3.9 水の安全・衛生対策
3.9.1 水の汚染防止
【構造・材質基準に係る事項】
1.飲用に供する水を供給する給水管及び給水用具は、浸出に関する基準に適合するものを用い
ること。(省令第2条第1項)
2.行き止まり配管等水が停滞する構造としないこと。ただし、構造上やむを得ず水が停滞する
場合には、末端部に排水機構を設置すること。(省令第2条第2項)
3.シアン、六価クロム、その他水を汚染するおそれのある物を貯留し、又は取り扱う施設に近
接して設置しないこと。(省令第2条第3項)
4.鉱油類、有機溶剤その他の油類が浸透するおそれのある場所にあっては、当該油類が浸透す
るおそれのない材質の給水装置を設置すること。又は、さや管等により適切な防護のための措
置を講じること。(省令第2条第4項)
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(解説)
1.配管規模の大きい給水装置等で配管末端に給水栓等の給水用具が設置されない行き止まり管は、配管の構造や使用状況によって停滞水が生じ、水質が悪化するおそれがあるので極力避ける必要がある。ただし、構造上やむを得ず停滞水が生じる場合は、末端部に排水機構を設置する。
1)給水管の末端から分岐し、止水用具、逆止弁、排水ますを設置し、吐水口空間を設け間接排水とする。
2)排水量の把握のため、水道メータを設置することが望ましい。
3)排水ますからは、下水又は側溝に排水すること。
2.住宅用スプリンクラの設置にあたっては、停滞水が生じないよう末端給水栓までの配管途中に設置すること。
なお、使用者等に対してこの設備は断水時には使用できない等、取り扱い方法について説明しておくこと。
3.学校等のように一時的、季節的に使用されない給水装置には、給水管内に長期間水の停滞を生ずることがある。このような衛生上好ましくない停滞した水を容易に排除できるように排水機構を適切に設ける必要がある。
4.給水管路の途中に有毒薬品置場、有害物の取扱場、汚水槽等の汚染源がある場合は、給水管等が破損した際に有毒物や汚物が水道水に混入するおそれがあるので、その影響のないところまで離して配管すること。
5.ビニル管、ポリエチレン管等の合成樹脂管は、有機溶剤等に侵されやすいので、鉱油・有機溶剤等油類が浸透するおそれがある箇所には使用しないこととし、金属管(鋼管、ステンレス鋼管等)を使用することが望ましい。合成樹脂管を使用する場合は、さや管等で適切な防護措置を施すこと。
ここでいう鉱油類(ガソリン等)・有機溶剤(塗料、シンナー等)が浸透するおそれのある箇所とは、1)ガソリンスタンド、2)自動車整備工場、3)有機溶剤取扱い事業所(倉庫)等である。
接合用シール材又は接着剤は、水道用途に適したものを使用すること。
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(解説)
硬質塩化ビニル管のTS継手の接合に使用される接着剤が多すぎると管内に押し込まれる。
また、硬質塩化ビニルライニング鋼管等のねじ切りの時、切削油が管内面まで付着したままであったり、シール材が必要以上に多いと管内に押し込まれる。したがって、このような接合作業において接着剤、切削油、シール材等の使用が不適当な場合、これらの物質の流失や油臭、薬品臭等が発生する場合があるので必要最小限の材料を使用し、適切な接合作業をすること。