閣議後記者会見概要

H21.06.19(金)09:36~09:51 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等ついて

大臣:
閣議ですけれども、特別こちらからご報告することはございません。

運用指針の改定について

大臣:
今日は、新型インフルエンザ対策について、二点、報告いたしたいと思います。
一点目は、フェーズ6に引き上げた際に予告しました医療、検疫などの運用指針の改定であります。二点目は、ワクチンの製造についてであります。
まず、運用指針の問題からいきたいと思います。パワーポイントをご覧いただきたいと思います。まず、諸外国の発生状況ですが、これから冬を迎える南半球において、感染者の増加が著しく、WHOは、先週、フェーズ分類を6に引き上げ、世界的な蔓延状態にあるということを宣言しております。我が国におきましては、今後とも患者発生が続き、秋冬に向けて、いつ全国的かつ大規模な患者の増加をみてもおかしくない状況にあります。また、ウイルスの特性からいって、基礎疾患を有する者などで重症患者が増加する可能性もありますので、しっかりとした対応が求められています。こうした状況を踏まえまして、秋冬に向けて、国内での患者数が大幅に増加することも起こり得るという観点に立って、対策が必要だと思いますので、今回の運用指針の改定に当たりましては、患者数の急激かつ大規模な増加について、できるだけ遅らせる、そして、ピークも抑制して、影響を低減する。それから、次は、可能な限り、医療機関の負担を減らして、重症患者に対して、その分、適切に医療を提供する。患者の把握については、個々の発生例ではなくて、学校などでバッと何人も数多く発生するところを中心に探知する。それから、現時点は、ある意味で、秋冬に対する準備期間、それに備えての体制整備だということであります。そういうことで、こういう方針でいきたいと思っております。それで、優先する医療提供体制の整備や院内感染対策の徹底などにより、基礎疾患を有する者の感染防止対策の強化。それから、サーベイランス、これはもう一刻も早く、感染の拡大とかウイルスの性状変化を早期に探知しないといけませんから、そういうサーベイランスをやる。それから、公衆衛生対策、こういうものをやりたいと思っています。
次に、地域における対応についてお話し申し上げますと、患者については、入院措置ではなく、外出を自粛して、自宅で療養してもらいます。基礎疾患を有する人たちについては、タミフルなどを早期に投薬し、場合によっては、PCR検査も実施して、入院治療を考慮する。重症化を防止することを優先して、基礎疾患を有する者を優先する。それから、学校等の集団で複数の患者が確認された場合は、これは積極的に疫学調査を行う。医療従事者・初動対処要員に対しても、必要な措置を行うということであります。
次に、医療体制について説明をいたします。妊婦や基礎疾患を有する者などの重症化するリスクの高い者を守ることを周知する。具体的には、外来部門では、今後は、患者数の増加に対応するため、原則として、発熱外来だけではなくて、すべての一般医療機関において診療を行うとともに、院内感染対策の徹底、特に、基礎疾患を有する者などの感染の防止を行います。入院部門では、一般の患者については、原則として入院措置は実施しないで、自宅療養ということをしていただきますが、重症患者においては、感染症指定医療機関だけでなく、一般入院医療機関においても、入院を受け入れることといたします。また、都道府県は、特に感染した際のリスクが高いと考えられる者を守るため、発熱患者の診療を原則行わない医療機関を定めることができる。例えば、「透析専門にやっています。」とか、「うちは糖尿病専門ですから。」という時には、そこに発熱者が来なくても、他の病院に行けばよいので、そういう措置もとり得るということであります。かかりつけの医師がいる場合は、かかりつけの医師に聞いて、他の病院を紹介してもらったり、入院の必要性の判断ということで、原則が自宅で、例外的に入院というような形になると思います。もちろん、発熱相談センターや発熱外来機関を有する一般医療機関というのも、発熱外来も残す形でいけると思います。それから、次は、基礎疾患を有する者についてですが、のどが痛いとか、そういう場合なのですが、これは、診療して、これも自宅なのですが、診療によって入院の必要性の判断をして、入院する、退院して自宅ということで、こういう流れをフローチャート的に書けばこうなります。
次にいきますと、学校・保育施設ですけれども、これは、今もそうですが、学校・保育施設などで、児童・生徒が発症した場合に、臨時休業を要請する。大学は、その運営方法の工夫をやってくださいということであります。
それから、サーベイランスの着実な実施ということでありまして、これは感染の一定の発生は避けられないということを前提にして、個人の感染の発生ではなくて、集団における患者発生を把握すること、それから、病原性の変化、これを早期に探知することです。これがサーベイランスが必要なことでありますので、そういうことの、体制の強化をしたいと思っています。なお、集団発生を把握するためのサーベイランスとしては、お医者さんルート、学校ルート、それから、いろいろな施設のルート、これを徹底したいと思っています。
次に、検疫についてですけれども、検疫におけるPCR検査というのは、今後は、有症者へのPCR検査を原則として実施しません。マスク着用などを行った上で、帰宅させることとしております。ただし、同じ旅行をしていた、例えば、海外旅行、それで、複数の有症者がいる場合には、集団における患者の早期探知ということで、PCR検査を実施するということでありますので、そこは臨機応変に、必要に応じてやるということです。
それから、最後になりますけれども、これから秋冬に向けての第二波、これに向けて、重症者に限定した入院医療の提供など、患者数が大きく増加した場合には、さらに対応の検討が必要と考えております。それから、もう一つは、ウイルスの性状に変化があった場合、ウイルスが変異したと、その時には、この運用指針の見直しということをまたやりたいと思います。それが、今回の運用指針の見直しについてです。
それから、もう一点、ワクチンについてお話しします。政府の専門家諮問委員から御意見もいただきました。具体的には、まず、各ワクチン企業において、新型インフルエンザA、H1N1のワクチンの生産準備が整った段階で、7月の中旬以降ですが、季節性インフルエンザワクチンの生産を中止し、新型インフルエンザワクチンの生産を順次開始することが適当であると、それから、新型インフルエンザワクチンからH5N1プレパンデミックワクチン製造への切り替えは、今年の秋から冬の新型インフルエンザの発生状況や重篤性を踏まえて判断することが適当であると、こういう答申をいただいておりますので、その方針に則って行いたいと思います。プレパンデミックワクチンの製造というのは、通常、10月前後から開始されるわけであります。以上のような方針でワクチン製造もやりたいと思っています。
今後とも、地方自治体、医療関係者などと、十分、協力・連携をとりまして、万全の備えに努めてまいりますので、国民の皆様におかれましては、繰り返し申し上げておりますように、警戒を怠ることなく、正しい情報に基づいて、冷静に対応していただくようにお願いしたいと思います。私の方からの説明は以上でございまして、その対応については、閣僚懇談会においても、全閣僚にご説明申し上げた次第でございます。以上です。

