閣議後記者会見概要

H21.07.21(火)09:20~09:35 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
官房長官も発表していると思いますが、今日の両院議員懇談会を公開とすることで先程総理の決断をいただきましたので、官房長官から党の方にそういう方針を伝えている模様であります。自民党総裁が御決断いただいたので、基本的には公開ということになると思います。

質疑

記者:
閣議で衆院解散が決まって、詔書への署名もあったと思いますが、改めて御感想をお願いします。
大臣:
決まった以上は選挙になりますから、全力を挙げて選挙を戦う、それしかありません。これまでやってきた仕事の業績というものをきちんと国民に説明し、これからのビジョンというものを掲げて、どちらの政策が良いかということを有権者に選んでもらうということであります。これから後、与党として全力を挙げてやらないといけないことは、立派な選挙公約を作るということに尽きると思います。
記者:
冒頭の発言で、「総理から懇談会の方を公開することに決断をいただいた」という言い回しでしたが、これは閣僚懇のなかで大臣が求めたのでしょうか。
大臣:
私はずっと、これは公開すべきであると、仲間にも官邸にも党の執行部にも強く言い続けてきました。昨日段階では、まだ非公開ということで、今朝のニュースを見ても非公開は変わらず、というニュースが各社出されていたと思いますけれども、一晩明けて、総理が今日の段階で公開にするという決断をなさったということです。
記者:
官房長官の会見では閣僚から「国民重視のものだから」という形で公開を求めるような発言があったということが出ているのですが、大臣からも同様の発言があったのでしょうか。
大臣:
何人かの閣僚はおっしゃったと思いますけれども、それで総理がその場で決めたわけではなくて、昨日一晩良く考えられて、総理がそういう決断をして閣議に出て来られたということです。そこに至るプロセスにおいては、多くの仲間の議員がそれぞれ公開にしたほうが良い、しない方が良いということを、様々な電話や何かで言ってきたのだと思いますけれど、最終的な決断は総理の御決断で、今朝の閣議に臨まれた時には、公開ということを決断なさっていたということで、後はそういうことが実行できるように党の執行部で取り計らっているのだろうと思っています。
記者:
大臣としては何故公開の方が望ましいとお考えでしょうか。
大臣:
非公開にする理由はまったくありません。国民の前に開かれた政党であって、そこで党内の議論をきっちりやるということが必要で、寧ろ、遅きに失したと思っています。こういう機会を色々なところで持てばこれほど支持率は下がってないはずです。私たちはやっぱりきちんとした政策を自信を持って行っているわけです。しかも、開かれた政党なので、独裁政党ではありませんから、党内に様々な意見があるということは好ましいことなのです。そういうことを国民の前にきちんと示して、そして戦に臨む、これは当たり前のことです。そういう当たり前のことの判断がつきかねるということは、私は執行部の問題だと思っています。
記者:
「今後、立派な選挙公約を作るということに尽きる」という発言がありましたが、「戦には勝たなければいけない」と先般来おっしゃていますが、戦に勝つために鍵となるものはどういったものだとお考えでしょうか。
大臣:
何度も申し上げているように、森内閣末期と今とどこが違うかというと、森内閣の末期は、森内閣の支持率は下がったけれども政党支持率で自民党の支持率は下がっていなかった。今、最大の問題は、内閣支持率もそうですが、政党支持率で、極端にいうとダブルスコアで民主党に負けているということです。ですから、看板を取り替える、つまりトップの座を他の顔にしただけでは駄目だということを何度も申し上げているのです。
では何で勝負しますか。政策で勝負をしないといけないです。基本的なところでは、国の根幹である外交・防衛。野党は一貫した政策を取れているのですか。特に野党連合ということになった時に、沖縄の基地の問題から始まって、アメリカとの協力、こういうことについて一枚岩ではありません。国の根幹というものは外交防衛ですから、これをきちんと明言する必要がある。
