワーキンググループで検討を行っておりましたが、見直し後は個別品目を使用する診療科ごとに再編し、複数の専門家等で構成する少人数体制のワーキングとしました。
 選定品目の開発推進についてですが、ニーズ選定品目の進捗状況を定期的に確認して、この検討会で報告することとしております。また、国内に開発企業が存在しない場合には、公募に加えて業界団体に対して開発要請し、海外製造元にも伝達することとしております。
 裏のページの検討会の進め方についてですが、先ほども申し上げたとおり、学会等から要望書が提出されると、学会のヒアリング、企業に対してもヒアリングを行います。その後、要望書に基づきワーキング検討会で評価を行います。ニーズ品目に選定されると、開発企業の存在する場合には開発要請を行い、国内に開発企業が存在しない場合には従来の公募に加えて業界団体への開発要請・海外製造元にも伝達することとしております。ニーズ選定後は、定期的に進捗状況を確認して、検討会において進捗状況を報告いたします。また、ニーズ選定後、一定期間経過してしまった品目については、開発遅延の原因を把握し、学会に対しても要望を継続するかについての意見を聴取することとしております。
 当日配布資料2の裏のページのスライド4です。イノベーションの評価についてという表題のスライドの1のⅰ)ⅱ)ですが、ニーズの公募に応じて開発されたもの、また当該公募品目の次に開発された品目について、一定の要件を満たしたものは保険の適用の特例にすることとしております。その一定の要件については、スライド5に詳細を記載しております。
 このほかにも、スライド4に戻って、2の価格調整の比較水準の緩和や3の外国平均価格比が著しく低い製品への対応の精緻化等があります。それぞれの詳細については、スライド2、スライド3に記載しております。説明については以上になります。
○吉田座長 ただいまの事務局からの説明に対して、御意見、御質問等ありますでしょうか。基本的には前回までに確認した事項と大きく変わるところはなくて、ワーキンググループの数が増えたという話ですね。このような形で進めていくということだそうです。よろしいですね。議題2については、委員の先生方の御了承を得たということで、よろしければ議題3に進みます。議題3について、事務局からの説明をお願いします。
○事務局 議題3について、資料3のパワーポイントの資料になります。これまでにニーズに選定された品目の開発状況についてですが、これまでにニーズに選定された118品目中、薬事承認された品目が63品目、審査中が1品目、開発要請中が45品目、公募中が4品目、ニーズ選定の取下げが5品目あります。このうち、開発要請中及び公募中の品目の調査を行ったところ、公募中の4品目は依然、公募中、開発要請中の品目は、審査中が1品目、治験実施中が4品目ありますが、承認申請検討・準備中の品目が28品目、既に開発を中止してしまっている品目が13品目ありました。それぞれの詳細な状況については、次のスライド以降で説明いたします。
 「承認申請検討中・準備中」の品目についてですが、承認申請検討・準備中27品目中2品目については、既に要望学会から開発要請継続の要望がないということで、この検討会で了承が得られたらニーズの取下げをさせていただきたいと考えております。残りの25品目中24品目については、開発を進めております。ただ、こちらに関しては、期日までに何をするかを明確にしていただいており、期日までにきちんと目標が達成できたかどうかを事務局で確認して、その進捗状況を適時、検討会で報告させていただきたいと思っております。残りの1品目についてですが、要望学会から開発要請の希望があるにもかかわらず、企業が開発を進めていないということで、企業に事情を伺ったところ、治験の経験がない等の理由で、企業主導治験は困難と当該企業は判断しており、こちらに関しては今後、要望学会に医師主導治験をお願いする予定にしております。
 次ページです。「開発中止」の品目の取扱いについてですが、開発中止13品目中12品目において、既に要望学会から開発要請継続の要望がなく、この検討会で了承が得られたらニーズの取下げをさせていただきたいと考えております。また、残りの1品目については、要望学会が開発要請の継続を希望しているにもかかわらず開発を中止しておりますが、詳しく調査すると、日本法人のある海外製造企業が日本法人のない海外製造企業に事業を売却しており、国内に開発企業が存在しなくなったため、こちらについては改めて国内開発企業の公募を行う予定にしております。詳細は資料4-3と記載しておりますが、資料3-3の間違いです。
 最後に、公募中の品目の取扱いになりますが、公募中の4品目中1品目については、既に要望学会から開発要請継続の要望がなく、この検討会での了承が得られたらニーズの取下げをさせていただきたいと考えております。要望学会の開発要請の継続を希望している3品目に関しては、先ほど議題2でも申し上げたとおり、ニーズ検討会の見直しに伴い、従来の公募に加えて、業界団体に対して開発要請し、海外製造元にも伝達することとしており、こちらの3品目については上記対応中です。また、品目の詳細情報については間違いで、資料3-2、資料3-3、資料3-4に記載しております。説明については以上になります。
