閣議後記者会見概要

H21.06.12(金)09:21~09:37 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等ついて

大臣:
閣議については特別ありません。

WHOのフェイズの引上げについて

大臣:
WHOのフェイズの引上げについて申し上げます。日本時間の本日午前1時、WHOは現在の国際的な感染拡大の状況及びWHO専門家緊急委員会の検討結果等を踏まえ、インフルエンザパンデミック警戒レベルをフェーズ5からフェーズ6に引き上げることとしました。
フェーズ6とは、複数の地域において、地域(コミュニティ)レベルでの継続的な感染拡大が見られる状況を指すものでありまして、ウイルスの深刻度が増大したといったことではありません。
WHOは、今回の新型インフルエンザの患者は、多くの場合、症状が軽く、回復も早く、特別の医療を必要としないこと、次に、若年者に感染者が多いこと、三番目として、重症者の多くは、30才から50才の者や糖尿病、喘息等の基礎疾患を有する者等であることなどに留意しつつ、各国が適切に対策をとることが重要と述べております。
一方、我が国の状況でありますが、本日午前9時時点で、これまで国内において合計539名の方が感染され、少なくとも394名は治癒しております。感染は、大きくは、海外渡航歴がある方が端緒となる散発事例と、学校における集団発症時例の2つのグループに分けられますが、後者、つまり集団発症時例に由来するケースが大部分であります。この2つのグループ以外は少数の散発事例がいくつかの都府県で見られておりますが、この事例の周辺にはしっかりした調査体制が敷かれているところであります。
これまでの政府の対策としましては、今回のウイルスの性状等を踏まえまして、5月22日に基本的対処方針を見直し、国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ、感染拡大を防ぐとともに、基礎疾患を有する者等を守るという目標を掲げながら、強毒性の鳥インフルエンザを念頭に策定された「新型インフルエンザ対策行動計画」をそのまま適用するのではなく、地域の実情に応じた柔軟な対応を図っているところであります。
また、今回のフェーズ6への引上げは、新型インフルエンザが世界的に流行し、今後も海外からの継続的なウイルスの流入があること、さらに、秋口から第二波の感染拡大が起こる可能性があることを示唆しているものと受け止めております。南半球、オーストラリア、チリなどで爆発的に感染者の数が増えていますので、秋以降、同様の状況が日本で起こることを前提に、想定しないといけないと思っております。
したがいまして、現在の対策の基本的な枠組みは維持しつつも、今後日本において、ある程度の感染拡大は避けられないということを前提に、専門家の方々の御意見を伺いながら、感染拡大の早期探知のためのサーベイランスの強化や医療体制について、重症者への対応を中心としたものにシフトすること等を速やかに提示したいと考えております。
政府といたしましても、地方自治体や医療関係者などと十分協力・連携をとって、万全の備えに努めてまいります。国民の皆様におかれましては、繰り返し申し上げておりますように、警戒を怠ることなく、正しい情報に基づき冷静に対応していただきたいと思っております。以上です。