それから、憲法は改正するのですか、しないのですか。改正するとすればどのような方向で改正をするのですか。鳩山由紀夫さんは自分で憲法改正の本を書いておられる。しかし、絶対憲法を守るという勢力が同時に政権を取ろうという中におられる。これをどうするのか。私は自民党の憲法改正草案をまとめましたが、自民党の中にも様々な意見がありましたが、ある一つの形に集約をして、党としての憲法改正草案を持っております。様々な批判から抵抗からありましたけれど、そういうことが出来るのです。憲法というのは国の基本ですから、そういうことをまずしっかり我々がやっているということを謳う必要があると思います。
それから、社会保障政策を充実させるのは結構ですが、財源をどうするのか。そして、富の再配分をやろうとするときにどういう原理原則でやるのか。今、母子加算の問題が出ていますが、確かに子どもの多い方をお助けするということは正しいことですが、そのつけとして、誰も好んで子どもを持たないわけではなくて、子どもが生まれない所帯はたくさんあるわけですから、こういう方が過剰に税金が重くなるということに対して、どういう手当と説明をするのかということがあります。ですから、私は生活保護の母子加算に反対だと、そのことも何度も申し上げているとおりなので、そういうことをきちんと説明する必要があると思います。
私は常に申し上げているように、我々の党の原点というものは、「働かざる者食うべからず」なのです。まず自助なのです。そして、お互いに助け合いましょうという共助があって、それでも駄目な方は公助ということでやっているのです。欧米の諺にも、「天は自ら助くる者を助ける」というものがあるわけです。そういうことをきっちりした上での欧米のチャリティ、キリスト教精神なので、自ら助くものを助けた上でみんなで助けましょう、ということです。モラルハザードはいけませんと申し上げていますが、一生懸命納税している方に対してモラルハザードがあってはいけないから、7,000億円の基金の使い方にしても、インセンティブ方式でやりなさいと申し上げています。真面目に授業に出て再就職をしたら、それは掛かったお金は免除しますよと、お金だけもらって真面目に授業も受けない、再就職もしないのでは税金を払っている皆さん方に顔向け出来ないでしょう。そういうことをきちんと言う勢力がなければ、何でもかんでも有権者の人気取りということで、八方美人で良い顔をする。しかし財源はどこから持ってくるのですか。ずっとやるなら恒久的財源ですから、きちんと消費税増税なり何なり言わないといけないのです。そういう社会保障を巡る一連の政策論争はきちんとやる必要があると思っております。その他諸々しっかりした政策を作る必要がある。一番の問題はこういう政策作りについて、きちんと公開してやっていないといけない。正に、今日の議員懇談会の轍を踏むようなことをやろうとしていることは自民党執行部はきちんと反省しなくてはいけない。そんなことをしたら開かれた政党ではないですから、戦をする前に負けている。それは猛省を促したいと思っております。
記者:
政策という観点から言うと、小泉改革を自民党としてどのように総括するのかという点が今回の総選挙で問われると思いますが、野党側は小泉改革の負の部分にかなり焦点を当てて戦っていくと思いますが、これに対して自民党、政府・与党としてはどのように展開されて行くのでしょうか。
大臣:
いつも申し上げておりますように、小泉改革のプラスの点はきちんと強調する必要があり、マイナスの点をどう是正するかということになります。他の言い方をすると、セーフティネット論の陥穽、落とし穴をきちんと突くということです。私は党の中でもセーフティネットをしっかり張るということにおいては人後に落ちませんし、これまでもきちんと行ってきました。しかし、財源をどうするか。いつも申し上げておりますように、人口1億2千5百万人の大きな国家ですから、きちんと輸出をして外貨を稼がなければ経済成長をして富を蓄積しない限りはセーフティネットも何もあったものではないのです。埋蔵金などは例え出てきても一時的なものであって、経済成長戦略をきちんとやらないと駄目です。その経済成長戦略に乗っ取ってGDPを増やして、その富をセーフティネットに使うという発想が我が党にないといけません。
野党の諸君は前半がまったく欠けていて、とにかく「セーフティネットを充実しろ、母子加算廃止でかわいそうな人がいる、派遣切りでかわいそうな人がいるからどんどんお金を出せ」と言いますが、どこからお金が出てくるのですか。天からお金が降ってくるわけではありません。あなた方はどういう経済成長戦略をとっているのか。