○吉田座長 ただいまの事務局の説明に対して、御意見、御質問等ありますでしょうか。要望学会から開発要請継続の要請がないというのは、前提条件を喪失したということになりませんか。
○事務局 そうですね。もう同じような品目が承認されております。
○吉田座長 いや、そうではなくて、ニーズの選定で取り上げるのは、学会からの要望があるものに対してやるのでしょう。
○事務局 おっしゃるとおりです。
○吉田座長 その要望がないということは、私どもが検討するための前提条件がなくなっているので、自動的に消滅するのではないかと思うのですが、そういう解釈では駄目なのですか。
○事務局 おっしゃるとおりだと思います。ただ、一度この検討会で選定しておりますので、ある一定期間たったところで調査して、ある程度要望がないとなった時点で、もう一度この検討会で取り下げていいかということで。
○吉田座長 分かりました。ということなのだそうですが、まず要望学会の要請がなくなったので、ニーズ選定を取り下げていいかどうかについて、委員の先生方からの御意見を伺いたいのですが、何かありますか。佐藤先生、どうですか。
○佐藤委員 まず、そのなくなったというのは、どういう確認をされたのですか。
○事務局 資料3-3の1ページ目の上から2つ目に関しては、骨粗鬆症に用いる骨セメントになりますが、右から3つ目の欄の学会の見解で記載しておりますが、学会の見解ではもう同じような品目があるから継続を希望しないと。
○佐藤委員 はっきり希望しないという回答が得られたということですね。
○事務局 そうです。取り消してもいいということで確認させていただいております。
○佐藤委員 それだったら。
○吉田座長 希望しないということなので、要するに前提条件がない。また、その希望しない理由の大部分は同等品が承認され、既に類似品があるということですね。
○事務局 おっしゃるとおりです。
○医療機器審査管理課長 うちのほうから全部照会をかけて、それの回答を頂いた結果こうだと。4月、5月ぐらいに全部確認しています。
○吉田座長 ということであれば、外したらどうかということに関して、御異議がある先生方はいらっしゃいますか。いないですね。ということですので、検討会としてはその件を了承しますということで、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
○吉田座長 このほかに、今の開発の進んでいない選定品目の状況について、御質問、御意見があればお願いします。
○大須賀委員 このチェックの仕方について伺いたいのですが、これはどのぐらいの間隔、いわゆる時間の間隔は年に1回、4月、5月にチェックを入れられるということなのでしょうか。どのようなチェックをされているのでしょうか。
○事務局 こちらの検討会は年4回開催することにしており、それについては今、我々のほうでも議論中ではあるのですが、毎回やるか、2回に1回やるかみたいな形で、定期的に報告させていただきたいと思っております。
○医療機器審査管理課長 2つありまして、1つが企業の開発状況がどうなっているかということになります。資料3-2に特に今、承認申請検討・準備中の品目の一覧があります。1枚めくると、実際進んでいるものがいろいろ出てまいりまして、右から2つ目のカラムに状況が細かく書いてあります。今こんな状況なので、こういうことをやろうとしていますというのが出てきて、これをなるべく何年何月ぐらいに次のアクションをやるのかを書いてもらおうと思っております。こういった情報については、今、年4回の予定なので、四半期に1回ぐらいは確認をしてどうなのかと。進んでなければ、どういう理由なのかを聞いていくのがよろしいかと思います。また、逆に学会のほうの確認は、そのぐらい頻繁にする必要があるのかというのはあろうと思いますので、毎回かどうなのかというところは、どのぐらいがいいのかなと思っているところです。
○吉田座長 どのぐらいというのは、何年以上経過したらとかですね。
○医療機器審査管理課長 はい。
○吉田座長 ほかにありますか。よろしければ、開発の進んでいない選定品目についての事務局の方針どおり進めていただくということで、よろしいでしょうか。御異議がないようですので、了承を得られたものといたします。
 それでは、議題4に進みます。議題4、学会等からの要望について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4について、資料4、学会等から申請されている品目になります。1枚目、2枚目がこのニーズ検討会の見直し前に申請されている11品目、3枚目が見直し後に申請された品目になります。こちらの品目については、順次ワーキングを開催する予定にしており、次の検討会に向けて準備を進めているところです。説明は以上になります。
