閣議後記者会見概要

H21.08.04(火)11:16 ~11:32  省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議について特別に報告することはございません。

質疑

記者:
原爆症訴訟の件ですが、昨日原告団の方々が記者会見をされて、政府に対して文書での回答を5日の夕方までに求めて、それで明確な回答がなければ今の政府との交渉は打ち切らざるを得ないという考えを示しておりますが、今後の解決に向けて、大臣がかねてから主張している方向になりそうかどうか、お考えをお聞かせください。
大臣:
今、政府部内で検討中です。官房長官も、財務大臣も法務大臣も関わっておりますし、私も関わっておりますので、政府部内で鋭意検討中ということで結論に至っておりません。
記者:
そうした中で、広島の原爆祈念日が間近に迫っておりますが、ここで解決に向けた何らかのメッセージを出したいということに変わりはないということでしょうか。
大臣:
それは官房長官がその日までにということをかねてからおっしゃっておりますので、できるだけ早い解決が出せることが望ましいです。ただ、法的な無理があったり、いろいろな理屈が通らないことがあればそれはそれで正しい解決法ではありませんので、最終的には納税者、つまり国民が納得するような形で解決が図られることが望ましいと思っておりますから、私がいつも申し上げていることに全く変わりはありません。
記者:
先ほどの閣議の後に、マニフェストの勉強会が行われたと思いますが、今、公示までまだ2週間程度ありますが、大臣はこれまで民主党と自民党との政権公約の違いについて、財源をどう手当するのかということをはっきりすべきだということを繰り返し強調されて来ましたが、今のマニフェストを巡っての論争の中で財源問題を含めて、具体的にどういったところがポイントになるとお考えでしょうか。
大臣:
一つは、今おっしゃられたように財源の問題をきちんと手当しないと責任ある答えにはならないと思います。もう一つは、サービスの配分ということです。これは簡単に言うことができ、まさにそこが財源問題でもあるのですが、そのお金をどこから持ってくるかという時に経済成長戦略が必要なのです。私がいつも申し上げておりますように、3千万の人口の日本であればいいですが、1億2千万人ですので、外に作ったものを輸出して外貨を稼げないとこの国はやっていけません。どういうふうに経済を成長させるかという戦略がなく「これをやります、あれをやります」と言うだけで、富をどのように増すのかということがありません。ですから、これは我々がしっかり主張すべき点ですし、野党に欠落している点です。それから、もう一つは雇用政策についてはほとんど言及がないといいますか、我々を超えるものはありません。例えば、最低賃金についても、千円になるのは理想ですが、それでは何年掛かってやるのですかと。直嶋政調会長が、民主党は4年間でやるとおっしゃったということを聞いておりますが、これはまさに私が苦闘してこの不況の中で加重平均で7円から9円引き上げたということで、それは中小企業にとって死活問題です。「それだけの賃金を払わなければならないのなら、潰れますから会社を止めます」となるとそこで雇用が失われます。雇用を維持するという大事な目的と、そこで働く人達の給料を上げるという目的をどう兼ね合わせるかという、身を削るようなバランスの取り方をやってきていますので、外から良いことをいうのはいいですが、「明日から最低賃金千円です」となって、それでばたばたと中小企業が潰れて、失業者がもっと増えたらだれがその責任を取るのですか。その点も大事です。後は、憲法とか外交とかいろいろありますが、厚生労働省の分野で言いますと、政と官との関係です。要するに役人が駄目だということを三流のノンクオリティペーパーが言うのは自由ですが、少なくとも皆様方のような一流のクオリティを持っているメディアですとか、責任ある政党が言うべきことではなくて、いかにして役人を使いこなすかということを考えないといけません。要するにこの2年間、一生懸命厚生労働省改革をやって来ました。成果が出ていなければ何も言いませんが、成果が出ております。医政局長のポストに技官以外が就いたのはマッカーサー指令を変えたことになりますから、戦後誰も変えられなかったことです。