質疑

記者:
フェーズ6に上がることによって国民にとって何か変わることはありますでしょうか。
大臣:
特別に変わることはございません。先ほど申し上げましたように、地域的に世界に拡大しているという状況で、特に今回の判断の大きな基準は、冬になっている南半球で感染が急速に拡大しているということですので、世界的大流行という定義付です。ただ、マーガレット・チャン事務局長がモデレート・セベリティという言葉を使っていらっしゃいましたが、本当に毒性などは強いものではないので、国境閉鎖をしたりですとか、いわゆるH5N1の時に想定されていたような対策を取るのではなくて、そこは基本的に柔軟に対応し、人々の国境を越えての移動ですとか、経済活動とかが阻害されないようにということですので、我々の対策方針と一致していると思います。
記者:
検疫の関連について何か強化するとかその辺はどうでしょうか。
大臣:
検疫は検疫で今までどおり行っていくにしても、やはり、国内で例えば、福岡の事例、船橋の事例、それから、東京都港区の正則高校の例がありますので、サーベイランスの強化をしっかり行わないといけません。早期に探知して、早期に抑えることができれば、タミフルやリレンザが有効ですから、サーベイランス強化ということだと思います。そのために、近々に専門家の方々にお集まりいただいて、少し専門家の観点から検討を重ねていただいて、来週中には何とかそういうことについての取りまとめを行いたいと思っております。具体的には、厚生労働大臣の運用指針がありますから、これを見直すということにつながるだろうと思っております。
記者:
神戸、大阪でも感染者の数は大分落ち着いたと思うのですが、今週に入って全国各地で感染者が出てきているようなのですが、現在の国内の状況を大臣はどう御覧になっているでしょうか。
大臣:
今、一生懸命疫学的な調査を実施して、できるだけ感染ルートの解明を図っていますが、誰が感染源であるかということが分かりません。元々神戸の高校生の件からそうです。それから、発症すれば、家に留まっているとか、病院にいるとか分かりますが、発症の一日前からウイルスは活動していますから、その一日前に公共交通機関に乗ってとか、イベント会場で多くの人に接した場合に果たしてどこまでどのように感染が拡がるかということが分かりません。昨日のマーガレット・チャンさんもトレースできない状況になっているということを仰っておりますので、追跡できないような状況の時にどういう手を取るかということは少し考えないといけないと思っております。北海道、本州、四国、九州、と日本の大きな島すべてに感染者が出ていますので、そういう意味では常識的に考えれば東京にもウイルスはどこかにいるということです。国民の皆様も人混みから帰ってこられたりという時には、手洗いの励行ですとか、うがいをするとか、満員電車に乗るときには予防的にマスクをするとか、これまでの対策というのは続けていくことが有効だと思っております。監視強化、サーベイランス、そして一日も早く患者を見つけて治療する。特に学校で一気に数が増えておりますので、これは有る意味でしょうがありませんから、休校措置や何かをどうとるかを各自治体、学校関係者とも協議しながら決めて行きたいと思っております。
記者:
医療体制の部分ですが、重症者を中心とするものにシフトしたいというのは、具体的にどういったことを想定されているのでしょうか。
大臣:
基本的に今までの大きな方針と変わりませんが、基礎疾患を持っている方々と、新型インフルエンザの患者とを隔離し接触させないことなどです。これからどんどん患者が増えると言う時に、感染症指定の病院だけではなくて、普通の一般の病院にも行かれるというので、入り口を分けて、糖尿病とか喘息等の基礎疾患を持っている方々と触れさせないという形での対策を取らないといけないので、各地の医師会ともよく協議を行っていきたいと思います。
記者:
つまり、今の発熱外来を中心としたそのものを変更させるということでしょうか。
大臣:
発熱外来を中心としたものはあると思いますが、それではとても追いつかない時に、一般の病院に広げる可能性が出てきます。そこをどういう体制にするかということで、基本は基礎疾患を持っている方が重症化しないことに重点を置かないといけません。したがいまして、具体的にどういう施策を加えていくか、どういう手を打つか、まさに専門家の方々に来週早々からお集まりいただいて、一回だけの協議で済まないと思いますから、数回協議を重ねていただきます。私の方もいろいろなヒアリングを行って、できれば来週の終わりには今申し上げました点について具体策を決めたいと思っております。すでに、関西でそういうことをおやりになっている経験を大阪、神戸は持っておりますので、そういう方々の経験も生かして行きたいと思っております。
記者:
ワクチンのことについて、WHOが季節性インフルエンザのワクチンの製造は各国ともほぼ終えているはずなので、新型インフルエンザ用のワクチンの製造に全力で切り替えるべきだということも言っておりますが、ワクチン製造についての対応はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これも専門家と来週中に協議をして決めたいと思っております。今メーカーさんのところに株が行っておりますので、それを今増殖して製造できるような体制を各メーカーが整えつつあります。2,500万人分くらいはできる体制にあるということを厚生労働省から与党PTに話をしておりますが、具体的にどれくらい、どういう比率で行うのかということ、それから、海外の輸入の可能性も含めて来週中に少し専門家と議論をしたいと思っておりますので、まだ具体的に数字がどうだと決まった状況ではありません。
記者:
障害者郵便制度の不正事件ですか、厚生労働省として事実関係がどうなっているか、捕まった係長が当時の課長が認識していたという報道がされていますが、厚生労働省として確認しているかということと、どういうふうな見方をしているかお聞かせください。
大臣:
基本的には毎日国会でお答えしているとおりでして、捜査中のことですから、捜査に予断を与えるような形での行動、発言は慎みたいと思います。捜査当局には全面的に協力をいたしておりまして、今、省内で調査チームはヒアリング等を行ったりですとか、いろいろな調査をしておりますが、捜査当局の事実確定に影響を与えないために、捜査当局の事実確定があるまでは公表しないということで対応しているというのが今の状況です。
記者:
骨太の方針2009の素案が出ましたが、2,200億円の社会保障費抑制目標について与謝野大臣は、削減目標としては維持していくということを言われて、これについてはまだ、削減目標ということで維持するのかという声が強いのですが、大臣は最終的にまとまる段階でどのような対応をされるのでしょうか。
大臣:
基本的に2,200億円の削減は限界に来ており、撤廃すべきだと思っておりますので、今でもそういう発言を続けておりますし、閣内において発言を続けて行きます。最終的には内閣総理大臣が方向付を決められるので、閣僚の一員としては最終的に政府、特に総理の御決断があればそれに従いますが、今の段階では明確に2,200億円の削減は限界であるという立場を維持しております。
記者:
B型肝炎の訴訟で元原告の方々について、16日に大臣と面会の方向で調整ということを話しているのですが、原告の方々は大臣から直接謝罪が欲しいと訴えてこられているのですが、これに対して大臣としてどう対応されるのかということと、お会いになる機会で今後についてどのように大臣からお考えを述べられるのかお伺いしたいのですが。
大臣:
16日が三周年の記念であるということでお会いしたいということで、今時間の調整を行っております。今ここで予告して言うわけではなくて、原告の方々の仰ることをよく聞いてそれに対応します。原告の方に直接会って対応したいと思っております。

(了)