○吉田座長 勝手に読めということですか。例えばワーキンググループで今、検討中・準備中とあるのですが、いつ頃どのような形になりそうだとかの説明はないのですか。
○事務局 事務局のほうが先ほど説明させていただきましたとおり、PMDAに事務局が置かれていたという関係で、ちょっと滞っていた品目がありますが、全ての品目について7月以降、順次ワーキングを開いていって、速やかに処理していきたいと思っております。
○吉田座長 例えばワーキンググループである程度の数が出そろった段階で、検討会を開くという形になっていますが、それでいいのですか。
○事務局 ワーキングは、今回の見直しで1回になりましたので、ワーキングで特に追加資料などがなければ、そのままニーズ検討会に上がってくる予定にしております。
○吉田座長 気にしているのは、いつ頃になるかなのですが。
○事務局 次の検討会を9月から10月ぐらいに予定しておりますので、それに向けてワーキングを開いて、順次進めていきたいと思っております。
○吉田座長 という予定だそうです。
○佐藤委員 ワーキンググループの座長を幾つかお引き受けしているので、私も確認なのですが、今回6つに分けられて、これからワーキンググループが順次やられると思いますけれども。
○事務局 7つです。
○佐藤委員 7つですね。申し訳ありません。1回で、前回は、まず評価書を作るかどうか。作れるかどうか。十分なデータがあるか、あるいはそれをやるに足るものであるかどうかを、まず最初のワーキンググループで諮って、評価書をワーキンググループの委員がやったわけなのですが、今回からはもう評価書の形で出てくると。それをワーキンググループで修正・追加等をするというイメージで、よろしいのですか。
○事務局 おっしゃるとおりです。その場で御指摘していただきまして、事務局のほうでその要望書を追記していって、充実化させて検討会のほうに上げてくると。
○佐藤委員 かなり完成度の高いものが出てくるということでよろしいですか。
○事務局 それに関しては、今、我々のほうでもかなりチェックをしておりまして、PMDAと協力して、完成度の高いものをワーキングに出すという努力をしています。
○医療機器審査管理課長 そう望んでいるのですが、そのようにしたいと思っているのですが、基本的には学会の先生方に、なぜこのデバイスが必要なのか。必要だと思うエビデンス、サマリーを要望書の形でまとめていただいて、それを基に議論いただきたいと。逆に、先生方には前は報告書そのものを書いていただいていたので、非常に御負担も多くて、当然、処理もどうしても滞ってしまうのはしょうがないということもありましたので、それを見ていただいた上で、先生方にはコメントですね。これはいいとか、これは悪いとか、そういうコメントはお付けいただいて、それを集約して、親委員会に出させていただくということであれば、きれいな報告書を書くのが全てではありませんので、必要なのかどうかということをよく見ていただいて、それをまたここで確認して進んでいくことを主に置きたいということです。
○佐藤委員 これまでの議論でも発言させていただいたのですが、最終的には必要性の評価というのが、医療上の有用性と適応疾病の重篤性というこの2つの軸で、そのどのカテゴリーに入るか、まずそこで決まってしまうところがあったのですが、カテゴリーだけを見るのではなくて、評価シートには理由をきちっと書いてほしいと。ワーキンググループでは、その理由がカテゴリーと合致しているかどうかをちゃんと見ようという考え方だったと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○佐藤委員 今回新たな委員の先生方もいるので、ちょっとコメントを申し上げると、有用性というのは、どういうデータがあるか、きちっとしたデータが存在するかを見るわけですが、重篤性のところは、先ほども申し上げたようにいろいろな対象疾病の中で、こういう人もいるから死につながるみたいな、なかなか難しいところもあることは確かです。有用性の部分も、1回1回諮っていると、やはりどうしても相対的に問題がないか。つまり、あのときBにしたのなら、これはちょっとAにはできないとか、そのようなこともあるのです。ですので、その辺をきちっと、何年か前にやったのと今とで、ちょっと基準がずれてきているのではないのということがないように、できれば今までの判例ではないですが、そういうものを手元に置きながらやりたいというのは1つあります。
 もう1つだけ申し上げますと、ずっと有用性と重篤性ということで議論をしてきて、これからもそれを中心にやられるわけですが、私が前から引っ掛かっているのは、費用対効果というか、社会にとって経済的かどうかという観点も参考程度には見ないと、本来はいけないのかなというのは、どこかで社会に導入するときに。ただ、今までのこの検討会の議論では、そこはその後の議論だという形でいたように思いますが、それでよろしいでしょうか。