質疑

記者:
秋冬には増加が見込まれるという話でしたけれども、現時点で想定している増加の具体的数字があれば教えて下さい。
大臣:
今のところ数字でどうだということはまったく予想がつきません。原則としてPCR検査をやりませんから、今、700名前後患者さんがいますと言っても、それはPCR検査で確定した人で、ひょっとしたら、ウィルスが体内に入っていて、若干発症していたけれど気がつかないうちに治ったという方もおられるかもしれないので、本当に新型インフルエンザの感染者というのはどの国でも、我が日本においても正確に1名まで数を挙げることが出来るかというのは不可能だと思います。今までも一生懸命やってきましたし、今後も定点観測を含めてやっていくことはいたしますが、原則的にはそれを行わないということなので、数がいくらだということは誰が見てもこれは大規模な感染拡大だという、そういう感覚で良いと思います。
記者:
対処方針の見直しということですが、その意図、目的というところを改めて御説明いただけますか。
大臣:
運用方針の見直しであり、それは厚生労働大臣の管轄で出来るということでありますので、先程以来御説明しておりますし、皆さん方の所にもペーパーを配布しておりますが、細かい点については事務方から御説明申し上げますけれども、基本的にはWHOがフェーズ6に引き上げ、本当に感染者が拡大しています。我が国を見ても、ぽつぽつ毎日何件か出てきています。それも、一定の所では無くて、「この県から出た。この県からも出た。」ということなので、そういう状況になってきた時にどういう対応を取るかということで、今まで重点化防止地域、それから今発生した所と二つに分けてやっていましたが、そういう分類よりも、今回は基本的な考え方は先程申し上げましたように、「数を減らす」「発症時期を遅らせる」とそういうことからやろうということであります。WHO、それから世界の状況、我が国の状況を見て柔軟に対応を変えたいということで先程申し上げた方向に変えました。
記者:
今日付で運用指針を改定するということですが、今日からサーベイランスとかあるいは今現在入院されている方もいらっしゃると思いますがそういう方は退院措置を取るということでしょうか。
大臣:
今日から変えるわけではありません。段階的に体制が整い次第ということなので、私どもがこう決めても現場はまだ整っていませんから、「そういう方向に変えますよ」と今日アナウンスをして、現場で議論していただいて、一月かかるか三月かかるか一週間以内で出来るか状況によって違うと思います。大きな方針を示したので、後の具体的なことは段階的にやるということであります。
記者:
ワクチンの割合などについては答申は無かったのでしょうか。
大臣:
細かい数字は事務方に話をさせますが、季節性ワクチンは大きな数字でいうと例年必要なものの8割は確保しました。そこで一旦止めて、今から新型ワクチンを作っていく。その過程において12月、1月に2,000万人分、3,000万人分位できると思いますけども、今月600万、次はどうと、一気に作るわけではありません。その過程で状況を見ながら「作りすぎだよ」ということであればまた変えるということなので、今の方針はそういうことです。
記者:
村木局長の職場から400万円が出たということについての大臣の把握と姿勢についてお聞かせ下さい。
大臣:
新聞記事も見ましたし、そういうことも報告も受けましたが、よく調べてみないとわからないので、良く調査をしてどういうことであるのか確認をしたいと思います。あまり好ましいことであるとは思っておりません。

(了)