そういうことをきちんとやることが必要ですので、政治家がドカドカと役所に入って来たら世の中が変わるとか、役人を追放してしまえば世の中が変わるのであれば、そんな簡単なことはありません。あまりに単純化されたワンパターンで来ています。官が悪だ、霞が関が悪だというそれだけしか言ってこない。そういう、先ほどの最低賃金と同じですが、緻密さに欠ける頭で物事を処理してもらっては困ります。白か黒かでやるようなことが政治の世界ではありませんし、様々な要求を皆様が出してくる中で、どういうふうにしてバランスをとって皆でやるのかということが問題ですので、彼等が言っているとおりに日本国政府の形は変えられるのでしょうか。改革はしないといけませんが、絵に描いた餅に終わるだけならまだいいですが、大混乱を来した時の責任は誰が取るのですかということです。こちらは2年間の実績に基づいてそれなりの苦労をして、不十分であっても役人を掌握し、役所を動かして来たという自負はあるつもりですので、政と官との関係は徹底的にどちらが正しいかやってみましょうということです。
記者:
原爆症訴訟の熊本地裁判決が出ましたが、まさに救済策を政府内で検討している最中とのことですが、地裁判決の今後の対応についてはいかがお考えでしょうか。
大臣:
これはまだ中身を精査しておりませんので、よく精査した上でどうするかということは今後とも考えて行きたいと思っております。
記者:
原爆症訴訟の関係ですが、訴訟を起こされている方が苦労をされているのはわかるのですが、訴訟を起こしていない人もいる中で認定基準という原理原則を変えない中で、訴訟を起こしている人を救済するというスキームが、正当性があるものなのかということについて、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
論理的に言いますと、一審判決で勝訴とか敗訴とか、認定するかしないかが決まります。その決定に対して「今後どうするのですか」という判断を迫られた時に、二つの方法があります。一つは、判決の結果を尊重して厚生労働大臣が一審で勝訴した人は大臣認定する方法があり得ると思います。もう一つの方法は「一審だけでは不十分なので、上級審、つまり高等裁判所の判断を仰ぎましょう」という決定の仕方があります。これまでは後者のやり方であって、基本的に高等裁判所で認定だと認められればすべて認めております。これが今までの厚生労働省のやり方です。そうすると、論理的に言えば基本的に二審まで行って一審と同じ判決を下せばこれで片付くのですね。ただ、二審の判決が出るまで時間がかかりますので、「時間を短縮してください」という要望がある時にもう一つ今のことについて別の表現をすれば、「どうせ二審で同じ判決が出ることが見通せるのであれば、待たなくてやってもいいのではないでしょうか」ということもあります。しかし、「待たなくてやってもいんじゃないでしょうか」という時には、大臣認定しか手がありません。大臣認定は基本的にはお医者さんや、科学者が科学的に認定した結果に基づいて大臣が認定することになっていて、そういう人達が「ノー」と言っているのを、大臣が認定していいのですかという反論はあり得ます。その時に大臣の判断基準としては、科学者がおっしゃることを信じる判断もあり得ます。しかし、「これまで20回近く負け続けているじゃないか、20人近い裁判官が全部駄目な裁判官なのですか、お一人お二人マイノリティがおられるかもしれませんが、連続して負けて来ているというのは裁判の判決は重いですね」という判断をとって大臣認定をするということも論理的にはあり得ます。しかし、それぞれ、法務省の立場から見ると「その決定は待ってくれ」ということになる。厚生労働行政としても、きちんと広島や長崎の原爆病院の患者を診てきた先生が積み上げて来た知見に基づいてやっているのを、急遽変えていいのですかという反論も起こります。そういうことのすべてを分かった上でどうすればいいのかなと。ですから、最終的には今言った選択肢について決断を下すということは、麻生総理の御決断になると思っておりますから、それが今の状況だということです。
記者:
マニフェストに関して、ちょっと個別の報告なんですが、年金記録問題について、自民党のマニフェストで、来年末をメドに解決だという表現になっている訳ですけど、この間の大臣の説明だと、「来年末に目処をつける」とそこの意味合いが違うわけですけど、それはどういう風に整理されますか。
大臣:
それは、この前私が申し上げたとおりです。要するに、やれることは、今8割5分くらいまで解決しているので、9割5分くらいまでに持っていって、残りの5分は、確認できない人だったりするんで、公示して、「はい、今から1年間公示しますから見てください。おたくのおじいちゃんおばあちゃんではありませんか」とする。誰も出てきません。では、それで、そこまでやってということでしたから、それは解決ということになるんで。したがって、そこは私が言った言い方が一番正しいです。政府としてやるべき事はやった。したがって、最終的に訳の分からない何パーセントとかが残ります。それについては、国民の判断を仰ぐ。国民が止める。あるいはそれでもなお、国民が「厚労大臣は死ぬまでやれ」と言ったらやります。だから、そこは最終的には国民のご判断です、それを2年間の集中期間をおいて、お金をがっぽりそこに投じてやると言ったって、それより先に私達がやっている訳でしょう。では、どうするんですか。国民が主人公なんです。だけど、半分くらいしか片付いてない段階でもう幕引きしていいですか、なんてそんなことは言えません。しかし、来年の終わりには、そういうことが言える状況になるということなので、それはマニフェストでの表現は、そういう風にいろいろ党が書いていますけれども、私が今申し上げている解釈が一番正しい。
記者:
それは、マニフェストが「解決する」ということでは、やや行きすぎた表現ではないですか。
大臣:
「解決する」と、誰がどう書いたかですけど、私が指示したのはそういうことですから。だから、分かりやすく、解決するという方向で、書いているのだろうと思いますけれども、具体的にはどういう解決かと言ったら、私が今言った解決法だということです。
記者:
大臣の説明を聞くと分かるんですが、一般的には「解決」と聞くとですね、「100パーセント解決」と国民は受け止めると思うんですけど、そこはそういう意味ではないということですか。
大臣:
違うんです。実在の日本国民でないのをでっち上げて、何の何兵衛さんと出ていたのは、解決できないでしょう。そこまでしないと解決にならないのですよ。したがって、データと国民の協力で、2つの車輪を回して、ここまで来たんです。どっちから見ていっても分からないものが出てきます。それは,民主党がやろうと誰がやろうと分かりません。その分からないことについての解決法を言っている訳ですから、インターネット、町役場、公示します。一年間公示します。それで、誰もいない。半年でもいいでしょ、公示期間。そういう解決の仕方をするしかありません、これは。具体的に言うと。これが解決策です。本当に、架空で不正があったりする訳ですから。それと、自分のじいさんばあさんの名前も忘れちゃってるという人はいないでしょうから。そういう不明な物がたくさんある。それから「紙台帳、紙台帳」と言っていますが、紙台帳が正しいのか、紙台帳を写したコンピューターが正しいのか分からないから、それをやり出すと、私が前にやったこと、2年間やったことを、もう一回全部やり直せ、ということになります。そこまで出来ません、ということですから、国民が、「はい、これで解決を見た」という判断だされるとそれでいい訳です。それだけ難しいんですよ。この記録問題は。だから、「解決する」という言葉の含む範囲が、おっしゃったように、幽霊最後の人、幽霊国民まで探せ、というのは、私はそういうのではなくて、政府が出来るだけの努力をして、どういう手をとっても不明な物については、国民の判断で、国民が協力してやる、それでも不明な物については、もう仕方ありません。したがって、それで終わりましょう。これで終わりましょうというのが解決ということです。
記者:
党の側のブリーフでは、年金を払える状態にすること等まで踏み込んでいるんですが、それも現実味ございますか。
大臣:
私の言ったようなことも含むかどうかなんですけど、当然含むと思います。幽霊に行き渡るはずないですから。だから、きちんとした人に、きちんと年金記録を解決すると。今のペースで行くとそこまで行くんです。それで申し上げているのです。

(了)