○医療機器審査管理課長 結論から言うと、そのとおりだと思っております。経済性の問題は、まだ開発をする、つまり日本でもう物が入って、幾らで売るということがはっきりしていれば、もうちょっと議論ができると思うのですが、見込みで、これは経済性がいいとか、いくらで売るかまだ分からない、幾らで売らないと、ちょっと売れないのだということも分からない状態で、経済性の議論を。例えばアメリカではこうだとかという情報はいいと思うのですが、ワーキングで結論にどこまで入れられるかという言い方にしますと、ちょっと難しいかなとは思っております。
○佐藤委員 実はワーキングの中で、「これ、幾らぐらいするの」という質問は必ずされるものですから。
○吉田座長 今「はい、そのとおりです」と言われましたが、本当にそうなのかなと私も疑問に思っていたのですよ。つまり、どうも見ていると、昔だったら、がんとか心臓といった予後の見込めない患者さんたちを対象にするというような場合とか、あるいは失明というようなQOLの喪失が大きいというような場合、というように有用性の基準がかなり明確だったのですが、最近では、ニーズの選択基準がどんどん広がってきているというか、広がっていくようにしているではないですか。ですから、佐藤先生のように厳格に前と同じ基準でやっていくと、ほとんどの人がC評価とかB評価になってしまって、Aにならないと思うのです。でも、例えば手術時間が短くなるから、それだけでも安全性は増すし、患者さんのためになるといえば、別に対象の病態が重症であろうがなかろうが、それはそれで有用性はあると考えましょうという話になっているのではないのかなと思っているのですが、違うのですか。
○事務局 御意見ありがとうございます。今回、資料1-3の別紙1、5ページの下に、医療上の有用性と適応疾病の重篤性と書いてありますが、ここの医療上の有用性のイの項目、有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担、操作性等の観点からということで、こういった観点から有用性が期待できるようなものに関しては、選定対象とするということです。ただ、これは先ほど吉田先生から頂いたように、ここの範囲が広がっているのではないかという話があったと思うのですが、見直し前と比べて、ここを広げているということではないとは理解しています。
○吉田座長 ということは、やはり相変わらず重症でなければAが付かないとか、A以外は後回しにするとかというルールになるのですか。
○事務局 いや、そういうわけではないです。
○吉田座長 まあ、いいや。私たちはワーキングではないから、ワーキングの人に考えてもらいますが、このケースは早くしようとか、順位付けしていたではないですか。そういうことは今後もするのですか。
○医療機器審査管理課長 吉田先生のお話は、確かに先生がおっしゃった部分もあると思うのです。つまり、ニーズ検が始まるときには、重いものを特にやってきたというのは現実であって。
○吉田座長 あのときは、ものすごくたくさん出てきたのです。捌き切れなかったから、優先順位を付けるために重症度の高いものとか、緊急性のあるものから選んでいった。だけど、今は大分変わりましたよね。中身は変わっていて、有用性についても、昔みたいにAなどという話でなくても、どんどん審査に上がってきていますよね。
○医療機器審査管理課長 はい。
○吉田座長 その有用性の中身を私どもが一応理解して、これは確かに有用性があるというようにすればいいわけで、重症にこだわるわけではないのでしょう。
○医療機器審査管理課長 重症の評価はしていただきますが、重症でなければ駄目ということまでは言わないですね。有用性の判断です。特にデバイスの場合には、医療従事者は操作性がいいとかいうことは非常に大きな部分だと思いますので、そういうことも評価点だということを明確にしてやらせていただく。そういう意味では、昔は優先順位まで付けて、通らなかったものも、今だとそれほど数が出てこないこともありますので。
○吉田座長 門戸が広がった。
○医療機器審査管理課長 そういう部分は否定できないと思っております。
○吉田座長 ということだそうです。ですから、有用性の評価に関しては、きちっとそれが正しいかどうかの評価もそうですが、どういう種類の有用性であるかということをワーキングから出てきたときに、我々が同意するか、あるいはそれは違うとかという判断をすればいいのですよね。
○医療機器審査管理課長 はい。
○吉田座長 ということだそうです。よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はありますか。ないようですので、今の学会等からの要望についての事務局からの説明を了承したいと思います。