我々は経済成長戦力をとる必要があって、その点においては小泉改革は正しいのです。つまり、三つの過剰の問題があります。設備投資の過剰ですとか、雇用の過剰とか、負債の過剰とかを含めて、それから、選択と集中ということも正しいです。一部の企業を除いて圧倒的に日本の国際競争力は弱いです。特にサービスセクターにおいては話になりません。こういうことをぐっとあげていく努力を行っていかないといけませんし、この点においては後戻りは許されません。
ただし、そのプロセスにおいて弱い者がバタバタ倒れていったことに対する十分な手当が出来ておりません。先ほど言った富める者が日本の国富を上げて行く、その国富を上げる過程で犠牲になった弱い人たちに使うというプロセスを作る必要があります。そこが弱かったのです。時代の要請ですから、我々はそこにきちんと手当をいたします。野党の諸君はその手当の方しか言いません。ですから小泉改革を正しく評価する、党内でいろいろ意見が割れているのもそういうことですので、党として経済成長戦略をきちんとやってグローバルなスタンダードで負けない競争ができる日本の企業に育て上げ、そこで得られた国富の増加分をセーフティネットにあてるということが正しい方法です。そういう形に党の政策を集約する必要があります。ですから、必要に応じてそういう発言をしていきますし、そういうことでなければ勝てないと思います。今でも自民党を支持している人はおられますし、地方の議員もしっかりがんばっている人がおられます。そういう人達は今の様な気持ちを持っていると思いますから、「政権交代をして自民党を一度懲らしめてやろうと、民主党を試してみてもいいんじゃないか」という気分でやっているのですが、そうではなくて我々は正しい政策を行いますということを、今言った方向でとりまとめる必要があると思います。
記者:
政策のとりまとめの場としては、大臣は具体的にどのような場をお考えでしょうか。
大臣:
今までですと、各部会でまず議論をするのです。厚生労働部会は厚生労働について、外交部会は外交について議論をして、それを政調の全体会議でまとめますので、政調会長がしっかりしないといけないということです。そして、党全体でまとめます。私が参議院の政審会長だった時には参議院は独自の政策をまとめました。そして、衆議院と突き合わせをしましたが、今は全く動いてないわけです。司司がしっかりしていかないと全体の組織は動きませんが、司司は全く動いておりません。政調会長の号令も聞いたことがありませんし、幹事長が党をまとめないといけないのに、これも聞いたことがありません。みんな知らない。片一方で民主党はどんどん政策を発表しています。批判をするだけで、自分達の政策を出さなければ駄目ですから、昼の懇談会で発言の機会があればそういうことをきちんとやりなさいということは言いますが、執行部のガバナンスが欠けているというのはまさにそういうことです。私は今党の執行部ではありませんので、厚生労働行政という大事な仕事を仰せつかっているので、これに全力を挙げていますが、歯ぎしりをしながら見ている感じです。
記者:
今回の選挙ですが、公示までの期間が長いのですが大臣の御予定はいかがでしょうか。
大臣:
公務が最優先です。広島、長崎の原爆祈念日もありますし、戦没者の慰霊式もあります。それから、秋からの新型インフルエンザの第二波に向けて対策をどうするのか、雇用の問題も大きいですし、日々の厚生労働行政を充分行った上で、空いた時間はできるだけ仲間の支援に回りたいと思っております。
記者:
四年ぶりの解散総選挙で、この間自民党政権では四代の総理が代わったわけですが、今回の選挙で自民党は選挙後も麻生総理で政権を続けることの国民に信を問う選挙という位置づけでよろしいのでしょうか。
大臣:
とにかく、すべて選挙の結果です。先ほど申し上げましたように、誰が自民党総裁だったらどうだという話ではなくて、党自身が問われていますから、党全体で総力戦で戦うということです。そこから先は結果を見てということです。今までと違うのは、党首の顔で戦うという感じではないと思います。これは民主党についても同じことが言える思っておりますので、まさに小選挙区制の論理が貫徹されて、政党選択の選挙ということです。小沢さんから鳩山さんになったことでいろいろありますが、献金疑惑がまだありますからそういうことを踏まえまして、ここまで政党支持率に差がつくということは、政党選択選挙になっております。したがって、政党として全力を挙げる必要がありますので、皆がしっかりしないといけないと思っております。後は結果次第です。

(了)