 その他になりますが、その他、何かここで確認しておきたいとか、こういう希望があるということはありますか。
○小林委員 先ほどのCompassionate Useの所に戻ってしまうのですが、ちょっと気になっている文章がありまして、本制度の中の対象疾患の中で、「生命に重大な影響がある疾患であって、既存の治療法は有効なものが存在しない」となっていますが、例えばアメリカの制度だと、「代替となる有効な治療法が存在しない」という文章になっているのです。代替となるということであれば、同等な効果を有する、有効性を有するものはないという意味だと思うのですが、この有効なものが存在しないということであれば、多少有効であっても、それは認められないようになってしまうことがあるかなという。
○吉田座長 治験をやっているときは、有効性はまだ確立していないのですよ。効くか効かないか分からないのです。つまり、治験が終わってから出た結果を見て、より良かったとか、悪かったとかという話になります。ですから、今お話しのCompassionate Useのところは、まだ評価が定まっていない段階での使い方なので、そういった意味で言うと、ほかに治療法がないというのは、そんなに変な話ではないのではないかなと思いますが。
○小林委員 分かりました。
○鈴木(邦)委員 先ほどワーキンググループで費用対効果の話が出るということですが、確かにそこの場は議論する場ではないと思いますが、これから先々必ず出てきますから、そういう視点を持っているのは大事ではないかと思うので、そういうことも全部否定することはないのではないかと思いますけれども。
○医療機器審査管理課長 お話もよく分かっております。ただ、明確にそこを書くと、それも見なければいけないと義務的に考えてしまうのもちょっとどうかなと思っておりまして、ワーキングで出た議論は当然残して、こちらにも報告もさせていただきますし、そういうことを気にされる先生方にそういった議論は関係ないということを言う気はありませんで、明確にそれを論議のポイントですとまで言うのが、ちょっと今は難しいかなと思っているだけです。
○佐藤委員 当然ちゃんと議論するとなるとデータが必要なわけで、それをそのために集めるというのは今の段階では難しいし、先ほど言われたように明らかな数字がないわけです。だから、定性的な何となくのコメントは入れるかもしれませんが。
○吉田座長 そうなのですよね。例えばこれはまあ使えるかなとなった場合、どうしても「そんなに高価なものだったら要らないんじゃない」という話や、逆に、「安くできるのだったら、これでも十分だよね」と言うような話もしたくなるのですが、そこの判断ができないのです。私たちの仕事は効くか効かないかの判断だけをしなさいということになってますので、確かに鈴木先生が言われるようなことが最後に論点として残るのですが、そこは管轄外という整理になってしまいます。ある先生は、「初めから経済のこともちゃんと審議会に情報として上げて議論すべきだ」ということを仰っていましたが、承認した暁には幾らぐらいになりますというようなデータを出すというのは、暁が来ない場合もありますから実際問題としては無理なのでしょう。
○医療機器審査管理課長 それは無理ですが、多くの場合は、欧米で販売しているものが多いので、欧米で販売はどういう状況かというのが分かる限りでは集めたいと思います。
○吉田座長 それができるのだったら助かる。しかし、未承認だったら無理ですよね。
○医療機器審査管理課長 ですから、欧米も未承認のものはさすがに無理だと思います。ただ、多くのものはこういったデバイスの構造で、こういうものというのは大体。
○吉田座長 幾らぐらいでやっていますよという情報が、出せるのだったら出してください。
○医療機器審査管理課長 ただ、数字を出すのはなかなか難しいと思いますが、欧米で販売されているものについては、企業の協力も要りますが、分かるものはなるべく努力をしたいとは思います。
○吉田座長 別に幾らにするというわけではなくて、欧米ではこのぐらいで売られていますという情報だけでもいいのですけれども。
○医療機器審査管理課長 はい。
○吉田座長 それでよろしいですか。ほかにありますか。なければ、一応、本日の議題は全て終了ということになりますが、事務局からの連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 今日もいろいろな御意見を賜りました。誠にありがとうございます。次回の日程に関しては、一応今のところ9月ないし10月ぐらいで開催できないかと思っております。また改めて日程調整して、会議の御案内をさせていただきたいと思います。また今後ともよろしくお願いします。本日の議事録については、出来次第、御確認をお願いしますので、またよろしくお願いできればと思います。以上です。
○吉田座長 それでは、本日の検討会は閉会させていただきたいのですが、よろしいですか。長時間にわたる御議論ありがとうございました。